BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。お陰様でUAが800,000超えましたありがとうございます。これからも頑張らせていただきます。

四ヶ月ぐらい続いたラクーンシティ編最後の話となります。楽しんでいただけると幸いです。


file2:Fin【それぞれの行く先】

 朝日が昇る道路を、私達はトラックで移動する。レオンが運転し、クレアが助手席に座ったその荷台の上で、みんなの乗っている隅っこで私は体育座りして顔をうずめて蹲っていた。手には、クイーンから託されたものがそのまま握られている。傍では泣き疲れて眠ってしまったシェリーが壁に背を付けて眠っていた。

 

 

「クイーン…」

 

『アリサ……そろそろ立ち直ってくれない?』

 

「スタァアズ」

 

 

 私が漏らした声に、傍に浮かんでいるエヴリンがぼやく。クイーンは、帰ってこなかった。クイーンが一人だけ残って切り離した後部車両を残した列車は、ラクーンシティ郊外まで繋がる引き込み線に通じていた線路を通り、ラクーンシティ外の車両基地まで辿り着き、そこにあったトラックを拝借してみんなで移動していた。窃盗かあ……クイーンがいたら怒るかな……。もういないんだったな、はあ……。

 

 

「アリサ。しっかりしなさい。クイーンがいなくなった今、この子たちのリーダーは貴方なのよ」

 

「私じゃ無理だよ……エヴリンかリサが代わりに……」

 

 

 リサの励ましにも聞こえる激励の言葉にそう反論すると、エヴリンとリサは手を振って否定してきた。

 

 

『いや私はクイーンほどのリーダーシップないし……』

 

「私みたいな殺人鬼の言うことなんて誰が聞くのよ。ねえ?」

 

「ひゃい!」

 

「ここに一人いるのだ」

 

 

 リサが同意を求めようとして振り返ったら、縮こまっていたヨナの肩が跳ねる。どうやら不機嫌を隠そうとしなかったリサに怯えていたようだ。そのやりとりに、少しだけ口角が上がる。

 

 

「…クイーンの代わりなんていない。だけど、私達は人間をよく知らない」

 

「身分証はあってもオメガ殿などは常識などを身に着ける暇もなかったでござるからな。拙者はそうでもないでござるが」

 

「愛を教えてくれる人が必要なの」

 

「そうなのかー?」

 

『違う、そうじゃない。ヘカトちゃん、ややこしくなるから黙ってよ?』

 

 

 そう言うのは、クイーンと共にここ数ヶ月逃亡生活をしていた一人であるオメガちゃんとプサイちゃんとヘカトちゃんだった。ヘカトちゃんの言葉に首を傾げるガンマちゃんに、エヴリンがツッコミを入れていて。思わず、小さく吹き出してしまう。

 

 

「フフフッ…」

 

『よかった。やっと笑った』

 

「え…?」

 

『アリサが泣いてたらクイーンも悲しむよ』

 

「……うん。そうだね。クイーンの分まで頑張るよ、私」

 

 

 エヴリンの言葉に、顔を上げる。私はクイーンに託されたのだ。一番不安なのは、人に姿に擬態していても以前の私と同じように、外の世界を知らない皆なんだ。年長者の私が、導かないと。

 

 

「まずは先に脱出しているジルやU.B.C.S.の三人やマービンと合流しよう。ジルやカルロスたちなら、私達も保護してくれるはず」

 

『そうだね。それが現実的かな』

 

「クリス達とは合流しないの?」

 

「したいけど、こんな大人数じゃ目立つよ。アンブレラから追手がないとも限らないし……まずは安全な場所に行かないと」

 

『でもどうやってジルと合流する?』

 

「それなんだよなあ……レオン、近くに街は見える?」

 

「道路とガソリンスタンドぐらいしかないな」

 

 

 そんな話し合いをエヴリンとリサ、レオンとしている時だった。

 

 

「レオン。ここまででいいわ」

 

 

 寂れたガソリンスタンドまで差し掛かると、クレアが口を開きレオンがトラックを停車させる。荷台の扉を開けて見てみれば、ガソリンスタンドにはバイクが一台鎮座してあった。

 

 

「ここは私とレオンが初めて出会った場所よ。この置き去りにしてた愛車のガソリンを入れてた時にゾンビに出くわして……もう、ゾンビはいないみたい。名残惜しいけど、私はこのままクリスを探しにヨーロッパのアンブレラ支部を目指すわ。ここでお別れね」

 

「そうか……クレア。俺の方でもクリスを探してみる。いつか、必ず連絡するよ」

 

「私は、貴方とあんまり接点はないんだけど……クレア。……クリスによろしくね」

 

「ええ、もちろんよ」

 

 

 バイクのエンジンを吹かしながら笑って頷くクレア。レオンとクレアとは、エヴリンの記憶でしかちゃんと知らない。仲間だから一緒に戦ってただけの関係だ。ちょっと淡白なのもしょうがないと思う。しかし、仲間の一人は違ったようだ。

 

 

「ならば拙者もクレア殿に同行するでござる。クリス殿たちとは顔見知りであるが故。アンブレラ支部に乗り込むなら潜入が得意な拙者は有用でござるよ!」

 

 

 そう荷台から飛び降りながら進言したのは、プサイちゃんだった。プサイちゃんは潜伏期間中に身分証も作ってたはずで、オメガちゃんとも違って社交的だから適任だろう。

 

 

「え、…いいの?確かに一人ぐらいなら乗せれるけど、オメガとは姉妹なんでしょ?離れ離れに……」

 

「もともと離れ離れでござったから今更でござる。それに、血気盛んなセルケト殿に出会った時に説明できる人間も必要でござろう」

 

「姉さん……」

 

「おおっと。オメガ殿が思ったよりしゅんとしててときめいたでござる!」

 

「…馬鹿」

 

 

 おどけるプサイちゃんに、しかしオメガちゃんが寂しそうに見上げる。感情が薄い妹の姿に、プサイちゃんは動揺している様だったがしかし、深呼吸して真面目な顔を向ける。

 

 

「拙者、姉故。クリス殿の妹であるクレア殿が放っておけないのでござる。永遠に別れではないのでござるからそう心配めされるな。アリサ殿を、みんなを頼んだでござるよ」

 

「…了承。ヘカトもみんなも、私が守る」

 

「それでこそ我が自慢の妹でござる!」

 

 

 そう言って、クレアは寝ているシェリーにお別れの挨拶を言えなくてごめん、と伝えるように頼むとプサイちゃんを後部座席に乗せてバイクを駆って走り去っていった。

 

 

『マフラーが絵になるなあ』

 

「ほんとにね」

 

 

 その際のプサイちゃんのマフラーが風に靡いてかっこよかったことをエヴリンとぼやく。いつもの空気が戻ってきたな。

 

 

「……うん?」

 

 

 プサイちゃんのマフラーになんかくっついてたような……気のせいかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガソリンスタンドで食料や飲み物を補給し、レオンが運転し助手席にリサが座ったトラックがひた走る。この数だから食料は真面目に問題だ。シェリーは特に年頃だから切らさないようにしないと。

 

 

『あ、やばっ』

 

「……構えなさい、アリサ」

 

「え?」

 

 

 するとそんなリサの声が聞こえ、何事かと運転席と荷台を繋ぐ小窓を開けると、その意味がわかった。軍事車両と戦車が並んで道を塞ぎ、その前にはずらりと軍人と思われる重武装した男たちが並んでいる。ラクーンシティを閉鎖したとかいう軍隊か。さすがに強行突破するわけにもいかないので、停車させたレオンが手を上げながらトラックから降りる。私もそれに続いた。

 

 

「撃たないでくれ!警官のレオン・S・ケネディだ!代表者はどこにいる?」

 

「R.P.D.特殊部隊S.T.A.R.S.のアリサ・オータムスです!避難民を連れて逃げてきました!」

 

『嘘は言ってないね』

 

 

 私たちがB.O.W.だとばれたら一巻の終わりだ。お願いだから、穏便にすんで、お願い……。すると、メガネの男が前に出てきた。雰囲気からして、この軍隊のまとめ役の様だ。

 

 

「私がこの部隊の隊長のアダム・ベンフォードだ。我々は、ラクーンシティから逃げ延びたものを厳しく取り締まらなければならない。すまないが、事情聴取や検査を受けてもらう。……それとも、なにか言えないことでも?」

 

「……えっ、とお……逃げて、みんな!」

 

 

 一か八かだ。呼びかけた瞬間。荷台から飛び出したのは、カバの様に太い胴体を持つ巨大な鰐にも似た顔に獅子の鬣を持つ漆黒の獣と、それにしがみついたリサ、オメガちゃん、ヘカトちゃん、ヨナ、グラ、ガンマちゃん、ネメシス。どうやらエヴリンが合体したリヒトらしいそれは、咄嗟に銃を構えた軍隊を蹴散らして走っていく。

 

 

「撃て!逃がすな!」

 

「待って、撃たないで!」

 

「待て!」

 

 

 軍人の一人が指示して銃を撃とうとする軍隊の前に、手を広げて立ちはだかる。それはアダム・ベンフォードを名乗った男が止めると、こちらに顔を向けてきた。

 

 

「訳があるようだ。詳しく、聞かせてもらおうか」

 

「はい……」

 

 

 こうして私とレオンは政府に降ることになった。……エヴリンたち、私は導くことはできないけど、無事でいて。そして……

 

 

 

 

アンブレラを、ぶっ潰して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一日もたたないうちに、事態を懸念した大統領と連邦議会は滅菌策「コードXX(ダブルエックス)」を発令。10月1日早朝、日の出とともに「コードXX」が決行され、アメリカ統合特殊作戦司令部・通称“ヘブンズゲート”による指揮の下、戦略ミサイルによるラクーンシティへの核攻撃を実行。コールサイン“エンジェル”の攻撃機6機が燃料気化爆弾を搭載した巡航ミサイル“アロー”10基を発射し、中心市街地の破壊後に全市域を破壊する戦術核が使用され、ラクーンシティは地図上から消滅した。ジル達が政府に持ち込んだワクチンは結局、それを止めることはできなかったらしい。

 

 避難することができず街に残っていた生存者はゾンビ……報告書には暴徒とされたそれもろとも、一人残らず死亡。この事実はテレビやラジオで報道され、政府はマスコミや世論から激しく糾弾され、大統領が辞任にまで追いやられたと報道されている。同時にアンブレラによる生物兵器製造や人体実験、ウイルス研究なども明るみに出るが、やはりというかすぐにもみ消されてしまう。しかしそれでも、アンブレラへの懸念は世界に刻まれた。

 

 

 そんな中、アダム・ベンフォードの擁護を受けてすべてを話した私とレオンは政府のエージェントとして起用されることとなる。

 

 

 そして、懲りもせず戦争に投下されたB.O.W.を殲滅する反アンブレラを表明する組織「オルタナティブ」が立ち上げられたと噂で聞いた。もしかしたら……そうだと、いいな。




名前は出なかったけどリヒトとエヴリンの合体形態、モールデッド・アメミット。その巨体からみんなの乗り物として活躍でした。でかすぎて使いどころがなかった。

クレアはプサイと共にヨーロッパへ。アリサはレオンと同じルートを辿ることに。そして逃亡したエヴリンたちは……?

登場、反アンブレラ組織「オルタナティブ」これほど合う名称もないかなと。




 ラクーンシティ消滅から3ヶ月後。クレアとプサイ、そしてシェリーは、アンブレラ社調査のためヨーロッパに渡ったと情報を得たクレアの兄、クリスを追ってフランスに渡る。そしてアンブレラ支部のパリ研究所に潜入したものの、警備隊に捕まり、孤島ロックフォートの刑務所へ移送されてしまった。

 投獄されたクレアと異なり、責任者の前に突き出されるプサイとシェリー。そこにいたのは、悪魔の様な双子だった。


BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnantsChronicle】

fileCV【アレクシア・アシュフォード編】

近日公開。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?

  • ネメシス(完全武装)
  • グレイブディガー・ハスタ
  • モールデッド・エンプレス
  • モリグナ(本体)
  • ハンター・アーマード
  • モリグナ・ネメシス
  • ハンターy(ガンマちゃん)
  • ハンターπ
  • ネプチューン・ルスカ
  • ブラインドストーカー
  • ペイルキラー
  • グレイブディガー・ヒュドラ
  • モールデッド・シュタール(ネメシス)
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