BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
この兄妹のこのパターンだとどんな口調になってるかわからないからほぼオリジナルになってしまった気がする。楽しんでいただけると幸いです。
アンブレラが所有する南米付近の孤島・ロックフォート島。「囚人棟」「訓練所」「公邸」「私邸」「空港」といった孤島とは思えない充実した施設が存在するそこの、私設刑務所に隣接する公邸アシュフォード邸。その執務室にて、机に座って書類を手に取る男がいた。赤と金で彩られた軍服を身に纏った金髪を撫でつけた様な髪型の女と見紛う容姿の美男だ。
「ふぅむ……」
顎に手をやり思案する男の名はアルフレッド・アシュフォード。アンブレラ幹部である彼の手にある書類には、ハンター及びHaRTシリーズについて記された書類の束があった。ハンターα、ハンターμ、ハンターβ、ハンターΩ、ハンターΨ、ハンターγ(通常)、ハンター・アーマード、ペイルキラーなど、いくつも種類が作られたハンターの詳細が記されているそれの、アルフレッドが開いている頁にはハンターΨについての情報が記されている。
「姿こそ報告書とは変わっているが、あの脚力と左腕の鉤爪に青いマフラー……彼女こそハンターΨと見て間違いないだろう。アレクシア」
「そう。ついに来たのね、お兄様。私たちの元に、RT-ウイルスを研究するチャンスが…!」
アルフレッドの座っている机の目の前、来客用のソファに腰かけ紅茶を嗜んでいるのは、紫色のドレスを身に纏ったアルフレッドとよく似た顔を持つ美女だった。彼女の名はアレクシア・アシュフォード。アルフレッドの双子の妹にして、かつて10歳で大学を主席卒業したほどの頭脳を持ち、卒業後すぐアンブレラ・南極研究所の主任研究員として迎え入れられた天才だった。
「やれやれ。君は研究熱心だな、アレクシア。私としてはハンターΨの兵器としての実用性にしか興味ないのだがね」
「だって、RT-ウイルスが手に入れば、今だ開発中で未完成のB.O.W.たちを完成させることができるのよ?いくらアンブレラに要望しても貴重な品だと一点張りで一欠けらも得られなかったのだから。それに加えて、ウィリアム・バーキンがただの偶然から見つけたG-ウイルスまで!T-Veronicaの問題点を改善できるかもしれないよ?考えるだけで素晴らしいわ…!アッハハハハハ!ハァ~ハハハハハ…!」
下卑た笑い声を上げるアレクシアの嬉しそうな姿に、アルフレッドも無邪気に顔を綻ばせる。確かな兄妹愛がそこにはあった。
「一年前、君が目覚めてくれて本当に嬉しかった。私は今、幸せだ。だからこそ、君の望むことならなんだってしてみせよう。それで、シェリー・バーキンとハンターΨの身柄はどうする?ここに連行してもらっているが、南極基地に移送するかい?」
「いいえ、お兄様。時間が惜しいわ。訓練所の生物実験室を使う。あそこには調整するために一匹ずつ連れてきているから、すぐにでも試すことができる。G-ウイルスとRT-ウイルス……フフフッ、虫けらにしては上出来よ……全部私のものにしてあげる……」
「アレクシアが楽しそうで何よりだ」
自分と兄以外のすべてを虫けらだと見下しているアレクシアに、さも当然だと言わんばかりに笑いながら書類を纏め、ブザーが鳴ったことを確認して来訪者に入るように促すアルフレッド。すると兵士二人に連れられた、拘束されたプサイとシェリーが執務室に入ってきた。それぞれの手には、アイアンズのシャッターと同じ素材の大きな手錠と、普通の手錠が付けられている。プサイは抵抗したのか青痣を右目に作っていた。
「ようこそ、ハンターΨ。シェリー・バーキン。私がこのロックフォート島の責任者、アルフレッド・アシュフォードだ」
「アシュフォード……アンブレラを生み出した三人……オズウェル・E・スペンサー、ジェームス・マーカスと並ぶ三人目……エドワード・アシュフォードの血縁でござるか」
「ケダモノにしてはずいぶんと博識だな?お前は優秀な暗殺者だったと聞いた。我々のこともちゃんと学んでいる様だ。その珍妙な口調はどうかと思うが」
「余計なお世話でござる、ぐっ!?」
「頭が高いぞ貴様!」
「プサイ!?やめて!やめてよ!」
顔を上げて噛みつかんばかりに吠えるものの、兵士の一人が手にしたアサルトライフルの銃床で殴りつけられ、膝をつくプサイにシェリーが目じりに涙を溜めて叫ぶ。サディスト気質のアルフレッドはそれを見て気分をよくして、二人に歩み寄った。
「安心しろ。お前たちは貴重な研究サンプルだ……アレクシアもそう悪くはしないさ。なあ?」
「ええそうね。お兄様。悪いようにはしない。せいぜい先端を斬り刻むぐらいよ。それぐらい、貴方たちならすぐ治るでしょ?」
「アレクシア…?バカな、アレクシア・アシュフォードは……15年も前に亡くなっているはずでござるのに……!?」
アレクシアの名前に驚愕するプサイ。少なくとも彼女の記憶では、アレクシア・アシュフォードという人間は1983年12月31日、ウィルスの感染事故により12歳の若さで死亡しているはずだった。ゾンビなどを見てきて、己も異形のものであるのに信じられないものを見る様な目をアレクシアに向けるプサイ。それが気に喰わなかったのか、スンッと笑みが消えた顔で注射銃を取りだし、プサイの首筋に打ち込んで採血するアレクシア。そのまま腰に下げた警棒を引き抜くと容赦なくプサイの頭部に打ち付け、血が飛び散った。あまりの蛮行に兵士たちはドン引きしているがアレクシアの視線に気づいて姿勢を正す。
「…失礼なやつね。私はちゃんとここに生きているわ。貴方たちはこれから未来永劫、私の研究材料として生きるの!光栄に思いなさい、虫けらがこの私に目をかけてもらったのだから!」
「……女王にでもなったつもりなの?」
「ええそうよ。全て私が支配する…。私が女王として君臨するのよ」
シェリーの問いかけに、気をよくして肯定しそう宣言するアレクシア。すると、なにがおかしいのかシェリーが笑みを浮かべる。
「フフフッ」
「……なにがおかしいのかしら、シェリー・バーキン」
「笑いたくもなるよ。
「貴方も痛い目を見たいみたいね?」
シェリーに馬鹿にされた怒りから額に青筋を浮かべながら警棒を振りかぶるアレクシア。しかし次の瞬間、驚愕から動きを止める。殴りつけた瞬間、シェリーの顔が警棒に合わせてぐにゃりと変形して回避したのだ。
「なっ……!?」
「お前、いったい……!?」
驚き、後退するアシュフォード兄妹。一方で兵士たちはあまりのことに言葉を失い突っ立っている。右目部分だけ凹んでいる異形の顔で、シェリーは大人っぽく嘲笑を浮かべた。
「あーあ……ばれちゃった。まあいいや、プサイを甚振る悪党なら容赦なく喰えるもの」
「えっ」
瞬間、シェリーの姿がばらけて、大量のアワビにも見える巨大なヒルの群れに変貌。手錠がゴトン、と虚しく床に落ちて、すぐ傍で呆けていた兵士に足元から纏わりついて全身を這い回る。皮膚を食い破られて皮膚の下を蠢くヒルたちに、兵士は悲鳴を上げて暴れる。
「うわあああああああっ!?助けて、たすけっぁあああああああぁっ!?」
「ひ、ひいいっ!」
蠢くヒルに骨も残さず食い尽くされていく同僚に、完全にパニックに陥ったプサイの傍にいた兵士が銃を乱射するが、弾丸はその身に纏う硬化した粘液で弾かれ、完全に餌を食い尽くして人型になったヒルの塊はそのまま飛び掛かってもう一人の兵士にも襲いかかり、瞬く間に喰らい尽くしてしまう。その間に形勢不利を悟ったアシュフォード兄妹は隠し通路から外に出て私邸に逃れていた。
「……これが手錠の鍵だな」
「助かったでござる。―――――クイーン殿」
そして、兵士二名を生贄にしてたった今繁殖し、必要数を取り戻したシェリーだったものが姿を変えたのは、動きやすそうなラフなシャツに、迷彩パンツとブーツを身に着けている、青みがかった銀髪をポニーテールにした女性。
「クレアと合流して奴らを追うぞ。どうも、嫌な気配がする」
周囲の異様な気配に顔をしかめるそれはトレードマークだった白衣こそないものの紛れもなく、三ヶ月前に死んだはずのクイーン・サマーズその人だった。
一年前に目覚めたらしいアレクシア。シェリーに化けていたクイーン、復活。さてはてどういうことなのか。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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