BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ネタバレ題名。

今回はイーサン・エヴリンVSミランダ。楽しんでいただけると幸いです。


狂える聖母と最高の父親
第三十三話‐Heart catch【敗北】‐


「ハイゼンベルク!?」

 

『マダオ!?』

 

 

 自爆してミランダと共に大爆発、夜空に散ったハイゼンベルク。最後の最期に自由になった男の死にざまは壮絶なもので……思わず、放心する。ローズを戻す手段を失った云々の前に、喪失感が凄い。どうやら結構、あの男に対して情が湧いていたらしい。

 

 

『マダオ…こんなの、あんまりだよ…まだまだ一緒に映画のことを語り合いたかったよ…』

 

「エヴリン………っ!?」

 

 

 爆発が晴れたので見やる。そこには、ミアが立っていた。本物のミアか?いや違う、あの醜悪な笑みは…思わず、ローズの入った鞄を左手で強く握りしめて後退、背中に手を伸ばす。

 

 

「ミランダ…!」

 

『なんで、あの爆発でも生きてるなんて…!?』

 

「大事だろう?私たちの娘は」

 

「俺の全てだ。だが、お前のじゃない!」

 

 

 右手に取ったグレネードランチャーを発射。しかし長く伸びた右手の五指を振るわれて炸裂弾は弾かれて空で爆発。ミランダはミアの姿のまま歩いて近づいてきた。

 

 

「私にとってもだ。ハイゼンベルクが消え、それからどうする?なにか手があるのか?」

 

『お前!お前え!』

 

「わからない…だがローズは助ける!そう誓った!」

 

「私に渡せば、肉体だけは戻せるぞ?生きていてくれたらお前も幸せだろう?」

 

「ふざけるな!ローズはローズとして、これからを生きて行くんだ!お前の娘としてじゃない、俺達の娘としてだ!」

 

『私の妹としてもだ!』

 

「愚かだな、お前は。妻に入れ替わっても気付かずに、哀れな、イーサン」

 

「っ!エヴリン!」

 

『やっちゃえ、イーサン!』

 

 

 目の前まで近づいてきたので、右腕を鞄を取り込んだブレード・モールデッドのものにして突き出す。しかしミアの姿のまま背中から生えてきた六翼が閉じられガキンッと弾かれ、零距離で炸裂弾を叩き込むもビクともしない。見ればブレードが刃毀れしている。エヴリンのカビ以上の硬度だと…!?

 

 

「ハハハハハ!哀れだ、そんな姿に成り果てても、お前は、私には敵わない!」

 

 

 高笑いと共に周囲に菌根が生えて囲まれてしまう。グレネードランチャーを投げ捨て、ショットガンを取りだして乱射。ブレードを何度も叩きつけるが、閉じられた翼を貫くことができず。翼を広げた時には仮面が外れた物の無傷のミランダが姿を現していて。

 

 

「私の翼があの程度の爆発で破られるとでも思ったか?教えてやろう、ハイゼンベルクは犬死だ」

 

「ミランダァ!」

 

 

 伸びた翼でブレードを叩き折られ、拳を握って翼を殴りつけるがその硬度に右腕がへし折れてしまう。エヴリンに視線をやって治してもらおうと試みるが、触手の様に伸びた翼で首を絞められ、持ち上げられてしまいショットガンと鞄を取りこぼす。

 

 

「エヴリン!腕を…ぐあっ!?」

 

『イーサン!』

 

「見えないがそこにいるのだろう?エヴリン。大方、死ぬ直前にこの男に自身の細胞の一部を埋め込んで残留思念としてこの世に留まったのであろうが……我が娘の胚から生まれたお前は出来損ないだ。出来損ないの菌で真の菌根に敵うと思うたか!」

 

『やっぱり…私の本当の母親は…!』

 

「ぐああああああ!?」

 

 

 投げ飛ばされ、菌根の壁に叩きつけられて肺の空気が強制的に吐き出される。エヴリンは、残留思念。死ぬ直前…恐らく、最後の対決の際に掴まれたあの時に俺に細胞を埋め込んで思念を継続させていたってことか?よくわからないが、残留思念ってことはつまり幽霊だ。幻影じゃなかったんだな…。そんな、今は関係ないことを考える。エヴリンはショックを受けたように動かない。駄目だ、意識が朦朧としてきた。何とか立ち上がってハンドガンを左手で構えるが右腕はブランブランと揺れて動かない。だが、それでも…!

 

 

「やめておけ。ローズはエヴリンの力を受け継いだ。いいや、エヴリンさえも凌駕するだろう。あらゆる者の精神を操作できる。その肉体が欲しい」

 

「黙れ、イカレ女め!」

 

 

 ミランダが俺の鞄を開いてフラスクを四つ取り出し側の菌根に回収させたのを見て、ハンドガンを乱射しながら突進。弾丸は全て翼で防がれるが、折れた右腕を振り回してヌンチャクの様にして叩きつける。激痛なんて気にしていられない。

 

 

「心配いらぬ。ローズは復活する。この菌根は全て記録しているのだ。ただし、その時は私の娘として生まれ変わる」

 

「ローズはお前の子じゃない!」

 

 

 翼を広げて俺を弾き飛ばしながらそう笑うミアの姿になったミランダにハンドガンを乱射。だがしかし、あの翼を貫くことは敵わない。タックルでミランダを突き飛ばし、鞄から回復薬をいくつか取りだして蓋を開けながらエヴリンを見やる。

 

 

「エヴリン、頼む!力を貸してくれ!」

 

『駄目!これ以上はイーサンの身体が…!』

 

「俺はどうなってもいい!頼む!」

 

『……わかった!』

 

 

 折れた右腕に回復薬をジャバジャバ振りかけ、カビを溢れさせてモールデッド・ギガントに姿を変えながらミランダに視線を向けると、そこにはあの、老婆がいた。

 

 

「この姿を覚えているか?お前が四貴族を倒す様に誘導するのは大変だったぞ」

 

『やっぱりダッシュババアじゃん!』

 

「なるほど。その呼び名はお前が発祥だったか。驚いたぞ、お前があの場にいない誰かと会話したのを見た時はな。その状態だと会話ができるのか、興味深い…が、出来損ないに興味はない」

 

 

 モールデッド・ギガントの右腕でハイゼンベルクの鉄槌を拾い振り下ろすが、杖で受け止められ、モールデッド・ギガントの怪力を越えるパワーで押し返され鉄槌を手放してしまう。そして姿を元に戻したミランダは翼を伸ばしてモールデッド・ギガントの全身を何度も何度も刺し貫いて行き、血反吐を吐く。

 

 

「『がああああ!?』」

 

「どんな姿に変わろうとお前は私には敵わない。お前もまた興味深い存在だ。ローズを生み出したのはお前か、それとも両親の因子が原因か。お前の力は把握しきれない。面白い、面白い、面白い…!」

 

「くそっ、があ!」

 

『死ねえ!毒親!』

 

 

 根性でエヴリンと力を合わせ、両腕を振り上げ拳を組んで振り下ろすが既にミランダはそこにはおらず。ミランダは姿を消したが、声は聞こえてくる。前後左右上下。体ごと動かして周りを見渡すが、菌根に囲まれているだけだ。雨が降り出して火が消えて行く。奴はどこだ…?

 

 

「面白い、が。モルモットとして生かしておくには出来損ないの存在が目障りだ」

 

『私は、出来損ないなんかじゃない!』

 

「ほっとけば人の何倍も速い老化で死にゆく体のどこが出来損ないじゃないと?」

 

『なんで、そのことを知って…』

 

「お前は覚えてないだろうが、私は赤子のお前をこの手に抱いたことがある。私の子、孫にも等しい子だ。だが失敗だった。出来損ないの癖にあの子を思い出させるその顔……ああ、うんざりする!」

 

「エヴリンはお前の子じゃない、もう俺の子だ!そう誓ったんだ!約束した!お前にどうこう言われる謂れはないぞ、ミランダ!」

 

 

 試しに菌根を殴りつけてみる。だがやはりこちらの腕がへし折れカビで補強され再生する。モールデッド・ギガントのパワーでも殴り砕けないなんて……

 

 

「ミランダ、臆病者め!隠れてないで出てこい!」

 

『そうだそうだ!私達が怖いんでしょ!その首、へし折ってやる!』

 

「できるものならな」

 

 

 グシャリ。誰もいなかったはずの前方から、左胸を貫かれる。モールデッド・ギガントの装甲など意味をなさず、俺はモールデッド・ギガント化が解けて崩れ落ちる。俺から排出されたエヴリンが泣きそうな顔でこちらを見てくる。

 

 

『イーサン!ダメ、ダメダメダメ!』

 

「がはっ…」

 

「恐れるなイーサン。死は一瞬だ」

 

 

 目の前から湧き出たカビが人型を取り、ミランダとなる。その右手が、俺の左胸を貫いていて…何かが抜き取られる。それは、血に塗れた俺の心臓だった。力なく、倒れ伏す。

 

 

『ダメ!イーサン!?』

 

「菌根はお前も記録する。お前の血は後でゆっくり研究するとしよう。エヴァを膝に乗せてな」

 

 

 俺の心臓を握り潰しその血を浴びながらそう笑うミランダ。意識が消えて行く。体が力を失っていくのが分かる。もう、ダメだ……

 

 

「夜明けが訪れれば我が儀式は完成し、私は真の母親となるのだ!血が永遠(とわ)に繋がる限りな!ハハハハハッ!」

 

『イーサン!イーサン!イーサン!ここまでだなんて、嘘だよ!』

 

「エヴリン、お前はその死体に縋っていろ。私に、私達に二度と近づくな。目障りだ」

 

 

 ああ、俺の血を取り込んだからエヴリンが見えてるんだな。そう、うっすらとした思考で考えながら、俺は力尽きた。




というわけで、エヴリンの正体は7最終決戦の外に投げ出した際イーサンに埋め込んだ細胞を糧に精神体として存在していた残留思念、ぶっちゃけると幽霊でした。だからイーサンの知らない場所の情報も知れた。ローズに見えていたのはイーサンに浸透したエヴリン(本体)の細胞が混じったから。血やらカビを取り込むことで見えていたのも同様です。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

ハイゼンベルク生存ルート思いついてるけど本編後に…

  • ミランダを倒してハッピーエンド
  • ミランダを倒すもローズを奪おうとして敵対
  • ミランダを倒すもクリスとの戦闘に移行
  • ミランダを倒すもイーサンを助けるため…
  • 書かなくていい
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