BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
というわけでブラックタイガー・アラクネ戦です。楽しんでいただけると幸いです。
プサイが見つけたのは、屋根裏に形成された巨大な蜘蛛の巣。餌なのかドロドロに溶けた囚人や看守の死体が糸に纏わりつかれてぶら下がっており、それを斬りながら先に進もうとした矢先。暗闇に潜んでいたブラックタイガー・アラクネに襲撃され、押さえつけられ天板を破壊しながらクイーンたちの元に落下してきた。
「お前らも、溶けろォオオ!」
「避けろ!」
息を大きく吸い込み、クイーンたちに向けて黄緑色の液体の弾丸を口から射出するブラックタイガー・アラクネ。咄嗟に倒れているスティーブを抱えながら粘液糸を飛ばしたクイーンと、ローリングで横に回避したクレアたちのいた扉に炸裂し、シューシューと煙を立てながらドロドロに溶けて崩れ落ちる。強酸性の消化液だ。咀嚼ができない蜘蛛という生物は消化液を放って獲物を溶かして啜ることで捕食する。人間の形をとっているその上半身、特に喉は焼けてしまっているのだが、RT-ウイルスの特徴である再生力で治癒してしまい特に気にせず次々と発射するブラックタイガー・アラクネ。狭い室内だ、逃げまどうしかなかった。
「クイーンと違ってマジのスパイダーウーマンじゃねえかよ!?現実で見たくなかったぜ!」
「私はどっちかというとリーチウーマンだぞ」
「そんなこと言ってる場合!?」
「ドロドロになれえ!」
「それ以上は、させないでござる!」
するとクイーンたちを狙って、自分を押さえつけたまま特に追撃もしてこないブラックタイガー・アラクネの蜘蛛の右前足に、何とか引き抜いた左手の爪を突き刺すプサイ。ブラックタイガー・アラクネは悲鳴を上げてプサイを投げ出し、のたうち回る。
「アァアアアッ!?」
「ぐっ……隙ありでござる!」
投げ出されたプサイは飛ばされた先にあった隣の部屋に続く扉を蹴飛ばしながら反転すると、飛び回し蹴りをブラックタイガー・アラクネの後頭部に叩きつける。さらにクイーンが粘液糸を両手から飛ばしてブラックタイガー・アラクネの両腕にくっつけ引っ張って拘束。クレアとスティーブが弾丸を叩き込むものの、全身を覆っている蜘蛛の糸が防弾チョッキの役割を果たして弾いてしまった。
「弾丸が効かない!?」
「バケモノかよ、バケモノだったぜ!」
「ドロドロロロロォオオ!!」
すると消化液を口から飛ばして粘液糸を溶かして切断し、拘束から逃れたブラックタイガー・アラクネは長机をむんずと掴み、八本足で踏ん張り歩きながらでたらめに振り回してきた。力任せに振るわれるそれは単純な破壊力を有し、建物の壁すら粉砕してクイーンたちを追い詰めていく。
「っ……あ、あれ!」
すると金網で仕切られた先にパソコンがあるのを見つけるクレア。しかしそんな隙を見逃すブラックタイガー・アラクネではなく。投げつけられた長机がクルクル回転しながら迫ってきていた。
「あぶねえ!クレア!」
すると、スティーブが飛び込むようにしてクレアを抱きかかえ、床を転がりながらギリギリ回避。長机は入り口側の壁に激突して粉々に砕け散る。ならばと、ドタドタと蜘蛛脚を動かし、その巨体で迫ってくるブラックタイガー・アラクネ。
「潰すゥウウ!」
「そうはいくか!」
クイーンはパワーでは敵わないと確信し、粘液を足元に飛ばしてそれを踏みつけた蜘蛛脚を拘束。力任せに引きちぎったものの、つんのめって体勢が崩れたブラックタイガー・アラクネの首に、プサイが迫る。カエルの遺伝子による跳躍力を合わせた一撃必殺の爪の斬撃「首狩り」だ。例え糸の装甲で隠されていても、それごと引き裂ける……はずだった。
「切り捨てソーリー!」
「!」
するとギョロギョロギョロッと、真っ赤な三つの瞳が片方ずつ、計六つの眼が瞳孔の中に存在していたブラックタイガーの複眼がそれを目ざとく確認。その身体が尻から引っ張られるようにしてスライド。後退してプサイの斬撃を回避、そのまま天井裏に吸い込まれていくブラックタイガー・アラクネ。
「なあ!?」
空を斬り裂き、床に激突したプサイとクイーンが天井裏を見上げて驚愕する。「しおり糸」と呼ばれるものが蜘蛛の生態には存在する。巣などから落下してしまった際に、どんな時でも尻から出し続けている糸である。これを辿ることで巣に戻る機能的な面を持つ。そしてそれを、ブラックタイガー・アラクネは保険として用意していた。言動のわりには狡猾だった。
「逃がさないでござる!もう不意打ちは通用せぬよ!」
「奴は狡猾だ!気を付けろプサイ!」
再び天井裏に突撃してブラックタイガー・アラクネを追いかけるプサイ。すると取っ組み合っているのかミシミシと天井が悲鳴を上げる。もともとそんな頑丈とは思えない建物だ、限界らしかった。
「あいたた……スティーブ、大丈夫!?」
「俺は平気だぜ……お姫様を守るナイトだからな」
「冗談を言える元気があるなら大丈夫だな。クレア、パソコンは後だ!スティーブも、いったん外に出るぞ!」
安否を確認し合っていたクレアとスティーブは、クイーンに言われて溶け落ちた扉から外に出る。一方屋根裏では、壮絶な格闘戦が繰り広げられていた。そんなに広くない屋根裏に張り巡らされた蜘蛛の巣の上を、その巨体で人間の上半身を前屈姿勢にすることで屋根裏を移動していたブラックタイガー・アラクネに、同じく前屈姿勢の、それこそカエルの様な体勢で脚力に物を言わせて急接近。爪を振るうプサイ。ブラックタイガー・アラクネは蜘蛛の巣の上に乗っていることで、振動を感知して鋭い爪を備えた蜘蛛脚を振り下ろすことで迎撃。硬質な爪と爪がぶつかり合い、火花を散らす。
「なんてやつ……!」
「ドロドロォオッ!」
首だけ振り返り、次々と消化液を飛ばして攻撃するブラックタイガー・アラクネ。プサイはカエルの様な体勢のまま跳躍してブラックタイガー・アラクネの周りを高速で回ることで回避。ブラックタイガー・アラクネを翻弄し、蜘蛛脚の一つを斬り裂いて体勢を崩させると、今度こそ首を斬り捨てようとして。
「ぐっ……!?」
「ククククッ。お前、実にバカだな」
嘲笑するブラックタイガー・アラクネの目の前で、空中で静止してしまう。よく見てみれば、細い糸がいくつも絡まりプサイを空中に縛り付けていた。ブラックタイガー・アラクネはそれまでの原始的な言動が嘘のように知性に満ちた嘲りの表情を見せた。
「私が能無しのバカだと思ったか?そうだろう。そう思わせていたんだ。油断した獲物は簡単に狩れる。私の創造主すら、私が知能を有しているとは知らないからな」
邪悪な本性を現し、自分以外の他者を見下し嘲笑うブラックタイガー・アラクネ。もともと狡猾で罠の達人ともいえる蜘蛛に人間の知能を与えたらどうなるかは明白だった。H.C.F.は自分たちが制御できない怪物を生み出してしまっていたのだ。
「さあどうしてくれようか……?溶かして喰うのも味気ないな。せっかく歯を得たんだ、その華奢な腕を噛み砕いてやろうか?」
「不覚でござるぅ……」
自分の掌の上と言ってもいい獲物の顎に手をやり、舌なめずりするブラックタイガー・アラクネに、悔し気に項垂れるプサイ。しかし彼女は、一人ではない。
「お前、やっぱり嘘つきだったな?」
「なっ…!?」
瞬間、爆発が下から襲い掛かり巣が破れてプサイを置き去りに落下するブラックタイガー・アラクネ。下の部屋に着地すると同時に、もう一発……爆発の原因である、ガスボンベが目の前に迫り、その向こうの扉だった先に、何かを投げた体勢のクイーンと、ハンドガンを構えるクレアとスティーブが見えて。
「なに、が…!?」
目の前でガスボンベが爆発。ブラックタイガー・アラクネは全身の蜘蛛の糸が剝がされながら吹き飛ばされ、壁を突き破って姿を消した。完全に吹き飛んで風通しのよくなった建物の上でプサイはぷらんぷらんと糸に吊り下げられながら、呆れた視線をクイーンに向けた。
「……クイーン殿、ガス爆発はいささかやりすぎでは?」
「敵のテリトリーに自分から飛び込むよりはましだろ」
「ぐうの音も出ないでござる……」
正直贔屓しすぎてると自覚してるぐらい多彩な能力の持ち主となりました。蜘蛛って強いんやで。スパイダーマンだってトップクラスのヒーローですし。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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