BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
それぞれの悪夢。楽しんでいただけると幸いです。
「おい、クレア!?プサイ!?どこにいった!?」
目を開ける。さっきまでいたはずの仲間が、いなくなっていた。アルフレッドの野郎も消えている。たしかあいつが丸々としたバクみたいななにかをけしかけて、それで……何が起きた?銃は、ある。捕らえられたわけじゃない。ワンチャンクレアたちが裏切って俺をはめたのかと思ったがそれも違う。そうならクイーンが俺達を庇って撃ち殺されるわけがない。
「なんのつもりだ!アルフレッド!俺を一人にして、勝ち誇ってやがるのか!?おい、何とか言えよ!出てこないならこっちから行ってやるぜ!」
階段を上り、アルフレッドのいた部屋の前までやってくる。ハンドガンを構え、そっと扉を開け、銃口を向ける。するとそこから、大量のゾンビが溢れ出してきた。いずれも囚人服を着ている。くそっ、またかよ!
「なんで、アンブレラの理不尽への怒りを語り合った奴らを殺さなきゃならねえ!」
クレアたちは良いだろう。今日来たばかりの部外者だ。だが俺は違う。数日とはいえこいつらと語り合い、寝食を共にした、そんな気心の知れたやつらだ。いい奴らだったとは言えねえが、こんなの……こんなの、あんまりだろ!
「くそっ、くそっ!くそっ!ようミッキー、久しぶり!アディオス、アントニオ!殺された嫁さんによろしく!……くそったれ!」
見覚えのある顔を次々と撃ち抜いていく。クレアたちほど躊躇なく、とはいかない。だけど死なないために、撃ち続けるしかない。こんなの、悪夢だ。
「ふざけないとやってられないぜ……あいつら、どんな修羅場をくぐったらあそこまで達観できるんだよ……」
そうして撃ち続けていた時だった。背後から唸り声が聞こえて、銃口を向ける。そして、その顔を見て、固まってしまった。その隙を突いて、噛みついてくるそのゾンビに、俺は銃を向けながらも……抵抗できなかった。
「嘘だ、冗談だろ……親父!!」
世界的製薬企業アンブレラで事務員をしていた男。社内じゃ虫けら扱いなそんなやつが、小銭を稼ぐため情報を売ろうとして、捕まった。ちょうど洋館事件やらラクーンシティ事件やらが起きて気が立っているときにそんなことをすればどうなるかなんて一目瞭然だったのに。お袋は殺され、抵抗した俺まで一緒に捕まってこんなところまで連れてこられた。こうなったのは、全部親父のせいだ。
だけど、だけどよ。こんな奴でも俺の親父なんだ。唯一この世に残った肉親なんだ。無事だと思っていたんだ。みんなこうなっても、俺が無事だったんだから親父だって無事だって。でも、こうも思ったんだ。親父も、そうなっているんじゃないかって。それが、それがこんな……!
「くそったれえええええええええっ!」
たっぷり躊躇った挙句、引き金を引いてもカチッカチッと弾切れの音が虚しく響き渡る。さっきまで弾があったはずなのに。親父のゾンビに首に噛みつかれ、血が噴き出る。そこで気付く。ああ。これは、夢だ。悪夢だ。俺の恐怖が見せている、悪夢。悔しいことに、――――効果覿面だ。
よくわからぬ丸々としたB.O.W.の放った音波に、耳を押さえ目を瞑って耐えるも、塞いだ手を貫いて耳をつんざく音波が響き渡る。数秒ほど耐えると静かになり、恐る恐ると耳を塞いだまま目を開ける。クレア殿とスティーブ殿の姿が見えない。あの音波から逃れたのでござろうか?
「……何の冗談でござるか」
周囲を見渡していると、いつの間にか囲まれていた。黒いレインコートを着用した小柄な少女が、十数名。そのフードで隠れた顔は拙者やオメガ殿の本来の顔と瓜二つで、顔の前に掲げた右手から伸びた鋭い三本の刃が照明を受けて輝いている。……記憶でだけなら知っている。エヴリン殿が遭遇したという、ダニエル・ファブロンの手先。ハンターπ。拙者とオメガ殿の
「ぐっ!?」
瞬間、背後から飛び掛かってきたハンターπに背中を斬り裂かれ、ダメージに呻く。反応が遅れた、不覚だ。振り返りながら回し蹴りで襲ってきたハンターπを蹴り飛ばすも、ハンターπたちはいっせいに襲い掛かってきて。爪を振るい、拳を振るい、足を振り上げ、その場で応戦する。吹き飛ばされた傍から消えていき、やはりどこからともなく増えてくる。ハンターπは円周率を意味するという。その名前が意味するところは、無限。
「……これは夢か幻か!痛みを伴うから現実でござるか!?ええい、答えるでござる!」
「「「……」」」
問いかけるも、ハンターπたちは無言を貫き答えが返ってくることは叶わない。終わりが見えない。眩暈がする。なぜ、拙者の妹たちともいえるハンターπと延々と殺し合わなければならないのでござる。ええいくそっ、これがあのバクの思惑通りだというのなら……なんと効果的な。
「こんなの、悪夢でござるよ……」
ゾンビの群れを、次々と撃ち抜いていく。人じゃなくなっても、この感覚には一生慣れやしない。だけども撃つ、撃つ、撃つ。躊躇すればどうなるかは痛感しているから。そういえば、マービンとケンド親子は無事ラクーンシティを出れたのだろうか。再会するって約束、何時叶うのか……。
「っ……」
銃を向けた先を見て、絶句する。マービン・ブラナー。エマ・ケンド。レオン・S・ケネディ。アリサ・オータムス。シェリー・バーキン。今ここにいないはずの人たちが、ゾンビとなってそこにいた。
「来ないで……」
引き金をひこうとするが、知人の顔にどうしても躊躇してしまう。見ず知らずの人間ならともかく、こんなもの……悪夢でしかない。それでも、意を決して撃つ、撃つ、撃つ。そのままリロードしながら他のゾンビにも引き金をひこうとして、すぐ傍に陣取るゾンビの大群の中心に、それはいた。
「……クリス」
もう何ヶ月もあっていない、唯一の肉親。幼いころに両親を失った私を、男手一つで育ててくれた、家族と同じ顔をしたゾンビが、そこにいて。現実にありえない出来事に、これが夢か幻覚だと自覚する。だけどそれでどうにかなるとは思えない。……クリスを殺すぐらいだったら。
「こんなの、卑怯よ……」
側頭部に銃口を突きつけ、目を瞑る。ああ、これで……。
「嘘だ、冗談だろ……親父!!」
「……何の冗談でござるか」
「来ないで……」
アルフレッド・アシュフォードは、ライフルを構えながらアレクシアの肖像画の前で、その混沌の惨状を眺めていた。
「アレクシア曰くその人間に最も効果的な悪夢を見せ同士討ちをさせる、というコンセプトだったはずだが……上手くいかないものだな」
その眼下では。クレアが、プサイが、スティーブが。それぞれ、その場で立ち尽くしながら目を瞑り魘され、その間をとてとてとアルプが歩く。時々武器を振るっているが、見当違いの壁を引き裂き、撃ち抜くだけで当たりそうにない。アルフレッドは退屈そうに欠伸をする。
「もう少し愉しんだら、殺すとするか。せっかくのゲームが台無しだが、アレクシアが待っている。…お?」
すると動きがあった。魘されるクレアが、その手に持つ銃を己の側頭部に突きつけたのだ。これから起こる惨劇を想像し、身を乗り出して悪辣な笑みを浮かべるアルフレッド。そして、引き金をひこうとするクレア。
「そんな
その手に、突然上から伸びてきた糸がくっついて無理矢理引っ張ることでクレアの側頭部から逸らされたハンドガンが天井を撃ち抜きぱらぱらと欠片が舞い落ちる。振り返ったアルフレッドは、そこに立っていた人物に驚愕する。確かに、頭を撃ち抜いたはずだ。倒れ伏した、はずだ。思わず、いつもの優雅な佇まいすら忘れて激高していた。
「お前は……お前はなんなんだあああああ!!?」
「なんだ?名乗ってなかったか?私は、クイーン・サマーズだ」
並の人間だと同士討ち、悪夢を抱える人間も追い詰められ、しまいにゃ自傷。しかも本体は防御力高め。厄介、の一言に尽きるB.O.W.がアルプです。心が強いプサイでもこれですからね。
ちなみにミッキーとかアントニオとかはダークサイドクロニクルズから。決して某夢の国に喧嘩を売ってるわけじゃないです、念のため。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?
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ネメシス(完全武装)
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グレイブディガー・ハスタ
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モールデッド・エンプレス
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モリグナ(本体)
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ハンター・アーマード
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モリグナ・ネメシス
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ハンターy(ガンマちゃん)
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ネプチューン・ルスカ
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モールデッド・シュタール(ネメシス)