BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
訓練所にて。ちょっといつもより短いけど楽しんでいただけると幸いです。
アルフレッド・アシュフォード。アンブレラの創設メンバーの一人であるエドワード・アシュフォードを祖父に持つ、名門貴族であるアシュフォード家の現当主。父アレクサンダー・アシュフォードの代で衰退したアシュフォード家に、かつて祖父が存命であった頃の隆盛を取り戻すべく、再興のため奮闘しているアンブレラの幹部。アンブレラに逆らった人間を収容するロックフォート島の刑務所と軍事施設を指揮する司令官で、南極基地の所長を兼任しているという肩書きだけは立派な男。
アンブレラの幹部とは名ばかりであり、その実態は他の幹部や部下にさえ侮られている凡人。ロックフォート島では刑務所や軍事訓練施設の建造にも携わっているが、そのほとんどが趣味のミリタリーコレクションによるもので、重要部門と呼ぶには実用性に欠けるものばかりで、なんなら公邸だろうが辺りかしこに本物の手榴弾やらミリタリーコレクションを配置しているのは完全に趣味である。
しかし、独断で導入したB.O.W.を用いた軍事訓練によってアンブレラの私設軍隊でも精鋭であるU.S.S.を養成し、更にこの中でどんなに過酷な任務も完遂、部隊が全滅するような戦場からもただ一人生還する優秀な兵士―――――名をハンクという―――――を育てて世に送り出した功績、すなわち優秀な者を育成する能力だけは一級品だ。
それは、人間に限った話ではない。アルフレッドがプロデュースしたB.O.W.はアンブレラ本部で有用性を認められていたハンターやタイラントも含めて、実力以上の力を発揮できる。
その中でも最もその力を発揮するのは、世界で唯一その愛情を向けている最愛の妹、アレクシアが生み出したB.O.W.だ。非常に呑気な性格で兵器らしからぬアルプすら、モスキート音で指向性を持たせることで制御しその力を発揮させることに成功している。
そして、試作段階のものをロックフォート島の訓練施設に移送し、対B.O.W.対策部隊の訓練生と模擬戦闘を繰り返してデータを収集していた「砂虫」と呼ばれたB.O.W.をアレクシアが改良して生み出した「サンドレギオン」は、一線を画していた。
正気に目覚めたスティーブの案内で公邸の外に出ながら、隣接している訓練所を目指すクイーンたち。クイーンがどうやって三人を正気に戻したかというと、至極単純であった。
「ううっ……嫌な夢を見ていたでござる……」
「お前が魘されるなんて相当だな。クレア、スティーブも。大丈夫か?」
「びしょ濡れってこと以外は大丈夫よ……」
「ぶえっくしょい!」
公邸一階にあったBARから調達した冷凍庫の氷をめいっぱい入れたバケツ一杯の氷水を被せられた三人は恨めしげにジト目をクイーンに向ける。時は12月真っただ中。ロックフォート島が南半球にあるからよかったが、もし日本辺りの国だったら間違いなく風邪をひいている季節である。
「ぶっても起きなかったんだからしょうがないだろ。音波の影響なら水で断ち切れると思ったんだ」
「氷水にしなくてもよかったんじゃないかしら…」
「あのアルプとかいうのが他にもいないことを祈るでござるよ…」
「ずびっ……こっちが訓練所、だったはずだぜ」
そう言って、鉄橋の傍までやってくると脇の鉄の大扉を開けて中に入るスティーブについていく。そこには、ドラム缶や木箱が並ぶ砂地の敷地にそびえる無骨な施設があった。
「ここが……訓練所。生活感はあるのに、人の気配がしない」
「気を付けろ。敵が待ち構えているかもしれねえ」
「……面妖な気配。なにかがいるでござる」
「奴の言っていた“猟犬”か?まったく、ここはB.O.W.のバーゲンセールか?」
クイーンから返されたハンドガンを構えてそっと入口の扉を開けるクレアとスティーブ。ゾンビの唸り声すらしないが夥しい血痕はたくさん残っていた。まるで、なにかによって排除されたような……。その間に、敷地内の物陰を探るクイーンとプサイ。
「……ドラム缶や木箱の中にも、陰にも何もいない。外にはいないらしい。いるとしたら中か?」
「気配はすれども姿が見えず。一体どこに……!?」
入り口前まで集って施設内の廊下を覗き込むクイーンたち四人。やはり人影すら見えない。真っ暗なので確認も難しいのだが。スティーブが代表して中に入っていくのを見守る女性陣。すると、自分に影が差したことに気付いて振り返るプサイ。そこには――――
「なっ」
「プサイ?」
プサイの驚いた声を聴いて振り返るクイーン。そこにいたはずのプサイの姿が消えていて。きょろきょろと辺りを見渡す。
「プサイ?どこにいったんだ?」
ドラム缶か木箱の陰に何かを見つけたのかと推測し、アサルトライフルを手に警戒しながら砂地を歩くクイーン。そこで気付く、どこかに移動したにしても、砂を踏みしめる足音が聞こえたはずだ。自分がただ歩くだけでもそこそこ響くのに、何も聞こえずプサイが姿を消したのは妙だ。
「クレア。気を付け……ろ?」
「クイーン!クレアとプサイはどうしたんだ!?」
振り返る。入り口前にいたはずのクレアまで消えていた。異変に気付いたスティーブが駆けて戻ってくる。なんだ。なにが起きた。あまりの出来事に、クイーンの思考が混乱する。だがしかし、似たような事例をエヴリンと共有した記憶から呼び起こす。それは、ラクーン市立公園を根城にしていた怪物。地中を潜航し、数の暴力でリサを追い詰めた怪物。
「下か!」
瞬間、スティーブを抱えて訓練所の屋根まで粘液糸を伸ばして逃れるクイーン。同時に地面が音もなく隆起して伸びてきた赤銅色の細長い触手がクイーンのいた虚空を巻き付く。クイーンは粘液糸を下に飛ばして触手にくっつけ、それを引っ張り出した。
「ハァアアアッ……」
引っ張り出されたそれはビチビチと地上に打ち上げられた魚の様にのたうち、四肢に力を入れてため息の様な長い息を吐きながら立ち上がる、人型……に一見 見える異形の怪物。 前傾姿勢の赤銅色の甲殻に包まれたひょろ長い体躯に、鞭の様な細長い触手の様な後頭部と両腕を有した、つぶらな瞳とシュレッダーの様な大きな口に占領された凶悪な顔。グレイブディガーを無理やり人型にしたかの様なそれは、砂の悪霊を意味する名を冠されたアルフレッド自慢の猟犬。
―――――サンドレギオン。
「お前がクレアとプサイをどこかにやったのか、返してもらうぞ」
「観念しやがれ!」
「ハアァアアアッ……」
その大口で大きく息を吐き、ビシイッ!と右腕の触手を地面に打ち付けるサンドレギオン。すると触手が地面に突き刺さり、大地が音すら上げずに脈動。盛り上がり、砂の津波としてクイーンとスティーブに襲いかかった。
ちょっと前に名前だけ出てたサンドレギオン。一応T-ウイルス製のB.O.W.。同じ蚯蚓でもRTを使ったらハスタに、T-ウイルスで品種改良するとこいつになります。ハスタと同じで地面を隆起させて操作する能力持ち。隠密性が高いのも一緒。
見た目のモチーフというかイメージはデルトラクエストのブラール(二部三巻の表紙のやつ)です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?
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ネメシス(完全武装)
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グレイブディガー・ハスタ
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モールデッド・エンプレス
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モリグナ(本体)
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ハンター・アーマード
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モリグナ・ネメシス
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ハンターy(ガンマちゃん)
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ハンターπ
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ネプチューン・ルスカ
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ブラインドストーカー
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ペイルキラー
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グレイブディガー・ヒュドラ
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モールデッド・シュタール(ネメシス)