BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ついにタイトル回収。この物語はイーサンとエヴリンの物語なので、クリス編は全面カットさせていただきます。原作と全然変わらない展開なので。

今回はイーサンが真実を知る話。楽しんでいただけると幸いです。






【直前の現実世界】

「貴方は彼が特別だってことを知らないの」

「知ってる。この目で見た」

「え」

「ん?」


第三十四話‐Eveline remnants【真実】‐

 ―――――目を覚ます。寒い。何とか立ち上がり、周りを見渡すと辺り一面雪景色の暗い空間だった。

 

 

「ぐっ……どうなってるんだ…?」

 

 

 確か俺は、ミランダに心臓を抜き取られて……なんで、生きているんだ?それに、いつも必ず側にいたエヴリンがいないことに気付き、嫌な予感がして呼びかける。

 

 

「エヴリン!エヴリン、どこだ…!」

 

「アハハハハハ!」

 

 

 返ってきたのは最近は聞かなくなった嘲笑するエヴリンの笑い声。声を頼りに歩き出す。あまりの寒さに凍えそうになりながらも必死に歩く。

 

 

「どうしてこんなとこに…?ハイゼンベルクの工場敷地から何時の間に移動したんだ…?」

 

 

 手を合わせて息を吐きかけながら寒さに耐えていると、あることに気付いた。ライカンに食われたはずの左手の薬指と小指が存在していた。見れば、体中の傷も痕すら無くなっている。どういうことだ…?

 

 

「バカみたい、お前。本当に私が改心したとでも思ってたの?」

 

 

 そんな声と共に、目の前に人影。いつもの様に自由気ままに浮かんでいない、地に足を付けたエヴリンがそこにいた。冷ややかな声と目で俺を睨んでいる。なんで…どうして、今更そんな態度を取るんだ…。

 

 

「お前が見て話していた私はただの幻影!まやかし!お前がそうであってほしいと願った故に生み出した幻覚に過ぎない!お前は私を殺したんだ。許さない。絶対に許さない」

 

「エヴリン……お前、は…」

 

「私はオリジナルのエヴリン。イーサンに殺された私だ。お前が殺したのに、それを忘れたように私と楽しく過ごしていただなんて、吐き気がする。お前は私を殺した罪悪感に縛られ続ければよかったのに。何が家族だ!ただの欺瞞だ!お前は私に許してほしかっただけだ。本当は愛してないくせに!」

 

「それは違うよ!」

 

 

 エヴリンの言葉責めに、心が折れそうだったその時、目の前に現れたのは、もう一人のエヴリン。理解が追い付かない頭で唯一理解できたのは、このエヴリンは俺の知っているエヴリンだと言う事だ。

 

 

「私は幻影なんかじゃない!あなたと分離した残留思念、それが私!だから私もエヴリン!そこになんの違いもないよ!イーサンは私を愛してくれた、それでいいじゃん!」

 

「違う!お前は私の偽物だ。私じゃない。なんで偽物が愛されて私は愛されない!不公平だ、だから壊してやる。お前たちの馬鹿な上っ面だけの信頼を」

 

「なにを…」

 

 

 話を聞くに、どうやらオリジナルのエヴリンと、そこから分離したらしい「偽物」のエヴリンに分かれて、偽物の方が俺に愛されてるから不満があると、そういうことかと勝手に納得していると、オリジナルのエヴリンが悪い笑みを浮かべる。

 

 

「まさか…やめてよ!」

 

「うるさい」

 

 

 偽物のエヴリンは涙ながらに止めようとして、オリジナルのエヴリンから放たれた衝撃波で吹き飛ばされ俺に受け止められる。それでも今にも泣きそうな顔で止めようとするが、オリジナルのエヴリンは止まらない。

 

 

「そのエヴリンに聞かされなかったの?私がお前になにをしたのかを」

 

「何の話だ?」

 

「イーサン、ダメ、聞かないで……!」

 

「お前は…死んでるんだよ、イーサン・ウィンターズ」

 

 

 その言葉に頭が真っ白になる。俺の腕の中で偽物のエヴリンが泣きじゃくる。いや。待て。よく考えたら当たり前じゃないか。

 

 

「死んでる…?そうか…俺は…ミランダに…?いや、俺はローズを助けに…」

 

「馬鹿なの、それとも気付きたくない?違うよ。ミランダのせいじゃない。お前は、ずっと前から、死んでる」

 

「なん、だって…?俺はまだ…」

 

「そ、そうだよ!イーサンは私と一緒に三年もずっと…!」

 

「黙れ偽物。その体も動かなくなってきたんじゃない、イーサン?ほらね、ミランダのせいじゃない」

 

 

 泣きじゃくりながら否定する偽物と、嗤いながら近づいてくるオリジナル。どちらのエヴリンの言い分が正しいかは明白だった。

 

 

「一度もおかしいと思わなかったの?今まであんなに傷付いて来たっていうのに?なんでモールデッドに変異できると思ってるの?私にそんな力はないよ。ましてや、私の、絞りかすの様な、偽物の、そいつには!」

 

「いや、確かに、何かがおかしいとは…」

 

「思い出して。三年前のあの日、ベイカー邸で…お前は、ジャックに殺された。お前はとっくに、死んでたんだ」

 

 

 そうだ、廃屋で襲ってきたミアを倒した直後に殴り倒され、そのまま踏み潰された。そのあとは怒涛の展開の連続で今の今まで忘れていたが……まともに会話できるようになったジャックは言っていた。「殺したかったわけじゃない」アレは、そのままの意味だったのか…。

 

 

「フフッ、だから動けるはずがないんだよ」

 

「いや、だが俺は動いて…」

 

「動ける、はずが、ない!分かる?」

 

「ふざけるな!なら今までの俺は一体、なんなんだ…!」

 

 

 見れば、エヴリンを抱えている両手が黒く変色していて。それは今までのモールデッド化ではなく、俺の腕がそれでできていることを示していた。

 

 

「わかったでしょ?お前の身体は全部カビで出来てるんだよ。アハハ、ざまあみろ!お前はもう二度と家族には会えないよ」

 

「家族……俺の、家族…駄目だ、ローズを助けないと…」

 

 

 オリジナルのエヴリンの言葉に打ちひしがれて。腕の中で泣きじゃくるエヴリンに視線を向ける。お前も、家族…だよな。

 

 

「…なあ、エヴリン。どうして黙ってた?」

 

「………だって。私のせいだもん。ジャックを感染させて、イーサンが死ぬことになったのは……話したら本気で嫌われるんじゃないかって。そう、思ったら言えなくて…」

 

「お前を嫌うなんて、あるわけないじゃないか……家族だろ?」

 

「イーサン……ごめんね、ごめんね…!」

 

「は?」

 

 

 ギュッと、エヴリンの身体を抱きしめる。偽物とか、そんなの、どうでもいい。俺が家族だと認めて愛したエヴリンは、お前だけだ。するとあからさまに不機嫌になるオリジナルのエヴリン。俺達は抱き合いながら、オリジナルを睨みつける。

 

 

「ふざけるな、お前を騙してたんだぞ!?なのに家族だって、愛するのか!」

 

「俺は誓ったんだ。このエヴリンを、家族だと認めるってな…それは、変わらない!」

 

「無駄なことを!お前はもう死んでる、死んでるんだ!」

 

「だからどうした。俺はまだ、ここにいるぞ」

 

 

 そう言いながら歩み寄ると、怖気づくオリジナルのエヴリン。歩み寄る度に、後退していく。

 

 

「私は、お前を殺したんだぞ!そいつも同様だ!なのに許すって、それなのに愛するって……そんなの、本当の家族じゃないか…!」

 

「ああ、ミアにも伝える。ローズにだって姉だと紹介する。エヴリンは俺にとって、もう家族だ!」

 

「認めない、認めない認めない!酷い目に遭わせたのに!ローズが狙われたのも私のせいなのに!偽物が愛されて、家族を持って!私だけ愛されないなんて、認めない!」

 

 

 そう泣き叫ぶオリジナルのエヴリンに、俺とエヴリンは顔を見合わせて頷き、エヴリンが俺の首に手を回したので手放して、そのままオリジナルのエヴリンも包み込む。

 

 

「…お前もだ」

 

「え……?」

 

「エヴリンは俺の家族だ。それは、お前も変わらない。一人で、こんなところでずっと……寂しかったな」

 

「そんな……私、本当の、家族が、欲しくて……だから、羨ましくて…」

 

「…ああ。お前も家族だ」

 

「うっ、うっ、うぅぅぅ」

 

 

 オリジナルのエヴリンが泣き叫ぶ。エヴリンにも移ったのか涙を溢れさせて一緒に泣きじゃくる。そんな二人のエヴリンを、俺は優しく抱え込んだ。…ローズ、お前も絶対取り戻して…こうしてやりたい。




実はオリジナルと幽霊とで分かたれていたエヴリン。今まで一緒に旅してたのは偽物(幽霊)の方でした。菌根に囚われていたオリジナルのエヴリンと再会、そして和解。これが意味することは…?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

ハイゼンベルク生存ルート思いついてるけど本編後に…

  • ミランダを倒してハッピーエンド
  • ミランダを倒すもローズを奪おうとして敵対
  • ミランダを倒すもクリスとの戦闘に移行
  • ミランダを倒すもイーサンを助けるため…
  • 書かなくていい

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