BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
スティーブVSサンドレギオン。楽しんでいただけると幸いです。
アレクシアが「砂虫」を魔改造した、アルフレッドが“猟犬”と称するほど信頼を寄せるB.O.W.サンドレギオン。人型の蚯蚓とも言うべきその異形の怪人の能力は、鞭の様な後頭部と両腕を用いて微細な振動を放つことで微細な粒子…つまり砂を操作すること。グレイブディガー・ハスタも地面を操作していたがあれは配下のグレイブディガーを動かしてそう見せていただけで同じ力ではない。
この仕組みは、大きな口による異常な肺活量にある。一見溜め息の様にも見える呼吸法で大量の空気を吸い込み、全身に脈動させて振動に変える。そして肺活量による吸引、放出により砂の軌道を操作する。これにより砂地を自在に隆起させ、音もなく潜行と浮上を繰り返してプサイとクレアを攫ったのであった。そしてその応用により、砂を津波の様に隆起させ範囲攻撃を行うことも可能。
「ハァアアアアッ…」
サンドレギオンが腕を地面に突き刺し、操作した砂の津波がクイーンとスティーブに襲いかかる。クイーンはそれを、かつて見たウェスカーの動きを一挙手一投足そのまま真似て、足を揃えて膝で軽くしゃがみ、踏み出して下方向に向かって背中で体当たりする
「ぐっ、あっ……なんなんだこいつは!?」
「スティーブ、中に逃げろ!」
「あんたもだクイーン!お前、身体が崩れてるぞ!」
次々と襲ってくる鋭い砂塵にスティーブを屋内に逃がそうとするクイーンだったが、押しやった腕をそのまま掴まれて中に引きずり込まれる。扉を閉めたスティーブに言われてみて見れば、左腕がボロボロと崩れ落ちて行っていた。下を見ればクイーンの左腕を構成していたヒルたちが崩れて零れ落ちて慌ててクイーンの足元に集っていた。よく見れば全員、砂が身体に付着している。
「これは……砂に、粘液の水分を吸われたのか……」
「どういうことだ?いやあんたが普通じゃないのは、頭をぶち抜かれても生きていたからわかるけどさ」
「…私を構成しているのは、同胞のヒルたちと菌根と呼ばれる特殊な菌類だ。全身に張り巡らされた菌根が神経の役目を果たしているが、私自体は軸となる骨は存在しない、言うなれば接着剤で無理矢理くっつけたジグソーパズルみたいなものだ」
「つまり、その接着剤がなくなれば崩れてしまうってことだな!相性最悪じゃねえか……どうする?」
「どうするもこうするも、あいつを倒してクレアとプサイをどこに連れ去ったのか聞き出さねばならん……」
「いや、喋れるとは思えないぜ。それにあんたは今度こそ全身バラバラにされちまう!ここは俺に任せて、あんたはクレアとプサイを探してくれ!多分、近くにいるはずだ!こんな短時間で人二人も遠くに隠せるはずがねえ!」
「……だが、お前を一人には……」
「前から思ってたけど。俺は男だ。女に守られてるだけじゃないんだぜ!」
ルガーを手に不敵に笑んで見せるスティーブに、クイーンは呆気に取られる。その姿は、彼女の同僚の男どもを想起させた。
「………私は雌雄同体だから厳密には女じゃないぞ」
「え」
「いや、だが……なんだ。見直した。私はお前を侮ってた様だ。ただの人を心配してしまうのは昔からの悪い癖だな……。わかった、あの怪人はお前に任せる。クレアとプサイの事は任せろ。必ず見つける」
「かっこわるいところばっかり見せちまったからな。汚名返上だ!」
言いながら、扉を蹴破り外に出るスティーブ。同時の飛び出たクイーンはそそくさと物陰に隠れ、スティーブに気付いたサンドレギオンは地面に触手を突き刺し、砂の津波を発生させてスティーブを飲み込もうと試みる。
「ハアァアアッ」
「そうは問屋が卸さねえぜ!」
しかしそれは、身を翻し建物の壁を蹴って宙返りしたスティーブの下を通り、壁に激突することで霧散する。スティーブはしてやったりと言いたげな少年の様な笑顔を浮かべた。
「そのデカ口!弱点だろ!今まで会ってきた怪物どもは、その能力の基点が弱点だった!お前も例外じゃないはずだ!」
ルガーから弾丸を放ちながら突進するスティーブ。大きく空気を吸い込もうとしていた口内に弾丸を叩き込まれ血飛沫を上げながら、足元を払う様に後頭部の触手を振るうサンドレギオン。スティーブは飛び込む様に跳躍して足元の攻撃を避け、体当たりをサンドレギオンのどてっぱらに叩きこむ。
「ハアアァアアアッ……」
「うおっ」
すると強力な掃除機の様にサンドレギオンの口に空気が吸い込まれ、足を取られ転倒するスティーブ。サンドレギオンはそのまま右腕の触手を地面に突き刺し振動、地面を隆起させて砂を次々と槍状に形成してスティーブを串刺しとせんとするも、スティーブはごろごろ砂地を横に転がって回避しながらルガーを乱射。全身に弾丸を受け、硬質な体が次々と砕けてよろめき、たまらず身を捩り両手の触手を地面に突き刺し頭から砂地に飛び込むサンドレギオン。
「逃がすかよ!」
スティーブは怒りに燃えながら、サンドレギオンは潜った直後でまだ柔らかい地面に手を突っ込んで、後頭部の触手の先端を手探りで掴んで引っ張り上げる。強制的に地上に頭を出すことになったサンドレギオンは両腕含めた体の大半を地面に埋めた状態になってしまい、これ幸いとスティーブは何もさせないと言わんばかりに触手を掴んだまま銃のグリップと足で殴り蹴りと子供の喧嘩の様な猛攻を叩き込む。空気を吸い込めないため砂を操る反撃もできずにタコ殴りにされるサンドレギオン。
「……奴は地下に逃げようとした。……下か」
その一部始終を物陰に隠れて見ていたクイーンは、ある仮説に気付いて辺りのドラム缶を改めて調べる。コンコンと縁を叩くのを繰り返し、そして。明かに、空洞があることを示す反響音を響かせるドラム缶を見つけた。そのドラム缶を持ち上げると、ドラム缶に隠れるようにして丸い穴が存在し、その下には空洞が広がっていた。
「空気穴か。あの生態だ、空気を吸い込むための空洞があると思ったが……ビンゴだ」
外壁に糸を取り付けて命綱の代わりにして躊躇なく飛び込むクイーン。その裏で、スティーブとサンドレギオンの戦いは佳境を迎えていた。
「ぐうっ!?」
後頭部の触手を掴んでチェーンデスマッチを繰り広げていたスティーブだったが、サンドレギオンは地面の下で両腕を伸ばせばいいことに気付いて不意打ち。スティーブは建物の壁まで吹き飛ばされ、解放された後頭部の触手を振り回し、自らを覆っている砂塵を打ち上げて竜巻を作り上げる。
「ハアァアアアアアアアアアアアアアアアッ……!!」
そして触手を何度も地面に叩きつけて怒り狂い、大きく空気を吸い込み後頭部だけでなく両腕の触手も回転させて竜巻の規模を広げていくサンドレギオン。まるで台風でも来たかの様な暴風が吹き荒れる。
「うおおっ、おおおおお!?」
とうとう竜巻に打ち上げられるのは砂塵だけではなくなり、ドラム缶や木箱、更にスティーブも浮き上がり、空中でぶつけ合わされて意識が遠のいていく。それでもスティーブは根性で意識を保ち、大きく息を吸い込み続けるサンドレギオンに目を向ける。そしてあることを思いついた。
「……こいつでも喰らっとけ!」
竜巻に振り回される中で、スティーブは足を畳んで縮めて力を込め、ドラム缶が真下に来たところでドロップキック。流れから外れたドラム缶は勢いよく落下していき、サンドレギオンの吸い込んでいる空気の流れに乗せられて、サンドレギオンの顔面に吸引の威力のまま叩き込まれる。それは、サンドレギオンの顔面を潰すには十分すぎる威力で。
「
そしてサンドレギオンは崩れ落ち、竜巻が収まり落下したものの受け身を取って着地するスティーブは不敵な笑みを見せる。
「やってやったぜ!どうだ!見たか!」
「ああ、見ていたよ。お前はすごい、スティーブ」
そこに、いつの間にか地上に戻ってきていたのかクレアとプサイを連れたクイーンがいて。賞賛の拍手を送ったのだった。
※クレアとプサイは地下で砂の中から頭を出した状態で固められてました。
肺活量と振動を用いて砂を操る脅威のサンドレギオン。クイーンの天敵なまであったのだけど、男スティーブの意地を前に頭が潰れて敗北。まあ竜巻を生み出したりとんでも枠だったんですけどね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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