BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
多分初登場で一番謎だったB.O.W.が本格登場です。楽しんでいただけると幸いです。
ガンッ!ガンッ!ガンッガンッ!と、六本の腕が訓練所の入り口扉に叩きつけられる。ヨーン・エキドナの後継機ゴルゴーン三姉妹の長女、ステンノーだった。
「なんで!なんで!なんで!壊れないのよ!」
六つの眼をギョロギョロと忙しなく動かしながら、扉をこじ開けようとするステンノー。しかし蛇故の全身筋肉であるため怪力を誇るステンノーですらびくともしない。なのに関わらずとにかくぶん殴る脳筋ステンノーに、妹二人は呆れ顔だ。
「無駄よ。ここの扉はアルフレッド様の生み出した特殊合金が使われてる。反対側から鍵をかけられてるならこじ開けるのは不可能よ」
「べたべたします……ステンノーお姉さまは猛省してください」
上空からクイーンたち目掛けて襲い掛かってきたステンノーの大口を避けそこなって、咀嚼されてから吐き出されたエウリュアレーとメデューサの視線は冷たい。それが耐えきれなかったのか、壁に向けて拳を振りかぶるステンノー。
「ならさっきみたいに壁を破壊すればいいのかしら!」
「やめなさい。これ以上壊されたらアレクシア様が悲しんでしまうわ」
「そうです、アレクシア様はアルフレッド様のお作りになったこの建物を気に行っています。悲しませたくありません」
「……じゃあどうするのよ」
「出口はここしかない。出てくるまで待てばいいのよ」
そう言って尻尾を曲げて椅子代わりにして座り込むエウリュアレーと、器用に蛸足の様な複数の尻尾の足を折り曲げてぺたんと座り込むメデューサに、ステンノーは分かりやすくため息を吐く。
「ハア……妙に真面目ね、私の妹達は。アレクシア様、ねえ……」
右の三つ目をギョロリと動かして建物に視線を向けながら、ステンノーは体を持ち上げて月光をその身に浴びながら呟く。
「あんな哀れな人形が私たちの主人だなんて、何の悪い冗談なのかしら?」
その呟きが妹たちの耳に届くことはなかった。
暗闇に蠢く巨大な蜘蛛の群れを掃討しながらが廊下を進む私達。そうして集会広場、とプレートに記された屋外に出る。上の通路に続く階段があるが、資材もいろいろ置かれている様だ。なにかないか調べないとな。
「風が強いわ」
「ここから上にいけるみたいだ」
「屋外でござるが……ゴルゴーン三姉妹が先回りしていないことを祈るしかないでござるな」
「連携はできるが頭の出来はよさそうじゃなかったからな。そこまで頭が回るか謎なところだ」
しかし、あれはなんだったんだ?エウリュアレーの攻撃の原理は分かった。十中八九、あの時飲んだ小瓶の中身が必要なのだろう。だがメデューサを名乗った末妹は原理がまるで分らない。眼が光った瞬間、違和感を感じて同胞たちの一部が石にでもなったかのように固まって崩れ落ちた。本当に石にでもされたというのか?目からの光で石になるだなんてそんな神話みたいな出来事が………。
「G生物ですらその能力は科学で説明ができるものだったんだぞ…?オカルトなんてありえるはずが……」
「それを言ったらエヴリン殿の存在がオカルトでござるが」
「それを言われたらぐうの音も出ないな!」
「エヴリンってやつ、そんなにオカルトなのか?」
「私も見たことはないのよね……話したことはあるけど」
「どういう意味だ?」
そんな会話が弾んでいた時だった。レーザーサイトが私達四人に狙いをつけるように通りすぎた。アルフレッドのスナイパーライフルを思わせた。
「上だ!」
「ようこそ、お……兄様の兵隊の訓練所へ!よくゴルゴーン三姉妹の襲撃をしのいでここまで来れたわね!褒めてあげるわ!」
咄嗟に資材の裏に隠れる私達。同時に発砲音と共に私たちのいた地面に着弾する。二階通路に、明らかにぎこちない動きでスナイパーライフルを持ったアレクシアがいた。紫色のドレス姿でクラシカルなスナイパーライフルを持っている姿は絵にすらなるが、明かに使い慣れてない。レーザーサイトもぶれぶれだ。
「隠れてないで出ておいで!今ならあっさり殺しはしないわ!私の作品たちの相手をしてもらいたいもの!」
「あのゴルゴーン三姉妹はお前が生み出したのか!」
「ええ、その通りよ!でもそれだけじゃないわ。ハンターΨ、貴方からいただいたRT-ウイルスで完成させ、目覚めさせたのは全部で五体!出番よ、サクリファイスコヤン!」
「わたし、わたしわたしわたし……!」
するとアレクシアの呼びかけに応えるように、目の部分に穴を開けた茶色い四角い紙袋を被って顔を隠した、金色の毛皮に覆われ鋭い爪を持つ明らかに身体のサイズに合っていない異様に長く、足は獣の骨格をしている四肢と、金色の毛皮の長いモフモフとした尻尾を有している獣人の女が上から飛び降りてきて現れた。サクリファイスコヤン…?長い名前だな。それに、明かに正気じゃない。
「ああ、ああああ……」
「アッハハハハハ!ハァ~ハハハハハ…!貴女に刻まれたイヌ科の遺伝子が、私の命令には逆らえない!貴女は私の作品、私の言う通りに暴れるのよ!さあ、行きなさい!」
「ウオォオオオンッ!」
手すりに手をかけ、飛び降りてくるサクリファイスコヤンにアサルトライフルを叩き込むがしかし、その金色の体毛が弾丸を弾いてしまう。そう言う感じか!
「あああああっ!」
「ぐっ…!?」
奴の爪の引っ掻きを、咄嗟にアサルトライフルを手放して粘液硬化した腕で受け止め、横のフェンスを突き破り、もみ合いながら下に続く穴から落下する。ここは、地下道か!
「ああ、隠さなきゃ……」
「吹き飛べ!」
ずれた紙袋を直していたサクリファイスコヤンの胸元に粘液糸を飛ばし、引き寄せた勢いのままにぶん殴って扉を破壊しながら殴り飛ばす。なんだ?こいつ、弱い……?
「ああ、あああ……死ね!死ね!死んでしまええっ!」
「っ!?」
瞬間、左手の爪で自分の右腕を引き裂いて血を吹き出させたサクリファイスコヤンが腕を振るうと、血が発火し業火となって襲い掛かってきたのを、ギリギリ飛び退いて回避する。なんだ、血が発火した!?またオカルトか!?アレクシアの作るB.O.W.はどうなっている!?
「ああああっ、燃えろ!」
「相性最悪な奴が続くな…!」
サクリファイスコヤンが腕を振るい飛ばしてくる血の塊が変化した業火球を、地下室の天井に粘液糸を飛ばし天井にくっついて回避。アサルトライフルは上に置いてきてしまった。相性最悪な上に武器なしか、きっついな!
「ウォオオンッ!」
「させるか!」
狼の様に吠えながら、血に濡れ発火した右腕を振るいながら跳躍してくるサクリファイスコヤンに、粘液糸を丸めた弾を連射して胴体に当てて地面まで吹き飛ばす。そのまま私も着地し、粘液糸を飛ばして血に濡れてない左腕にくっつけて引っ張り、回し蹴り。脇腹を蹴り飛ばされたサクリファイスコヤンは「きゃいんっ」と悲鳴を上げて横に倒れるも、尻尾で地面を叩くことで宙返り。壁に爪を突き刺しくっついた状態でこちらを睨みつけると、尻尾で壁を叩いてすごい勢いで炎に燃える右腕を叩きつけてきた。
「ぐっ、ああああああっ!?」
「燃えろ、燃えろ!」
首を掴まれ、炎上する私の身体。まずい、ヒルと菌根でできた私の身体は、炎に途轍もなく弱い。慌てて胴体を蹴りつけて解放された私は、地下道の一角を沈めている水の中に飛び込んで炎を消して再生能力で回復する。……水?待てよ。そうだ。
「……筋肉を操作して血管を圧迫、合わせた掌の中で加圧して限界まで圧縮し一点から解放、音速を超えて撃ち出す……だったか」
「ウォオオンンッ!」
再び右腕を左手の爪で引き裂いて、更に火力を上げた業火球を飛ばしてくるサクリファイスコヤンに、私は水場に足を浸からせながら、合掌した両手の先端を向ける。
「穿水!」
そして、Gアネットの様に、水を血液の代わりに全身に循環させて放った水のレーザーが業火球を貫き打ち消しながら、サクリファイスコヤンの頭部を撃ち抜いた。ズタズタに引き裂かれた紙袋が宙を舞い、その下の顔があらわになって。私は絶句した。
「……なん、だと?」
「ああ、私の顔を見るなアア……」
顔があらわとなったサクリファイスコヤンは血をばら撒いて炎の壁を作り上げながら逃走。私は茫然と、その場に立ち尽くすのだった。
クイーンが目撃したその素顔とは…?
炎を操る力(すっとぼけ)を持つサクリファイスコヤン。名前はサクリファイスと、ルー・ガルーの女性「スコヤン」を合わせたもの。その名前の真意は…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?
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ネメシス(完全武装)
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グレイブディガー・ハスタ
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モールデッド・エンプレス
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ハンター・アーマード
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ハンターy(ガンマちゃん)
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ネプチューン・ルスカ
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モールデッド・シュタール(ネメシス)