BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ロックフォート島編が長い理由って仕掛けというかあまりにも入り組んでいるせいだと思ってます。マップ読み取るだけでも時間がかかる。

今回は五つの恐怖の最後の一体が登場。楽しんでいただけると幸いです。


fileCV:19【ディオスクロイ】

 その双子は、それはそれは仲睦まじかった。その兄妹は、アンブレラの研究者とスペンサー記念病院の患者だった。不治の病を患った妹と、それを治そうと奮闘する兄。兄はどんなに悪事に手を染めようと妹を治療しようと試みて、妹は自分なんかを忘れて兄には幸せになって欲しいと心から願っていた。互いに互いを思い、愛し合っていたと言っても過言ではないほどだった。

 

 しかし、互いを互いに思いすぎるが故に、悲劇は起きた。兄は眠っている妹に無断でアンブレラから持ち出したT-ウイルスを投与してしまい、あとから知らされた妹はそのことに激怒。さらには弁明する暇すらなく嗅ぎつけたアンブレラに2人揃って拘束されてしまい、妹は兄に大嫌いだと拒絶の意を示し、兄も妹に理解されないことを嘆き怒り慟哭し、憎み合ってしまった。憎み合ったまま、ロックフォート島に連行された。T-ウイルスに適合してしまった妹と遺伝子情報が酷似している双子である兄はアレクシアに目を付けられ、そして。

 

 ステンノー。エウリュアレー。メデューサ。サクリファイスコヤンに続く、五つの“恐怖”の一つとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二階廊下を抜けて、倉庫までやってきたクレアとスティーブ。そこには、落書きが大量になされた異様な空間が広がっていた。ゾンビ化しかけた警備員と思われる死体が、頭を失った状態で何人も倒れている。何かに排除されたらしい。

 

 

「……ここが、訓練所の中心……」

 

「アルフレッドが所長なんだろ?頭の検査が必要だな。早くアレクシアを見つけてとっ捕まえようぜ」

 

《「スティーブ。冷静にならないと危険よ。でないとあなた死ぬわよ」「お兄様、趣味が悪いわ」「なにをいう。お前を捕まえようとしている奴らの方が趣味が悪いだろう」》

 

 

 スピーカーから響き渡るアルフレッドの声。クレアの物まねをして気色悪い声出して、アレクシアに窘められてる。アルフレッドとアレクシアが合流したらしい。

 

 

「兄妹揃ってイカれてんな!」

 

《「なんだと!我々を侮辱したな!」「落ち着いてお兄様」》

 

「スティーブ、挑発に乗らないで。悔しいけどあいつの言う通り、一回冷静になって」

 

「冷静になれるかよ!クイーンとプサイは危険な奴らを相手にしてるんだぞ!俺達は足手まといだ!やれることをやらなきゃ、男が廃るぜ!」

 

《「心外だな。親切心から言ってやってるのに。だがいいだろう、お相手仕る。……バンダースナッチ」》

 

 

 一階に降りたクレアとスティーブの進んできた上に、いつの間にかやってきていた、下半身が退化し、左腕が欠損した代わりに右腕が極端に異常に肥大化しているアンバランスなシルエットが特徴のタイラントの様な怪物が二体、姿を現した。アルフレッドが考案したタイラントをベースにした量産型B.O.W.の試作品で、1つの兵器としての完成度よりも実用性を重視されて生み出されたそれの名はバンダースナッチ。

 

 

「タイラント……の出来損ない!?」

 

「気味の悪いやつばっかりだな!」

 

 

 巨大な右腕を伸ばしてくるバンダースナッチ二体の攻撃を、クレアとスティーブは咄嗟に横転して回避。床に落ちていた警備員の物と思われるショットガンをクレアが、二丁のキャリコをスティーブが拾い上げ、腕を伸ばして降りてきたバンダースナッチ二体に銃撃を叩き込む。タイラントほど耐久力を持っていないバンダースナッチはすぐさま沈黙。まだ弾数の残っているキャリコを振り回し、スティーブはどこから見ているかわからないアシュフォード兄妹を威圧する。

 

 

「どうした、こんなもんか!変態兄妹め!」

 

《「誰が変態だ貴様っ、侮辱するのもいい加減にしろ!それに、そんなわけがないだろう。それは前座だ。そこまで言うのならばお見せしよう。アレクシアの傑作、其の名を……!」》

 

 

 そんな言葉と共に、目の前のGoTo Heaven!と落書きされた扉が強引に開けられて、それが姿を現した。頭部に角が上を向いた水牛と角が下を向いたバッファローの皮を半分ずつ被った、上半身裸でタイラントの様に筋骨隆々で腕や腰にベルトを幾つも巻き付けて、下半身は黒い腰布と黒いズボン、そして鉄の音を鳴らすブーツを履いた二メートル大の巨人。水牛の皮を被った右半身は角が上を向いていて皮膚は金色に近く目は吊り上がって赤く、バッファローの皮を被った左半身は角が下に向いていて皮膚は銀色に近く目は垂れ下がって青い。まるで異なる二種の巨人を無理やり結合させたような、そんな不気味な容姿。

 

 

《「「ディオスクロイ」」》

 

「おれ、おれれれれれれ/わた、しししししししねねねねねねね」

 

 

 アルフレッドとアレクシアの声が重なり紡がれたのは双子座を意味する名前。ギリシャ神話のアルゴノーツに乗っていたというゼウス神の子である双子、ディオスクロイが右拳を振り上げ、叩きつけてきた。

 

 

「タイラントの色違い…!?」

 

「さっきの出来損ないの完成形か!?金銀なんて豪勢だぜ!」

 

 

 咄嗟に後退して回避したクレアとスティーブは怯まない。ショットガンを連射して頭部に当て、キャリコの弾丸を胴体に掃射する。しかし防弾になっているらしいベルトが巻かれている腕を頭部と胴体を隠すように移動させて防御。煩わしそうに唸ると、右の角を向けて突進。

 

 

「しまっ…」

 

「クレア!」

 

 

 右手でクレアの脚を掴み、振り回してGoTo Heaven!と落書きされた扉目掛けて投げ飛ばし、ディオスクロイは自分でやったにもかかわらず不機嫌そうにそれを追いかけながら左腕を動かし腰の腰布からなにかを引き抜いた。それはダークと呼ばれる暗器だった。投擲し、追いかけようとするスティーブを牽制するディオスクロイ。スティーブは違和感を抱く。見た目通りのパワー型かと思いきや、武器を使ってくるなど狡猾な一面もある。その行動はちぐはぐで、まるで二人同時に相手しているような。

 

 

「スティーブ!私がおびき寄せる!」

 

「……っ、待て!クレア!その役目は俺だ!」

 

 

 扉の向こうの部屋の中に入れられ、狭い中を逃げ始めるクレア。それを追いかけようとしながら、こちらにも視線を向けるディオスクロイ。どちらを選んでも狙われていないもう片方が反撃できる。そう考えたクレアとスティーブだったが、ディオスクロイの行動は予想を超えていた。

 

 

「おれれれれれ、おまえといっしょやだ!/わたたたたしししももも、いやだ!」

 

「「ふんっ!」」

 

「なあ!?」

 

 

 なんと、己の肉体の色が違う境界線に両手をかけたかと思うと、力任せに右半身と左半身を縦真っ二つに分断。それだけではない。両者共に分離をするとそれぞれの断面部から黒い触手を出し、それを絡ませて同じシルエットのもう半身を形作り、人型として二体に別れて行動してきたのだ。これがディオスクロイのディオスクロイたる由縁。2人で1人。一人で二人の怪物。金色の水牛の方がカストール。銀色のバッファローの方がポルックスと呼ばれていた。

 

 

「おれれれれ、おまえよりりりつよいいいいい!」

 

「ぐっ…!?」

 

 

 カストールは牛の如き突進でクレアに猛追すると、助走をつけてドロップキック。鉄板が仕込まれたブーツにより壁を容易く粉砕する一撃の余波でクレアは吹き飛び、ゴロゴロと通路を転がっていく。

 

 

「わたししししし、きれれれれいいい!?」

 

「趣味じゃないぜ…!」

 

 

 ポルックスは左の腰布からダークを始めとした暗器を次々と引き抜いて投擲。スティーブはキャリコを振って払いのけていくが、ポルックスが左足を振り上げ、踵に仕込まれていた鉄板…ではなく飛び出した鉄の刃で回し蹴りの要領で壁を引き裂き、スティーブに冷や汗をかかせる。

 

 

「喰らえ!」

 

 

 キャリコの弾丸を浴びせることで、黒い触手で形作ったもう半身は脆いと気付いたスティーブ。それを見てクレアも気づき、弱点だとして集中的に狙って攻撃する。しかしそれはわかっているのか、カストールとポルックスは視線を交わして頷くと、飛び込むようにして再び合体。両腕の防弾ベルトで弾丸を弾いてしまう。

 

 

「はあああ!」

 

「はなれろろろろ!/いわれれれえなくてもぉお!」

 

 

 ならばと、合体したところを纏めてダメージを与えようと、右足を振り上げハイキックを叩き込むクレア。しかしディオスクロイは再び分離して攻撃を回避。カストールとポルックスが同時攻撃でクレアを襲い、スティーブが援護射撃をしてその場から逃がす。

 

 

「片方だけでも強いのに、厄介ね…!」

 

「仲悪いならそのまま同士討ちしてしまえよ!」

 

「「あに/いもうとをころすすすわけがあががなぁああい!」」

 

「ごもっともだぜこんちくしょう!」

 

 

 スティーブの文句に声を揃えて反論した双子の怪物の答えに投げやり気味にスティーブは吐き捨てキャリコを構える。

 

 

「やるしかないぜ!クレア!」

 

「ええ、スティーブ!」

 

 

 頷き合い、銃を構えるクレアとスティーブに、ディオスクロイは再び合体して襲い掛かるのだった。




その頃一方ゴルゴーン三姉妹は暇していた……!サクリファイスコヤンはなぜかゾンビ犬狩りをしていた…!……いやまあ出番の問題とはいえ正直もう少し何とかなったと思う。

 モチーフが一見わかりにくいオリジナルB.O.W.ディオスクロイ。いつもお世話になってるお馴染みエレメンタル社-覇亜愛瑠さんから提供されたクリーチャーの案をベロニカ編に合わせて改良したものになってます。もともとは兄弟だったけどある理由のためにアシュフォードやレッドフィールドみたいに兄妹になりました。モチーフは金角銀角です。

 兄の方カストールはプロレスが得意な単純な肉体派。妹の方であるポルックスはからめ手を得意とする狡猾な技巧派。合体すると防御力が高く、分離するとその特技を100%活かしてくる、という仕様になりました。バイオのボスっぽいと思っていただければ幸い。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?

  • ネメシス(完全武装)
  • グレイブディガー・ハスタ
  • モールデッド・エンプレス
  • モリグナ(本体)
  • ハンター・アーマード
  • モリグナ・ネメシス
  • ハンターy(ガンマちゃん)
  • ハンターπ
  • ネプチューン・ルスカ
  • ブラインドストーカー
  • ペイルキラー
  • グレイブディガー・ヒュドラ
  • モールデッド・シュタール(ネメシス)
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