BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はイーサン復活、そしてデュークとの別れ。楽しんでいただけると幸いです。
『私が貴方で!』『お前が私で~!』『ウィーアー!』『マイティ!マイティエヴリン~!』『ヘイ!』『『ダブルエーックス!』』
――――そんな変な歌を聞きながら目を覚ますと、そこは荷車の中で。ガタゴト揺れていることから馬車か何かだと分かる。まさかあいつが?と起き上がると、目の前に憎たらしい笑顔のエヴリンが顔を出してきた。
『あ、起きた?パパ』
「エヴリン……お前、オリジナルの方は…」
『私はお前。貴方は私。イーサンがあそこから引きずり出してくれたおかげで私達、一つに戻ったみたい?』
「…そうか。それならよかった」
安堵していると、この一日で聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ようやくお目覚めですかな」
『そうそう。目を覚ましたらデュークがいたんだ。ビックリだよね!』
「やっぱりデュークか。ここはどこだ…?」
「私の馬車です。酷くうなされてましたね」
2人のエヴリンとの会話を思い出し、手を握って開いてみる。心なしか、黒ずんで見えた。
「ハイゼンベルク卿と手を組んでの大立ち回り。ミランダとは激しい戦いでしたな」
『マダオ……仇は取るからね』
「どれぐらい、寝てたんだ?」
「もうすぐ夜明けです」
エヴリンと顔を見合わせる。デュークがどこに向かっているかは知らないが、俺にはいかなきゃいけないところがある。
『そこは俺達、でしょ』
「…ああ。デューク。頼みがある。ミランダのところへ…」
「そうおっしゃると思い、既に向かっております。まもなく着きますよ」
「…助かる。なにからなにまで、ありがとう」
「そうそう、貴方を回収した際に側に落ちていたので回収しておきました。傍らに置いておきましたので、どうぞ」
『これって、マダオの…!』
そう言われて周りを見ると、ハイゼンベルクの鉄槌が傍らに置いていた。鞄やグレネードランチャーやらは菌根に飲まれたか……。鉄槌を力強く握りしめる。ハイゼンベルク、力を貸してくれ。
「しかし……よろしいのですか?そのお体はまるで…朽ちかけているようだ」
『…ごめん、心臓を再生させるために無茶苦茶力を使った。ただでさえ限界が近かったのに、もう…』
「分かってる。だが、まだ戦える。それだけで十分だ」
『イーサン…』
鉄槌を傍らに置いて拳を握る。例え体が朽ち果てる寸前でも、ローズを助けるまで持てばいい。
「愚問でしたかな?」
「これも愚問だろうが…お前は何者なんだ?」
『そう、それ!』
「フッヘッヘッヘ。私自身も存じかねます。着きましたよ。ウィンターズ様」
質問ははぐらかされたが到着したようなので降りようとすると声をかけられる。一足先に外に出ていたエヴリンが顔だけ戻してきてちょっと笑いそうになった。
「あなたはもう、人の世に戻ることはできませんぞ。ご覚悟は?」
『……こう言うべきかな。Are you ready?』
「……ああ、できてるさ…!」
二人の問いかけに力強く応え、鉄槌を背中に下げて外に出る。そこは、聖杯があったあの広場だった。地響きが起こる。クリスがミランダと戦っているのだろうか。急がないと…!
「お待ちを。ウィンターズ様。これが最後のチャンスですぞ!どうやら武器を失った様子。格安でお売りしますので是非装備をお整えください」
『そこは譲ってくれればいいのに』
「助かるよ」
「最強のハンドガンと最強のショットガンをご用意しましたよ!小さいですがサービスで鞄もどうぞ。回復薬もありったけ、ですね?」
『サービスが凄い』
「さすが、よくわかっているな。だが金が少ないんだ。ショットガンだけ頼む。残った金で回復薬だ」
「これが最後の取引やも…お買い残しのございませんよう」
左手に持った小さめの鞄に回復薬を詰め込み、ショットガンを背中の鉄槌の横に備える。弾は買えなかったからこの装弾数と腕っぷしだけが頼りか。すると、デュークは手元に置いてあった豪華な箱を開くと、その中から取り出したものを差し出してきた。
「これは…?」
『なにこれかっこいい!』
「餞別です。本来なら商売に徹するべきなのでしょうが一つだけ、とっておきを譲りましょう。これは古い友人から譲ってもらったものです。曰く“ブッ飛んでいる”代物ですぞ」
「いいのか?」
「貴方も私の大切な友人の一人ですから。どうぞ、お受け取りください。…どうか、お気をつけて」
「世話になった」
『聞こえてないだろうけど、疑ってごめんね!ありがとう!』
そう見送られ、手にした黒光りする無骨なリボルバーマグナムを右腰に納めて俺は、いや俺達は祭祀場に向けて歩き出す。厳密にはエヴリンは浮いて付いてくるのだが、まあ関係ないだろう。
『うっわ、気持ち悪い!』
「これ全部特異菌なのか…?」
うねうねうねうねと、道を占領する様にいくつも伸びる菌の根っこ。先を急ぎながら避けていくと、菌根から吐き出されるようにしてモロアイカが二体出てきた。
『もうライカンはいないのかな?』
「邪魔をするな…!」
弾を消費しないために、鉄槌を手に取り構えてそのまま振り下ろすことで頭部を叩き潰し、もう一体も振り上げ様に殴り飛ばす。助かった、ハイゼンベルク…!
「急ぐぞ!」
『無茶だけはしないでよね。せっかく私のパパになったんだから、死んだら許さないよ』
「オリジナルの方か?ああ、わかってる。生きて、ローズやお前たちと一緒にこの村を脱出する…!」
鉄槌を手に橋を駆け抜け、階段を駆け上がる。祭祀場は菌根の塊で塞がれており、何とか隙間をかき分けて中に入ると、奴の声が聞こえてきた。
「ああ…私の可愛いエヴァ…私の愛しい娘。さあ出ておいで」
「待て!ミランダ!」
何とか中の広場に出ると、そこには黒い液状のものに浸された聖杯に手を向けて恍惚としているミランダがいて。俺は鉄槌を背中に戻して代わりにショットガンを手にしてつきつける。しかし俺には目もくれず、黒い液体から何かを取りだすミランダ。それを見て、思わずショットガンの銃口を下げた。元の姿に戻ったローズだったからだ。
「エヴァ…お前なのかい。ああ!どれほど会いたかったか…」
「遅かったか…」
『そんな…間に合わなかったの?』
「……何だ?」
エヴリンと共に無力感に打ちひしがれていると、こちらに背を向けてローズを掲げながら訝しげな声を上げるミランダ。なんだ、何が起こっている?
「私の力が奪われていく…!?」
『イーサン、あれ、ローズだ!ローズがなにかしたんだよ!』
「ミランダァ!」
駆け寄ると、ようやくこちらに気付いたのか振り返るミランダ。その左目からは黒い液体が零れ落ちていた。
「興味深い…やはり普通の人間ではないどころか、生死さえ凌駕するか…!」
『身体だけじゃないよ!精神もすっごく強いんだから!』
「さっさとローズを返せ!早く!」
「こざかしい。それに騒がしいぞ、出来損ない。今度こそ息の根を止めて……ぐはっ!?」
その瞬間、頭を撃ちぬかれるミランダ。今のは、ライフルか?
「今だ!ローズを!」
『クリス!』
「助かる!」
声からクリスの援護射撃だと分かり、駆け寄ってローズを奪い取ると、ミランダがしがみ付いてきた。力の限り引っ張るが、一切離れない。
「離せ!」
『ローズから離れろ、毒親!』
「誰が毒親だ…!私ほど娘を愛している者もいない!この時を夢見て生涯を費やしてきたのだ…なのにそれを奪おうというのか?」
顔を上げたミランダが目が漆黒の液体に染まって液体を垂れ流した凄まじい形相で睨みつけてきて、俺を吹き飛ばす。同時に、ローズを抱えて菌根に包まれていくミランダ。
「この子は…誰にも渡さん…我が大願が成される時が来たのだ!ローズは、この私のものぉおおおおお!」
「どうなってる!?」
『これは……あの時の、私と同じ…!』
そして菌根が離れると、そこには腕と指が伸び、露出の高い漆黒の衣装の異形という、ミアに化けていたミランダがローズに読み聞かせていた【Village_of_Shadows】という絵本に出てくる魔女の様な姿に変貌したミランダ。ローズは、取り込まれてしまったのか…!
『私よりかっこいいのずるい!』
「ローズ。待っていろ…絵本の怪物はパパがやっつけてやる」
あの時の言葉を改めて言うことで決意を固めてショットガンを構える。これで最後だ、ミランダ!
デュークの餞別。「友人」からもらったとっておき。モローの隠し武器もいいけど、個人的にディーラー(4の武器商人の、拙作Fate/Grand Order【The arms dealer】での呼び名)大好きなのでこうしてみました。さらにデュークおすすめショットガンとハイゼンベルクの鉄槌装備で最終決戦。なおマガジンはない模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ハイゼンベルク生存ルート思いついてるけど本編後に…
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ミランダを倒してハッピーエンド
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ミランダを倒すもローズを奪おうとして敵対
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ミランダを倒すもクリスとの戦闘に移行
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ミランダを倒すもイーサンを助けるため…
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