BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はハンターΘの真実が明らかに?楽しんでいただけると幸いです。
もがくハンターΘの首を糸で締め上げながら、クイーンとプサイに共闘を持ちかけるブラックタイガー・アラクネ。
「私と組むのか組まないのか。今すぐ決めろ!……えっと、名前なんだったか!」
「クイーンだ。名前すら覚えてない相手と組むつもりだったのか?」
「プサイでござる。いやはや、豪胆でござるな。やり方は褒められないでござるが気に入ったでござる!」
「それで、ブラックタイガー・アラクネだったか……策はあるのか?」
そう尋ねるクイーンに、ブラックタイガー・アラクネは不満げに口を膨らませる。
「その名前は、好きじゃない……」
「リヒト殿と同じでござるな。では名前を決めるでござる。この役割はいつもエヴリン殿だったでござるが……」
「あぎぎぎっ……」
腕を組んで悩むプサイ。首を絞められていて今にも意識が飛びそうなハンターΘは視界に入っていないらしい。クイーンはそれを哀れそうに一瞥し、エヴリンの思考を思い出す。家族思いのバカ。時には手段を選ばないアホ。家族と認識した相手にはとことん甘く、家族を害するものには殺意をむき出しにする問題児。奴なら、プサイを一度殺しかけた相手には警戒し、どんなに気を許しても警戒を忘れないための名前を付けるだろう。
「……そうだな。蜘蛛……お前はモリアーティだ」
「モリアーティ?」
「すべてを蜘蛛の如く狡猾に支配し華麗な手口で遂行させる最凶の策士の名前だ。お前にぴったりだろう」
「モリアーティ……いいぞ。気に行った」
邪悪な笑みを浮かべてご満悦のブラックタイガー・アラクネ改めモリアーティ。その手にはいまだに糸が握られており、ハンターΘの首を絞め上げている姿は悪の教授の名にふさわしい。手を伸ばし、助けを求めるハンターΘを冷ややかに見降ろすモリアーティ。
「た、たすけ……ぐふっ……」
「誰が助けるものか。もはや用済みだ、そのまま死ね」
「待て。殺す必要はない。糸で拘束すれば無力化できる。……殺す価値もないだろう」
そう言ってモリアーティを制し、膝立ちでプルプル震えているハンターΘを粘液糸で首から下をすべてグルグル巻きにするクイーン。プサイが首を絞めている糸を斬り裂いて、ハンターΘはびたーんと地面に頭から倒れ込んだ。
「ぷぎゅっ」
「こいつを放っておいたらどうなるかわからないぞ」
「必要以上に苦しめる必要はないでござる」
「こ、この……ざこのくせに……あたしを、殺す価値もない…?う、動けない……」
芋虫の様にもぞもぞと身動ぎするハンターΘだったが、頼みの綱の爪は両腕を念入りに縛られて振るうことができず、もがくことしかできない。その事実に行きついたのか、顔を青ざめさせるハンターΘは、冷ややかに自分を見下ろすクイーン、プサイ、モリアーティを見上げることしかできない。
「あたしを縛って調子に乗るとかざーこ、ざーこ!解放するなら今のうちなんだから!」
「そうなったらもう怖くもなんともないぞ。お前は無痛覚と再生能力に頼り過ぎだ。…それで?私たちと組みたいっていうからには策があるんだろうな」
「それは保証する。欲を言えばもう一人B.O.W.が欲しいところだが」
「正直この三人で1人一体ずつ相手にしても苦戦は必至でござるからなあ…」
「解放してくれたら手伝ってやらないこともないんだけど!?」
モリアーティの言葉にこれ幸いとぴょんぴょん跳ねてアピールするハンターΘ。しかし無視されていることに気付くと、目を潤ませる。……ハンターΘが強さに固執していたことには理由がある。
「待って!謝る!謝るから!負けも認める!でも、ね、あたし強いでしょ!?力になるから!ねえ、だから無視しないで!」
「……悪いが信用できない。それに、今はお前のせいで分断されたクレアとスティーブが心配だ」
「二人とも、無事だといいでござるが……」
「それに今のお前は弱者だ。殺されないだけありがたく思え」
「じゃく、しゃ……?あたしが……?」
モリアーティの言葉を受けてショックを受けるハンターΘ。ハンターΘはH.C.F.最強だ。そのことを自負しているし、誇りに思っている。その自我は自分が強いと思うことで保たれている。敵どころか仲間まで煽るのは自分が最強だと自覚したいからだ。至極単純な思考回路だが、そもそも生まれて一年未満の子供どころか赤ん坊である。負けを認めなきゃいけない状況に追い込まれ、その矮小な心は折れた。
「うわあああああんっ!!やだ、やだよお!弱いって言われて捨てられるのやだあああ!一人ぼっち怖いのお!なんでもするからあたしを一人にしないでえええ!!」
「え、ええ……」
「お、落ち着くでござる…」
「お、お前そんな奴だったのか…?」
号泣。今までにない性格のハンターΘにたじたじのクイーンとプサイ。モリアーティすら見たことない姿に動揺を隠せない。そして、ただでさえ騒々しい戦闘音を起こしていたのにそんな大声を出せば、どうなるかは明白で。
「なんか聞こえるなーと思って見に来てみれば…壁を破壊して外に出てきたのかしら?かしこいわね」
「「「!?」」」
ひょこっと、屋根に手をかけて顔を出して邪悪な笑みを浮かべたのは、ゴルゴーン三姉妹の長女にして巨体の持ち主、ステンノー。六つの眼をギョロギョロ動かしながら六本の腕で身体を持ち上げて身を乗り出し、その横にスタッと着地したのは、尻尾で少女を抱えたすらりとした蛇の顔を持つ女性。メデューサとエウリュアレーだ。
「エウリュアレー姉さま、出入り口は一つしかないはずでは……?」
「いや、壁に穴開けるのは思いつかないわよ」
「私達、壁に穴開けて出てきたんだけどねえ」
「………」
「あ、ぐうの音も出ない」
「うるっさいわよ!?」
呑気に痴話喧嘩を繰り広げているゴルゴーン三姉妹に、身構えるクイーン、プサイ、モリアーティ。その下で、泣き喚いていたハンターΘは状況を確認すると泣き止んで、自信満々な顔で告げた。
「あんなのざこで余裕だし、解放してくれたらこのあたしが、手伝ってあげてもいいわよ?」
「お前、いい加減に……」
この期に及んで生意気な態度をとるハンターΘに、モリアーティが苛立つもクイーンがその間に立って首根っこを掴みハンターΘを持ち上げて顔を寄せる。
「おい、質問だ。あのスウィーパー二体はお前の指示に従うか?」
「ひ。え。あ、うん。あたしの命令を最優先に従うけど……」
「なら次の質問だ。お前は、H.C.F.を裏切れるか?」
「え、いや、その……」
二つ目の質問に、目を泳がせて言いよどむハンターΘ。冷や汗がだらだら流れているが、それを見てクイーンは不敵な笑みを浮かべると、右手の人差し指を刃に変形させて糸に手をかける。プサイも頷いて、スウィーパー二体が拘束されている目の前に一瞬で移動して爪を振りかぶる。
「嘘を付けないんだな。嘘つきと、正直者か。…わかった。お前を信じる」
「やれやれ。クイーン殿なら、…いや、エヴリン殿やアリサ殿でもそうするでござるな」
「正気か!?」
ハンターΘを縛る粘液糸を斬り裂いて解放してみせるクイーンに、目を見開いて驚愕するモリアーティ。ハンターΘは信じられないとばかりに解放された己の手と、同じくプサイに解放されたスウィーパー二体を見て困惑する。
「いいの……?」
「お前はただの生意気な子供だとわかったからな。シータと呼ぶぞ、いいな?」
「ふ、ふーん!あたしに存分に頼っていいのよ!」
「それと…モリアーティ。お望みのB.O.W.をもう一人どころか、一人と二体確保だ。文句はあるまい?」
「……ちいっ!好きにしろ!あとから困っても知らんからな!私の騙し討ちはもう効かないんだぞ!」
「あからさまな舌打ちでござるな」
クイーン。モリアーティ。プサイ。シータ。スィーパー二体が、並び立つ。屋根の上で様子を窺っていたゴルゴーン三姉妹も臨戦態勢だ。
「……あのデカブツは私とクイーンでやる。ハンター組は、残りの二体を足止めしろ」
「あっしどめー?倒しちゃえば文句ないでしょ?」
「「キシャーッ」」
「同感でござるな。リベンジでござる」
「さっさと倒してクレアとスティーブと合流するぞ!」
「私達を倒すつもりらしいわよ?」
「尻尾まくって逃げたくせに、勝てると思ってるのかしら」
「尻尾あるのむしろ私たちですけどね」
そして、ロックフォート島最大の決戦が幕を開いた。
自分が強いと自覚することで自我を保ってたタイプだったハンターΘことシータ、仲間入り。
そしてブラックタイガー・アラクネの名前いい加減長いので命名、モリアーティ。某名探偵の宿敵からです。地味にシャーロキアンなクイーン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな3編オリジナルB.O.W.は?
-
ネメシス(完全武装)
-
グレイブディガー・ハスタ
-
モールデッド・エンプレス
-
モリグナ(本体)
-
ハンター・アーマード
-
モリグナ・ネメシス
-
ハンターy(ガンマちゃん)
-
ハンターπ
-
ネプチューン・ルスカ
-
ブラインドストーカー
-
ペイルキラー
-
グレイブディガー・ヒュドラ
-
モールデッド・シュタール(ネメシス)