BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
濃すぎて戦闘シーンまでいけなかった真相解明。楽しんでいただけると幸いです。
「…ああ、アレクシア……私は、また……お前を、失ったのか」
オモチャ部屋で粘液糸で縛られ、ついでにアレクシアが引き起こしたとは知らないが自爆スイッチが起動し、身動きが取れないまま絶望に目を瞑るアルフレッド。そこに、下に繋がる梯子の穴からひょこっとそれが顔を出した。
「みつ、けた……」
「おまえ、は……」
ゾンビ犬から剥ぎ取ったのか、犬の顔の毛皮を顔に被り口元だけ露出した、金色の毛皮に覆われ鋭い爪を持つ明らかに身体のサイズに合っていない異様に長く、足は獣の骨格をしている四肢と、金色の毛皮の長いモフモフとした尻尾を有している獣人の女、サクリファイスコヤン。顔に被った毛皮の端からは、以前は紙袋で隠していた金髪が飛び出していた。サクリファイスコヤンは鋭い爪でアルフレッドを拘束する糸を斬り裂くと、手を差しのべる。
「おにいさま……」
「…ああ、アレクシア!すまない!私は……私は……!」
何故かサクリファイスコヤンを抱きしめて、アレクシアに謝りだすアルフレッド。サクリファイスコヤンは動揺することなく、受け入れて爪で引き裂かないようにアルフレッドの頭を撫でている。
「ああ、アレクシア!私はお前がいないと生きていけない!あの愚かな父と同じ道を辿ったのは腹立たしいが……ん?いや、そんなバカなことがある訳ない。あんな所業など、父の代で終わりだ。そう、アレクシア。アレクシアはここにいるのだから、私がそんなことをやるはずないだろう。ああ、その顔をもっと近くで見せておくれ」
「……わたし、は……アレクシアで、いいの……?」
アルフレッドに乞われて、サクリファイスコヤンが犬の毛皮を取り外し、クイーンが目撃した素顔を見せる。そこにあったのは、目の前の男と瓜二つの顔。いや、正確にはアレクシアと同じ顔がそこにあった。
これが答え合わせだ。ああ、どうしようもなく。この男は壊れてしまっていたのだ。
真実は、一年前の南極研究所まで遡る。アシュフォード家が所有するもう一つの施設に、アルフレッドはいた。ここはもともと、とある研究のために双子の父親であるアレクサンダー・アシュフォードが南極の廃坑跡を利用した輸送ターミナルに設立させた大規模な最新研究設備である。ちなみにリサの父親ジョージ・トレヴァーがやっぱり設計に関わっていたりする。この世界の変な建設は大体この男が関わってるが今回は関係ない。
そのとある研究とは、アレクサンダーの父にしてアンブレラ設立にかかわったエドワード・アシュフォードの研究をサポートするべく遺伝子工学が専門だったアレクサンダーが進めていたアシュフォード家の始祖にして最も優秀だった女傑ベロニカをこの世に再誕させ衰退したアシュフォード家を復興しようというあまりにも馬鹿げた計画「CODE:Veronica」。
アレクサンダーは長年に渡る研究により、知能を司る遺伝因子を特定した。してしまった。その因子の塩基配列を組み替える事によって人工的に知能の絶対値を操作する事に成功したのだ。偉大なる始祖ベロニカの遺伝子を基にその因子を操作して、代理母体の未受精卵に移植した。そうして生まれたのがアルフレッド・アシュフォードとアレクシア・アシュフォードの双子だった。アレクシアが天才なのも、アルフレッドが変なところで優秀なのもこのためである。
アレクシアが死亡したとされる事故。それは、アレクシアによる偽装死だった。アレクサンダーを当時研究していた新型ウイルス「T-Veronica」の実験体とし、問題点を洗い出したアレクシアは自身にウイルスを投与しコールドスリープすることによって、ウイルスを身体に馴染ませるという方法を編み出し実行したのだ。アルフレッドは、然るべき時間が経った際にアレクシアを目覚めさせる大役を仰せつかった。
しかし15年、この当時は14年間。その時を待ち続けたアルフレッドは、マリアナ海溝より深くアレクシアを溺愛していた。溺愛していた故に、徐々に壊れて行ってしまった。アレクシアが帰ってくるまでに地盤を整えるべく、アシュフォード家を再興しようと尽力した。しかしそれは、遺伝子改造によって生み出された、ベロニカ・アシュフォードのクローンとしての孤独は癒せなかった。この孤独を癒せるのは、この世で唯一ただ一人。同じ様に生まれ、生まれた時から共に過ごしたアレクシアだけだ。故にアルフレッドは壊れた。壊れてしまった。
ここで史実ならば、女装して自らがアレクシアになりきることで幻想の世界を作り出すことに逃避していた。だがこの世界のアルフレッドは逃げなかった。ある男がいたためだ。その男の名を、サミュエル・アイザックス。そう、またこの男である。アンブレラ1のクローニング技術を持つこの男に、アルフレッドはある取引を持ち掛けた。南極研究所に保管されている「T-Veronica」のサンプルを渡す代わりに、その技術を教えてほしいと。アイザックスは快く受け入れた。
そしてアルフレッドは取引で得たクローニング技術と南極基地に残っていた父の残した遺伝子工学の設備を用いて、己の遺伝子、そして眠り続けるアレクシアから採取した遺伝子を使ってそれを生み出してしまった。そう、アルフレッドは、よりにもよって忌避していたはずの父親と同じことをしでかしてしまったのだ。己の遺伝子と最愛の妹の遺伝子を掛け合わせた、しかし元が同じ遺伝子であるためベロニカ…いやアレクシアと瓜二つの自分の子供とも言うべき……アレクシア“たち”を作り出してしまったのだ。アルフレッドは彼女たちを個人として見ることなく、全員に「アレクシア」の名前を与えた。狂気の所業である。そのプロジェクトの名を「CODE:Alexia」という。
何人か生み出されたアレクシアたち。しかしド素人な上にそちらの才能は一切ないアルフレッドが単独で生み出したために、身体の一部が欠損していたり、言語能力に問題があったりと失敗作続きだったのだが、その中で唯一五体満足でさらに会話できる知能を有した“アレクシア”がいた。
自分を「お父様」と呼んだそのアレクシアに、アルフレッドは洗脳まがいの言葉で兄と呼ばせた、心の底からそう思い込んでいた。目の前のマガイモノを、アレクシアだと思い込むことで心の安寧を保とうとしたのだ。こうして“目覚めて”自分の役割を認識したそのアレクシアは、父の……いや、兄の期待に応えられるよう頑張ることにした。
過去の記録を漁ってアレクシアらしい言動を勉強して理想の妹を演じて。本当に気が進まなかったが兄の力になれるようにと持ち前の頭脳を使ってB.O.W.を作るために数多の実験を行い。時には囚人たちに拷問まがいの事を行って兄を満足させ。時には、アレクシアは一人でいいと断じたアルフレッドのために自分の姉妹ともいえるアレクシアたちを実験体として使い潰した。その一人が、上記の言語能力に問題があるアレクシア。のちの
しかしこのアレクシア。本物と違って半分はアルフレッドの遺伝子である。どうしても詰めが甘いポンコツなところまで受け継いでしまった挙句に、凡人なところまで受け継がれてしまった。あまりにも人間らしいのである。人を傷つければ心が痛むし、心根なのか言葉の端々から礼儀正しさが見え隠れする。天才の頭脳、凡人の心。それが同居してしまった故に、有能なポンコツという異様なものができてしまった。それこそが、クイーンたちの相対してきたアレクシア・アシュフォードの正体だった。
「……お父様、無事でいて……」
「父親までこの島にいるのかよ?」
縛られて飛行機の中に入れられた状態でなお、兄を……父親の身を案じるアレクシアに、計器の調整と見張りを引き受けたスティーブが忙しなく動きながらぼやく。残りのクレアたちは外を駆け回って飛行機が動き出すための準備を行っていた。そこに、プサイを先頭に一行が戻ってくる。
「準備ができたでござる。アレクシアも確保したでござるし、あとはクイーン殿たちを待って脱出するだけでござるな」
「……それは、残念だったわね。私は貴方たちの捕まえたかったアレクシア・アシュフォードじゃないわ」
「え」
衝撃のカミングアウト。そうして語られる真実とその生々しさに、絶句する一同。H.C.F.ひいてはそれを率いるウェスカーの目的であろうアレクシア・アシュフォードを奪ってロックフォート島から脱出する。それがクイーンたちの目的であり、勝利条件だ。…本物のアレクシアでない以上、…意味があるかどうかはわからない。
クイーンたちは、まだ来ない。
というわけで答えはクローニング技術を利用したアルフレッドの娘、でした。コードベロニカを父親がやらかしてんだからアルフレッドも技術提供者がいればやってもおかしくないよねって。なおこの男、妹に無断で、その遺伝子を使って、しかも何人も作って、それ全員に妹の名を付けて、一番それっぽい1人だけ妹として扱うという、究極なまでに気持ち悪いことをしてます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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