BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は南極基地探索開始。楽しんでいただけたら幸いです。
《「せっかく脱出できると浮足立っていたのだろうが申し訳ない。そう上手くいくと思っていたのか?」》
クイーンが度重なる戦闘による疲労で気絶していた頃。飛行艇の操縦室のモニターに、ある通信が入った。クイーンの介抱はモリアーティとスウィーパーに任せて縛った糸を掴んだプサイと共に安全な操縦室に入れられたアレクシアは、その声と映し出された顔に反応する。
「お兄様!」
「アルフレッド!これは、貴方の仕業ね!」
《「おお、おお、アレクシア!私としたことがサクリファイスコヤンをお前と見間違えてしまってね……お前を殺して自分がアレクシアだと証明するとか馬鹿を宣ったが、どうやら無事なようで何よりだ。やはり私のアレクシアはお前だけだ」》
「うるせえアルフレッド!聞いたぜ、お前がこいつを生み出した顛末をな!お前にとってこいつはアレクシアの代わりにすぎねえ!残酷だと思わないのか!」
ここでブチギレたのが、実質アルフレッドのせいでゾンビ化してしまった父を自らの手で殺してしまったスティーブだった。子供を子供とも思わないばかりか、妹の代わりとして教育し、殺人を強要した、最低最悪の父親に怒りも限界を迎えていた。しかし通信に映るアルフレッドは何のことだかわからないとばかりに困惑に顔を歪めている。
《「なにを言っている…?アレクシアはそこにいるだろう。代わりなわけがないだろう、すぐにでも返してほしいね」》
「誰が返すかよ!決めたぜ、お前なんかに返してやらねえ!例えこいつが望んでも、お前なんかの元に帰してやったら可哀そうだぜ!」
「かわい、そう…?私が……?」
スティーブの言葉に逆に困惑したのはアレクシアだ。クイーンに言われて、自身が許されざる罪を犯したのを実感して。一生をアルフレッドに尽くすしかないのだと、そうでなければ自分は死ぬしかないのだと、そう考えていたところに、同情の声。困惑するのも無理もなかった。その様子をモニターの向こうで見ていたアルフレッドは、逆上する。
《「ふざけるな!アレクシアは私と共にいるんだ!それ以外、認めない!認められるわけがない!スティーブ・バーンサイド!お前は私を怒らせた!アレクシアを取り戻したのちに死よりも恐ろしい目に遭わせてやる!」》
「そいつは楽しみだぜ!この手でお前をぶん殴れる瞬間がなあ!」
「挑発しないの、スティーブ」
アルフレッドに啖呵を切ったスティーブを嗜めるクレア。そして言いたいことは言ったのかアルフレッドの通信が切れ、アレクシアはやはり「アレクシア」しか心配されなかったことを気にしたのか沈んだ顔になる。それが面白くないのかスティーブはアレクシアの両肩を掴んで眼をまっすぐ見つめた。
「いいか!アレクシア、よく聞け!親の言いなりになる必要はないんだ!おかしいと思ったなら反抗すべきだし、言いたいことは言うべきだ!じゃないと、一生後悔する!俺は、結局腹を割って話せずに親父を殺して後悔した!お前は、親のしがらみに囚われるな!!」
「……あなたには、関係ないわ……」
必死の言葉に目を逸らしてそう返すアレクシアに、スティーブは押し黙る。
「…そうかよ。悪かったな」
「スティーブ……」
へそを曲げて蹲るスティーブに、クレアが寄り添う。そうして、飛行艇は自動操縦で突き進んでいった。
飛行艇はスティーブとクレア、クイーンとプサイ、モリアーティとスウィーパー、そしてアレクシアを乗せ、謎の施設に不時着した。アルフレッドの仕掛けたゲームは終わっていなかった。南極の地にて、気絶しているクイーンたちより先に目覚めたスティーブ達は、モリアーティをクイーンの見張りに残して、この場所を知っているらしいアレクシアを連れ、施設を調べることにした。南緯82度17分にある極寒の地、南極に存在するアンブレラの基地……すなわち、アレクシアの生まれた場所を。
「こいつはもう使えない。クイーンが目覚めたら一緒に脱出するんだ、モリアーティ」
「わかった。守りは任せろ。そして、せいぜいその女に気を付けることだ」
「……寒いわ」
一行が飛行艇から降り立ったのは、飛行艇に突き刺さった縦穴通路。モリアーティの忠告に瞑目するも、寒さでそれどころではないアレクシア。紫色のドレス姿のままである。クレアもスティーブも薄着のままだ。モリアーティやプサイ、スウィーパーも蜘蛛や蜥蜴がベースなため寒さには弱い。出せるポテンシャルも落ちてしまうだろう。
「そりゃ南極にこんな薄着だもの。凍死する前に脱出しないとね。でも何の施設かしら。長い間使われてないみたいだけど」
「アンブレラの施設、なんだよな?」
「…ええ。南極基地。廃坑跡を利用して建設された、アンブレラ社の大規模な輸送基地よ」
「っ、後ろだ!」
モリアーティの声に、振り返る。そこには、迫りくる作業着を着たゾンビの大群がいて。咄嗟に銃と爪を構え、応戦するスティーブ、クレア、プサイ、スウィーパー。スウィーパーはシータがいなくなったからか、第二の主人としてプサイに従っていた。
「勘弁してくれ!近頃はゾンビがいて当然か?」
「恐らく、ここも奴らに襲撃されてT-ウイルスが漏洩したんだわ…!」
「やつらってのは……H.C.F.でござるか!?またシータやモリアーティみたいなB.O.W.を連れていたら厄介でござるよ!?」
「それはわからない……だけど、ここには私が調整したB.O.W.もたくさんいるわ……あっ」
「それはいいことを聞いたな?」
うっかり口を滑らせていらんことまで口に出したアレクシアに、ルガーを撃って応戦しながら不敵に笑うスティーブ。
「本当にうっかりでござるな?」
「ごめんなさい、ごめんなさい!お父様ぁああああ!!」
プサイにも言われて泣き喚くアレクシアに、クレアが同情的な視線を向ける。父親の遺伝子のせいなのだろうが、あんまりにもあんまりだった。
「おい、あれ!」
「嘘でしょ……あの時の!」
さらに最悪な事態が起きる。ロックフォート島脱出間際で襲ってきた、アルビノイド・オーバーフローが数体、ゾンビに紛れて現れたのだ。放電しゾンビを薙ぎ払いながら迫るアルビノイド・オーバーフローはそれだけで脅威だ。
「スウィーパー!アレクシアをしっかり抱えてついてくるでござる!拙者が先行する、ついてくるでござるよスティーブ殿!クレア殿!」
プサイがゾンビの群れに突撃し、次々と斬り裂き蹴り飛ばしていき、アルビノイド・オーバーフローは腕を掴んで縦穴に投げ飛ばし、それについていくスティーブ、クレア、アレクシアを抱えたスウィーパー。すると下の階に降りたところで、低く悍ましいうめき声が聞こえてきた。
「今のは!?」
「下の方だ!」
「…今の声は」
通路を駆け下りる一行が入ったのは、所長室。小ぢんまりとした普通の部屋だ。古めかしい剣や、熊の剥製などが飾られている。そんな中から、悍ましい呻き声が響き渡る。それに対してギュッと顔を縮こませるアレクシア。それを見て、ここにいるものが想像を超えているものだと言うことをスティーブは察した。
「…確かめましょう」
クレアが先導し、部屋の奥に向かうとコンクリートが剝き出しの無機質な通路が広がり、その奥は金網が床になっている小部屋が存在していた。なにもいないことに安堵したが、スティーブはアレクシアの視線が下を向いていることを気づいて、金網の下を見た。
「クレア、プサイ。あれ…!」
「……おじいさま」
そこにいたのは、拘束服で拘束された真っ白な禿げ頭の男性。目隠しされていてこちらには気づいていないようだが、拘束されたまま暴れ続けていた。
「動けないみたいでござるが……どうしたものか」
「アレクシア、あれは?おじいさまってのは……」
「……お父様の父親。私のオリジナルが、あるウイルスの実験体にした……アレクサンダー・アシュフォードよ」
「なっ……」
本物のアレクシア・アシュフォードの悍ましき所業の一つに、スティーブ達は絶句するしかなかった。
アルビノイド・オーバーフローは量産型に過ぎなかったというね。そしてアレクシア(娘)とスティーブの意外な共通点。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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