BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は南極基地初のボス登場。楽しんでいただけたら幸いです。
クイーンやプサイ、モリアーティと言った名だたるB.O.W.ですら戦闘力が低下する、極寒の南極環境下。人間を始めとした動植物をメインとするB.O.W.では満足に活動もできない、なんならエヴリンですら力の行使が満足にできないだろう極限環境。しかし例外は存在する。感染者の体内の血液が外気に触れることで化学反応を起こす、すなわち高熱を体内に有する結果となるウイルス……T-Veronicaである。
サクリファイスコヤンの様な人間ベースの場合完全適合しないと使いこなすことはできないのだが、このウイルスは始祖ウイルスをヒルに投与して生み出したT-ウイルスの様な亜種と異なり、始祖ウィルスへ主に女王アリや植物の遺伝子などを複数組み込むことにより生まれた品種改良した代物であるこれは、女王アリを含む昆虫や植物との適合率が異様に高い。本物のアレクシア・アシュフォードが眠りにつく前に実験したそれらは、南極基地に保管されている。
それはその中の一つだった。実験用に飼育されていた蛾に人間の遺伝子と共にT-Veronicaを投与するという、本物のアレクシアの世にも悍ましい非道な実験。子供心のままに、トンボの羽をもいで蟻に与える様な無邪気な悪意の天才の頭脳。自らに試す前に行ったアレクサンダー・アシュフォードへの投与実験は失敗した。適合しないと脳に浸食後破壊され、自我や知能を失い、残るものは攻撃本能のみとなり、身体構造の変化のみならずT-Veronica自体の危険性も相まって、T-ウィルス汚染生物以上に危険な怪物と化してしまうのだ。ならばとアレクシアは適合するための方法を編み出したが、それとは別にこの危険性を利用してB.O.W.を生み出そうという結論に至った。そうして生み出され、あまりの凶暴性に保管されていた怪物が、H.C.F.の南極基地襲撃により……目覚める。
所長室の真下の縦穴の様な部屋で拘束されている怪物の正体を語るアレクシアに驚く面々。
「あの怪物が……アルフレッドの父親…!?」
「ええ、そうよ。今はノスフェラトゥと呼ばれている。お兄様が自慢げに話していたわ……「これが最後まで役に立たなかったアシュフォード家を没落させた無能な父、憎くて憎くてしょうがない、己の失敗の尻拭いとして私達を産んだ愚者の末路だ。アレクシアが下した制裁だよ」と…アレクサンダーは、お父様とオリジナルのアレクシアを、遺伝子操作で生み出したのだと……」
「なんと。奴も拙者たちの同類でござったか」
苦々しげにそう語るアレクシアに驚きの声を上げるプサイ。スティーブはノスフェラトゥを見下ろしながら腕を組む。
「なるほどな。アルフレッドと本物のアレクシアにとってのくそ親父か。死よりも恐ろしい目ってのはこのことか?」
「恐らく、そうよ。あのウイルスを……T-Veronicaを何も準備もなしに投与したら、ノスフェラトゥと同じ末路を迎える……」
「T-Veronica……でござるか。聞いたこともないウイルスでござる」
「T-ウイルスの亜種か何かかしら……でも、さすがにG-ウイルスほどの危険性はないでしょ?」
クレアはラクーンシティで対面したアネットを思い出したのか、苦笑いを浮かべたが、それを知らないスティーブは不敵に笑って拳を掌に打ち付ける。
「タネがわかればこっちのもんだ。俺はそんなものを投与される様なへまはしねえ。仲間もいるんだ、負ける気がしねえぜ!」
「スティーブ殿、油断大敵でござるよ?」
「とりあえず、ここは行き止まりみたい。別のルートを探しましょう」
クレアの言葉に頷き、所長室の扉を開いて、縦穴通路の階段を上った時だった。ぐしゃり、と何かが潰れる音が聞こえ、階段を上ったところのスティーブに赤い何かが飛び散った。そして、恐る恐る見上げて、それと目が合う。正確には、眼のはずの部分をスティーブは凝視した。本来目のある部位から四枚の翅が生えた女性染みた筋骨隆々の白い体躯を、胸部と腰から下がズボンの様に蓑に覆われた巨人。その下には、同じく白いがひょろい体躯の背中が吹き飛んでいるなにか……アルビノイド・オーバーフローの一体の死骸が拳に潰される形でぴくぴく動いている。
「あ、あ、あ……そんなっ、プシューケー…!?」
スティーブの肩越しにそれを見たアレクシアの悲鳴が漏れる。それだけでその存在の危険性を把握した瞬間、その場にいた面々の判断は速かった。
「先手必勝でござる!」
スティーブが一歩下がって、それと入れ替わる形でプサイが突撃。同時に、クレアと肩を並べたスティーブが発砲してプサイを援護する。しかし一瞬でプシューケーと呼ばれた巨人の姿がかき消え、プサイの爪と弾丸は空を切る。手すりに何とか掴まり止まったプサイがきょろきょろと辺りを見渡し、それに気づいたクレアが指をさす。今いるところの反対側、縦穴の向こう側の壁に、まるで蟲の節足のような指の拳を突き刺してしがみついているプシューケーを。
「あそこよ!」
瞬間、バサバサと羽ばたかされた翅から火の粉の様な鱗粉が、真っすぐプサイに向けて放たれる。なにを、と回避行動をとるプサイの動きを見計らった瞬間。まっすぐ放たれていた鱗粉……血液を鱗粉にしたものが空気に触れて発火、まるで火柱の様に連鎖して業火が放たれてプサイを飲み込んだ。
「プサイ…!」
「逃げなさい!あれは、プシューケー……蛾に人の遺伝子を掛け合わせてT-Veronicaを投与した怪物!蝶の様に不規則ではないけれど、真っすぐ突き進む速さと、発火する鱗粉は脅威よ!」
「蛾だって!?なら、飛んで火にいる夏の虫だぜ!」
黒焦げで倒れ伏すプサイに駆け寄ったクレア目掛けて、今度は壁を蹴って突撃してくるプシューケーに、キャリコを叩き込むスティーブと、アレクシアを抱えたまま毒の爪で狙うスウィーパー。するとキャリコの弾丸は受けたプシューケーは、毒の爪から逃れるように手すりを蹴って高速で上空に上昇して逃れる。
「なんだ?今の動き……スウィーパーの攻撃だけ避けやがった!」
「フェロモンよ。夜行性の蛾は特定の、制限された匂い……フェロモンを触角で嗅ぎ取って、オスを求めて闇夜を彷徨う習性がある。プシューケーは眼が存在しないけれど、あの四枚の翅は飛行を補助し炎の鱗粉を飛ばす翅であると同時に…、四つの触角でもある…!四人までストックしてその動きを読み取ることができると、資料にはあった!」
「つまり、こっちの動きは読まれているって事か!だけど、弾は!」
「え?」
「弾はどうなんだ…?」
「…ストックできるのはどんな生物でも微弱ながら発する
「そう、かよ…!クレア!」
「ええ!」
プサイを庇っているクレアに呼びかけ、共に弾丸を叩き込んで攻撃するスティーブ。やはり、弾丸に対しては反応が遅い。付け入る隙はある。つまりプシューケーは先程の攻防の際にスティーブ、クレア、プサイ、スウィーパーのフェロモンをストックしたため、こちらの動きを完全に読むことができる。弾丸は当たるがそもそもが速く、捉えるのは困難。なのにあちらには炎の鱗粉という遠距離攻撃がある。ならどうするか?銃声という反撃の狼煙は上げた。あとは気づいてもらうのみ……!
「っちい!」
炎の鱗粉による火柱を放って牽制していたプシューケーが、厄介と見たのかスティーブを掴んで扉に叩きつけ、荷物仕分け室に放り投げる。真っ暗闇の広い空間。プシューケーの独壇場だ。クレアと、プサイとアレクシアを抱えたスウィーパーも追いかけるが、荷物仕分け室の中央に放り投げられ、四方八方から高速で繰り出される体当たりを必死に避けているスティーブの姿を確認することしかできなかった。
「今、援護を……!」
「いや、その必要はない。銃声を聞いて何事かと駆け付けて見れば……」
「わざわざ密室に逃げ込んでくれて、好都合だ」
するとクレアの背後から二つの声が聞こえるとともに、糸が伸びて部屋に張り巡らされる。粘液糸と、蜘蛛の糸。クレアが振り返ると、そこには飛行艇にいるはずのクイーンとモリアーティが立っていた。
通路を通るたびに毒を喰らってウザいことでお馴染み、蛾くんの強化個体プシューケー。能力の都合上メス個体なので異形の女性型。プシューケーの見た目は呪術廻戦の八握剣異戒神将魔虚羅の女性版(体型だけ嵌合獣・顎吐?)、能力のモデルは常住戦陣‼ムシブギョーの三夜毒蛾の蟲人キキョウから。さすがにガコンガコン言いながら適応したりはしないです。ムシブギョーという漫画は蟲への理解が深いから愛読させていただいてます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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