BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
クイーンとモリアーティVSプシューケー。楽しんでいただけたら幸いです。
目覚めたら、凍える世界だった。笑えない。粘液が凍ったら冗談なしに私この体維持できなくて死ぬぞ。そもそもなんで私は意識を失ってたのにこんな環境で無事なんだ……?うん…?なんか、身体を覆ってる……?網……?
「私の糸で防寒着を作って着せといたんだ。それとも蜘蛛の巣は不快か?」
「モリアーティ……いや、ありがとう」
操縦席の方から壁を這って出てきた、蜘蛛糸で作った厚手のコートの様なものを身につけたモリアーティに礼を言う。色々、器用な奴だな。しかしビュービューと吹き荒ぶ寒風の音の他に、呻き声が聞こえる。ここ一年で聞き慣れてしまった声だ。
「周りにゾンビがいるのか?クレアたちは?」
「ご名答だ。私以外の面子はアレクシアを連れて哨戒に出てる。お前が目覚めたら合流する手筈だ。武器はあるか?」
「残念ながらロックフォート島の戦いで銃の類は置いてきてしまってな……この身一つだけだ」
「武器が必要か?」
「いいや?」
モリアーティの差しのべた右手を手に取って立ち上がり、渡されたコートを手に取る。ああ、あったかい。同時に聞こえる、銃声。私とモリアーティは顔を見合わせ、二ッと笑い合う。
「いくぞ!」
「おう!」
黒いコートを身に着けたクイーンとモリアーティが、扉を破って荷物仕分け室に乱入する。モリアーティの手には、グルグル巻きに拘束されたアルビノイド・オーバーフローの顔面が握られている。その視線の先には、
「クイーン!モリアーティ!あのプシューケーとかいう化け物、フェロモンで四人までの人間の動きを把握できるの!今は、私とスティーブ、プサイとスウィーパーの動きが読まれてる!」
「ならちょうどいい。何かに使えるかと思って持ってきたが……こいつでも、喰らえ!」
蜘蛛の糸で覆って電流が通らないようにしていたアルビノイド・オーバーフローを投げつけるモリアーティ。プシューケーは接近してくる新たなフェロモンを把握、倒したと本能的に判断したプサイのフェロモンを探索対象から外して、新たなフェロモンを登録。触角でもある翅を羽ばたかせて加速、大きく飛び退いて回避してベルトコンベアに飛び乗った。
バチィ!
すると、アルビノイド・オーバーフローの放電を受けて動き出すベルトコンベア。プシューケーは眼が見えない。故に、無機物の動きまでは聴覚で察知するしかないが、突然動き出した足場に対応しきれず、炎の鱗粉を出そうとしていたところで転がり落ちてしまう。その先には、攻撃を耐え抜いていたスティーブが待ち受けていた。空中からは、部屋の天井に糸を伸ばして舞い上がったクイーンとモリアーティが迫る。
「!」
唸りを上げるスティーブのキャリコがプシューケーの胴体に叩き込まれる。登録したフェロモンからクレアとスウィーパーを外して新たにクイーンとモリアーティを登録したプシューケーは弾丸の掃射を受けながらもクイーンとモリアーティの拳を突き出した両手で受け止め、投げ飛ばす。投げ飛ばされたものの、それぞれ壁に張り付いて着地ならぬ着壁し、クイーンは両手から糸を出して、モリアーティは尻から伸びた糸を振り回して投げつけ、拘束を試みる。しかし糸がくっついたことを認識するとプシューケーは高速で移動してクイーンとモリアーティを逆に引き寄せながら、炎の鱗粉を放射。円形に広がった炎が荷物仕分け室を照らした。
「寒いかと思えば熱いとかふざけてるな!?」
「あの狼女と同じ力か。ふざけた力だ…!」
「お二人さん!あいつは、無機物には反応が遅れる!近くの物を利用するんだ!」
「なるほど、な!」
モリアーティはスティーブを蜘蛛の脚で抱き着くように掴んで尻から天井に出した糸を両手で掴んで操りながら宙を舞い、スティーブはキャリコが弾切れになったので破れかぶれに投げつけて、ルガーを手に取り乱射。一方クイーンは次々と糸を射出、スティーブとモリアーティのフェロモンを感じ取り射程に捉えようと高速で動くプシューケーが、真っすぐ移動しては止まるたびにその身体に糸を取り付け、さらにそれをベルトコンベアを流れる荷物と繋げていく。
「こっちだ、こっち!」
「空中サーカスだ!お誂え向きに火を噴く女までいるぞ!」
ぐるんぐるんと、プシューケーの周りを囲むように回るスティーブとモリアーティ。プシューケーは追いつくのを諦めて次々と炎の鱗粉を放つが、捉えきれない。そして。
「今だモリアーティ!」
「こっちだデカブツ、来い!」
スティーブを抱えたモリアーティが、プサイを手当てしていたクレアの元に着地する。それを追いかけて跳躍するプシューケー。しかし、その身体に纏わりついた糸には気付かない。その先に、大量の質量が繋げられていることには、気付かない。
「ギアアアアアアッ!?」
初めて声が上がる。悲鳴を上げ、高速移動で引っ張られれ背中から纏めて叩きつけられた資材に潰されるプシューケー。自分の速さと、無機物への鈍感さが仇となった。
「まさか……プシューケーまで、倒したの……?」
信じられない、とばかりに目を見開かせるアレクシア。自分の作った五つの最高傑作はもとより、オリジナルの生み出した危険な兵器まで倒してしまった一行に……特にクイーンを、怯えた目で見つめた。
「……やった、のか?」
「多分な。頸を落とすまで安心できないか。プサイ……は無理か」
「私がやる」
鋭い爪を持つ蜘蛛の脚を振り上げるモリアーティ。プシューケーの頸を掻き斬ろうとした、その時。その腕が動いて、モリアーティの振り上げた蜘蛛足を受け止める。咄嗟にクイーンが粘液糸を放って拘束しようとするも、炎の鱗粉が振りまかれて防がれる。
「コォー……」
「ぐあああっ!?」
炎に包まれながら立ち上がり、モリアーティの脚をもぎ取り、体液が滴るそれを口に入れて咀嚼し飲み込むプシューケーの体が炎上、焼け落ちてまるで蛹の様に変貌する。それは、のちのC-ウイルスによる蛹化と酷似していた。
「……はあ!」
クイーンが粘液硬化した拳を叩き込むも、ビクともせず弾かれる。復活したプサイとスウィーパーの斬撃すらも弾き、足をもがれてなお残りの七本足で支えて立つモリアーティの放った溶解液や、クレアとスティーブの銃撃すら耐え抜く蛹と化したプシューケー。
「おい、アレクシア!何が起きている!?」
「わた、私とお父様は……ある仮説を立てていた……T-Veronicaに、RT-ウイルスかG-ウイルスを掛け合わせることで適応もしくは進化を起こして、T-Veronicaを進化できるかも、と……」
「RT……モリアーティの血か!逃げるぞ!」
RT-ウイルスの厄介さなら、初戦のヘカト戦で嫌というほど味わっているクイーン。アレクシアを抱えて飛び降り、荷物仕分け室の奥を目指す。そんなリーダー格の姿に嫌な予感を覚えたのかクイーンに続く一同。その背後で、蛹が燃えてひび割れていき、粘液を粘つかせながらひび割れから姿を現すプシューケーだったもの。
「ハァアアアアアアッ……」
さてここでおさらいだ。プシューケーは蛾に人の遺伝子と共にT-Veronicaを投与したことで誕生した。この、“人の遺伝子”にオリジナルのアレクシアは妥協しなかった。最も優秀たる遺伝子を用いることは当然で、ならばと使ったのはもちろん………。そして、15年間保存されていたのは、オリジナルのアレクシアと同じ。条件は揃っている。それ即ち。
「……あ、あー……喋れる。眼は……眩しいわね。感じる。感じるわ。逃がさない、何処までも追いかけて……燃やし尽くしてやるわ」
触角でもある四枚の翅が額に移動して翡翠の瞳が見え、植物の意匠があるものの人間に近くなり金髪が炎ではためく。その姿は、アレクシアと酷似していた。モリアーティのRT-ウイルスを接種して適応し、誕生したのは最強の探知能力と、最高の頭脳を合わせた怪物。プシューケー・イグニスが、荷物仕分け室の設備を融解させながら迫る。
また増えたよアレクシアシリーズ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなロックフォート編オリジナルB.O.W.は?
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