BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
VSプシューケー・イグニス。楽しんでいただけたら幸いです。
「おお、アレクシア……この時を、どれほど待ちわびたことか……」
クイーン一行を乗せた飛行艇が南極に辿り着いたころ。身軽な戦闘機で先に南極基地に辿り着いていたアルフレッドは、一度所長室に立ち寄ってあるものを回収しながらアレクシアルームと呼ばれる薄暗い部屋へと辿り着いていた。明かりをつける、するとそこにあったのは、冷凍された液体に満たされた人一人簡単に入れる大きさのカプセル。その中には、呼吸器が取り付けられたアレクシア・アシュフォードが眠りについていた。
―――――「お兄様。私、これから15年間眠りにつくわ。王子様役、お願いね?」
そう笑顔で告げて、15年。父で実験した時の失敗を回避してT-Veronicaを身体に馴染ませるために、低温でウィルスの活動をおさえ、緩やかに細胞を変化させればいいという答えを見つけたアレクシアはそれを実行。その天才の頭脳による計算によればウィルスに対する免疫を持ち、共存できるようになるまで15年はかかる。そう、15年。アルフレッドが我慢できず「兄妹ごっこ」を始めた一年後、つまり今だ。
「すまない、
眠り続けている妹の寝顔に、アルフレッドはそのカプセルにすり寄りつつ、その手に持ったものを操作する。所長室から回収したあるものとは、アルフレッドとアレクシアを模した人形が入れられたスノードーム型のオルゴール。これこそが、アレクシアを目覚めさせるための装置。飛行艇での会話から“アレクシア”の心変わりを見抜いてしまったアルフレッドは、正気に戻ってしまった。そして思い出したのだ、約束の日が今日であることを。
「忌々しい虫けらどもめ……私から
名前が同じだからもう滅茶苦茶であった。
全身に炎の鱗粉を纏い、歩く傍から触れた部位を融解させていく、活性化した植物の蔓を軽装として身に着けたプシューケー・イグニス。額に移動した触角の下から生えた一対の眼で一点を見つめながら、ゆっくりと歩を進める。体躯こそ170㎝程度まで縮んで先程までの巨体ではなくなったが、蛹化して自らの身体を再構成させたが故に、みっしりと圧縮され詰まっている。
「逃げろ、逃げろ!逃げろ!安全な、ところまで…!」
「それってどこだよ!?」
「これだけの戦力がいれば倒せるわ、クイーン!」
「いや、勝てない!さっきまでとは別格だ!」
逃げる、逃げる、逃げる。凄まじい熱気が、冷えた空気を焼いていく。鉄が熔ける匂いが、
「逃げることは許さない。逃がす気もない。女王に
プシューケー・イグニスが目を瞑れば、触角が記憶したフェロモンから標的の形状と位置を正確に感知する。ボロボロで歩くのもやっとなプサイ。焦っているクイーン。七本足となった下半身で必死にバランスを保つモリアーティ。こちらにルガーを向けようとしてクイーンに止められているスティーブ。その一挙手一投足、よく視える。その姿は女王である自分からしたら無様でしかない。開眼すると近くの鉄材に手をかざし、炎の鱗粉を宿らせて炎上させ、燃え盛る槍の様に変形させて握ると振りかぶる。
「まずは小手調べよ」
真っすぐな距離を高速で移動することを可能とする膂力により、放たれた投擲は音速を超え、投げた瞬間には標的の一人に突き刺さり壁に磔にする。それにより、動きを止める他の標的たちの反応。プシューケー・イグニスは舌なめずりする。絶対強者であることへの愉悦の笑みだ。
「貴方たちのフェロモンは覚えたわ。なにをしようが、フェロモンの動きからすべて、視える。……うん?」
すると、磔にしたはずの標的が何事もなかったかのようにまた動き始めた。自分の体でもちぎって抜け出したのだろうか。だとしたらクレイジーだ。だが、貫通した焼けた鉄の槍だ。それに貫かれて引きちぎったならば、激痛からロクに動けるはずもない。今はアドレナリンドバドバで痛みに鈍いだろうが、そのうち痛みが戻って動きが止まる。そこを仕留めればいい、だけどなぜ、女王である自分がそんな小細工を弄さねばならないのだろう?働きアリが無様に泣き喚いているところを見るのも愉しいだろうが、不愉快な気分になるのも間違いない。
「ふふっ、いいわ……この力を存分に試してから……即刻殺す」
額の触角でもある翅を広げて羽ばたかせ、障害物のない空中から敵の姿を視認する。女が二人、蜥蜴の様な鱗を持つ女が一人、蜘蛛の様な下半身を持つ女が一人、男が一人、人型の蜥蜴が一人。はて、一瞬違和感を感じたが……いや、女の一人が自分と同じ顔であることが違和感に感じたのか。どうでもいいが。
「喋れるっていいわ、すごくいい。想うって素敵だわ。本能でしか動けなかったさっきまでとは大違い!働きアリってなんてみじめな存在なのかしら。地を、壁を、這い蹲って逃げることしかできない」
逃げられないと悟ったのか、身構えるクイーンたちを見下ろして高所の機材の上に着地したプシューケー・イグニス。自分の手に纏った炎を見てうっとりとしながら、両手のそれを束ね合わせて捏ねるようにして右手に集束させて火の玉を形作り、握り込むと投げつけるように腕を振るう。
放たれたのは、炎のレーザービーム。それは壁に張り付いていたモリアーティ目掛けて真っすぐ突き進み、咄嗟にクイーンが粘液糸を飛ばして引き寄せた、今の今までいた壁を貫いて熔解させ、斜め上にぶち抜いて突き進んでいき、大穴を開けて吹雪く空の暗雲すら貫いて天高く昇って行った。
「……なんて火力だ」
「今の私は、自らの血液を鱗粉に変換。濃縮することができるの。そうして空気に触れることで発火した炎を超高温に圧縮して放っただけのこと」
そう言って頭の触角翅から両手に移した炎の鱗粉を束ね合わせて捏ねる工程を再度繰り返し、次々と火の玉を発射。レーザービームと化したそれは、粘液糸で何とか離脱するクイーン、火傷を負った体に鞭打ってスティーブを抱えて障害物の間を忍者の様に跳ぶプサイ、壁を這い回るモリアーティ、拘束されたアレクシアを担いで床を駆け抜けるスウィーパーを狙い、次々と熔解した風穴を開けていく。正確な狙いで放たれるそれはスウィーパーにだけ精度が悪かったが、それでも範囲攻撃。アレクシアの髪先が掠って焼けそうになったのを、スウィーパーが慌てて握ることで消火する。
「こんな大技、そう連発できないはずだ!」
「そうね。乱発すれば体温が危険値まで上昇して身体機能の低下を招く……だけど、
極寒の地であることが災いした。今のプシューケー・イグニスは最大火力でより精度の高くなった炎の鱗粉による攻撃を繰り出せる。耐久戦は不利でしかない。
「ちい!こいつでも喰らえ!」
「大外れ。ノーコンね」
スティーブがプサイに抱えられたまま、やけっぱちだとばかりにルガーを構え弾丸を放つが、プシューケー・イグニスに当たるどころか、見当違いの方に飛んで行ってしまい嘲笑される。
しかしそれは。
「かかったな?」
「なっ……!?」
クイーンの不敵な笑みと共に、壁際に置かれてあった、中に火薬と銃器が箱詰めされている箱に炸裂した。
某小さな名探偵風に言うと「あれれー?おかしいぞー?だれか、いなくない?」
炎で身体機能云々はヒロアカのエンデヴァーから。炎を扱えるゆえに人間は知性体の覇者となったのに、その炎を生み出して操れるのが生物として別格じゃないわけがないよね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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