BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。炎を凝縮しているシーンは呪術廻戦の渋谷の火山の呪霊VS呪いの王のあれもイメージしてます。

今回はプシューケー・イグニスとの決着。楽しんでいただけたら幸いです。


fileCV:35【飛んで火にいる南極の虫】

 プシューケーが羽化を果たして、燃え盛る槍を投げつけ串刺しにした相手……クイーンは、自分を心配して駆け寄ってきたクレアの目の前で、貫かれた部位のヒルたちを分離させたクイーンは、シーッと人差し指を立ててジェスチャーをしながらその場を移動しながら告げた。

 

 

「クレア。よく聞け。あいつは私たちのフェロモンでしかこちらを把握できていない。今の私の動きに疑惑を抱いて動きが止まったことから見てそれは明らかだ。恐らく、奴の動きから見て標的は私とプサイ、スティーブとモリアーティに移っている。今のお前はノーマークだ」

 

「私が奇襲するの?」

 

「いいや、人間のお前にそんな無茶はさせられない。ここは奴らの資材を運搬し仕分けする場所だ、恐らく近くに武器庫がある。そこからありったけの火薬や弾薬を集めて、奴の死角に置くんだ。弾を外したと油断させた上で当てて爆裂させる」

 

「なるほどね。任せて、死なないでよ!ほんとに!貴女の死にざま、トラウマなんだから!」

 

「エヴリンやアリサと再会する前に死ぬ気はないさ!」

 

 

 そんな会話ののちにクレアが離れて、数分立った現在。クレアがひそかに設置した箱の中に入っていた火薬や弾薬に引火し、更に中にあった銃器の山が暴発。背後から、弾丸や残骸の雨に貫かれ、血が流れて空気に触れたことで火達磨となるプシューケー・イグニス。自身に炎の耐性はないのか悶え苦しむ。炎の鱗粉を操ることはできるが、自分の制御から外れた炎をどうにかする方法は、プシューケー・イグニスにはなかった。

 

 

「アアァアアアッ!?よくも、やってくれたわね…!」

 

「どうした?ご自慢の精度の高さはどこ行った!?」

 

 

 怒りのままに炎の鱗粉を集めて火球を形作り、炎で眼を回しながらもフェロモンの位置に手当たり次第に投げつけるプシューケー・イグニスだったが、凝縮が甘く脆い火球はあっさりと粘液硬化した拳で消し飛ばされ、そのままクイーンに殴りつけられたたらを踏む。背中を燃え上がらせながら炎の鱗粉を集めて炎上させた右手を突き出して攻撃するも、腹部に前蹴りを受けて嗚咽しながら後退するプシューケー・イグニス。

 

 

「隙ありでござる…!」

 

 

 その横からプサイが爪を振りかぶりながら迫り、頸目掛けて横一閃。プシューケー・イグニスは咄嗟に首をそちらに向けて触角の翅から鱗粉を放出して火炎放射を放ってプサイを退かせて何とか難を逃れる。

 

 

「モリアーティ!これを!」

 

「受けとったぞ!

 

「喰らいやがれ!」

 

 

 そのまま触角の翅を羽ばたかせながら床を蹴り、高速で移動することで距離を取るプシューケー・イグニス目掛けて、クレアからトンプソン・サブマシンガンを受け取ったモリアーティと、クレアとスティーブによる一斉射撃が襲い掛かる。咄嗟に炎の鱗粉を纏った両腕をクロスさせ温度を上げて受け止めた弾丸を融解させることで防ぐプシューケー・イグニスは、同じく弾丸の雨を受けながら追撃してくるクイーンとプサイに目を見開く。

 

 

「なんでっ…正気!?」

 

「正気も正気だ!このぐらい、お前なら耐えてしまうだろうが!」

 

「常住戦陣…!味方の弾丸が怖くて標的を殺せるか!でござる!」

 

 

 アレクシアの人格と記憶を有するプシューケー・イグニスだったが、言うてそれは幼い子供の心。弾丸の雨を浴びながらも迫りくる狂人二人の気迫に、完全に気圧されてしまう。そしてクイーンの拳と、プサイの脚が交差する。顔を殴られて触角が二本へし折れ、胸を心臓間際まで蹴り砕かれ、それでも残り二本の触角にクイーンとプサイを登録し、紙一重で追撃の拳と斬撃を避けていくプシューケー・イグニス。天井に火球を撃ち上げてばら撒き、スティーブやクレア、スウィーパーやアレクシアを狙うことでそちらにクイーンとプサイの注意を向けさせた。

 

 

「くっ……狂っているやつらの相手なんかしてられないわ!」

 

 

 そして炎の鱗粉をばら撒いて目眩ましをしながら、命からがら扉の鍵を融解させ中に入り、扉を溶接して封じるプシューケー・イグニスは、逃げ切ったという安堵から胸を撫で下ろした。

 

 

「あんなの相手してられないわ……私は逃げさせてもらう……ここは?」

 

 

 辺りを見渡す。大きなクレーンと、南極の氷が壁になっている大きな穴、それを横切る鉄の通路。採掘室にプシューケー・イグニスはやってきた。出口はすぐそこにあるが、専用の車両で穴を開けないと出れない分厚い氷の壁が存在している。

 

 

「こんなもの……!」

 

 

 燃え上がる背中を氷に押し付けて無理矢理鎮火したプシューケー・イグニスは炎の鱗粉を集束させ、手首を交差した両手の間に集めて、その熱で壁をぶち抜こうと試みる。しかしその瞬間、溶接して封印した扉が一撃で吹き飛ばされ、粘液硬化した拳を突き出した体勢のクイーンが姿を現した。逃がす気はないらしく、敵を絶対に仕留めると言わんばかりの修羅の眼だ。炎の対処に駆られているプサイたちを置いて追いかけてきたのだった。

 

 

「逃げられると思っていたのか?プサイを燃やした報いは受けてもらうぞ」

 

「く、来るな!」

 

 

 プシューケー・イグニスは形成していた火球をクイーンに向けて発射。クイーンは焦ることなく、両手から粘液の水流を放出して火球を打ち消した。そして粘液糸を氷の壁に射出すると、床を滑走するようにして加速。粘液硬化した渾身の右ストレートを叩きつけ、残りの触角もへし折って殴り飛ばすクイーン。プシュケー・イグニスは翅でもある触角を完全に失い、十分な加速も鱗粉を飛ばすことも、フェロモンを記憶することもできなくなり、能力のすべてを封じられてしまって破れかぶれに殴りかかる。サイズこそ縮んだがパワーはアルビノイド・オーバーフローを一撃で叩き潰してしまうほどだ。

 

 

「……フェロモン頼りの虫けらだったか」

 

 

 しかしその動きを、全てのヒルの眼で観察したクイーンは動きを完全に読み切って手首を掴み、力を利用して投げ飛ばす。投げ飛ばされたプシューケー・イグニスは鉄の通路に背中から叩きつけられて、痛みに悶えた。柵に右足がぶつかって変に曲がってしまっている。

 

 

「確かにお前は生物として別格だ。私が戦ってきた中でも1、2を争うだろう。だが、経験が圧倒的に足りないな。まだ筋肉まみれのタイラント(タイラント・マスキュラー)の方が厄介だったぞ」

 

 

 G6となったアネットは生物としての格差に加えて、その力をフルパワー以上に発揮できる頭脳が厄介だった。だが、同じ天才だとしても、アレクシアの頭脳“だけ”であるプシューケー・イグニスとは天地の差があった。火力と精度こそ厄介だったが、一度崩れたらもう立て直すことができないタイプだった。

 

 

「お、お願い……命だけはっ」

 

「……はあ。仕返しはできた。命までは取らんさ。どこへでも、消えろ」

 

 

 命乞いするプシューケー・イグニスに、頬を掻いたクイーンは逃げるように促す。プシューケー・イグニスは必死に頷いて、脆くなった氷の壁まで歩いていき、外へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――仮にも“私”がそんな無様を晒すことを許すと思っているのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

「なに!?」

 

 

 クイーンの目の前で、大穴の下から凄まじい速さで伸びてきた植物の根の様な触手が背後からプシューケー・イグニスを貫いたのだ。困惑の声を上げるプシューケー・イグニスに、クイーンは咄嗟に手を伸ばす。

 

 

「たす、け……」

 

 

 クイーンに助けを求めて手を伸ばしたプシューケー・イグニスの身体が発火、触手が凄まじい勢いで大穴の底に引きずり込んでしまった。

 

 

「いったい、なにが……?」

 

 

 クイーンは困惑し、その場に立ち尽くすしかなかった。




実はクレアが離脱してこそこそ動いてました、という種明かし。能力のすべてが触角由来なのでこれを壊されるとなにもできなくなるプシューケー・イグニス。精神的にもよわよわでした。生物としての格は確かに上なんだけど、心が追い付いてない事例。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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