BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
スティーブ覚醒。楽しんでいただけたら幸いです。
ノスフェラトゥ・オーバーキルとクイーンたちが戦い始めた頃。言われた通り、スティーブとクレア、スウィーパーに連れられたアレクシアは雪上車を目指して走っていた。
「もうすぐ辿り着くわ!鍵があるといいけど……」
「お父様、お父様……なんで、私、役に立たないの……?」
「アレクシア……いったいなんだ?何をそんなに怯えてる?」
雪上車に走りながら、先刻触手にプシューケー・イグニスが持っていかれたと聞いてから、ずっと恐慌状態でなすがまま担がれ連れていかれるだけのアレクシアに、スティーブは眉を顰める。父親、アルフレッドに切り捨てられることに怯え続けているというのはわかる。つまりそれは、アルフレッドの
「…ムカつくな」
立ち止まり、振り返るスティーブ。このアレクシアにとっては祖父であり、自分を生み出した全ての元凶とも言える、アルフレッドの父親でもあるらしい怪物が、時間稼ぎを買って出た三人を圧倒している光景が見える。スティーブが止まったことでそれに気づいたクレアとスウィーパーが立ち止まり、スティーブに振り返る。スティーブは拳を握り、ギリギリと音を立てながら歯を噛み締めていた。
「……悪い、クレア。雪上車にはお前とスウィーパーとアレクシアの三人で行ってくれ」
「スティーブ!?駄目よ、クイーンたちの言う通り私達が戦うのは自殺行為……」
「そんなんじゃねえ!そんなんじゃねえんだよ!男には、戦わなきゃいけない時がある。それはまさに今だ!俺はな……父親って生物にだけは絶対に負けられねえんだ!アレクシア、見ておけよ……父親ってのは、絶対の存在じゃないんだぜ!」
「…スティーブ・バーンサイド……」
自分の声にアレクシアが反応したのを確認してから雪の上を駆け出し、触手に貫かれ持ち上げられているクイーンたち三人を救い出すべく、コアと思われる胸の部位を狙って引き金を引くスティーブ。的確に撃ち抜き、クイーンたちを解放させた。
「やっぱり、女だけに戦わせとくのは違うだろ!」
「スティーブ……!?」
三人を手放し、怯んで銃声の聞こえたスティーブの方に目隠しされた顔を向けるノスフェラトゥ・オーバーキル。大斧を振り上げて勢いよく叩きつけ、雪の波を叩き込んできたので、スティーブは足元に転がったクイーンの襟を掴んで引きずりながら回避するとクイーンをその場に置いて、突進。大斧を横に振るって頸を断たんとしたノスフェラトゥ・オーバーキルの大振りの攻撃を回避し、スティーブは雪上を滑ってスライディングキックを、拘束されていて動きようがない両膝の向う脛に叩き込んだ。日本には弁慶の泣き所という言葉がある。武蔵坊弁慶ほどの豪傑でも痛がって泣く急所の意であり、筋肉がほとんど無いため、鍛えようがないとされる。15年間も監禁されていたノスフェラトゥ・オーバーキルはなおさら貧弱になっており。なんと、勢いを乗せたスライディングキックでそれはもうあっさりと、ぽっきり折れてしまった。
『うッぐオッッおッッッおオァァアアッッッ!?』
予期せぬ強烈なダメージに、立っていることができず膝をつくノスフェラトゥ・オーバーキル。なんとか触手で支えたものの体勢が崩れたところに、スティーブ渾身の膝蹴りが顎に炸裂。顎を砕き、その脳を揺らした。
『あッぐうッッあッッッおオァァアアッッッ!?』
「っ、今だぜ!」
「プサイ!モリアーティ!」
その明らかな大きな隙に、息絶え絶えのスティーブが叫び、なんとか毒を一匹のヒルに集中させて切り離すことで回復、立ち上がったクイーンと、それぞれRT-ウイルスの適応能力にリソースを回して急速に毒を分解して復活したプサイとモリアーティが突撃する。
「触手を叩き斬れ!それがなければ、こいつの脅威度は下がる!」
「承知!スティーブ殿の頑張りを無駄にするかでござるぁ!」
「わかっている!お前を、見直したぞ!スティーブ・バーンサイド!」
クイーンは手刀の形にした右腕を粘液硬化して研ぎ澄まされた刃の様にしたものを、プサイはカエルの脚力により限界まで加速して振るった左手の爪を、モリアーティは蜘蛛糸に溶解液を被せてチェーンアレイか何かの様に振り回したものを、ノスフェラトゥ・オーバーキルが現在肉体を支えている触手三本に、三方向から同時に叩きつけて両断した。噴き出す血から、飛び込んだプサイが背中でスティーブを庇う。毒の血は、もはや通用しない。
「やったぜ!」
「いや、まだだ!」
完全に支えを失い、倒れ込むノスフェラトゥ・オーバーキルだったが、なんと両手に持った大斧を地面に突き刺して、それを支えに腕だけで体を鯱の様に反らして、大斧を持ったまま宙返り。追撃でとどめを刺さんとしていたクイーン、プサイ、モリアーティから逃れるように大きく距離を取り、着地できずに雪の中に転がり込んだ。
「だが、触手がなければ…!畳みかけるぞ!」
『うッオッッおッッッおオァァアアッッッ!!!!』
ノスフェラトゥ・オーバーキルの斬られた触手が蠢いたかと思えば弧を描いた鎌状の爪が先端についた触手を切断部分から伸ばして復活。その再生能力は、アリサを思い出させる。より凶悪になって戻ってきた触手に舌打ちするクイーン。
「こいつ、不死身か!」
「吸血鬼の名は伊達じゃないでござるな!」
「15年も飲まず食わずで生き延びてるんだ、私たちがかわいく見えるバケモノっぷりだな!」
「ちくしょう、まだだ!」
「待て、スティーブ!?」
大斧と三つの鎌を振るって牽制するノスフェラトゥ・オーバーキルから距離を取りつつ、取り囲む陣形を維持し続けるクイーンたち三人だったが、クイーンの傍にいたスティーブが飛び出した。慌てて止めるクイーンだったが、スティーブは異様に集中して眼を動かし、ノスフェラトゥ・オーバーキルの一挙手一投足を観察していた。アルフレッドに対する憤怒と、アレクシアへの同情、死が間近に迫る恐怖と、極寒の環境も合わさったことによる生存本能。それらが合わさり、スポーツ選手でいう「ゾーン」の様な極致に入っていたのだ。
「右、左、右、右、縦、左!」
瞬間、スティーブを狙って振るわれた三つの鎌による連撃を完全に読み切り、必要最低限な動きで回避するスティーブ。大斧による横振りを、飛びついて大斧の腹の上を一回転して放った飛び蹴りが、ノスフェラトゥ・オーバーキルのコアに突き刺さる。どこか「死」を達観しているクイーンたちB.O.W.では決して至れない、人間故の極致にクイーンは感嘆の声を上げた。
「おお……」
「感動している場合かクイーン!」
「決め手になってない!逃げるでござるよ!」
よろめきながらも跳躍で屋根上に転がりながら、触手で支えて立ち上がり大斧を振りかぶるノスフェラトゥ・オーバーキル。その周りには、ドラム缶がたくさん積まれていた。
「おいおい、マジかよ!?」
『うッオッッおッッッおオァァアアッッッ!!!!』
そして、大斧の腹をバットの様に使ってゴキャン!バキャン!ドガン!ズガン!ドゴン!ズドン!とドラム缶を拉げさせながら打ってきて、ドラム缶の雨が降り注いで次々と爆発。クイーンたちはそれに飲み込まれた。
【IF-人間の極致-】スティーブ・バーンサイド【SSR】
(眼をうっすら輝かせてゴールドルガー二丁を構えて不敵な笑みを浮かべたスティーブの絵)
バイオのソシャゲがあるなら多分こう。
ずっと拘束されてたんだから、そりゃ向う脛脆くなってるよねって。
このスティーブという男、特に考えてないけど覚悟を決めて行った出来事がなんかクリティカルを起こすというタイプの人間だと思ってます。
次回、原作におけるクレア編終了に突入…?次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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