BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。序盤の勢いはやっぱりエヴリンとイーサン故だったなあと今更認識。でもさすがにエヴリンとイーサンの絡みネタは出し尽くしたと思うんですよねえ。エヴリン単体ならいくらでも思いつくのだけど。

今回はW-ウイルスの脅威。楽しんでいただけたら幸いです。


fileCV:41【蜘蛛転変】

「ここは……囚人棟ですかね?」

 

「木っ端みじんに吹き飛んでいて廃墟も同然だけど。生存者を探すのだ。散開!」

 

 

 囚人棟にやってきた、オルタナティブのグラ分隊。エヴリンとセルケトとクリスのチームと、オメガの分隊の三つに分かれてクレアたちを捜索中だ。三人の部下を散開させて、グラは慣れぬリーダーという役割に嘆息していた。

 

 

「エヴリンの指示に従って暴れる方が性に合ってるんだけどなあ……孤島だからって選ばれたけど、やるからにはみんな守って見せるのだ…!」

 

 

 ふんすっと意気込むグラは、自分も探索に加わろうと意気揚々と前を向く。生気のない白目と、眼があった。

 

 

「a」

 

「ポッポァアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 まるで機関車を思わせる巨体に、死人のように白い肌の口は裂けて赤く染まり、白目を剥いた巨大な女性の顔を持ち、胴体は長い黒髪で隠れてそこから巨大な蜘蛛の脚が生えており、背中からは棘が幾つもの伸びている、人面蜘蛛というべき不気味な姿のそれ…ロイタラー(徘徊者)が、汽笛の様な絶叫を上げる。

 

 

「趣味が悪い怪物なのだ…!」

 

 

 グラは咄嗟に、拳を振りかぶって右ストレート。ロイタラーはそれを顔面に受けながらも、バックステップで後退。蜘蛛脚をシャカシャカ動かして口を大きく開きながら突進。グラは咄嗟に横に飛びのいて回避するも、背後でばくんっと口を閉じた音が聞こえて冷や汗をかく。

 

 

「鮫を喰うつもりなんて生意気なのだ」

 

 

 蜘蛛脚をドタバタ動かしてその場で方向転換するロイタラー。冷や汗をかいて踵を返して逃走を開始したグラを執拗に追い回し、次々と蜘蛛脚がグラを突き刺さんと大地に突き刺さり土煙を上げていく。逃げながらグラは口をもごもごさせて、振り返りざまに生え揃った牙を弾丸の様に撃ちだして攻撃。それに驚いた表情を見せたロイタラーの顔面に突き刺して、髪の間から血が噴き出る。確かな手ごたえ。

 

 

「ポッポォ……」

 

「あれ、逃げた?」

 

 

 すると、弱々しい声を上げながら高速でバックするように後退していき姿を消すロイタラー。どうやら手傷を負うと大事を取って逃げ出す習性があるようだ。まるで獣の様だと、鮫から生まれたグラは呑気な感想を脳裏に浮かばせ、一瞬考えこむがすぐに部下が危険だと判断して追いかけることを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 線虫の様に蠢く糸が、アトラナートの言うところのW-ウイルスが、頭頂部の脳から私の、いやハンターΘの体内に侵入してくる。感覚でわかる、浸食されていく。まるで蜘蛛の巣を張り巡らせるように、全身に広がっていく。神経と同化した糸が細胞の一つ一つに纏わりついて、別の生き物に作り変えられていく。まるで肉と骨を溶かされぐちゃぐちゃにされるかのような言いようのない感覚。痛みこそ感じないため妙な気分だ。ハンターΘが痛覚を感じない体質じゃなかったら、どんな激痛だったのか想像に難くない。

 

 

「こんなもんかなぁ」

 

「かはっ……」

 

「「エヴリン!?」」

 

 

 満足げにアトラナートが呟くのと同時に拘束していた糸が緩み、私の体が解放され地面に投げ出される。痛くはないけど苦しい。骨格が変形していく。本来存在しない器官が体内に作られ、身体が変異するのを、止められない。赤紫色のハンターの右腕はそのままに、視界の中の左手の内側から皮を突き破って、アトラナートと同じ蟲の外骨格を思わせる異形の左手が顔を出す。そして、背中。背中を引き裂くようにして、赤紫色の毛に包まれたタランチュラの物を思わせる蜘蛛の脚が二本生えた。私の意志に応じて、ワキワキと動く。アトラナートと同じように身体を作り変えられた…!?これが、W-ウイルスの力…?肉体を蜘蛛の遺伝子に置換させてしまうんだ…!………どこのスパイダーマン?

 

 

「でも、だけど…!」

 

「おっと。ごうじょうだなぁ」

 

 

 そのままセルケトの頭に手を置いて同じことをやっていたアトラナートに、蜘蛛脚を叩きつけるがそれはラフネックに受け止められてしまう。これ、蜘蛛の力を与えることはできても、私みたいに洗脳はできない様だ…!なら、ハンターΘの体には悪いけど、使いようはある…!

 

 

「ねえ。よくかんがえてぇ?いまのかわりはてちゃったあなたをりかいできるのはわたしだけなんだよぉ?かぞくになろうよ、ね?」

 

「そんな甘言で眷属を配下にしてきたみたいだけど!なんも心に響かないよ!」

 

「ひどいなぁ」

 

 

 私の猛攻に応戦するラフネックの肩に乗りながら甘い言葉を投げかけるアトラナートだが、その声は無機質なモノ。相当心神喪失してるか、力に魅了されないとそんなものには騙されない。今度はこっちが洗脳してやる。そう思って、身体から抜け出そうとした。しかし、何も起きずに狼狽えたところをラフネックに殴り飛ばされゴロゴロと無様に転がる。え、なんで…?

 

 

「さっきみたいにこころだけにげるのはひきょうだから、いとでがんじがらめにぬいつけておいたよ」

 

「は!?」

 

 

 つまり、ハンターΘの体内の菌根のルールか設定を書き換えて、私が出られないようにしたって事?この身体に閉じ込められちゃったってこと?それはまずい、すごくまずい。今ハンターΘが目覚めたらどうなるのか未知数だし、出られないんじゃいつもの方法のほとんどが使えない。そしてセルケトに触れるな、まずいんだって!?止めようとするも、ラフネックに押さえつけられジタバタ暴れることしかできない。いつも通りなら、押さえつけられることなんてないのに!!

 

 

「ぐうっ、あぁあああああああっ!?」

 

 

 苦悶の声と共に、頭にアトラナートの手を乗せられたセルケトの人の姿をしている顔と左半身が変異していく。黒い髪の毛に黄色いメッシュがいくつも入って右側を隠すように前髪が伸び、露出している左眼の横に新たに紅い複眼が二つ生え、左肩と腰から蜘蛛脚が伸びる。人間と蠍と蜘蛛のキメラみたいな姿になったセルケトは、苦しみから一転恍惚とした表情を浮かべて、新たに生えた蜘蛛脚を見つめる。あ、まずい。セルケトはもともと、最高傑作であることにこだわりを持ってたやつだ。洋館事件で共闘してなんやかんやで仲間になってたけど、決して善性の持ち主ではない。

 

 

「素晴らしいわ!生まれ変わった気分よ、最高…っ」

 

「セルケト…お前…!」

 

「きにいってくれた?」

 

「気に入ったわ。でも足りない、もっと。もっとよ。この力があれば、ウェスカーも殺せる…!」

 

 

 そりゃあこうなるか。前回、洋館事件にてウェスカーに勝てなかったセルケトだからこその悩みだったのだろう。自分の力不足。強大な力を与えてくれるアトラナートの存在は渡りに船だったに違いない。

 

 

「もっとほしかったら、わたしのかぞくになって?」

 

「いくらでもなってあげるわ。だから、もっと…力を!」

 

「セルケト!しっかりしろ!お前の目的は、ウェスカーに自分を見限ったことを後悔させてやることじゃなかったのか!そんな、借りものの力でなんになる!?」

 

「うるさい!おまえに何がわかる!?あの二人に、兵器として生みだされた私の気持ちが!?」

 

 

 クリスが動けないながらに説得するが、セルケトは聞く耳を持たない。そんなクリスの頭に、アトラナートの魔手が迫る。セルケトは止めるそぶりを見せない。クリスまで、私たちの二の舞にさせるわけにはいかない……!ラフネックに押さえつけられたまま、左手を伸ばす。イメージするのは、長いこと共にいた共犯者の、得意技。そうだ、クイーンの身体を使って使ったこともあるんだ。イメージしろ、届かない場所に届く手、力!

 

 

「とどっ、けえええええええ!!」

 

 

 掲げた左掌に空いた穴から、一筋の糸が伸びた。私はそれを、アトラナートの手にくっつけ引っ張り、いきなりのことで驚いていたアトラナート本人を糸の檻に捕らえることに成功する。こうなれば身動きが取れないから、アトラナートは糸の檻をほどいてクリスが解放。サムライエッジが火を噴いて、ラフネックの顔面に弾丸を叩き込んで私の上からどかしてくれた。自由になった私は外壁に糸を伸ばし、引っ張る勢いで空を舞い、クリスを抱えながら訓練所の敷地から飛び出す。

 

 

「おい、セルケトは……」

 

「今は無理!とりあえず、逃げるよ!」

 

 

 私の共犯者が糸使いで本当に良かった。




W-ウイルスは簡単に言うと、感染させた人間に蜘蛛の力を与えスパイダーマンもどきに変えてしまうウイルス。どうなるかは完全にガチャなので、異形だったり喋れなかったりします。ただし洗脳まではできないから忠誠心はまちまち。精神的に追い込んで能動的に自らの味方になるようにするのがアトラナートのやり方。

アトラナートの眷属の一人、ロイタラーのモチーフは恐怖の森のヨシエ、人喰い機関車チャールズ。怖い(確信)

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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