BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はエピローグ。成長したローズの瞳に映るのは…?楽しんでいただけると幸いです。
【あの事件からしばらくして。
不可思議なことだが、三年前にイーサンが倒したエヴリンの残留思念だと名乗ったモールデッド・ギガント(の頭部)と仲良くなった頃。
エヴリンの予告通り、限界の来ていたイーサンの身体は緩やかに崩壊していき、村での死闘から二年後のつい先日にこの世を去っていった。最期までローズを心配させまいと笑みを浮かべ、俺を始めとした多くの人間に看取られた。石灰化した亡骸は利用されないために俺が預かっている。あの小生意気な子供と、口の悪い友人を失ったのは残念だ。
また、まだ幼いローズとミアのことを二人に託された。ローズの持つ不思議な力も含めて、俺が責任を持って最後まで父親を全うした彼の為にも守っていくことにする。…ピアーズ。お前たちの様な犠牲を俺はもう二度と……(ここまでで終わっている)】
「――――焼け残った森は人々に父親の犠牲を思い起こさせ…今でもなお、その荒れ果てた土地をじっと見つめた子供は、ベリーを摘みに行き迷子になる悪夢を見るといいます、か」
村での惨劇からいくらか月日が流れ、とあるバスの中にて。かつてミアに化けたミランダがローズに読み聞かせた絵本【Village_of_Shadows】を小さな声で読む少女がいた。隣の席に花束を置き、返り血がそのまま乾いたような妙な柄のミリタリージャケットを羽織り、左手の人差し指に指輪を、左耳にはインカムをつけ、首元まで伸びた長い金髪を靡かせ黒い帽子を被った10代半ば程の少女だ。どことなくミアやエヴリンを彷彿とさせる顔立ちの少女は前の席の親子の会話を見ながら笑うと、目的地についたのか荷物を纏めて降りて行く。
「…うん、わかってる。父さん」
一声そう呟いて降りた先は、墓地の丘。その中の、少し奥まったところにその墓石はあった。中身の無い墓石。そこには、【Ethan Winters】と刻まれていた。
「…父さん。誕生日おめでとう」
そう言って花束を置く少女。その視線の先は墓石ではなく、空に向かれていた。
「先週は来られなくてごめん。テストとか色々あって…言わなくてもわかるよね?来るなって言われてたけど来るよ、私は。だって……」
そこまで言って、ブレーキとクラクションの音が聞こえて振り返る少女の視線の先には、黒光りする無骨な車があった。降りてきたのは黒服にサングラスの人物。少女はあからさまに嫌な顔をする。
「もう、タイミング最悪。仕事みたい。そう怒らないで。…愛してるよ」
「ああ、見つけた……例の場所だ。こんな日に限って」
苦笑いしながら男の元に赴く少女。どこかに連絡していた様子の男は少女と向かい合い、姿勢を正す。
「君の出番だ。頼むぞ、エヴリン」
そう言うと怒りに満ちた表情で男の胸ぐらを掴む少女。その目には殺意さえ宿っていた。
「二度と、その名前で呼ばないで。それは姉さんの名前よ。侮辱するのは許さない」
「おいおい、ただの冗談だろローズ」
男は手を上げて降参の意を示し、少女…成長したローズマリー・ウィンターズは男の胸ぐらを掴んだまま続けた。
「クリスも知らない「力」をアンタで試してやってもいいんだよ?」
≪「何時でも撃てるぞ」≫
「待機してろ。問題ない。まだガキだ」
そして突き飛ばし、ローズは大人しく車の助手席に乗り込み、男もどこかと連絡するとネクタイを正して運転席に戻る。
「まだコントロールできない…」
「彼に似て来たな」
「…知ってる」
何かに落ち込んでいた少女だったが、男の言葉に笑みを作る。そして車は走りだす。これは確かなハッピーエンド。イーサンとエヴリンが死力を賭して守り抜いたローズは立派に美しく成長した。イーサンは結局崩壊からは免れずに死んでしまったが、それでもその意思はともにある。なぜって?
『なにアイツ、いま私の妹を私の名前で呼んだ?しかもめっちゃ悪意ある感じで!イーサン生きていたら多分ぶん殴らせてたわ』
『同感だ。勝手に俺の娘に関わっておいて調子こきやがって。ローズの手が汚れるだろうが』
『それにガキ呼ばわりだなんてひどい!こーんなに大きくなったのに!』
『ローズ…大きくなって(ホロリ)』
『イーサンに似てきただって。そこのところどう?パパ』
『嬉しいに決まってるだろ。たまにはいいこと言うなこのグラサン』
『でもここにイーサンいるのにこんなに墓参り来なくていいのにね。イーサンの死体が埋まってるわけでもないし』
『親孝行できるいい子だ。俺は嬉しい』
「父さん、姉さん。二人とも、台無しだから嬉しいけど黙ってて」
そう、呆れた様子で小さく文句を垂れるローズ。なぜってこういうわけだからである。ローズの周りに浮かぶ、ローズとミアにしか見えない大小二つの幻影、否残留思念または幽霊。ローズより幼く見えるが立派な姉である少女エヴリンと、ワイシャツにジーンズ姿のローズの父親である男イーサンだ。
『でもまさか、イーサンまで私と同じになるなんてなあ』
『BSAAの集めていたエヴリンや特異菌のデータのおかげでお前の力の事は大体分かったからな。使い方さえわかれば、同じことはできる』
『イーサン私よりB.O.W.してるよ、ミランダもびっくりだよ』
あまりにも心残りだったため、ミア・ローズの中にある自分の細胞を利用してエヴリンと同じ状態になれるまで自分の身体を使いこなせるようになったイーサンは、肉体を失った今でもローズやミアと未だに仲良く過ごしていた。娯楽は主に映画観賞とかドラマ観賞だけで、エヴリンと同じく食事はできないため結構ひもじい思いをしている。
『イーサンの肉体がないから実体化こそできなくなったけどね。せっかくモールデッド・ギガントの頭だけイーサンの右手に形成して食事できるようになったのになあ。二年ぽっちじゃろくに好きな物を食べれなかったし』
『文句を言うな。お前の食道楽に付き合わされてたくさん料理を作らされたミアに感謝しろ』
『それは感謝してるけどさー、レストランの料理とか
『謎のラインナップ…お前の食べ方はまさに化け物なんだから一般の所で食べる訳にいかないだろう』
『ピザはすごく美味しかったなあ。それに、クリスと会話できなくなったんだよね。結構楽しかったんだよ?同じ妹がいる者同士意気投合したし』
『ああ、クリスとミアやローズごしにしか会話できなくなったのは辛い所だ。あいつ、俺の死に責任を感じてたからなあ。俺が選んだ道だってのに』
『いやまあ、イーサンが必要以上に傷付いたのクリスが全然事情を話してくれなかったからだし』
『父親として放っておけるわけないんだよなあ』
「………黙って。うるさい」
『『ごめんなさい』』
仕事を終えてバスで帰路につくローズの周りで幽霊談義に花を咲かせていた父親と姉を、冷たい声と共にギロリと睨み付けてきたローズに委縮するイーサンとエヴリン。ローズは縮こまる二人に満足そうに笑うと手元の【Village_of_Shadows】に視線を向ける。
エヴリンに何度も何度も、この絵本みたいに私とイーサンで四つの怪物たちと魔女を倒してローズを助けたんだよ!鉄の馬は倒してないけどね!と耳にタコができる程に聞かされた、記憶にうっすらと残る父親と姉の頑張りに、ふと笑みが漏れた。それを不思議そうに見守るイーサンとエヴリンに顔を向け、ローズは満面の笑みを浮かべて告げる。
「父さん。姉さん。大好きだよ」
『『知ってる』』
「もう、台無し」
ローズを乗せたバスは未来へと突き進む。優しい父親と愉快な姉が繋げてくれた未来へと。ローズマリーの名の通り、変わらぬ愛がそこにある。
イーサンもエヴリン同様「残滓」になってローズと共にいる。このエンディングを最初に思いついて書き始めたのがこの作品でした。イーサンの延命は二年が限界。その間エヴリンと共に幸せな日常を過ごした模様。
最初のはどうなったのかを簡潔にまとめるクリスの日記です。この直後イーサンとエヴリンが普通に残っていたと発覚します。
イーサンとエヴリンと共に毎日を過ごすローズ。確かな愛がそこにある。
次回からは番外編!IFルートやら思いついた話やら。皆さんお待ちかねハイゼンベルク生存ルートからになるかな?次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ハイゼンベルク生存ルート思いついてるけど本編後に…
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ミランダを倒してハッピーエンド
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ミランダを倒すもローズを奪おうとして敵対
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ミランダを倒すもクリスとの戦闘に移行
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ミランダを倒すもイーサンを助けるため…
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書かなくていい