BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はついにパペッティア戦。楽しんでいただけたら幸いです。
「ケケケケッ。死んでもなお綺麗よポリポッド。死の舞踏を踊りなさい」
「……」
声しか聞こえないパペッティアを名乗る女が操っているのか、死んだはずのポリポッドが血の涙を流しながらカクカクと不気味な挙動で動き出す。何とか戦えるぐらいに回復できた私と、クリスが身構える。さっきの戦いでポリポッドの動きは分かった。対応はできるはず!
「なんだ?声の主の女は死体を蘇生する力でもあるというのか!?」
「そんな風には見えないけど…!」
「……!」
ゾンビの様な唸り声すら上げず、ひたすら無言で、まるで滑るようにしながら四本の蜘蛛脚を振り回しながら突撃してくるポリポッドの突撃を、私とクリスは反対側に出て回避。クリスはハンドガンを連射、私は蜘蛛脚を爪で弾きながら懐に潜り込む。胴体に五連発弾丸を受け止め、私のミドルキックが脇腹に突き刺さる。しかし、不思議なことが起こった。撃たれた反動でクルクル回ったかと思えば、私に蹴られてふわりと空中に飛んで行ったのだ。
「え?」
「なんだ?この手ごたえのなさは……」
そのままふわりと階段に着地するポリポッド。そこで違和感に気付く。足を踏みしめて、ない…?なんか浮かんでる……?そのままグキゴキと音を立てながら仰向けになって首が反転。血の涙を流す顔を前に向けた四肢含めて八本足の蜘蛛の様になったポリポッドがズカズカと突進してきたのを、咄嗟に回避する。怖い怖い怖い怖い!
「ケケケケッ!ああ、最高よ!可愛いわ、ポリポッドォ!」
「…こっちを見てるのは確かだなぁ」
「だがその動きなら…!」
クリスは容赦なくストンプで反撃。胴体を踏みつけにするが、ポリポッドはじたばたと暴れて抜け出し、クリスに飛びついて八本の脚で拘束し締め上げてきた。動きがさっきまでと全然違う!なんなんだこの違和感は!
「なっ、しまっ…ぐうっ!?」
そのまま鋏角で噛みつこうとしてきたのを、ポリポッドの頭頂部を掴んで無理矢理引っ張ることで回避。しかし咄嗟の事で力加減ができず、ボキッ!と音を立てて、ポリポッドの首をへし折ってしまった。クリスにしがみついたまま、ぶらんぶらんとぶら下がる頭部の血に濡れた光のない眼が睨んできて来ているように見えて、「ヒッ」と小さく悲鳴を上げてしまう。まるで、壊れたおもちゃのそれだ。
「力が強く……!?なんなんだ、これは…!?」
「ケケケケッ!いくら壊れても動き続ける!ゾクゾクするわぁ!」
「えっ?」
首が折れたというのにさらに力が増したらしいポリポッドをクリスから引きはがそうとするも、ビクともしない。なんて剛力だ。力を入れながら視線が上を向いて、見えたものに困惑の声を上げる。壊れた屋根の下、影になっているところに、なにかいる?
「っ、そうか!貸して、クリス!」
「ケケケケッ。あら?」
クリスから奪い取ったサムライエッジを、天井に向けて連射。弾丸は天井の下で蠢いていた何かに当たり、天井から引きはがすことに成功。すごい勢いで落下してくることはなく、さっきのポリポッドの様にふわりと舞い降りてくるそれは、異形の令嬢だった。
漆黒のボロボロのドレスを着ている金髪をふんわりロングにした女性の姿をしているが、上半身は仰向けになっており、腕が4本生えてそのうち2本は人間のものであり、もう2本の右手首はハルパー、左手首は廃材を繋ぎ合わせたモーニングスターのような武器になっている、生物と無機物の融合体。下半身のドレスの下から蜘蛛の脚が4本生えていて壁に張り付き、逆さまの体勢でこちらを見て、三日月のように裂けた口と左目は糸で縫い付けられ、右目は開いたままバツ印に縫われている顔で不気味に笑う。まるで、人形だ。
「ケケケケッ。ばれてしまったわ。ああ、可愛い。食べてしまいたいぐらい」
人間の手二本を動かし、ポリポッドをクリスから引きはがして浮かばせると直立で立たせて引き寄せ、血まみれのその顔に頬擦りし唇にキスまでする異形の令嬢に、私とクリスは身構える。ふざけているけど、あのハルパーやモーニングスターの様な腕が隙なく構えられている。攻撃、できない。
「……お前がパペッティアか」
「仲間の死体を操るなんて、趣味が悪いね」
「ケケケケッ。お褒めに預かり光栄よ。お礼に、殺し合いをプレゼントするわ」
「は?」
「っ!?」
そう言ってポリポッドが右手をかざしたのを見て私が首を傾げたのと、クリスが驚愕の声を上げたのは同時だった。いやな予感がして、その場から飛び退く。今の今までいた場所に、ナイフを振り下ろしたクリスがいた。
「クリス?なにを……」
「わからん、だが何かが俺の身体を……逃げろ、エヴリン!」
ナイフを逆手に持ち替え、私目掛けて突進し振り降ろしてくるクリスの一撃を、右手の爪で受け止める。いくらクリスが鍛え直したといっても尋常じゃないパワーだ。見れば、ポリポッドを左手に抱きかかえたパペッティアが右手を掲げながら笑っていた。そういう、ことか……!こいつの能力は、生者死者問わず、他者の自由を奪い意のままに操る能力…!文字通りの、人形遣いか。
「ケケケケッ。わたくしはパペッティア。アトラナート様と眷属以外は普くすべて私の人形。私からは逃れられないわ」
「うぐおおおっ!?」
「クリス!」
明らかに関節の可動域を無視した動きで、連続で斬り裂いてくるクリスの連撃を斬り弾いていく。クリスのサムライエッジはまだ左手に持ったままだけど、クリスは元空軍出身の軍人だ。ナイフの扱いにも長けていて、
「こんの!」
「おっと危ない。ケケケケッ」
クリスの一撃を受け止めた反動で舞い上がり、空中からサムライエッジでパペッティア本人を狙うも、やはりというかハルパーとモーニングスターで弾かれ防御されてしまう。着地したところにクリスの下段狙いの斬撃。私は跳躍して、悪いと思いながらもクリスの顎を蹴り上げる。仲間だからと攻撃できないと思うなよ。こちとら家族以外には割と容赦しないエヴリンさんだぞ。
「ん?」
操られているからかさっきのポリポッドみたいに手ごたえなくふんわり蹴り飛ばされたクリスを見ながら着地して、それを見る。壊れた屋根から差し込む月光に煌めくなにかを。
「そうか!見えた!」
私はくるりとクリスの頭上を宙返り。すれ違いざまに、何もない空間を斬り裂いて背後に着地する。同時に、力なく崩れ落ちるクリス。パペッティアは余裕の笑みでパチパチと拍手した。
「ケケケケッ。よく気付いたわね。私の糸に。褒めてあげるわ」
「……仲間の死を利用するばかりか、仲間まで操って殺し合いさせて……絶対、許せないんだから…!」
こちらを見下した笑みと態度を見せるパペッティアに、堪忍袋の緒が切れた。ハンターΘの体に閉じ込められた私だけど、私だからできることはまだある。菌根に接続。引き出すのは、人を操ることに長けた力を持つ、目の前の奴と同じ、人形遣い。
「
肉体に憑依した状態での記憶継承の使用なため、いつもみたいにノイズが走って姿かたちこそ変わらないものの、ドナの記憶をインストールする。菌根に感染した植物の操作。これを利用して幻覚を見せる。私は体内の菌根を操作して植物の花粉を再現、それを掌からパペッティアに向けて放出する。生物ならこれで終わりだ。ベビーの幻影でも見せてショック死させてやる。あまりに凶悪だから、Gアネット戦ですら使わなかった奥の手だ。
「ケケケケッ。なにをしたのかしら?」
「え……うそ……」
しかし、パペッティアは不思議そうな顔で花粉を振り払う。なんで、そんな、バカな、精神攻撃耐性があるとかそんなレベルで超えれるものじゃないぞ。かかればかけた本人を殺すまで抜け出せず、必殺まである凶悪な能力だ。狼狽える私に、ふわりと浮かんで近づいてきたパペッティアのハルパーが突き刺さる。
「ケケケケッ。絶望顔は愛しいけれど、
「あっ……」
そのままばっさりと、腹部から右肩までかけて斬り裂かれ、鮮血が噴き出る。猛毒であるはずのそれを受けても平然としているパペッティアに、力なく手を伸ばして、しかしそれは届くことなく私は崩れ落ちた。
思い出すのは、ベルセポネとの戦い。私はあの時点で、
「……
ゲーム風に描くと、ポリポッド敗北直後にパペッティアの声と共に復活。一定ダメージを与えたらパペッティア出てきて、二対一になる…みたいな感じでイメージ。
一撃必殺の記憶継承、ドナ。なのになぜかパペッティアには効かなくて…?メタ的に言うと強すぎてこういう場面でしか使えないってのもある。
そして、許せない強敵を前に禁忌の記憶継承。どうなるエヴリン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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