BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。多様性な今作でも初となる、マザー・ミランダ視点のお話。時系列は、ローズ編最終回に戻ります。

母親で在り続けた過去の亡霊、出陣。楽しんでいただけたら幸いです。


fileCV:48【マザー・ミランダ】

 エヴァがずっと、そこにいた。そう気づかされたのは最後も最期。ゼウ・ヌーグル(黒き神)に利用され尽くされ、力が尽きようとしている間際、同じくゼウ・ヌーグルに力を奪われ消えかけていたエヴリンを、あの男(イーサン)ともども私の計画全てを水泡に帰して台無しにした忌々しい小娘を、せめて道連れにしようと足掻いていた時だった。

 

 

「いいことを教えてあげる。私がエヴァ、らしいよ。貴女の娘の生まれ変わり」

 

 

 いつの間にか菌根の力を使いこなせるようになっていたエヴリンに圧倒され、とどめを刺されそうな瞬間にそう告げられた。同時に、摩耗し忘却の彼方に行きそうになっていたエヴァの顔が、忌々しい小娘の顔と重なって。

 

 

「…そうか、我が願いは既に……もっと早く気づいていれば……すまない、エ…ヴァ……」

 

 

 そのとき、合点がいった。最高の器だったローズを受け皿にしても、エヴァは宿らなかった。当たり前だ、エヴァは既に生まれ変わっていたのだから。

 

 私は、エヴァの胎をコネクションに提供し、エヴリンが生み出された時点で、悲願が果たされていたなどと考えもしなかった。「エヴァを蘇らせる」その悲願を果たすための手段がいつしか目的にすり替わり、盲目になっていた視界が、まるで暗雲に光が差し込む様に明るく照らされる。笑顔で、今の家族のもとへと旅立つ少女の姿が見えて。私は、自らの手で最愛の娘を苦しめたことに後悔しながら、潰えた。

 

 

 そうして辿り着いたのは、無数の人の形をした「記憶」がひしめく下へ下へ続く塔の様な監獄。菌根の世界だと、すぐ理解できた。私もまた、過去菌根に吸収された人間たちと同じように囚われたのだろう。せっかくこれたのだから研究するのも一興か、なんてのんきに考えていたのもつかの間。視界の端に、監獄塔の吹き抜けを落下していく黒いワンピースの少女が見えた。ローズやイーサンの元で平穏に過ごしているはずの、エヴリンだった。

 

 

「っ、エヴァ!」

 

 

 手を伸ばすが、届くことなく少女は塔の底まで落ちて行って。そして、エヴリンから伝わる外の情報。何を血迷ったのかこの馬鹿娘は、菌根を伝って1980年まで飛んでしまったらしい。しかも帰り方がわからないと来た。菌根を使ってタイムスリップできるなんて目から鱗だが、馬鹿なのか?

 

 

 

 そこからは、ハラハラしながら娘の生まれ変わりの奮闘を見守った。かのT-ウイルスを生みだしたヒルと仲良くなり、G-ウイルスを生みだしたリサ・トレヴァーを強奪し、洋館事件やラクーンシティの悪夢を追体験してスペンサーの目論見が狂っていく様を見るのは愉快だった。

 

 そんな中、ベルセポネと菌根世界で相対した時に、私の存在が引き出される感覚を感じた。エヴリンに引き出され、私の情報で上書きする感覚。これはだめだ、と感じてこちらが留まったからよかったものの。あの調子で引き出したらエヴリンの存在が消えてしまう。

 

 何度もループを繰り返し摩耗していく様を見ているのは心苦しかった。途中にゼウ・ヌーグルが介入したのに、エヴリンはこの時代に残ることを選んだ。その志は美しいものだ。だがエヴァの親として、娘が苦しむのを見るだけなのは、辛かった。

 

 そして最後のループでついにものにした、記憶継承と呼ぶ我々菌根の記憶を引き出す力。うむ、ネーミングセンスまで私に似たか。嬉しいぞ。だが呼び出したのがハイゼンベルクというのがいただけない。あんな蚯蚓の巨人など私が出向けば瞬時に始末してやったのに。だが、やはり危険な力だ。エヴリンを核に我々の記憶をテクスチャとして貼り付けて使役する力……確かに画期的ではあるが、記憶というのはその人間の営み、人生そのものだ。そんなものを一時的にでも自らに上書きしているのだ。頼むから、これ以上心配をかけさせないでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、本来の歴史には存在しなかったW-ウイルスとその権化、アトラナート。世界のバグとも言うべき黒き神(ゼウ・ヌーグル)にもよく似た精神性の怪物に、一つの体に封印され苦戦を強いられるエヴリン。また死にかけているところを、見ていることしかできないのか、そう失意にも似た感情を抱いた時、奇跡が起きた。意識が朦朧しているのだろうか、決して力を借りたくないであろう私の名を、呼んでくれた。

 

 

「ああ、エヴァ。私を呼び覚ましてくれて母は本当に嬉しいぞ……」

 

 

 エヴリンの今の肉体を借り受け、数十年ぶりに生身の感覚を得る。擬態を応用して重傷を再生させ、私であることを示すように黒衣も形作り身に纏う。目の前には、パペッティアを名乗る人形と、その操り人形にされたポリポッドなる哀れな女。変貌を遂げた私を見て、二体は身構える。

 

 

「エヴァよ、母がお前の敵を屠りに来たぞ……!」

 

 

 右手の鋭い爪を変形させ、枝の様に鋭い五指として一振り。空気を斬り裂いた斬撃が衝撃波となって、パペッティアが防御のために交差したハルパーとモーニングスターを弾き飛ばして胸部に切り傷を作る。頑丈だな。蜘蛛由来にしては違和感があるが……まあいい。む?若かりしクリスの驚愕の顔とは、いいものが見れたな。

 

 

「ケケケケッ。血生臭い大衆芝居(グラン・ギニョール)のために衣替えしてくれるなんて、なんて殊勝な心掛けなのかしら!」

 

「遅いわ」

 

 

 パペッティアに操られたポリポッドが死角から襲い掛かってくるが、複数のカラスに擬態して回避。その背後で実体化し、頭部に右の五指を突き刺す。手ごたえがない、まるで暖簾に腕押し、だったか?日本のことわざのそれだ。これは斬っても突き刺しても意味がないな。

 

 

「ケケケケッ。ポリポッドと死ぬまで踊りなさいな」

 

「私には、関係ない」

 

 

 左手も鋭い五指に変異させ、右の指を揃えてポリポッドを打ち上げる。やはり糸で繋がっているのか、空中で体勢を立て直して飛び掛かってくるも、翼を広げて飛翔した私の斬撃で奴の蜘蛛脚を弾き、そのまま連撃。反撃も許さず滅多斬りにしていき、パペッティアと繋がっている糸も断ち切って、斬撃の渦に閉じ込める。

 

 

「再生する能力は、絶え間なく攻撃を浴びせ続ければキャパを超えて再生しなくなる。常識だ」

 

 

 そして、バラバラに引き裂かれてボトボトと転がっていくポリポッドだった残骸を拾い上げ、人形のような顔を激情に歪ませるパペッティア。

 

 

「ケケケケッ!よくもかわいいポリポッドをぉお!」

 

「可愛いと思っているなら、容易に手放すな。先達からのアドバイスだ」

 

 

 激高し、蜘蛛脚を動かしてハルパーとモーニングスターの様な腕を振り回しながら突進してくるパペッティアの四つの腕を、蜘蛛の脚を、翼が変形した菌根の触手でからめとり、持ち上げる。

 

 

「……そろそろエヴリンが限界だ。()()ね」

 

 

 そして頭上に掲げ、触手をそれぞれ反対方向に引っ張る。メキメキと音を立てて耐えていたが、耐え切れずパペッティアは爆散。飛び散った血肉と木片、ハルパーとモーニングスターのパーツが虚しく転がった。手ごたえがまるでなかった。他者を操ることだけに特化した奴だったのか?まあいい、其れは私の考えることではない。

 

 

「体を返すぞ、エヴァ……いや、エヴリン。頼むから、無茶をするな。お前が倒れればイーサンもローズも悲しむ。家族を……娘を失うのは、辛いぞ」

 

 

 そう言い残して、自ら退去する。私の練度ならこのままこの肉体を糧に顕現することもできたのだろうが、もうそんなつもりはない。私は過去の亡霊だ。今を生きるものに譲るべきだろう。……本当に、そう思っていたのだが。

 

 

「はへっ?」

 

『うん?』

 

 

 目の前には、エヴリンとハンターΘを合わせたような姿に戻ったエヴリンの呆けた顔。はて、こんな傍から見れただろうか。違和感を感じて、見下ろす。うっすらと透けて床が見える私の黒衣があった。うむ、あれだな。封印されてない時のエヴリンと同じだな。HAHAHAHA。

 

 

「『え?』」




ラスボスは伊達じゃなく、パペッティアとポリポッドを瞬殺するミランダ。エヴリン=エヴァと知って正気に戻った模様。ただの親馬鹿になってます。そしてまさかのレムナンツ化。この人の記憶ダウンロードするにはさすがに情報量が多すぎた。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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