BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は、セルケトの生きざまここにあり。楽しんでいただけたら幸いです。
「え、なんで?」
『何が起きた……?』
覚悟して意識を明け渡したのに、目を覚ましてみたら困惑するミランダの幽霊(?)がそこにいて。クリスには見えてないのか首を傾げている。慌てて周りを見る。残骸らしき血肉や木片が散らばっていて、あのパペッティアとポリポッドに勝利したのは想像ついた。
「み、ミランダだよね…?」
『そうだが……なにかバグが起きたのか…?』
「え、本当にミランダ?なんか雰囲気違うけど……え、どうしたの?さっきも私の事心配してたし頭撃たれた?あ、ミランダはもともと頭おかしいか」
『おい喧嘩売っているのか貴様。エヴァの生まれ変わりでも手が出るぞ』
真顔でツッコまれた。ごめんて。なんかミランダが反省してるのは理解できた。理解できたんだけどさ………ゼウの事件で私、平行世界のミランダも見ちゃってるんだよねえ。
―――――「面白い、が。モルモットとして生かしておくには出来損ないの存在が目障りだ」(本編)
―――――「今更気付いたか。だから貴様は出来損ないなんだ、エヴリン」(工場長生存ルート)
―――――「奴等には黙っておけよエヴリン。反抗されては困るからな。奴等は用済みだ。こうして器が手に入ったのだから」(四貴族In EvelineRemnants)
―――――「誰が毒親だ…!私ほど娘を愛している者もいない!この時を夢見て生涯を費やしてきたのだ…なのにそれを奪おうというのか?」(狂える聖母と最高の父親IF【二人のエヴリン】)
―――――「くそっ、くそっ!なぜだ、完璧な擬態だったはずだ!」(BIOHAZARD7【feat.EvelineRemnants】)
―――――「ああ、神託を受け取りました我が神よ!」(Shadows of Rose【Ethan&EvelineRemnants】)
うーん、思い返しても一つも好印象無いの、いっそすがすがしいな。それがいきなり優しくなったら誰でも困惑すると思う、うん。
「……まだ悪さをするつもりなら、私が全身全霊で相討ちになっても消すから…!」
『待て待て待て。私としてもお前が消えるのは困る。いやできればもう苦しむことなく元の時代に戻って欲しいが……お前はそれを望まないだろう』
「どういう風の吹き回し?」
疑問符を浮かべているクリスを無視して、真面目な顔をしているミランダの幻影に問いかける。するとミランダはつきものが落ちたような顔で続けた。
『私は……母親としてエヴァが、生まれ変わったお前の、生き生きとしている姿が見たい。それだけだ』
「今更母親面しないでよ。マダオたちにやったことは忘れてないんだからね」
『わかっている。その罪滅ぼしもさせてくれ』
「あー、話は終わったか?やはり見えないというのは不便だな」
「あ、ごめんクリス」
『それやっぱりクリスなんだな……』
「わかる……」
あの筋肉ゴリラになるとは思えないぐらいスマートだよねえこのクリス。そんなところで気が合うとは、やはり私達は親子なのかもしれない。
「……がはっ!?」
肺に溜まっていた血を吐き出す。ボトボトと夥しい量の血液が口から溢れ、なんとか両手で支えて立ち上がろうとするが血で滑って崩れ落ち、蜘蛛の脚で支えて立ち上がる。
「げほっ!ごほっ!ぐふっ!…あー、しんど」
訓練所の庭で倒れ伏していたらしい。ティターニアの鎌で斬り裂かれたのか、左肩から右腰までざっくりと引き裂かれている。その傷口から糸が伸びて、縫い合わせて千切れるのを阻止している様だ。この身体になってなかったら死んでたな。
「……ウェスカーにすら届かなかったわね」
ティターニア一体に手も足も出なかった。新しい力を手にしてこのざまだ。本当に、無様だ。この手でウェスカーとバーキンを殺す。その目的は、いまだ変わってない。だけど、そうしたいのは別の理由があった。面と向かって、もう一度話をしたかった。私を捨てたのは何かの間違いなんじゃないかって。そう言ってもらいたくて。それは儚い夢なのだと打ち砕かれた。私にとって代わるティターニアの存在が物語っている。私はただの、通過点に過ぎなかったのだと。
「……これが夢であってほしいわ」
「それがあいにく、ゆめじゃないんだよねえ」
舌足らずな悪魔の声が聞こえ、振り返る。そこには、冷たい視線のアトラナートと、アトラナートを肩に乗せ怒りに顔を歪めたラフネックがそこにいた。ああ、せっかくしぶとく生き残ったのに。ここが年貢の納め時か。
「ころそうとしたの、みてたよぉ」
「アトラナート様の命令を守らないとは、万死に値する……」
「そうだねぇ。……いうこときかないわるいこは、いらないかなぁ」
「よろこんで!」
「っ…!?」
蜘蛛脚を動かして、避けよう試みて。ラフネックの右の三本腕が上から順番に連続で突き刺さって、三度の衝撃が襲い来る。まっず、咄嗟に腕を挟んだけど、腕ごと肋骨が逝って…!?
「ぐはあっ!?」
「お前は!アトラナート様の!期待を!無碍にした!悪い奴!だ!」
倒れ伏した私に近づき、次々と六本腕で殴りつけてくるラフネック。顔も容赦なく殴られ、口が切れて血を吐き捨てる。襤褸雑巾の様にされて、アトラナートの前まで持ち上げられる。
「アトラナート様」
「ん、ありがと。ざんねんだなぁヘイトレッド。ぼっしゅうさせてもらうねぇ」
「なに、を……痛う!?」
アトラナートの掌が頭に押し付けられる。同時に、神経が上部に引きずり出される感覚。細断されるような激痛が全身に伴い、悶えているととんでもない脱力感に襲われる。見れば、視界の端で震えていた蜘蛛の脚が白く染まり、石灰の様に崩れ落ちてしまった。視界も元に戻っている。これは…!?
「わたしのちから、かえしてもらったよ」
「感染を、なかったことに……?まるで、神の様な……」
「アトラナート様は神の如きお方だ!ようやくわかったか、ヘイトレッド!」
ラフネックに怒鳴られながら投げ捨てられる。まずい、糸で繋いでいた傷がまた開いた。このままじゃ、間違いなく死ぬ。だけど、だけどだ。根性で立ち上がる。血が溢れ出すが、知ったことじゃない。私は、ここで立たなきゃいけないんだ。
「まだたつの?しんじゃうよ、ヘイトレッド」
「無駄だヘイトレッド。アトラナート様には指一本害させない」
尻尾を伸ばすも、ラフネックに掴まれ腕一本だけで投げ飛ばされる。体が悲鳴を上げている。ラフネックのパワーに耐えられない、限界だ。
「……私は力への誘惑に負け、唯一信頼できた男も裏切った。そこまでして、私は奴に勝てなかった。戦うことすらできなかった。私は傑作なんかじゃない、私は、弱い!」
「うんうん、そうだねぇ。ちっぽけなむしけらだ」
「それでも、私の在り方まで捻じ曲げられるわけにはいかない!何がヘイトレッドよ!わた、私はセルケトよ!ウェスカーとバーキンから与えられた名前まで否定したら、私は私を誇れなくなる!!」
そこだけは違わない。私はウェスカーとバーキンに作られた、プロトネメシス。コードネーム:セルケト。それが私だ!
「だから、なに?」
「がああっ!?」
こてっと首を傾げたアトラナートの腹部を突き破って伸びてきた蜘蛛の脚が私の甲殻を貫いて持ち上げ、投げ飛ばされる。糸だけが奴の力じゃない……私が使っていた、いや、最悪、
「アトラナート様の手を煩わせるほどでもない。お前は私が殺す…!」
アトラナートを肩に乗せたラフネックが、右三つの拳を振り上げる。殺される……!?
「はあっ!」
瞬間、誰かが割り込んでラフネックの腕三つを弾き飛ばした。そこには、黒髪を靡かせ、赤紫色の鱗に覆われた腕の爪を構えた背中があって。
「ごめん、セルケトのこと、誤解してた!」
「エヴ、リン……」
「そうだよね、親って大事だよね!貴女は私と同じだ!だから、……ミランダ!力を貸して!私は今、この身体を離れられないけど……!」
ラフネックの振るう腕を弾き飛ばしながらそう懇願するエヴリンに応えるように、黒い天使が舞い降りた。
『いいだろう。私もこいつが気に行った。黒き神の力の一端、お前に貸し与えよう。……安心しろ、そこの子供の様なケチな真似はしないとも』
そう言って、私の体に重なる黒い天使。傷が塞がっていき、そこからなにかが溢れ出し覆い尽くすのを感じる。異物ではない、私の中にあったものが、膨れ上がっていくような……!
「名付けるとしたら、モールデッド・アンタレスだね」
全身を菌根に包まれたかと思えば、開放感が広がる。背中から六枚のカラスの翼が生え、黒い衣装に身を包んだ人間の姿。腰から伸びた尻尾だけが、私達がセルケトだったと主張する。セルケトというよりはミランダよりになった姿。むしろ弱くなったようにも思えるが、そうじゃない。
「『呼び名なんてどうでもいい。私達は、セルケトだ』」
まさかまさかのミランダと合体、モールデッド・アンタレス。天へと召し上げられた英雄討ちしサソリの名を与えました。それでも彼女はセルケトだけどもね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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