BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。書くものが増えてスケジュールいっぱいいっぱいでアップアップしてます。書きたいものばかり書いてるとこうなる。
pixivで エレメンタル㏇ さんが南極編&アトラナート編のオリジナルクリーチャーたちのイラストを描いてくださいました。本当にありがとうございます!「特異菌感染者の聖地」タグから見れるので是非ともご覧あれ。

蜘蛛でも雲でも掴むの難しいよねって意味のタイトル。決着前の閑話となります。楽しんでいただけたら幸いです。


fileCV:54.5【蜘蛛を掴むような話】

 私と周りは違うのだ。そう、自我を持った時から漠然と理解していた。視界の端で巣をつくる蜘蛛をひとつまみ、簡単に指先で潰して、粘着く残骸を手を振って払う。こんなちっぽけなものだったかと、首を傾げる。つい先刻までこれと一緒だったなんて、信じられない。

 

 思い出す。注射を刺されて、大量の同類と一緒に狭い部屋の中に閉じ込められ、死にたくないから必死に足掻いた。最後の敵をドロドロに溶かして咀嚼して間もなく、私は生まれた。もともとの脚と同じ形状の五指を有する両手、変異する際に張っていた黒い蜘蛛の巣がそのまま拘束する様に張り付いた両脚、病的なまでに白く柔らかそうに見えて強靭な肌。生まれ変わった自らの姿をまじまじと見つめていると、閉ざされていた扉が開いて歓喜に震えた白衣の人間たちが入ってきた。観察していると、採血され、肌を触られ、写真を撮られる。

 

 

―――「見たかアンブレラ!我々の意地を!究極の生物兵器の完成だ!」

 

―――「もはや二番煎じとは言わせん!蜘蛛の力を人の器に収めたのだ、タイラントなど目でもないわ!」

 

―――「自力で人型に変異するとは、RT-ウイルスの可能性の極致に至ったとみていいだろう!」

 

―――「検査結果が出ました!RT-ウイルスとは全く異なる形に変異しています!新種のウイルスです!」

 

―――「我々だけのウイルスだ!素晴らしい!これをもとにさらなるB.O.W.を生みだせば我々の天下だ!」

 

 

 そんなことをほざく人間たちが、酷く、醜く映った。本能のままに手をかざし、糸を伸ばしてバラバラに引き裂く。視界が紅色に染まる。たった一振り。一振りしただけで、簡単に物言わぬ骸となったそれらを見下ろして、ストンッと何かが落ちたような感覚がした。ああ、これでもないんだ。

 

 

 その後、すぐに突入してきた特殊部隊に取り押さえられ、特に抵抗もせずに連れていかれながら、ある一つの事実だけを反芻する。

 

 

「ねえぇ。わたしはだれなのぉ?」

 

 

―――――蜘蛛でも人間でもない私は、いったい何なのだ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蜘蛛も人も超越した存在、としてアトラナート(蜘蛛の神)と名付けられて、研究のために監禁されていたが私に鍵や壁など意味をなさない。軽く脱走し、散歩していたらひどく面白いものを見つけた。人間だ。人間が、一人のたれ死のうとしている。人間ほど恵まれた生き物が存在しない、というのが私の持論だ。そんな恵まれているはずの人間が、全てを奪われ歩くこともできずに足掻いている。酷く滑稽な光景だ。そういえば、白衣の人間たちが私には生物を作り変える力があると言っていたな、とふと思い出す。あまりに哀れだったので、その人間を使って試してみることにした。

 

 あーでもない、こーでもない、と試行錯誤しながらW-ウイルスを全身に行き渡らせて肉体を作り変え、私の最初の眷属となるパペッティアが生まれた。それでこの力の有用性に気付く。私と同じように変えることができる力。これで同族を増やせばいい。そして、家族を作れば私はもう一人じゃない。

 

 その後、何度も連れ戻されながら脱走を繰り返し、たくさんの眷属を作っていたが、上手くいかないことの方が多かった。パペッティアがまず異常だったのだと気付くのも早かった。私の力はあくまで体を作り変えるだけで心までは変えられない。酷く弱っている状態なら心酔してくることもあるが、基本的に元気に反抗してくるのでW-ウイルスを取り上げて返り討ちにして殺害した。三桁に及ぶほど試した。そのうちの何人かはパペッティアの人形にされたけど、割愛する。

 

 そのうちH.C.F.から完全に離脱して、生き残った五人の眷属を伴って新天地を目指した。そこで、出会ったのだ。私に限りなく近い存在である、エヴリンに。精神的につながって、それを理解した。私のものにしたくなった。家族として、共に来てくれることを願った。だけどそれは拒絶されたばかりか、眷属も全員倒された。私の物にならないなら死んでしまえばいいんだ。満足するまで玩んでから殺そうと決意した。

 

 絶望的な状況でも足掻くエヴリンを遥か上空から見下ろして、自然と笑みがこぼれる。嗜虐心が駆られる。なんて、心地よい。ああ、もっと私を見てくれ。もっと私を恨んでくれ。その心を私への感情で埋めてくれ。この孤独を癒してくれ。

 

 

―――――私は結局、一人なんだ。




その弱点は実は明確。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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