BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は南極に向かうエヴリンたちの話。楽しんでいただけたら幸いです。
ロックフォート島から、オルタナティブのヘリコプターで脱出した私たちは、同乗したウェスカー……アルテの示した南緯82度17分に急いでいた。傍らには、ウェスカーが傍にいたら途中で殺す自信しかないセルケト(inミランダ)と、普通にでかいからという理由でティターニアが飛んでいる。ヘリ内部のメンバーは、私、ウェスカー、クリス、シータちゃん、オメガちゃん、グラ、ジョージ、タイローン、ジャン、ディラン、ユウコ、ルーサーだ。ウェスカーは完全にアウェイなのにふてぶてしく座ってる。
「ウェスカー。本当に南極にクレアたちはいるんだな?」
「心配しなくともお前の妹はちゃんといるはずだ、クリス。南極で死んでいなければな。…ハンターΘも無事で何よりだ」
「あ、はい。そうですね、アルテ様……」
『……』
ウェスカーによそよそしく話すシータを見て、エヴリンはどうしたものかと悩んでいた。クイーンたちに寄って半ば強制的にH.C.F.を裏切ることになったのは記憶を見て知っている。裏切ってるんだからそう言えばいいのに、嫌われたくないから話すに話せない状況か。この子、私が身体を使ってたことに怒ってた割に繊細だな。まあ私から言うことでもないな。
「しかし、アトラナートの死骸は残念だった……ぜひとも回収したかったのだがな。無能ばかりで結構なことだ」
「…てめえっ」
「手を出すな、ディラン」
『時間もなかったししょうがないじゃん?』
そうだ、それも注意しないと。私が倒したアトラナートのその後だが、ウェスカーに発見されず私たちで始末することができた。ちょっと問題が起きたけど、アトラナートの死骸はちゃんと確認して始末も完了した。正確には、グラがいただきますしただけだけど。さすがにウェスカーに欠片一つも渡すわけにはいかなかったからね。ちなみにグラ曰くまずかったらしい。蜘蛛だしね。見つからなかった、恐らく消滅したと報告を受けたそれを根に持ってねちねち嫌味を言ってくるあたり、性転換してもウェスカーはウェスカーだ。今はアルテ・W・ミューラーを名乗っているらしいけど意地でも呼んでやるか。お前なんか蛮野と一緒だ!
「お前たちオルタナティブのせいで我々の商売あがったりでな。文句ぐらい言わせろ。……む?」
「え?」
「a。なんなのだ…?」
「…エヴリン、なんか来る」
そうこうしているうちに南極に入ったあたりで、ウェスカー、シータちゃん、グラ、オメガちゃんが次々となにかに気付いて警戒を始めた。同時に、ヘリが乱気流にでも乗ったのか振り回される。違う、乱気流じゃない!外にいるセルケトと合体しているミランダに呼びかける。
『ミランダ!なにかあった!?』
『母と呼んでくれエヴリン!』
『うざい!で、なにがあったの!?』
『熱風が吹き荒れている!私たちも、飛ぶのが精いっぱいだ!』
『熱風!?もう南極に入ってるんだよ!?』
極寒の地で熱風なんてあるわけがない。そう思って顔を外に出して、信じられないものを目にする。
『炎の……竜巻……!?』
極寒の吹雪を貫くように、渦を巻く炎が天を衝く光の柱の様な竜巻となって、熱風を引き起こしていたのだ。ミランダは熱風に煽られてそれを確認することもできてないようだ。ティターニアも、翅を必死に羽ばたかせて耐えてる。なんだ?なにか、炎の竜巻の中心に、いる…!
「アーッハハハハ!!虫けらは虫けららしく、大人しく殺されればいいのよ!」
それは、異形ではない人型だった。下卑た笑い声を上げる女性だ。煌めく金糸の長髪に煌々と輝くエメラルドの瞳、青紫色のドレスをはためかせ、それは炎の竜巻の中心に浮いていた。その顔を、ポリポッドとの対決で見た。黒焦げとなった巨大な肖像画に描かれた人物……確か、名前は。
『アレクシア・アシュフォード…!?』
「なんだと?そうか、アレクシアか…!奴から出向くとは、話が早い…!」
すると、ウェスカーが不規則に揺れてしがみつくしかないヘリ内を驚異的なバランス感覚で悠然と歩き、前方の扉を開けてこちらに振り返る。
「共闘戦線はここまでだ!私は、私の目的を達成させてもらう!ティターニア!ハンターΘはあとで合流しろ!」
そう言って飛び降り、体勢を立て直したティターニアに回収され、その背に乗って空を舞うウェスカー。私はオメガちゃん越しに、ヘリを操縦しているルーサーに体勢を立て直すように伝え、ウェスカーを追って飛び出す。私は物理的な干渉を受けないから熱風の影響はない!すると、ウェスカーを見たセルケトも奮起して追いかけていた。ウェスカーとティターニア、セルケトとミランダ、そして私が、空中でアレクシア・アシュフォードと対峙する。空を飛んでいるのは、炎を推進力にしているらしい。
「ようこそ、虫けらさん達。素晴らしいB.O.W.を連れた女に、烏の翼を持つ蠍人間、そして空を飛ぶ子供。歓迎するわ。一緒にT-Veronicaの研究をしましょう。このT-Veronicaの力にどれだけ耐えれるかの実験よ!RT-ウイルスの力で貧血することがなくなった今、最大限に扱える力……試させてもらうわ!」
「私が虫けらか。大きく出たな、過去の亡霊…!」
「キシャー!」
「『ウェスカー、お前は後よ!まず此奴を殺す…!』」
『油断しないでセルケト、ミランダ!』
T-Veronicaはわからないけど、RT-ウイルスを自分の意志で取り込んだって頭おかしいでしょ。それに、この規模の炎を操るだなんて、生物の域を超えている…!それこそG生物やグレイブディガーの巨人、アトラナートに匹敵する…!
「さあ、私の前に跪きなさい!アーッハハハハ!!」
瞬間、アレクシアの手の動きに合わせて、火炎流がまるで生きているかのように襲い掛かってきた。効かないとわかっていても回避してしまう迫力だ。ウェスカーとセルケトは全力で避けている。RT-ウイルスを取り込んでいるってことは、私の干渉も受けるはず…!
『スゥウウ……ワアアアアアッ!!』
「ぐっ…!?」
耳元まで近づき、超久々の超至近距離鼓膜絶叫を叩き込む。さすがに効いている様だ。そこらへんは人間ぽいな。見た目も変異してないし、そういうウイルス?
「よくやったエヴリン!」
そこに、ティターニアの背を蹴ったウェスカーの拳が叩き込まれる。しかし足場もなく踏ん張れなかったためか、あっさりと炎を纏った左腕に弾かれ、赤熱した右手が胴体に押し付けられる。
「ぐうううっ!?」
「私に触れたら火傷するわよ!アーッハハハハ!!」
それだけでウェスカーは苦悶の声を上げ、落下。ティターニアに回収される。今度はセルケトが翼を分離して形成した火球を叩き込むも、赤熱した右手で受け止められ、握りつぶされる。本物より弱くなっていると言ってもあのミランダの力が、通じない!?
「『馬鹿な…!?』」
「私と同じように炎を使うなんて生意気ね?でもこれぐらい火力を出しなさいな!」
拳が握られ、爪で掌を裂いたアレクシアの右手から炎が渦を巻いて発生。新たな竜巻となって放たれる。咄嗟に回避したセルケトは尻尾を伸ばして攻撃。しかし左手で受け止められ、赤熱。尻尾は燃やされ、セルケトは苦悶の声を上げながらアレクシアに振り回され、地上目掛けて投げ飛ばされてしまった。
「『きゃあああああっ!?』」
「まずは一人、ご招待するわ」
『セルケト、ミランダ!?』
「これほどとは……想定外だが、面白い…!私の傑作がお相手しよう…ティターニア!」
そこにムカデの腕が叩き込まれ、避けたアレクシアにカブトムシの角が突き刺さる。ウェスカーを背に乗せ蠍の尾で固定したティターニアだ。そのままクワガタの顎で顔を挟み込み、トンボの翅が羽ばたいて起きたソニックブームで炎をかき消され、炎の推進力を失ったアレクシアにバッタの蹴りが叩き込まれる。やっぱり強いなあれ。見た目のきもさと喋れないこと以外は完璧かも。
「終わりだ!」
そのまま蜂の腹部を模した右足が叩き込まれ、決着がついた……そう思った時、アレクシアが不敵に笑うと地上から飛び出してきた、モリグナを彷彿させる蟲の群れがウェスカーとティターニアを飲み込んだ。
「遅いわよ、お兄様」
炎を放出して空にとどまったアレクシアが、何とか体勢を立て直していたヘリに火球を飛ばし、撃墜されてしまったので慌てて追いかける。吹雪の中で、焔が嗤っているように見えた。
ノスフェラトゥと兄で散々実験したあと、RTを使って自分を強化するアレクシアさん。簡単に言うと唯一の弱点だった貧血がなくなって最大火力を常時出せるように。ゴルゴーンやアトラナートにも負けてない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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