BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はセルケトVSラスボス、アシュフォード兄妹戦。楽しんでいただけたら幸いです。
アレクシアのためなら、なんだってするつもりだ。アレクシアと生きるためなら、人の道など喜んで外れる。アレクシアといられないなら、アレクシアだって作る。アレクシアが願うなら、身体を急速に作り変えられる地獄の苦しみにだって身を捧げよう。アレクシアが望むなら、人の体にも未練はない。ああ、だがしかし望むなら……どんな形になっても、アレクシアの力になりたいものだ。
目が覚めると、いつぞやの洋館によく似た屋敷のエントランスだった。天井を見上げれば、大穴が開いている。傍らには、黒いローブ姿でカラスを模した仮面で顔を覆い、頭の後ろには目玉のような装飾が施された光背と、4対8枚の黒い翼があるエヴリンと同じように透けている人物……ミランダが浮かんでいる。私は大の字で倒れていたようで、元の姿に戻っている。
「ぐっ、あっ……何が起きたの?」
『奴の炎に当てられて落ちた様だ』
「ミランダ…といったっけ。貴方が守ってくれたの?」
『不本意だったがな、エヴリンの仲間なら仕方あるまい』
正直このミランダについてはよくわからない。エヴリン大好きなのかと思えば、一体化した際の記憶ではむしろ憎悪の方が多いし。あと記憶が100年以上あって完全に同期できなかったからほとんどわからない。しかし、さっき戦った炎を操る女は本当に強かった。不本意だったが、ウェスカーと共闘してなければすぐにでも負けていただろう。それでも勝てなかったのだから。
「ここは、あの女の屋敷…?」
立ち上がり、辺りを見渡す。やはり、あの洋館に似ている。天井の穴から吹き荒ぶ鋭い寒さがなければ勘違いしていたほどに。ここは確かに、南極だ。
「ぐあああああっ!?」
「っ…!?」
すると天井の穴の横を突き破り、屋根の破片と共に何かが落下してきた。下に押しつぶされているのはウェスカーだが、その上にいるのは共にいたはずのティターニア……ではない。一言でいえば、黒い靄の塊……いや、そう見えるが違う。これは複数の羽蟻の、集合体?人型になりつつあったそれをウェスカーが蹴り飛ばし、立ち上がり、そして信じられないとばかりに顔色を悪くする。
「ティターニアが、喰われただと……?」
「あら。ティターニアっていうのね、あのB.O.W.…なら今のお兄様は、オベイロンとでも名付けようかしら」
そう言いながら、炎を纏った姿でドレスをはためかせながら舞い降りてきたのは、先程の女。すると羽蟻の群れは集合して人型を形作り、色が変わって赤い軍服姿で黒い虫の外骨格染みた装甲を四肢に纏った黒髪の色男の姿に変わって女の傍らに跪く。
『アレクシアが望むなら、アルフレッド・アシュフォードの名も捨てよう。私はオベイロンだ』
「自我も残っているのね。ノスフェラトゥ・イグニスもそうだったしRT-Veronicaは優秀だわ」
『セルケト、構えろ。私の知るこの女……アレクシア・アシュフォードは、人類史上を見ても最高の頭脳を有する女だ』
ミランダに言われるままに、身構える。アレクシア、そしてアルフレッド改めオベイロン。ティターニアを喰らって誕生したのがオベイロンの名を与えられるとか、なんたる皮肉だろうか。とにかくここを切り抜けるには、……本当に癪だけどウェスカーと共闘するしかない、か。
「ウェスカー。今回は特別よ。お前を殺すのは後にする」
「寝言は寝て言えセルケト。お前程度に私は殺せん。…アレクシア。一緒に来る気はないようだな?」
「貴女、ウェスカー?ウェスカーって、あのウェスカー?アッハハハハハ!ハァ~ハハハハハ…!これは傑作ね!あのウェスカーが、女になってるなんて……ねえオベイロン?」
『ハハハ!そうだなアレクシア!傑作だ!あのアルバート・ウェスカーが!』
「ハハハハハ……ねえ聞かせて?あの思い上がりのバーキンは元気かしら?もしかして結婚でもした?いえ、あの男のことだから私と違って失敗して自分の作ったウイルスにでも殺されたのかしら?」
「……どうやらT-Veronicaのサンプルはアレクシア、お前だけじゃないらしい。ならばお前は殺してもいい、敵だ」
「できるものならやってごらんなさい。まさか、この姿が本来の力だとでも思っていたのかしら?」
そう言って胸の前に手を掲げたアレクシアの姿が炎に包まれ、ドレスが燃え落ちてその身体が変質していく。植物の様な髪の毛を持つ、一部が植物のような皮膚で覆われている石像のように変色した肉体を有した美しい異形の女体の怪人。傍らにオベイロンを控えさせたアレクシアは、下品な笑い声と卑しい笑いで女神像の様なその姿を邪悪なものへと彩り、跳躍。背中で炎を爆発させ、その推進力で飛び蹴りを放ってきて、ウェスカーは咄嗟に防御の姿勢をとったものの防御ごと貫かれ蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「がはっ……」
「純粋に人の限界を超えた姿……貴方たちに、勝ち目はないわ!」
「それはどうかしら!」
右足の鋏を振り上げ、ハイキックをその顔面に叩き込む。よろめきながらも右手で払いのけたアレクシアから宙返りで距離を取り、麻痺毒の含まれた毒針を左手の指から射出する。
「小細工を…!蠍風情が女王蟻に歯向かうなんて、許されないわ」
「私は、ウェスカーとバーキンの作り上げた最初の傑作、セルケトよ…!」
放出された炎で針は防がれてしまったが、右足に尻尾を巻きつけ武装し宙返り、渾身の飛び蹴りを叩きこむことに成功。しかし左腕で受け止められてしまい、投げ飛ばされて放り投げるように放たれた火球を受けて撃墜。右足に巻いていた尻尾をほどいて宙返り、薙ぎ払うように伸ばしながら近づいて拳を叩き込むが、宙返りで回避しながら炎を放って無理矢理軌道を変えた脚で連続蹴りで拳を弾かれ、掴まれて振り回される。
「あの二人の傑作だというのなら、底が知れるわ…!」
「ぐうううっ!?」
『セルケト!』
投げ飛ばされる瞬間に炎が放たれてその推進力で吹き飛ばされるも、受け止めるように移動していたミランダが憑依、背中から六枚のカラスの翼が生え、黒い衣装に身を包んだ腰から尻尾が伸びた姿のモールデッド・アンタレスに変身。翼を広げて停止し、何とか着地。したところに、床を這う蛇の様に炎が襲い掛かってきて、翼を広げて空中に退避。勢いよくアレクシアの目の前に着地し、背中から生えた六つの黒翼が変形した蠍の鋏六つを一斉に叩き込み、両腕を交差して防御するもふら付いたアレクシアに、宙返り。遠心力を伴わせた尻尾を勢いよく振り下ろす。
『させるか!』
しかしアレクシアの頭を抉るはずだったそれは、羽蟻の群れへと瞬時に姿を変えて間に割り込んだオベイロンに防がれてしまっていた。
『アレクシアを足蹴にしようだなんて、痴れ者が!』
「いいわよオベイロン。来なさい」
瞬間、アレクシアの右手にオベイロンが集まりこちらに向けられたかと思えば、大爆発。私は咄嗟に翼を畳んで防御することでなんとか耐えたが、翼がすべて焼け落ちてしまった。なんて威力……!?
「オベイロンの一部を燃焼させることでミイデラゴミムシの爆発を再現したわ。私のためなら死んでくれるわよね?
『もちろんだ。私はアレクシアの鎧にも矛にもなろう』
オベイロンがアレクシアの四肢と胴体に集束、右腕の甲にカブトムシの角がついていて左腕は蜂の腹部の形状になっている青黒い刺々しい蟲の外骨格に似た四肢と、ミニスカートのワンピース染みた鎧を形成。背中からトンボの翅を生やして飛翔するアレクシア。
「名付けて、オベイロン・アーマー。私たち兄妹が文字通り一心同体となった姿。お兄様の愛には辟易としていたけれど、これはいいものよ」
そう言って左腕を振るい、針をばら撒いたかと思えば次々と連鎖的に爆発させ地雷の様に床を吹き飛ばすアレクシア。爆発を突き破って高速で飛翔し、尻尾を巻き付けた右腕を叩きつけるも、残像を残してアレクシアは姿を消し、背後から鋭い蹴りを叩き込まれて階段に叩きつけられる。振り向けば、右手の角を私に向け、先端を燃焼させ炎を集束させているアレクシアが見えて。
「燃え尽きなさい」
咄嗟に床に倒れているウェスカーに視線を向け、私は翼を閉じてウェスカーとの間に立って庇うことを選ぶ。…殺したいけど、死んでほしいわけじゃない。ただではすまないと思われた一撃はしかし、飛んでこなかった。
「穿水!」
勢いよく飛んできた水流に右腕の装甲を吹き飛ばされ、目を白黒させるアレクシア。振り向くと、そこには、懐かしい顔がいて。
「クイーン…!?」
「久しぶりだな、セルケト!そいつが本物のアレクシアか、加勢する!」
クイーン・サマーズ。ヨーロッパに旅立った時以来の旧友が、そこにいた。
アルフレッドが変貌したオベイロンがアレクシアと合体したオベイロン・アーマー。モチーフはネタバレ注意のFGOの妖精王オベロン第三再臨です。
ちなみにミイデラゴミムシは、腹部に過酸化水素とヒドロキノンが蓄えられており、体内の酵素と酸化還元反応を起こすことにより、高温高圧の水蒸気とベンゾキノンを含むとんでもない悪臭の毒ガスを超高圧で放ち、その温度は瞬間的に摂氏100度にも到達。仮に体長2mのミイデラゴミムシがいた場合、至近距離におかれたマネキン人形が跡形もなく吹き飛ぶほど、という兵器級の蟲です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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