BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は探索part。小説にすると難しい。楽しんでいただけると幸いです。
『ねえねえイーサン』
「なんだ、エヴリン。今家を漁るのに忙しいんだが」
『ミアさ、やっぱりおかしくなかった?』
「は?」
ショットガンを背に担ぎ、ハンドガンをベルトに納めて、手にした麻袋に片っ端からスクラップやら弾丸を詰め込んでいき、家屋を漁っている中で突然変なことを言ってきたエヴリン。暇だったのかずっと考えこんでいた様子だったが、いきなりなんだ?
「変なこと言うな。ミアは死んだんだ。それ以上でもそれ以下でもない」
『いやだってさ。一回目に撃たれた時、まるで撃たれたことを認識してない様に平然としてたじゃん』
「そりゃ撃たれたなんて最初理解できないだろ」
『それに、蜂の巣にされても生きてたんだよね…なんで死んだふりしてたんだろ』
「なんだって?」
ミアは…生きている?エヴリンの言ってることが本当なら、希望があるのか?…いや、待てよ。それはありえない。
「クリスに頭部に五連射ぐらいされてなかったか?それで死んだふりは無理だろ」
『でも生きてたと思うんだけどなあ』
「戯言を言ってないで使えそうなものか手がかりを探してくれ。…うん?」
次の家に入り、見つけたのはラジオ。ピーガーと鳴ったかと思えば人の声が聞こえてきた。女の声だ。
≪「誰か……もしまだ生き残ってる人がいたらうちへ来て。畑の側の、私の屋敷よ」≫
「生き残りが…?」
『ゾイかな?』
「お前がそれ言うのか。いや俺も思ったけど」
ベイカー家でもミアの襲撃を退けた後に生き残りともいえるゾイから電話がかかってきたことを思い出す。今頃叔父のジョーと一緒に平和に過ごしてるはずの彼女にまた生きて会えるだろうか。
『でもこれ、罠じゃない?ゾンビものの映画だとろくなことにならないよ』
「これは映画じゃない、現実だ。生き残りがいるなら話を聞きたい。この村で何が起きたのか」
『やめといた方がいいと思うけどなあ』
とりあえず畑の側の屋敷とやらを探すために外に出ると、ローブに身を包んだ老婆が奥の方へ消えて行くのが見えて。咄嗟に追いかける。
「おい、待て!」
『イーサン落ち着いて!あんなやつらがいた村にあんなおばあちゃんが無事でいるの絶対変だって!』
「さっき言ってた家に避難していた人かもしれないだろ?今はとにかく情報が欲しい」
赤い門を抜け、追い付くと老婆は髑髏がついた不気味な杖を手に地面に何やら描いていた。たしかにエヴリンの言う通り怪しいが、今はそんなこと言ってられん。
「生にも死にも栄光を与えん……」
『うわっ、電波系だ!電波系だよイーサン!関わっちゃ駄目な人!』
「お前ほんと失礼だな。なあ、あんた…ここにいると危険だ。何を…おい、聞こえているのか?」
「…頭がイカレちゃったの?」
「は?ああ、さっきのは独り言だ独り言。気にしないでくれ」
『なんだこのババア』
俺がエヴリンにツッコんでるのを見て眉を顰め、いきなり若返ったような口調になった老婆に首を傾げる。
「そなたか……あの子の父親だな」
「あの子って…まさか、やっぱりローズがここにいるのか?」
「ハハハ!ローズ!そうともローズじゃ!あの子に危険が迫ってる。マザー・ミランダが村に招き入れてすべては闇に堕した」
「なに?あの化け物の事か?」
『なんで知ってるんだろ。わかった、このババアが犯人だ!』
こんな婆さんになにができるんだと一応頭の中でツッコむ。いやエヴリンも婆さんの姿で衝撃波とか撃ってたから何とも言えないんだが。すると再びどこからか鐘が鳴り出し、婆さんは門の方へ歩くと門を閉ざしてしまった。
「おい、待て!ローズは?マザー・ミランダって…」
「城の鐘が災いを告げておる!やつらが来るぞ。我らがために鐘は鳴る…また奴らが来るのじゃ!」
『私、追いかけてみる!』
閉じられた門に頭から突っ込み、老婆を追いかけて行くエヴリン。ローズがここにいるのか…?一体どこに…すると一分もせずに戻ってくるエヴリン。その顔は青ざめていた。
「どうしたんだ?」
『追いかけて行ったら、なんかすごいスピードでダッシュしてどっか行っちゃった……あれ絶対普通のババアじゃないよ、ダッシュババアだよ…』
「ただの老婆じゃないってことか。お前の言う、あの老婆が犯人だって説は案外当たりかもな」
『走るババア凄い怖かったよ、夢に見そうだよ…』
「お前、夢を見れるのか?ていうか眠れるのか?」
『イーサンが寝たら私も寝るよ。意識が覚醒したら私も起きるよ。夢は見ないけど』
「ならいいじゃないか」
ブルブル青い顔で震えるエヴリンを連れてすぐ側の家に入ると、薬液の他に興味深いメモを見つけた。
「【おおライカンよ。おとぎ話の悪魔の狼どもよ。我らを食らいに来るがよい。血肉を食らいに来るがよい】…?」
『ライカンっていうのかな、あの狼男』
「みたいだな」
『ちょっと間抜けな響きだね』
「そうか?」
家から出て先に進むと、戦士の娘の像がある広場に出た。畑の側にある家を見つけたが門が閉じられていたので諦めて、明らかに怪しい城の方へ向かうと、変な門があった。悪魔と天使を模ったと思われるクレストだが、頭部が丸くくりぬかれていた。
「この先の城に行きたければ欠けてるクレストを二つはめろってことか…?ベイカー家のケルベロスを思い出すな、おい」
『すっごい不便な門だねえ。うん?』
側にある墓場に漂っていたエヴリンがなにか見つけた様なので近づくと、墓石にEvの文字が見えてエヴリンが反応した理由が分かった。自分の墓だと思ったのか。ジーッと見つめるエヴリンに首を傾げながらも文面を読んでみる。
「【エヴァ 1909.06~1919.08 黒き神の御許で ひとときの眠りを】?10歳で亡くなったのか…でも、関係はなさそうだな」
『…うん、そうだね』
「行くぞ」
クレストがありそうな場所を探すため、一度広場まで戻って小教会に入ると、祭壇に天使のクレストが。側に書かれたメモから、もう一つはルイザという人物の家にあるらしいとわかった。天使のクレストを門にはめに行く。結構重い。
「隠したいのか発見させたいのか…」
『ジャックもケルベロスのレリーフ隠すの下手だったねー』
「あれ探すの結構苦労したんだぞ」
天使のクレストを門にはめ込み、メモに書かれた地図を頼りにルイザの家を目指すと、例の畑の側の家のことだとわかった。
『あ、いるよ、空き缶』
「空き缶?ライカンのことか?草陰に隠れて行こう」
『本当に狼男みたいなのだったら匂いでバレない?それに耳もいいかも…』
「そうだったらどうしようも……あ」
ヒソヒソ声が聞こえたのか、草むらから顔を出す一匹のライカン。咄嗟に装備したショットガンをその顔面にぶっ放し、他の奴が集まってくる前に草むらに飛び込んで一心不乱に進む。
『ほらー、だから言ったじゃん』
「お前が話しかけてこなけりゃ声を出すこともないんだよ!クソッたれ!」
ふわふわ優雅に横になって寝そべっている体勢の自由なエヴリンに怒鳴りながらルイザの家の門の横にある小屋に入ると、若い女の声がした。
「ドアを閉めて!お願い…」
『生存者いるんだ…もしや黒幕だな?』
お前もう黙れ。エヴリンに脳裏でツッコみながら言われるなり扉を閉めて奥を見ると、そこには村娘と思われる若い女性とその父親と思われる髭の男がいた。男は怪我をしているのか蹲っている。だが生存者だ。あの婆さん以外のまともな生存者に会えたことに安堵する。でもこんな小屋にいるのはなんでだ?
話を聞くに、ルイザの家に避難しようとしたが門を開けてくれずここに隠れることにしたらしい。男はレオナルドといって女性ことエレナの父親らしく、ライカンに襲われて酷い出血の様だ。
「ここに隠れて静かにしてろ。俺が門を開けるまで動くな」
小屋を調べると裏に通じる窓があってそこから出て、崩れた壁からルイザの家の庭に入る。庭にクレストが納められた堂を見つけたが、ドライバーか何かがないととれなそうだ。すると、ずっと黙っていたエヴリンが気になって見やると、口を押さえてふわふわ浮いていた。…なにしてるんだ?
『え、だってもう黙ってろってイーサンが…』
「素直か。…なあ、お前の見立てであの父親はどうだ?」
『少なくとも私の友達に襲われてあんな傷を負ったなら手遅れだと思う』
「だよな…だけど、救わないわけにはいかないか」
エヴリンの見立てで手遅れならそうなんだろう。だが助けない選択肢はない。もしかしたら医者がいて、助けてくれるかもしれない。
『お人好しだなー。ローズマリー以外どうでもよくない?放っとこうよ、ろくなことにならないよ』
「どうでもよくない。同じ人間なんだから助けあいだろ」
『同じ人間ねえ…イーサンがそう思うならいいけどさ』
何か気になる態度のエヴリンに首を傾げながらも門を開ける。よし、ライカンは離れたみたいだな。小屋の中の親子を呼び寄せ、レオナルドに皮肉を吐かれながらも急いで門を閉じる。どうやらこの村の人間はよそ者に寛容では無いようで、見張りの男に一度拒絶されるもエレナが家主のルイザと交渉して中に入れてくれることになった。
『あーあ。どうなっても知らないよ』
エヴリンの不穏な声を背に受け、俺はルイザの屋敷へと足を踏み入れた。
ミアの謎。謎のダッシュババア。エヴァの墓が気になるエヴリン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。