BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。二話に分けるつもりが中途半端な長さになったので合体させました。7月23日でハーメルンで活動し始めて11周年となるのでそれまではエヴリンレムナンツを連投する予定です。

真ラスボス戦という名のイベント戦。楽しんでいただけたら幸いです。


fileCV:68【業火絢爛・蝶ノ舞イ】

 1998年12月某日。その日、南極の各地にある観測基地の人間は、〝神話”を目撃したという。南極大陸を灼熱の夏に瞬く間に変えた巨大な火影(ほむら)。北欧神話の神々の黄昏(ラグナロク)を彷彿とされるそれは撮影され、都市伝説と化した。その実態は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やったー!』

 

「のだー!」

 

 

 Cthugha(クトゥガ)の消滅を確認し、グラの体から飛び出しながら歓喜の声を上げる。まさかあんなものがあったとは。よく知らんけどアレクサンダー・アシュフォードとかいうどう考えてもアレクシアの身内のおっさん、よくやった!

 

 

「……もうさすがに、動けないぞ……」

 

『お疲れ様だ、クイーン。私の憑依は出力を上げるらしいが、よく耐えた方だ』

 

「初めてのエヴリンとの合体、疲れたのだぁ…」

 

『ユウコも、初めて人外の力を使うのにお疲れさま』

 

「ねぎらいの言葉、ありがとうございますエヴリンさん……でも、初めてって感じはしないんです。あの子の力、ちゃんと受け継げてるのかな……」

 

 

 ミランダとの憑依を解いて倒れ伏すクイーンと、大の字に横になるグラを横目にユウコをねぎらう。いやあ、ユウコがアトラナートから力を継いでいなかったらどうなってたことか……

 

 

「シータも、お疲れ……」

 

「モリアーティ殿やビー殿の仇、取れたでござるな!」

 

「うん、うん…ありがとう、オメガ。プサイ。ベロニカも…どうしたの?」

 

「……結局、お父様の真意を知ることは、できなかったなって思っただけよ」

 

 

 ハンター三姉妹が談笑し、ベロニカが悲し気に笑う。複雑みたいだけど話を聞いた方がよさそうだな。全員動けそうにないしどうしよ。しかし南極だって言うのに熱いな。実体がない私でも熱さを感じちゃうよ。残り火がまだこんなに残って………。

 

 

『残り火?』

 

 

 寒気と共に、研究所の隅で燃え続けていた残り火に視線を向ける。それは意思を持っているかのように壁に燃え広がり、そこからシミが広がるように焼き尽くしてどんどん火力が上がっていく。思い出すのは、モリアーティを薪にしてCthugha(クトゥガ)が復活したあの光景。同時に、建物が全焼して崩れていく音が聞こえてきた。嘘でしょ、そんなことって……!?

 

 

「どうしたエヴリン、青ざめて」

 

『……生物だけじゃないんだ。薪になるのは、この建物も……いや、この土地も……Cthugha(クトゥガ)はまだ、死んでない!みんな、逃げるよ!この建物ごと薪にされる!』

 

「何!?無茶を言うな、もう全員限界だ!」

 

『モールデッド・ハンターの要領で私とエヴリンで全員を合体させるか!?』

 

『無理!あれ遺伝子が近いからできたの!それに、疲労感とか回復しないからできても全員分の疲労が合わさって逆に動けなくなる!』

 

 

 ミランダが戯言を叫んだため反論するも、その時間すら惜しい。どうしよう、どうすれば……。コンティニューはもうできないのに!

 

 

「クイーン!プサイ!モリアーティ!」

 

「オメガさん!グラさん!無事ですか!」

 

「ユウコ!無事!?」

 

「建物の様子がおかしいから、戻ってたぜ!」

 

「脱出用の飛行機は確保しておきました!」

 

 

 そこに駆け付けたのは、ウェスカーを追いかけていたクレア、クリス、セルケト、スティーブと、ジョージ、タイローン、ジャン、ディラン、ルーサーのオルタナティブ組。倒れている私たちを見て、すぐ駆け寄って肩を貸してくれた。逃がしといてよかった!ほんとに!

 

 

「クレア、スティーブ。落ち着いて聞いてくれ、モリアーティはあいつに……」

 

「……道理で姿が見えないと思ったわ」

 

「くそったれ…!とにかく、ここにいる全員は助けるぞ!ベロニカ、失礼するぜ!」

 

「え、きゃっ…」

 

『あら大胆』

 

「みんな、こっちだ!」

 

 

 スティーブがベロニカをお姫様抱っこで担ぎ上げ、ルーサーの先導で脱出を図る私達。すると壁や天井の炎がまるで生きているように襲いかかってきて、オルタナティブの面々が弾丸で打ち消していく。

 

 

『弱体化しているみたいだけど……』

 

『奴の意思は感じない。我々は先に外に出て様子を確認するぞ』

 

『ミランダ、本当にあのミランダ?』

 

 

 率先して偵察しようとするミランダに続いて、天井をすり抜け外に出て、さらに上空まで浮かんで、その光景を見て絶句する。

 

 

『なにこれ……繭?』

 

 

 南極基地が完全に燃え盛り、立ち上る炎が揺らめいて、上空にまるで∞を描く繭の様な形状に集束して、まるで糸の様な炎で地上と繋がっていた。そこから地上を燃やした炎を取り込んでいる様だ。南極の凍り付いた大地すら燃やすそれは、尋常ではない火力だ。

 

 

『……飛行機はギリギリ無事だったようだな』

 

『……こんなの、逃げるしかないよねえ』

 

 

 燃える南極基地の滑走路からギリギリ炎から逃れ飛び立つ輸送機を確認し、私たちもそれを合流しようとしたその時だった。強烈な熱風に飛行機が流されそうになり、振り向くとそこには、炎の繭が羽化して中身が出てくるところだった。蒼く燃え上がる一対の複眼、オレンジとブルーで彩られた彩色が美しい四枚の翅、人の手の様な形状の六つの節足。それは、炎の蝶そのものといえる姿だったが、そんな可愛いものじゃない。

 

 

『……でかいのはアトラナートで懲り懲りなんだけどお!』

 

 

 南極基地と周囲の陸地を炎で飲み込んで飛び立つのは広げた翅も合わせた全長目測118mの燃える巨大な蝶。例えるならあれだ、ゴジラFWでガイガンに燃えながら特攻したモスラ。確かグレイブディガーの巨人が全長64mぐらいだったから約二倍?アトラナートの巨蜘蛛が島ほどだったけど、あれよりはるかに大きい。この三ヶ月で巨体を更新しすぎなんじゃいボケ!

 

 

【AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!】

 

『でかすぎて制御を失っているように見えるけど……』

 

『知能もなくなっているな。いや、炎に知能というのがまずおかしいことだったんだが』

 

 

 そうミランダに言われて思い至る。そうだ、五感もないのにこちらを把握していたのは恐らく熱感知……サーモグラフィーや、口の動きから読んでいたんだろう。多分だけど私にも熱があってそれで把握されていたのかな。でもそれを分析する知能を失った奴は……ただただ、己を燃やす薪を追い求める怪物でしかない。まさに万物全てを灰燼に焼き尽くす炎となったCthugha(クトゥガ)は、翅を広げて飛び立ってしまった。

 

 

「あんなのをこのまま行かせたら、世界が火の海になるぞ!」

 

「でも、どうすれば……人の手に負える怪物じゃない…っ」

 

「……いえ、まだ手段はある!」

 

 

 すると、輸送機のハッチを開けて飛び出した者がいた。誰だと目を凝らしてみれば、それはユウコで。一度納めていた蜘蛛の脚をまた展開し、間に糸の膜を張って上手く気流に乗って空を飛ぶ。空飛ぶ蜘蛛とかもう何でもありだな!慌ててミランダと共に追いかけて合流する。

 

 

「エヴリンさん、ミランダさん!力を貸して!」

 

『どうするのユウコ!?あんなの、いくらアトラナートの力でも無理だよ!』

 

「アトラナートの力だけじゃ無理だけど、これなら…!」

 

 

 そう言ってユウコが構えたのは、あそこからちゃっかり持ち出していたらしいリニアランチャー。いやでもそれ、もう電力が…………あっ。

 

 

「アトラナートの知識が教えてくれた!蜘蛛は静電気を扱う力もあると!なら、私の体を使ってさっき言ってたハイゼンベルクって人の力を借りれば……!」

 

『電力溜めて撃ちまくれるって!?乗った!』

 

『私も力を貸すぞエヴリン!二人で引き出せば、電力効率も上がるはずだ!』

 

『多分ハイゼンベルク的にはミランダに使われたくないと思うよ!?』

 

『ならば、ユウコ・ナグモの力を底上げする!覚悟は良いな!』

 

「この力を受け継いだ時から、とっくに!」

 

 

 その言葉と共に、まずミランダがユウコに憑依する。W-ウイルスの元となった菌根に働きかけて増大させていくけど、元々人間の部位であるユウコ本体には広げることができず、蜘蛛脚と両腕、頭部の髪を黒髪の様に覆うだけの形となった。その間に私は菌根から彼の記憶を引き出していく。

 

 

「『モールデッド・アトラナート!まずは、動きを止める!ラフネックの、斬り裂く力!パペッティアの、操る力!ジャンブルの、紡ぐ力!ポリポッドの、速き力!ロイタラーの、押し通す力!……マリオネットスパイダー!』」

 

 

 地上の地面を瓦礫をラフネックの様に斬り刻んで瓦礫の山を作り上げ、ジャンブルの様に糸で紡ぎ、巨大な蜘蛛の人形を形作ってパペッティアの様に操演で操り、ポリポッドの様なスピードとロイタラーのパワーを伴わせてCthugha(クトゥガ)を四方八方から殴りつけるユウコ。巨大な瓦礫の蜘蛛と巨大な炎の蝶がぶつかるその光景は大怪獣バトルだ。

 

 

記憶継承(アンダーテイカー)!……力を貸して、カール・ハイゼンベルク!』

 

 

 右手で拳を握り、見えない鎖を引っ張るように動かして、菌根の記憶をこじ開ける。私の身体にノイズが走り、姿が変わっていく。目元に丸いサングラスを掛けて、首には吊りはかりとペンダント、ドッグタグをかけて、黒いソフトハットとオリーブ色のロングコートを着用した姿になった私は、ハイゼンベルクの意識に飲まれないように歯を食いしばりながら、ユウコに飛び込む。

 

 

「『『うぐうっ……ショータイムだ!』』」

 

 

 菌根で体内に再現した発電器官から発生させ放電した電気を、右手と蜘蛛脚だけでマリオネット・スパイダーを操演しながら左手に握られたリニアランチャーに集束させていく。まだだ、足りない。壊れる限界まで集束させろ。過電圧で逆流した電気が身体に流れる。ネメシスと違って電気にそう耐えられる肉体じゃない、だけど……!

 

 

「『『私にしかできないなら、やってやる…!』』」

 

 

 私はただのモブでしかなかった。アトラナートを看取ったら気に入られて力を与えられて、代わりに世界の理不尽に立ち向かおうと、そう決意しただけの一般人!だけど、主人公じゃなくても………悪役でも……!輝くことはできない道理ないはずだ!なにも理由がなかった私でも、誇れる私になる!

 

 

【AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!】

 

 

 異常な熱量を探知したのか、こちらに突撃してきたCthugha(クトゥガ)に、操演しながら糸を引っ張ることで、マリオネット・スパイダーで組み付いて受け止めたやつ目がけて突撃する。あまりにもでかすぎるが、中枢はあるはず。例えば、そう。一番熱く炎が燃え上がって蒼く変色し煌々と輝いている複眼の、頭部!

 

 

「『『限界出力3000%……!リニアランチャァアアアアアアアアアッ!!』』」

 

 

 奴の眼前で、煌々と電光を煌めかせるリニアランチャーが、爆ぜて。私たちはCthugha(クトゥガ)もろとも極光に飲み込まれるのだった。




南極基地と周囲の陸地という舞台となった全てを薪にして巨大な蝶となったCthugha(クトゥガ)。例えるならあれ、7の往生際悪く巨大化するエヴリン。つまりイベント戦でした。

ユウコ+ミランダ×エヴリン+ハイゼンベルク=出力3000%リニアランチャー。蜘蛛が静電気が使えるのは本当ですが、イメージは二代目スパイダーマンの〝ヴェノム”。
モブや悪役に厳しいバイオハザードで主人公を食う活躍を見せるモブ兼悪役、というアンチテーゼの立ち位置だった鳴雲友子でした。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな南極編オリジナルB.O.W.は?

  • プシューケー
  • プシューケー・イグニス
  • ノスフェラトゥ・オーバーキル
  • ノスフェラトゥ・イグニス
  • アレクシア(RT-Veronica)
  • オベイロン(アルフレッド)
  • アレクシア(オベイロン・アーマー)
  • アレクシア・ポッド
  • アレクシア・フライ
  • アレクシア・シンドローム(合体)
  • モールデッド・クインリーチ
  • ベロニカ・アシュフォード
  • 鳴雲友子(アトラナート態)
  • Cthugha(クトゥガ)
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