BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はあまりにマイナー過ぎる原作キャラが二人、新オリキャラが一人登場。楽しんでいただけたら幸いです。
file1999:1【ミゲル・グランデ将軍】
洋館事件、ラクーンシティ事件、ロックフォート島と南極での死闘のあった1998年から一年。世紀末の1999年9月。テロ支援国家に指定されている中央アジアの軍事独裁国家「バジリブ共和国」はテロを扇動して弱った他国を占領し、大国であるアメリカやロシア、中国に並ぶ覇権を握ろうとしていた。それもそのはず、テロはテロでもバイオテロ。B.O.W.を主軸とした軍隊を止められる国はどこにもなかったのだ。
「ウッハハハハッ、圧倒的ではないか我が軍は!やはりアンブレラ・コーポレーションと手を組んで正解だったな!次の国を制圧したら条約通り裁判に力を貸そうではないか。なに、我が軍の暗殺者は優秀だ。証言する者が不慮の事故でいなくなれば裁判など容易い!ウッハハハハハハッ!お前もそう思うだろう、ウル」
「はっ、閣下。私が指揮するハンターπたちならば証拠も残さずひとひねりです」
「え、ええ……それはいいんですが、これ以上派手に動かれると困るというか……」
戦場が一望できる丘に陣を敷いたそこで、傍らにウルと呼ばれた口元を襟で隠した松葉色の防弾コートを羽織い軍帽で目元を隠した長身の女性を控えさせた、豪快に笑う黒いひげを蓄えた厳つい風貌のアジア人……ミゲル・グランデ将軍にバンバンと背中を叩かれながら、変な軍服らしきものを着た金髪を撫でつけた様な髪型の男はしきりに戦場を見渡していた。
その名をビンセント・ゴールドマン。正史ではあまりにも悍ましすぎるタイラントの量産方法を確立させた男でありシーナ島の研究施設司令官を務め……ていたのだが、この世界線ではアイザックスにタイラント量産の実績を取られた挙句にただのアンブレラ社の研究員兼交渉役でしかない男である。
「なるほど。オルタナティブか?やつらには煮え湯を飲まされまくっているからな……一度交渉を試みたが聞く耳持たずだったからな」
「そ、そうなんですね……それからどうなったんで?」
「兵隊に偽装していた3体のタイラントを入れていた一個小隊が全滅した。我が国の兵だという手掛かりは残さなかったがね」
「さすがグランデ将軍!実に優秀な指揮官だ……!貴方ほどの人間がバックにいれば我がアンブレラも安泰だ!」
わかりやすく胡麻を擦るビンセントだが、アンブレラはもはやアイザックスの残したクローニング技術がないと成り立たなくなっており、研究者は軒並みそこまで期待されてないのが現実だ。だが野心を持つこの男はめげずに商談役を買って出たのである。そう、全ては先刻この将軍にプレゼンし購入してもらった自らの作品の力を見せつけのし上がるために。しかし通常の兵士相手ならいざ知らず、アイザックスの技術力と発想が異次元なのも事実。離反した彼が生み出したB.O.W.の力を軽視なんてできるはずもなく。特に、アンブレラの兵器を軒並み叩き潰しているオルタナティブの存在が目の上のたん瘤であった。
「我が国の侵略がB.O.W.の力によるものだと知ったものは全員始末してきた。万が一にも知られることなどありえん。安心しろ、ビンセント・ゴールドマン。お前の出世も約束しよう」
「ありがたいお言葉です……」
「将軍!」
そこに、グランデ将軍の部下である軍曹がやってきて敬礼する。何事かと尋ねる将軍に、軍曹は背筋を伸ばして答えた。
「それが、敵国の奴ら傭兵を雇ったらしく……」
「なんだ、そんなことか。さっさと蹴散らせ」
「いえ、ですが……兵隊に偽装したハンターπの方が薙ぎ払われているらしく、その……恐らく、なのですが」
「なんだ、はっきりと言え!」
「あの異形の力は、間違いなく、お、お、オルタナティブでありますっ!!」
「なんだと!?」
そう報告した軍曹の後ろで悲鳴が上がり、轟音が響く。見て見れば、丘の下で暴れる百足と鰐の特徴を持つ巨体の女が見えた。ヘカトとリヒトの巨大コンビである。
「ど、どうやって侵入を許した!?ネズミ一匹通すなと言ったはずだ!」
「そ、それが…内側からいきなり現れまして……!」
彼らは知る由もないが、バジリブ共和国の怪しげな噂を聞いてエヴリンによる擬態で兵隊に化けて潜り込んでいただけである。兵のほとんどがタイラントかハンターπだと知って容赦の必要なしと断じて殲滅を開始するあたり、脳筋である。
「ちょうどいい。ヒュプノス-T型の力を見せてもらおうか」
「え。も、もちろん!今起動します!」
傍に置かれていたコンテナが開き、左手に爪を持つ精悍で小型のタイラント……何億という遺伝子を持つ無数の細胞同士を戦わせ、最後まで勝ち残った優秀な細胞をタイラントに組み込むという蠱毒のような方法で生み出されたヒュプノスが咆哮を上げる。それに反応したのは、ヘカトでもリヒトでもなく。リヒトの背からひょこっと顔を出した、戦場に似つかわしくない赤紫色を基調としたパンクファッションを身に纏った赤みを帯びた短髪の少女だった。
「リヒトー?なんか親玉っぽいの出たから行ってくるわ」
「うん。行ってらっしゃい、シータ」
リヒトの手に掴まり、凄まじい勢いで射出されたシータと呼ばれた少女が空を舞い、一直線に突っ込んでくる。グランデ将軍の側近であるウルはすかさず身構え、グランデ将軍も怖気づかずにじっと見つめる中、ヒュプノスの左の爪と少女の右拳がぶつかった。
「あっは。ざーこ!」
しかし爪が突き刺さってなお勢いを止めなかった少女の一撃で左腕ごと粉砕され、よろよろと後退。即座に腕を再生させ体が肥大化し憤怒の形相を浮かべた第二形態へと移行するが、再生させた右手の爪を赤紫色のネイルの様な鋭いものに変えた少女に引き裂かれ、脅威の柔らかさで振り上げられたブーツをつけた足で顎を蹴り上げられて、頭部が粉砕される。切札である第三形態に移行する前に絶命したヒュプノスに、ビンセントは悲鳴を上げる。
「なあっ……そんな馬鹿な!?」
「……ヒュプノス-T型は弱くなかったな。相手が悪すぎた。本来なら最初の一撃で決していたはず……お前は、かつてのH.C.F.の傑作……ハンターΘだな!」
「その記号みたいな名前嫌いなんですけど。ちゃんと、シータちゃんって呼んでよね!ざこのおじさん!」
正体を見破ったグランデ将軍に心底嫌そうな顔を浮かべ、跳躍して右手を振り上げるシータだったがしかし、それは高速で放たれたハイキックで顔面を咄嗟に防御した左腕ごと顔を蹴り飛ばされて機材に激突する。それを行ったのは、グランデ将軍の傍に控えていたウルと呼ばれた軍服の女だった。
「だが我等にはお前がいる。敵軍にB.O.W.が居ようと殲滅できるB.O.W.殺しのお前がな。行け、我らが勝利の女神。―――ウールヴヘジン」
「閣下の望むがままに」
帽子を投げ捨てコートのジッパーを下ろし、銀色の長髪を後ろで束ねた赤い眼の素顔を見せたウル……ウールヴヘジンは牙の様な歯を見せて笑う。
「初めてだ。お前ほど殺し甲斐のある標的は。面倒な相手だ」
「はっ。楽しんでるくせによく言うね。おばさん?……!?」
瞬間、まるでモールデッド・ブレードの様に変形した腕で薙ぎ払われ、丘の下まで転がり兵士のど真ん中に落ちて地べたを這いつくばるシータ。ウールヴヘジンはその目の前に飛び降りてきて、シータを見下ろしてコートを投げ捨てながら嗤った。
「……エヴリンと同じとか聞いてないんだけど」
「閣下がお望みだ、殲滅する」
そう言って胸を抉るように指を突き刺したウールヴヘジンの傷口から菌根が溢れ出し、その長身を飲み込んで変形していく。長大となり鋭い爪を兼ね備えた両腕に、強靭で逆関節に変形した脚。地面に叩きつけられる大きな尻尾に、マズルが伸びてさらに鋭くなった牙を剥いた口、頭の上に移動した三角形の耳に赤く輝く獣の眼光。その名の通り狼人間へと変身を果たしたウールヴヘジンにシータはたじろぐ。あ、これやばい。思わず泣きたくなったが我慢した。
味方陣営はシータ、ヘカト、リヒトという鬼再生力トリオで行きます。
女性版タイラントに見せかけた菌根のクリーチャー、ウールヴヘジン登場。実はいつもお世話になってるお馴染みエレメンタル社-覇亜愛瑠さんから提供された方では喋らずにジェスチャーでものを伝えるキャラだったのですが、小説的な問題でこうしました。
・ミゲル・グランデ将軍:「CGアニメ映画 バイオハザード ディジェネレーション」で名前だけ登場してた、並んでる言葉だけでもやべーやつ。実は以前の話でも名前だけ登場してる。
・ビンセント・ゴールドマン&ヒュプノス:「バイオハザード ガンサバイバー」の黒幕とラスボス。アイザックスとシータとかいう相手が悪すぎたコンビ。原作ではタイラントを量産したのはこのビンセントさんらしい。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな南極編オリジナルB.O.W.は?
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