BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。軍人B.O.W.って絶対強いよね。楽しんでいただけたら幸いです。


file1999:2【将軍の牙ウールヴヘジン】

 ウールヴヘジンは、アンブレラの研究チームとマザー・ミランダにより共同開発されたタイラントの亜種である。のちにエヴリンが生み出されるきっかけとなった「エヴァの器」作成の過程で議題として挙がった「T-ウイルスと菌根の同時使用」という、RT-ウイルスでしかなしえなかった実験の果てに生まれた希少な存在のためまだ量産はされておらず一体しか存在しない。それもそのはず、セルゲイやイーサンほどでは無いがT-ウイルスと特異菌の二つに適合する遺伝子を持った人物が素体として使われてるのだから。T-ウイルスに完全適合する人間だけでも1000万人に1人の確率でいるかどうか怪しいレベルであり、確認されているのはセルゲイ・ウラジミールとメアリー・グレイのみである。菌根の方に至ってはイーサンだけであり、その二つの性質を持つのは奇跡に等しい。

 

 ラクーンシティ崩壊の際にアンブレラが偶然手に入れた、人物……ジル・バレンタインの友人でありラクーンシティの病院に勤務する女医「リンダ・パール」。その、仲間を守るために単身立ち向かいゾンビに殺されたあとの死体が素体となっており、T-ウイルスに感染したもののゾンビ化していなかっため回収されていた死体に菌根を移植することで誕生した。これを行ったのはアンブレラの女性科学者であり、ラクーンシティの倉庫で新種のウイルスの研究を行なっていたキャメロン博士。新種のウイルスはうまくいかず、代わりに手に入れたリンダの死体を利用することを思いつき、救出に来たアンブレラの部隊と共にアンブレラ本部まで持ち帰り、ミランダの協力で完成させた。

 

 しかし生まれてしまったのはモールデッドと同じで全身が菌根に置換された集合体、言うなれば「菌根のゾンビ」であり、ミランダは期待外れのものができたとして手を引いたが、アンブレラはむしろ好都合とも言えた。量産型しか作れなかったところに差し込んだ希望の光。そして、現世界最大の大手取引相手であるミゲル・グランデ将軍が追い求めた「唯一無二のB.O.W.」として売り出すのは、必然だった。

 

 生前の意思はなく、リンダがゾンビ犬に噛まれていたためか犬の遺伝子も混ざってしまい、菌根で新たに生成された真っ新な脳で〝教育”のまま命令を遂行する忠犬。菌根による肉体の変形が最大の武器であり、ブレード状に変形させたり、ドミトレスク三姉妹の様に肉体を分散させ移動することも可能。通常時でもタイラントらしく肉弾戦の強さを発揮するが、本気を出すと戦闘形態である人狼のような形状のモールデッドに変貌することからウールヴヘジンと名付けられた。奇しくもライカンの上位互換であるのは皮肉である。

 

 グランデ将軍はこのウールヴヘジンを酷く気に入り、バジリブ共和国軍の軍服を着せて戦闘技術を叩き込み、敵国が使うB.O.W.を始末するB.O.W.殺しとして育て上げて、「将軍の牙」と称される側近にした。彼女の存在こそバジリブ共和国が大国になりうる理由であり、どの国も止められない原因であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやっ……あたしに追いつくってマジぃ?サクリファイスコヤンと比べ物にならないんだけど!」

 

 

 菌根は筋繊維の役割も果たせる繊維状の菌生物であり、それで形作られているウールヴヘジンは筋肉を自在に変形できる。その結果、筋繊維が千切れる勢いで走っても再生することでチャラにするシータに、単純な体格差であっさり上回り、攻撃を仕掛けていた。ヘカトとリヒトによる襲撃で混乱している兵士たちの間を駆け抜けていく。器用に兵士はちゃんと避けて攻撃するあたり徹底されていた。

 

 

「グルルルウッ!」

 

「あぶなっ!?」

 

 

 大地を引き裂く爪の連撃が、シータのいた足場を丸く抉り取り穴を次々と開けていく。シータは腰に下げたサブマシンガンを右手で引き抜いて乱射するも、それを視認して一瞬で液状に崩れて離れたところで実体化するのを繰り返すウールヴヘジンには乱射しても当たらない。タイラント並みの反射神経と菌根の変形能力を併せ持っているそれは、エヴリンがいれば『またチートだよ!チート!』と叫ぶことだろう。シータからしたらムカつくクトゥガのことを思い出して気に喰わなかった。すると狼化を解いて人の姿に戻るウールヴヘジン。両手を横に伸ばす。

 

 

「銃!」

 

「「はい!」」

 

 

 すると反応したのは、横でシータとウールヴヘジンの戦いを見ていることしかできていなかった兵士たち。持っていたアサルトライフルを手渡し、二丁受け取ったウールヴヘジンは足元から徐々に狼化していくと、まだ菌根に覆われてない顔でにんまりと笑った。シータの頭に警鐘が鳴る。

 

 

「全員、動くな!」

 

 

 そう告げた瞬間。完全に狼化して天高く跳躍したウールヴヘジンが、長大になった腕を畳む様にしてアサルトライフルを両手で構え、回転しながら乱射。弾丸の雨が降り注ぎ、しかしそれは兵士には一切当たらないというバグ染みた挙動を引き起こして、シータ、ヘカト、リヒトを撃ち抜いていく。

 

 

「しょ、衝撃が……があっ!?」

 

「痛っ!だけどこれも愛!」

 

「ぐっ、うううっ!?」

 

 

 痛覚はないもののアサルトライフルの撃ち抜かれた衝撃で打ちのめされるシータと、自慢の防御力を誇るムカデの甲殻すら貫いた銃撃に悲鳴を上げながら同時に歓喜の声を上げるヘカト、弾丸は効かない皮膚すら貫く威力で何度も撃ち抜かれて苦痛の声を上げるリヒト。彼女たちは知る由もないが、B.O.W.も相手取るバジリブ共和国軍の標準装備は強装弾である。威力は通常の弾丸よりも桁違いだ。

 

 

「グルルァ!」

 

「ぎゃあっ!?」

 

「次、グレネードランチャー!例の弾を!」

 

「はい!」

 

 

 打ちのめされて動きが止まったシータ、ヘカト、リヒトを確認しながら兵士たちのど真ん中に着地。シータを彼方に蹴り飛ばしたあとに、マズルが長くて真面に喋れないため再び狼化を解除してアサルトライフルを腰のベルトに下げながら指示、グレネードランチャーを持っていた兵士が弾を入れ替えて手渡すと、シュポッと音を立ててそれがヘカト目掛けて放たれた。咄嗟に右のムカデ腕を伸ばして渦を巻いて盾にして受け止めるヘカト。しかしその瞬間、液体窒素が放出されて凍り付いてしまい、跳躍した飛び込んだウールヴヘジンの拳で右腕が肩口から粉砕されてしまった。

 

 

「冷凍弾だ。いくら再生できても凍らされたらどうしようもあるまい」

 

「ぐうっ……だけど、すぐ再生できる……!」

 

「させると思うか?」

 

 

 凍り付いた傷口を破壊して再生しようと試みるヘカトだったが、伸ばした左のムカデ腕はがしりとウールヴヘジンに鷲掴みにされ、力づくで引っ張られて引きちぎられる。ヘカトの最大の強みであり、唯一の武器であったムカデ腕が失われた。もう身を守るものはなにもない。

 

 

「くっ……」

 

「終わりだ。グルルルルァ!」

 

 

 そう言って狼化して、右腕の一振りでヘカトの頭を引き裂き粉砕するウールヴヘジン。頭部と両腕を失ったヘカトの体が、力なく崩れ落ちる。これに激昂したのは、リヒトだ。

 

 

「ヘカト姉さんを、きさまぁあああああっ!」

 

 

 7メートルを超える巨体で四つん這いとなり、目の前に立ちはだかって止めようと試みた兵隊たちを噛み潰しながら突進を繰り出すリヒト。しかしウールヴヘジンは狼化すると、その大きく開いた硬口蓋と顎を掴んで、地面を擦りながらも受け止めてしまった。

 

 

「はがあっ!?」

 

「グルルルォオアアアアアッ!!!」

 

 

 そのままリヒトの巨体を持ち上げて逆さまにすると天高く放り投げるウールヴヘジン。霧の様に霧散するとその頭上で実体化し、両腕を組んでアームハンマーを叩き込んだ。

 

 

「ぐうっ!?ご、め、マザー……」

 

 

 背骨を打たれたリヒトは弓なりになりながら高速で落下、慌てて兵士が逃げ出した地面に叩きつけられ、白目をむいて舌をだらんと垂らして気を失った。

 

 

「ヘカト!リヒト!」

 

「あとはお前だけだ」

 

「なめん、な!」

 

 

 目の前に着地し、再び人の姿に戻ったウールヴヘジンに、全身の力を込めたミドルキックを腹部に叩き込むも、ブレードに変形した右腕で胴体を真っ二つに引き裂かれ、信じられないと目を見開きながら左腕しかない上半身と斬られた右腕、下半身がごとっと音を立てながら転がる。

 

 

「…ここまでとはね」

 

「まったくだ。もう少し楽しめるかと思ったぞ」

 

 

 そう告げてシータの顔を掴んで上半身のみとなった体を持ち上げ、頭部に向けてブレードの先端を伸ばして串刺しにしようとするウールヴヘジン。しかしそれを止めたのは、上機嫌な男の声だった。

 

 

「待て、ウールヴヘジン」

 

「……閣下。よろしいので?」

 

「オルタナティブのB.O.W.は隊長格だという。一人死んでしまったのはもったいないが、せっかくだ。オルタナティブの情報を洗いざらい吐いてもらおうじゃないか」

 

「閣下の仰せのままに」

 

「ふざ、ふざけんな!離せ!」

 

 

 元気に騒ぐシータの上半身を小脇に抱え、リヒトの尻尾を持ってその巨体を引きずりながらグランデ将軍の元に戻っていくウールヴヘジン。それを見下ろしながら、グランデ将軍は隣で放心してたビンセントに話しかけた。

 

 

「ヒュプノスは残念だったが、ウールヴヘジンはやはり素晴らしい。だが今回やられたタイラントとハンターπの分を補充しないといかん。商談しようじゃないか、ゴールドマン」

 

「そ、それはそうですがまだ伏兵が潜んでいる可能性も……」

 

「いや、恐らく正体を現したのはこちらを殲滅できると確信したからだ。ウールヴヘジンは想像つかなかったのだろう。そして恐らく奴らは斥候に過ぎない。オルタナティブ本隊に知られる前に鹵獲してしまえばそれまでだ。……せっかくだ、手に入れたあの二体も我が軍の新たな戦力になってもらおうか。ウッハハハハッ!」

 

 

 豪快に笑い飛ばしながら、ジープに乗り撤退を始めるグランデ将軍とバジリブ共和国軍。戦場には頭部と両腕を失ったヘカトと、シータの残骸だけが残された。




 ヘカト無残。リヒト無念。シータ無情。サクリファイスコヤンが可哀そうになるぐらい高性能なウールヴヘジン。「将軍の牙」は伊達じゃない。

その素体になったリンダ・パールはドラマCD『バイオハザード 運命のラクーンシティー』の主人公です。ジルの友人で女医さん(スペンサー記念病院の女医かは不明)。難病で母親を亡くした過去を持ち、結果的に母親を見捨ててしまった罪悪感から、最後まで逃げずに諦めない事を信念としていたのが災いして、時間稼ぎのためにたった1人で多数のゾンビに立ち向かった末に命を落とし、この際逃がした仲間も結局全滅しているというかなり救われない人物です。

ちなみにキャメロン博士はCG映画『Biohazard_4D-Executer』に登場したアンブレラの女性科学者。この世界ではアンブレラに救出されてますが、この映画だと化け物じみた姿になりながらも人間としての自我を保って元に戻る研究を続けているという地味にやべーやつだったりします。

バイオのマイナーキャラはまだまだいるので使っていきたい。主人公も悪役も好きだけど、それを引き立てるバイプレーヤーはもっと好きなのだ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな南極編オリジナルB.O.W.は?

  • プシューケー
  • プシューケー・イグニス
  • ノスフェラトゥ・オーバーキル
  • ノスフェラトゥ・イグニス
  • アレクシア(RT-Veronica)
  • オベイロン(アルフレッド)
  • アレクシア(オベイロン・アーマー)
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  • アレクシア・フライ
  • アレクシア・シンドローム(合体)
  • モールデッド・クインリーチ
  • ベロニカ・アシュフォード
  • 鳴雲友子(アトラナート態)
  • Cthugha(クトゥガ)
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