BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。三話ぐらいといったな?あれは嘘だ。多分五話かなあ。
pixivで エレメンタル㏇ さんが南極編のオリジナルクリーチャーたちのイラストと、なんとまとめまで描いてくださいました。本当にありがとうございます!「特異菌感染者の聖地」タグから見れるので是非ともご覧あれ。

植物系は全部やばい。R15な内容かも。楽しんでいただけたら幸いです。


file1999:3【癒しの処刑人ネルトゥス】

 ミゲル・グランデ将軍は世界でも類を見ないやり手の名将だった。軍事力、戦略、自身の戦闘能力、どれをとっても一級品。洋館事件の前からB.O.W.こそ世界の覇権を握りうる兵器だと確信し、アンブレラに惜しみない投資をした。

 

 その結果、手に入れた数多のB.O.W.。T-103タイラント、ハンターβ、リッカー改、敵国の捕虜を使ったゾンビの群れ。さらにハンターπに他二体の新型。他の国ならただ突っ込ませるだけのそれらを、グランデ将軍は人間の兵士を囮に誘い込ませたうえで殲滅する戦略に用いた。「ただの人間を相手する」それだけで油断を招くものであり、その心理を利用したのだ。

 

 B.O.W.の存在を決して明かさず、秘密裏に用いる。タイラントやハンターπは兵士に偽装して、ハンターβやリッカー改、ゾンビたちはトラックの荷台に乗せて輸送して。なんならタイラントやハンターβ、ゾンビの詰まったトラックを敵地に突っ込ませるだけで大パニック必至だ。グランデ将軍という絶対的なトップの下で統率されたバジリブ共和国軍から秘密が漏れることは一切なく、万が一に捕縛されても即座に携帯したウイルスで自死して敵陣でバイオテロを引き起こす。アンブレラとの取り引きも秘密裏に、ネット上に痕跡も残さないようにアナログな方法で行う。さらには入念に隠したウールヴヘジンの様な隠し玉のB.O.W.までいる。こと情報戦において、どの国も後手に回るしかない。故に無敵。その進軍は誰にも止められない。

 

 しかし、その違和感に気付いた者たちがいた。銃で後から撃たれて銃殺死体に偽装されていた、殴殺死体をある戦場で確認したのが始まりだった。諜報を得意とするハンターΨとその部下の隠密部隊による調査で、グランデ将軍との関連がかすかにだが挙がった報告を聞いたエヴリンは考えた。潜り込ませるのはたやすいが、敵の戦力が未知数すぎる。自分はT-ウイルスの感染者には見えて聞こえてしまうため隠密にはあまりに不向きだ。ではどうするか。

 

 

『そうだ、懐に潜り込めばいいじゃん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シータは困った。めちゃくちゃ困った。バラバラにされ、胸から上の胴体と左腕しかない状態で、ウールヴヘジンに抱えられジープに乗せられて連れていかれた森の中の隠匿された基地。その部屋の一つで、首から下を氷漬けにされてしまっていた。再生するB.O.W.対策なのだろう。その再生が一番の武器であるシータにぶっ刺さりまくっている。痛覚がないからひんやりする程度だが、身動きが完全に取れない。さらに困ったことに拷問官らしき人間にスタンロッドで叩かれ電流を流されまくっているが、痛覚がないためそんなに効かないことにいい加減気付いてほしい。

 

 

「ざーこ。こんなんで効くと思ってるの?」

 

「きっさまぁあああっ!」

 

《「まあ待て。どうやら痛覚がないらしい。拷問が意味ないとは、大したものだ。喋る気になったか?ハンターΘ」》

 

 

 すると、今いる個室のスピーカーから声が聞こえる。忌々しいグランデ将軍の声だ。シータは顔を上げて、スピーカー横のカメラに向けてべーと舌を出す。

 

 

「シータちゃんって呼んでってば。……解放してくれたら考えるかも?」

 

《「それはできない相談だな。俺はお前を見たことがある。三ヶ月前だったか?毒を用いて瞬く間に敵兵を殲滅する血にまみれた掃討者、お前だな?その光景を見た時から……欲しいと思っていたんだ」》

 

「きもちわるっ」

 

 

 H.C.F.時代の実践訓練のことを言っているのだろうグランデ将軍に、うげーという表情を見せるシータ。しかし、すごすごと引き下がった拷問官の代わりに部屋に入ってきたものを見て顔を青くする。

 

 

「ちょっと待って、それ知ってる。エヴリンの記憶で見た……」

 

《「エヴリン?まあいい。紹介しよう。我が軍の隠し玉である三大B.O.W.の一人……【癒しの処刑人】ネルトゥスだ」

 

 

 そこにいたのは、NESTでエヴリンが相対したベルセポネと酷似したクリーチャー。巨大な紫色の花の中央から、修道服を着た身体の至る所にツタが巻き付いており両手は平たい葉っぱが手の様に変形したもの、花柱が発達した縁が金色の紫の花をいくつか服を突き破って咲かせていて頭部にも髪飾りのように左側に小さい花、後頭部に大きい花が咲いている黄緑色の肩まで伸びた髪を持つ、肌が緑がかった女性の上半身が生えていた。根っこを動かして歩み寄る北欧神話に登場する平和と豊穣を司る女神の名を持つそれに、シータは凍り付いた上半身を捩って何とか逃げ出そうと試みる。

 

 

「癒しの処刑人だなんて失敬な……将軍。わたくしめは全ての生き物を幸せにして土に還してあげることこそが使命だと信じているだけです。癒しこそすれ処刑だなんてそんな物騒な……」

 

「こ、このエセシスター……まさか洗脳?……待って、それはだめ!」

 

『何がダメというのだ?やれ。ネルトゥス』

 

「喜んで。さあ、貴女も幸せになりましょう?」

 

 

 そう言って後頭部の花をポンと軽く叩いて、掌を顔の前に横にして構えると、「フゥー」と吐息を吹きかけて、付着していた花粉を飛ばすネルトゥス。咄嗟にシータはむぐっと軽く空気を吸って「フー!フー!」と必死に息を吐いて花粉を吹き飛ばして抵抗。そのことに「ムッ」と頬を膨らませて怒ったネルトゥスはさらに近づいて左手でシータの顎を押さえて無理矢理口を開かせると、ギュウッと力強く後頭部の花に押し付けた右手を口の中に突っ込んだ。

 

 

「うぐっ!?」

 

「はぁい。苦痛は一瞬ですよぉー。ゴクゴクしましょうね~」

 

 

 無理矢理花粉をシータに取り込ませたネルトゥスは、満足げに右手をシータの口から引き抜いてべとべとの指先を舐めとって妖艶に笑う。シータはそれに顔を赤くしながら息を吸いなおし、強気に返す。

 

 

「ぷはっ!お生憎!あたしは毒に耐性が……はれ?ろえつが……」

 

《「ネルトゥスはドライアド43とベルセポネと呼ばれるB.O.W.のレポートから、あらかじめ人間の血を栄養源にしたウィステリアにT-ウイルスを投与し生み出された後継機だ。蜜を用いた先達と異なり、身体から生えた花から幻覚作用のある花粉をばら撒く能力を持ち、この花粉を吸った生物は多幸感に包まれ思考能力が低下し、戦意を失い何もできなくなってしまう。幸福な夢で腑抜けにしてから養分を奪い取ることから「癒しの処刑人」の異名を与えられた。無痛覚で毒にも耐性があるらしいが、耐え難いだろう?」》

 

「しょんな、ことなぃいい……」

 

 

 まるで酔っているかのように顔を赤らめ、目が回らせてふらふら揺れるシータは完全にネルトゥスの術中にはまってしまった。うんうん、と満足げに頷いてうっとりと眺めるネルトゥス。

 

 

「幸せですか?」

 

「はひ、しあわせでふ!」

 

「幸せなのは義務なんですよ?」

 

「しあわせなのは、ぎむ!」

 

《「完全に堕ちたようだな。これを使うと言語機能が著しく乱れるから最終手段だったが……まあいい。さあハンターΘよ。洗いざらいはいてもらうぞ」》

 

「シータちゃんってよんで!はふぅ」

 

 

 そのまま、スピーカー越しにオルタナティブの情報を問い質していくグランデ将軍。どうやって自分たちの事を知ったのか。いつ紛れ込んだのか。受けた命令は。問いかけに対し、多幸感に満ちて何も考えられない頭で正直に答えていくシータ。

 

 

《「傑作だ!あの三体で本隊?まさか我々をたった三体で殲滅するつもりだったのか?オルタナティブのリーダーは切れ者と聞いていたが、とんだマヌケの様だな!さあ、オルタナティブの本拠地を教えろ!あの目障りな奴らの本拠地はどこにある?」》

 

「むふー!それは、だめよ!だめなんだからあ!」

 

《「む?まだ抗う余裕があったか…それはなぜだ?」》

 

「いったらクイーンたちにきらわれちゃう!ぜったいだめぇ!」

 

 

 どうやらシータの根底のトラウマは多幸感でも覆せなかったらしい。グランデ将軍はカメラの向こうで眉を顰める。

 

 

《「仕方ない。ネルトゥス、もっと花粉を与えろ。めいっぱい幸せにしてやれ」》

 

「喜んで!もっと、もぉっと、余計なことも考えられないぐらい幸せになりましょう?」

 

「ひゃう!?」

 

 

 命令を聞いて容赦なくシータに花粉を与えていくネルトゥスを尻目に、グランデ将軍は席を立ち、マイクを部下に託して部屋を出る。その後ろをウールヴヘジンが追従した。

 

 

「あとは任せた。ある程度与えたら俺に合流するよう伝えろ。リヒト…だったか。あのワニのB.O.W.にも花粉を与える。なんとしても聞きだすぞ。ウル、例のものも用意する様に伝えろ」

 

「〝カトブレパス”を使うのですか?」

 

「そうだ。出し惜しみはせん。オルタナティブのB.O.W.はすべて我々のものとする。そうすればおのずとアメリカもロシアも中国も、我々のものだ……ウッハハハハッ!」

 

 

 確かな勝算を持ってグランデ将軍は笑う。それを、天井からなにかがじっと見つめていたことも知らずに。




ウールヴヘジン。ネルトゥス。カトブレパス。この三つが将軍の切札です。いずれもいつもお世話になってるお馴染みエレメンタル社-覇亜愛瑠さんから提供されたアイデアをもとにしています。ネルトゥスは若干変えてシスターにしました。なんかこういうやばいシスターたまにいるよね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな南極編オリジナルB.O.W.は?

  • プシューケー
  • プシューケー・イグニス
  • ノスフェラトゥ・オーバーキル
  • ノスフェラトゥ・イグニス
  • アレクシア(RT-Veronica)
  • オベイロン(アルフレッド)
  • アレクシア(オベイロン・アーマー)
  • アレクシア・ポッド
  • アレクシア・フライ
  • アレクシア・シンドローム(合体)
  • モールデッド・クインリーチ
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  • 鳴雲友子(アトラナート態)
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