BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

414 / 535
どうも、放仮ごです。5話でも終わらなそうだな、と無計画さに呆れてます。プロットだともっと短いはずだったのに……。

隠し玉には隠し玉。楽しんでいただけたら幸いです。


file1999:4【輸送兵器カトブレパス】

 撤収を優先したため、もしくは死体に価値を見出していないのか置いて行かれたヘカトの傍に、ヘリが滞空していた。そこからロープで降りてきたのは、内戦国出身であるメガネをかけたアジア系の青年レイ・スーと、その相棒である大柄で色黒の青年タヒル・カプール、ベロニカの補佐を担っている科学者の女性メラ・ビジといった、ヘカト分隊の面々。自分たちの隊長の悲惨な姿に瞑目するも、すぐにそれぞれサーベル、ショットガン、ハンドガンを抜いて周囲を警戒する。

 

 

「……安全確認よし。マザー、何時でもOKです」

 

「ヘカト隊長含め、全部の死体が焼かれている。本当に証拠を残さない奴らだぜ」

 

「既に〝反応”は確認したわ。作戦は成功よ」

 

《「了解。今行く」》

 

 

 そこに、ヘリから飛び降りてきたのは戦場に似つかわしくない白く大きなつば付き帽子を目深に被り、白いワンピースを身に着けている上からミリタリージャケットを身に着けた腰まで伸びた長い黒髪の女性。オルタナティブの大隊長、リサ・トレヴァーであった。

 

 

「……マザーはやめてほしいんだけど」

 

「何を言うのです!あの戦場から私たち二人を救い出し、養子縁組すらしてくれた貴女はまさに聖母(マザー)だ!」

 

「やめとけレイ。リサさん、本気で嫌がってるぞ」

 

「レイの狂信も今に始まったことじゃないからしょうがないわ」

 

「菌根が足りないと思って私も来てみたけど……ドンピシャだったみたい。エヴリン」

 

『うん、始めるよ』

 

 

 他の三人には見えない共犯者に呼びかけ、頭部と両腕を失ったうえで燃やされているヘカトの死骸に手を向けるリサ。レイ・スーが狂信していてもしょうがない〝奇跡”が始まる。

 

 

「『起きて、ヘカトちゃん』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リヒトは微睡の中で夢を見る。自分の恩人たちの声が木霊する。

 

 

―――「リヒト。気持ち悪いだろうが我慢しろよ。お前の中が一番いいんだ」

 

―――『リヒトー?ごめんだけど我慢してね?リヒトにしかできないの』

 

―――「うん、クイーン。マザー。わかった!俺やる!」

 

 

 なんとなく引き受けたけどよくわかってなかったと知ったらマザーたちは怒るだろうか。そんなことを考えながら、意識が浮上する。

 

 

「うげえ………めっちゃ吐き気がする……ここどこ?」

 

 

 目を覚ますと、無骨な倉庫の様なところに仰向けに台の上に寝かされ鎖で拘束されていて。顔を動かすと、横にとんでもないもの鎮座していることに気付く。頭部、首、背中と腹部にかけて金属の装甲板に覆われている、超巨大な背中が隆起していて操縦席の様になっているカバみたいに肉厚で短足な胴体から、緑がかった黒い体毛をした赤色の眼の猪の頭を持つ首が百足みたいに長く、底部に頭を支える節足が5対生えていた。現在は休眠しているようだが、リヒトすら超える巨体はすさまじい迫力だった。

 

 

「なに、これ……いや、とにかく逃げないと……」

 

「無駄だ、リヒト。それはカトブレパスを拘束しておくために用いる特別製の鎖だ」

 

 

 そこに、ウールヴヘジンを連れてやってきたのはグランデ将軍。リヒトは心底嫌そうに顔を歪めて睨みつける。

 

 

「……それはマザーがくれた名前だ。お前なんかが口にするな」

 

「そうつれないことを言うな。仲良くしよう。お前ほど高性能なB.O.W.を殺したくない」

 

「そんなの、あいつ(G6)でもないと無理だ。俺は殺せない」

 

「無理じゃないんだな、それが。こいつさえいればな」

 

 

 そう言って自慢げに隣の異形の巨体に向けてリモコンの様なものを向けるグランデ将軍。そのスイッチを押すと体内から電流が流れ、億劫そうにその巨体が目覚める。

 

 

「グオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「っ……そいつがなんだって言うんだ。俺は負けない!」

 

「こいつの名はカトプレバス。高い再生能力を持つ制御困難なB.O.W.の処分だけで無く、大量殺人もなしえる高火力の武器をB.O.W.に搭載して運用する試験のためにアンブレラによって開発された大型B.O.W. そのプロトタイプを我々がもらい受けた。もし量産して戦場に投入すればあらゆる国や組織に売れ、アンブレラは莫大な利益を得れるだろう。その前に全ての国を我々が侵略するがな?」

 

 

 そう言いながら、突起に手をかけカトブレパスの背中の操縦席の様なところに乗り込み、生体電気を操作する機械を操作して方向転換させ、首を伸ばして顎を開けた状態で口の奥から突き出る様に、グレイブディガー・ヒュドラを倒したレールガンによく似た砲口を展開させるグランデ将軍。砲口を突きつけられたリヒトは息を呑む。

 

 

「カトプレバスの体内にあるのはレールガンに続く対B.O.W.用新型兵器「対生体兵器用熱放射線発射装置(レーヴァテイン)」。電子レンジの要領で強力な放射線を放ち、生物の水分子を急速に動かして発熱させて細胞単位で標的の肉体を内部から破壊し殺傷する。最大出力の熱線を受けると熱膨張で肉体が破裂させることが可能だ。高い再生能力を持つB.O.W.も一撃だ」

 

「……閣下。やはり、私よりもカトブレパスの方がB.O.W.殺しの名はふさわしいと思います」

 

「オルタナティブの三体を瞬く間に戦闘不能にさせたお前こそふさわしいぞ、ウル。さてリヒトよ。ここで死ぬか、服従するか。選べ」

 

 

 ウールヴヘジンの弱音に笑って返し、スタンロッドを取りだして機械に突き刺し、電力を充填していくグランデ将軍。

 

 

「ぐっ……」

 

「ネルトゥスは待たないので?」

 

「どうやらシータの口を割らせるのに手間取っている様でな?恐怖心で従うかどうか試そうというわけだ」

 

「シータ…?シータに何をした!」

 

 

 牙を剥き、唸って威嚇するリヒト。リヒトにとってシータはガンマと並んで妹の様な存在だ。その窮地を聞かされれば()として怒るのは当然であり、グググッと全身に力んで拘束から逃れようとするが、ビクともしない。

 

 

「ノーか。残念だが安心しろ。お前ほどのB.O.W.を殺す理由はない。ネルトゥスが来ればすぐにでも服従させてやるさ。ウル、リヒトを気絶させろ」

 

「閣下の仰せのままに。グルルルゥ!」

 

 

 グランデ将軍に命令されるままに心臓に指を突き刺して菌根で覆うことで狼化し、拳を振りかぶってリヒトの顔を殴りつけるウールヴヘジン。筋繊維ならぬ菌繊維の塊と化したウールヴヘジンの拳は重く、リヒトは目を瞑って耐える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと忠犬から離れてくれたな」

 

「むっ!?」

 

 

 瞬間、天井に潜んでいたそれから伸ばされた粘液で作られた糸がグランデ将軍の背中に引っ付き、引っ張り上げる。そのままウールヴヘジンからカトブレパスの巨体を挟んだ反対側に投げ飛ばし、件の人物は着地した。ぼとっと落ちた不定形のそれはすぐさま人型を取り、蜘蛛の巣か網の様な黒いコートを身に着け金と黒の縞々のグラデーションが映える短髪でギザギザの歯と赤い瞳が目立つ人物へ姿を変える。

 

 

「ぐうっ!?お、お前は……」

 

「名乗ってやる義理もないが……モリアーティ。クインティア・モリアーティだ。生きていれば以後お見知りおきを?ミゲル・グランデ将軍」

 

「犯罪界のナポレオンと同じ苗字とは、仰々しい名前だ。……お前もオルタナティブのB.O.W.か!ならばいただく!B.O.W.こそ次の世界の覇権を握る〝力”だ!」

 

 

 瞬間、起き上ったグランデ将軍に粘液糸を射出するモリアーティことクイーン。しかしグランデ将軍は人間離れした反射神経でそれを避けると、その手に袖口から取り出したカランビットナイフを手にして一閃。クイーンは胸部を斬り裂かれるが、即座に再生させる。

 

 

「お前本当に人間か?」

 

「将軍たるもの弱いわけにはいかんのだ。どこから迷い込んだ?迷子でも入れない立地のはずだが?」

 

「お前たちに連れてこられたんだよ。そこのリヒト。でかいだろう?我慢してもらって体内に私を入れさせてもらっていた。あとは隙ができたのを見計らって口から出て来て基地内を観察させてもらっていたのさ」

 

 

 冷や汗をかきながらも説明するクイーン。自らに課せられたのは時間稼ぎ。その時間を少しでも稼ぐため、会話に集中させる。

 

 

「つまり……あの三人は囮だったと?貴様が本隊か。だがシータから得た情報によれば…」

 

「ああ、それはそうだ。シータは詰めが甘すぎる子でな。……ぶっちゃけ捕まることは目に見えてたから偽の情報を与えておいた」

 

「血も涙もない外道か貴様ら」

 

「ネルトゥスとかいう処刑人を使う奴に言われたくない、な!」

 

 

 クイーンの飛び蹴りが叩き込まれる。グランデ将軍はバックステップで回避。懐から取り出した手裏剣、鏢、ダーツ、チャクラム、苦無、フランキスカとありとあらゆる暗器や投擲武器を投げつけ、クイーンは面食らって粘液硬化した腕で防いでいくが、袖口から取り出され頭上で回転し投げつけられた流星錘の一撃で鳩尾を打たれ、吹き飛ばされる。

 

 

「四次元ポケットでも持ってるのかお前は……」

 

「将軍たるもの、武器の扱いにも長けていなければならない。呆気なかったな、モリアーティとやら」

 

 

 そう言ってベルトから引き抜かれたマグナムが頭部に向けられる。再生力を見て再生できなくなるまで大ダメージを与えようという腹らしい。正直なめてたクイーンは嘆息するが、外から聞こえる悲鳴を聞いて含み笑いを浮かべた。

 

 

「なんだ?なにがおかしい」

 

「では、ジョーカー(切札)だ。遅いぞエヴリン」

 

「大変です、将軍!」

 

 

 そこに、慌てた様子で兵士が部屋に入ってきて、グランデ将軍は無言で続きを促すと、敬礼しながら続けた。

 

 

「きょ、巨人がこの基地を攻めてきました!」

 

「巨人だと?」

 

「お前たちが殺したB.O.W.だがな。名前をヘカトという。……由来は、ヘカトンケイル(ギリシャ神話の巨人)だ」

 

 

 そう嗤うクイーンの頭上、屋根を引っぺがして顔を見せたのは、ムカデそのものの両腕を持つ巨大なモールデッド。モールデッド・ヘカトンケイルだった。




前回の最後のはクイーンでした。マスターリーチみたいなことをしてるっていうね。リヒトの体内に潜んで侵入してました。

クッソ強いグランデ将軍。原作で活躍がないので、モデルは「映画クレヨンしんちゃん第6作 電撃!ブタのヒヅメ大作戦」に登場するブタのヒヅメの幹部ブレード(CV:速水奨)と、SMLの〝筋肉”(CV:玄田哲章)にしました。つまりめっちゃ武器を隠し持っている高速移動できる筋肉盛り盛りマッチョマン。

レイ・スー、タヒル・カプール、メラ・ビジはいずれもバイオハザード マルハワデザイアに登場する原作キャラ達です。前者二名は本当ならマザー・グラシアに保護されて狂信ルートを辿るんですが、今作ではオルタナティブに助けられてそのまま加入してます。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな南極編オリジナルB.O.W.は?

  • プシューケー
  • プシューケー・イグニス
  • ノスフェラトゥ・オーバーキル
  • ノスフェラトゥ・イグニス
  • アレクシア(RT-Veronica)
  • オベイロン(アルフレッド)
  • アレクシア(オベイロン・アーマー)
  • アレクシア・ポッド
  • アレクシア・フライ
  • アレクシア・シンドローム(合体)
  • モールデッド・クインリーチ
  • ベロニカ・アシュフォード
  • 鳴雲友子(アトラナート態)
  • Cthugha(クトゥガ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。