BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。世紀末編も終わりが迫ってまいりました。

ミゲル・グランデとの決着。楽しんでいただけたら幸いです。


file1999:8【私たちは道具じゃない】

「……ネルトゥスがやられたか」

 

 

 モールデッド・ヘカトンケイルを踏み潰しながら、グランデ将軍は腹心の死を確認して思考する。ネルトゥスは将軍にとって、敵兵すら簡単に引き込むことができる切り札だった。このオルタナティブのB.O.W.も、ネルトゥスさえいれば引き入れることも簡単だと確信していた。しかし、ネルトゥスを失った以上、オルタナティブは自らを脅かす敵でしかない。

 

 

「…方針変更だ。人間もB.O.W.も関係ない、皆殺しだ」

 

 

 そう言ってカトプレバスを操縦しモールデッド・ヘカトンケイルを踏みつけ方向転換したのは、ネルトゥスを倒したクイーンとシータが合流した方向。自分の部下がいるにも関わらず、グランデ将軍は躊躇なくスタンロッドを差し込み充電。砲口から放射熱線を放った。

 

 

「『させ…るかあ!』」

 

 

 しかしそれは、起き上ったモールデッド・ヘカトンケイルがカトプレバスの首を掴んで上に向けることで回避。放射熱線は暗雲を吹き飛ばし、太陽光が降り注ぐ中でモールデッド・ヘカトンケイルはカトプレバスをひっくりかえし、四足のブースターで体勢を 立て直して着地するカトプレバス。そのまま体当たりを仕掛け、頭突きを叩き込み渦を巻いたムカデ腕に受け止められる。

 

 

「『あっつ、あっつ!皆殺しなんて、何考えてるんだ!あの向き、部下もろともクイーンとシータを殺すつもりだったでしょ!』」

 

「ならば俺に従え、B.O.W.!お前たちは意思を持っていようがなかろうが戦争の道具だ!お前たちの力を300%引き出してやる!最強の武力、軍事力、財力、権力!そして、世界を敵に回す覚悟!お前たちが活躍する場は俺が用意してやる!俺が一番上手くB.O.W.を扱える!次代の覇権を握るのは我が国、この俺だ!」

 

「『ふざっけんな!』」

 

 

 カトプレバスの上で上を向けた掌を握って豪語するグランデ将軍に、モールデッド・ヘカトンケイルは、いやエヴリンはキレた。菌根を限界まで増殖、ムカデ腕を全力で伸ばしてカトプレバスごとグランデ将軍を締め上げていく。

 

 

「『私たちは道具なんかじゃない!喜んで、怒って、泣いて、楽しむ心を持っている!しっかりと生きているんだ!何が力だ!力ばかりに囚われているお前の方が、よっぽど戦争の道具だ!』」

 

「そうだ。祖国のために俺は負けられない。勝ち続けなければならない。我々は歯車だ。自国を存続し、他国を滅ぼす兵器の歯車にすぎない!心など持たせたのが間違いだ!ただの道具が逆らうな!」

 

 

 手にした流星錘を振り回してムカデ腕を撃って退かせ、マグナムをモールデッド・ヘカトンケイルの眉間に叩き込むグランデ将軍。頭部に風穴を開けられたモールデッド・ヘカトンケイルの巨体が崩れてヘカトちゃんに戻って落ちていき、将軍は放射熱線を叩き込まんとする。

 

 

「終わりだ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、選手交代よ!とっておき、見せてあげるんだから!」

 

 

 狼化し全力を開放したウールヴヘジンに、滞空するオルタナティブのヘリから顔を出したベッカ・ウーレットが構えたのは、ブローニングM2重機関銃。銃がなければなにもできないとまで称されるベッカ・ウーレットだが、ひとたび銃と弾薬さえ手にすれば、瞬く間に敵を制圧できる戦闘力を誇る。そんな彼女にはまさに鬼に金棒だった。

 

 

「私の前を開けて!死ね死ね死ね死ね!」

 

 

 普通は狙いにくいため弾幕による数で当てるそれを、高速で動いて回避を試みるウールヴヘジンに全弾当てていくという離れ業を披露するベッカ。人狼の姿の菌根の外装を剥がされて高威力の銃弾を叩き込まれるウールヴヘジンはたまったものではなく、衝撃で軽くよろめきながらも近くの戦車に辿り着くと、持ち上げて振り返りヘリに向けて放り投げることで対抗。

 

 

「やらせない!」

 

 

 怪力で投げ飛ばされたそれは、リヒトが掴んで放り投げたバイクが激突して爆発の衝撃でヘリから逸れて地面に激突、大爆発を起こす。爆風にヘリが煽られるも、それでも揺れるヘリから弾丸を当ててくるベッカはもはや理不尽でしかない。ウールヴヘジンはたまらず近くにいた兵士からアサルトライフルを分捕り、撃とうとするも機関銃で当ててくる正確さで手の中の銃が破裂していく。そろそろ外装がすべて剥がれ落ちる、というところで弾幕が止んだ。弾切れらしい。

 

 

「よくもやってくれたなああああああ!」

 

 

 その場で大きく蟹股で沈み込み、跳躍。ヘリにしがみついてベッカを引きずり出そうとするウールヴヘジン。しかしそれは、目を瞑りヘッドホンを付けている耳をさらに押さえているベッカと、ヘッドホンとサングラスを付けた操縦士のマーティン・サンドイッチを見て狼の顔が怪訝に歪む。

 

 

「よぉーし見せてやる!いっいや、変なもんじゃないよ?はい、チーズ」

 

バァアアアンッッッッッ!!!!!!

 

 

 なにかが転がる音の直後、爆音と途轍もない発光がヘリの中に広がる。閃光手榴弾である。ウールヴヘジンにとって最悪だったのは、よりにもよって狼形態で受けてしまったことだろう。狼形態は身体能力と共に五感が獣の様に研ぎ澄まされ超強化されている。至近距離で爆音と発光を受ければ、どうなるか容易に想像がつく。ウールヴヘジンは混乱し、ふら付いてヘリから落ちそうになる。

 

 

「ぐおおおおおおっ!?わ、私は将軍の、牙ぁ……!?」

 

 

 混乱しながらギリギリ何かを掴んで落下を拒むも、丸い筒状のものを握っていることに気付いて血の気が引く。何とか視力を回復して見てみれば、笑顔のベッカがウールヴヘジンが銃身を握っている機関銃を構えなおしていたところだった。咄嗟に体を分散させて逃げようとするも、高周波をまともに受けてしまったためそれもできない。

 

 

「渾身の銃弾をお見舞いしてやるわ!」

 

「うおおおおおおおっ!?」

 

 

 至近距離から弾丸の嵐が叩き込まれ、ヘリから凄まじい勢いで吹き飛ばされるウールヴヘジン。満身創痍の身であっても最後まで戦い抜こうと、手を伸ばす。だがしかし。横から迫る放射熱線に気付くのが、遅れてしまった。

 

 

「なぜです!?閣下ぁああああああああああああ……」

 

 

 ウールヴヘジンが放射熱線に巻き込まれ、空中で弾け飛んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを行ったのは、カトプレバスを駆るグランデ将軍だった。いや、正確にはグランデ将軍はスイッチを押しただけで、カトプレバスが突如ウールヴヘジンを狙った、が正しい。

 

 

「なぜだ!?カトプレバスの制御はこの機械で完全に……!」

 

「『答えは簡単だよ』」

 

 

 いきなり言うことを聞かなくなったカトプレバスの操縦席で、レバーを動かし計器を操作するグランデ将軍に告げたのは、ヘカトだった。二つの声が重なるそれは、エヴリンの声を代弁している様だった。

 

 

「『私が精神世界に入って働きかけたんだ。カトプレバスにも心があった。だから、干渉することができた。わかる?……お前の言う〝心”が、お前の支配に(まさ)ったんだ』」

 

「心に、俺が負けただと…?」

 

 

 モールデッド・ヘカトンケイルがマグナムに撃ち抜かれたのを利用して、一度変身を解いて戻ったエヴリンがカトプレバスの心を精神世界に引きずり込んだ結果だった。それを聞かされ、悔し気に機械を叩くグランデ将軍。それは、明らかにヤバイ髑髏マークの描かれたスイッチだった。稲妻が走り、動かなくなるカトプレバス。明かに様子がおかしい。

 

 

「自爆スイッチを押した!この兵器の動力が吹き飛ぶぞ!」

 

「『えっ、まっ』」

 

「待たぬ!将軍たるもの、死に際も選ぶのだ!」

 

「『た、退避!オルタナティブ総員、ヘリに乗って!』」

 

 

 慌ててオルタナティブに退避を促すエヴリン。その様子を見てほくそえみながら、将軍は混乱に紛れてその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 執務室から地下の隠し通路に逃れたグランデ将軍を敬礼して出迎えたのは、年若い黄金の髪を三つ編みにしていてベレー帽を着用している碧眼の美少女の兵士だった。

 

 

「将軍。お待ちしていました」

 

「やはり生きていたか、メリカ。逃走用の飛行機は?」

 

「既に用意しております」

 

 

 将軍補佐官メリカ。ウールヴヘジンに並ぶグランデ将軍の腹心。入隊一年目でありながらたくさんの功績をあげ、ここまでのし上がった若手最優の兵士。実績を第一とするグランデ将軍が一番の信頼を向ける少女だった。




 ウールヴヘジン、無念の死。カトプレバス、反旗。そして登場、将軍の腹心メリカ。

ベッカの理不尽なほどの銃撃は、レジスタンスのスキルに由来します。銃撃だけなら最強クラスの女。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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