BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

422 / 535
どうも、放仮ごです。今回はグレイブディガー・ハスタの初登場回と同じくちょっとホラーチックです。

 レオンとクラウザー、現着。楽しんでいただけたら幸いです。


【EvelineRemnantsChronicle】fileDC【マヌエラ編】
fileDC:1【海の亡者(シーデッド)


 2002年。深夜、南米のとある街。近くのBARではしごしていた酔っ払いの男二人は、月夜に佇んでいる薄着の女性の後姿を見つけて、酔った勢いで話しかけた。

 

 

「おい姉ちゃん、そんなところでぇどうしたんだあ?」

 

「おじさんたちと一緒に飲もうぜ!おごってやるよ!」

 

 

 陽気に話しかける男二人に、女性がゆっくり振り返る。そしてその顔を見た瞬間、男二人は一瞬で酔いが醒めて赤らめていた顔を青ざめさせた。

 

 

「ァアアアアア……」

 

「ぎ、い、やぁああああああああ!?」

 

「出たぁああああああああ!?」

 

 

 そこにあったのは、右目や口からヒトデが飛び出した、水に濡れた様に青白い肌で一部が腐って骨が見えている異形。男二人は慌てて踵を返して、東西に別れて逃げ出した。

 

 

「なんだぁ、あのバケモノは……酔いすぎたか?酔いが醒めちまったよ……」

 

 

 手にしたままだった酒瓶を呷りながら、ふらふらと歩く髭の男。そのまま飲み仲間のもう一人の男の事も忘れて、近場のBARに入ってカウンターに座る。店のマスターと思われる男は、カウンターの奥で背を向けて、カクテルを作っている様だった。

 

 

「マスター!酒え!……おいどうした!酒も出せねえってのかこの店は!……あん?」

 

 

 そこで異常に気付く男。マスターは返事もしないで黙々とカクテルを作って……いるように見えたが、中身の酒が手元で溢れてしまっており、ピチャピチャと音を立てている。さらにテーブル席に座っている他の客も妙に静かだ。首を傾げながらも、マスターの肩を掴んで振り向かせる男。

 

 

「聞こえねえのか!あんたがマスター、だ……ろ……!?」

 

「シャアアアアアアッ!」

 

 

 振り向かせたその顔は、帽子を被っていてわからなかったがつるつるしていて、つぶらな瞳に大きな口には鋭い牙が。マスターの胴体に収まっていたのかウツボの首が伸びて、遥か頭上から男を見下ろして咆哮をあげる。どうやら先ほどのカクテル作りは、ただのポーズであり実際はただ酒を舐めていただけでその音がぴちゃぴちゃ響いていたと気付くには、遅すぎた。

 

 

「うわああああああ!?」

 

「キシャア!?」

 

 

 男は悲鳴を上げて、たまらず手にしていた空の酒瓶をウツボの頭部に叩きつけ、逃げようと出入り口に向かう。しかし、いつの間にか他の客が立ち上がっていて、いずれも頬からハリセンボンの針が広がって顔の半分を占領されていたり、シュモクザメの様な形状の頭部だったり、巻貝から顔が半分覗いて笑っている奴もいれば、サンゴの様に骨が四方八方に伸びて顔自体が固まっている者、コブダイの様におでこが異様に膨らんでいる者、フジツボに覆われた者、エビの髭が伸びて片腕が鋏になってる者、髪の毛がウニの様に硬質化し広がっていて顔が卵巣の様になっている者など多種多様な異形が立ちはだかる。

 

 

「く、来るな!?やめろぉおおおおおおおおお!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、はあ……神様ぁ!助けてくれ!」

 

 

 もう一人の男は信仰心の高い人物だった。街の教会に逃げ込み、神に助けを求めていた。その声を聞いてやってきたのは、この教会の神父だ。妙に青白いし濡れているが、神父である。

 

 

「ああ、神父様!助けてくれ!すぐそこでバケモノが……」

 

「りょうあしはっそくだいそくにそくおうこうじざいにしてりょうがんてんをさすいかに」

 

「は?」

 

 

 すると、高速で紡がれた言葉と共に、理解できない言葉に首を傾げた男の首が飛ぶ。神父服に隠れていたその腕は、カニの鋏の様になっていて、見れば足の片方もカニの鋏になっていて、服に隠れた首には夥しいとげのついた甲殻が生えていた。

 

 

「神父様?どうしたの……ひっ!?」

 

 

 そこに物音を聞いて現れたのは、教会で保護されている少女。血にまみれた現場と、異形となった神父の姿を目の当たりにして、恐怖に顔を歪めて踵を返して自室に駆け込み鍵をかける。

 

 

「嘘だ、神父様が……神父様が……!」

 

 

 震える手で、落ち着こうと飲料水の入ったペットボトルを手に取り中身を口にする少女。それは先日、雨傘のエンブレムの団体から教会に寄付されたものだった。

 

 

「ぐすっ、ちょっとしょっぱい……?うぐっ!?」

 

 

 飲料水に違和感を感じたのもつかの間。体内が作り変えられる激痛と、なにかが喉をこみ上げてくる吐き気が少女を支配する。汗腺から汗の代わりに海水が溢れ、溺れるようにもがいて、口から蛸足の様なものが飛び出した。八本の触手が蠢かせて少女は扉を破壊、他の人間は寝静まっている教会内を神父と共にふらふらと歩く。

 

 

 それから夜明けを迎えることなく、その街は一夜にして海の亡者(シーデッド)で埋め尽くされ滅んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一週間前。南米某国のとある街が一夜にして滅んだ。それも、未確認のB.O.W.の手によって。軍隊によって制圧されたそれは、同じ特徴を持つ物が三体いればいいレベルの、複数の特徴を持つゾンビの様な何か。いずれも海水に濡れているとして「海の亡者(シーデッド)」と名付けられたそれから検出された新たなウイルスを新たな脅威と見て、アメリカ合衆国大統領の特命でこの事件の調査が俺ともう一人の男に通達された。

 

 俺の名はレオン・S・ケネディ。ラクーンシティ事件を生き抜いた先で政府に保護され、バイオハザードに立ち向かうべくエージェントとなった男だ。

 

 そして、この事件の最重要参考人とされたのは南米の富豪ハヴィエ・ヒダルゴ。南米のアムパロという地域に一大勢力を持つ麻薬王だ。彼の組織は「聖なる蛇たち」という名で呼ばれ、彼らの犠牲となった者には蛇のタトゥーを刻み込み、暗殺や財力などありとあらゆる手段を駆使して現在の権力を手に入れた…とされている男だ。

 

 その派手な暮らしでも有名だったこの男だが、一年前から行方を晦ましていたが、つい先日アンブレラ南米支部とコンタクトをとったという情報を得ると、この事件との関連性があるとして俺ともう一人が派遣されたわけだ。だが当のアンブレラ南米支部は何も知らない研究員だけで、主任のアナーヒタ博士が一年前に辞めたという情報を得ただけだった。どうもきな臭い。そもそもコンタクトをとったという情報自体がフェイクの可能性すらある。

 

 

「何を考えこんでいる、新兵(ルーキー)

 

「レオンと呼んでください、クラウザー長官」

 

 

 持参した水筒を飲みながら偵察をしていた、愛用のサバイバルナイフを弄る大柄な男……今回の相棒であるジャック・クラウザーが問いかけてくる。彼は俺に戦いの基礎を教えてくれた長官だ。どうも頭が上がらないが、今回の任務では対等な関係だ。対B.O.W.の経験を持つ俺と、アメリカ特殊作戦軍の兵士であり戦地で数々の武勲を立てた少佐であるクラウザーが組めばこの事件も解決できると踏んだのだろう。

 

 

「しかしB.O.W.か……眉唾物だな。PTSDを患った人間の戯言だと切り捨てたいが……いや、お前は実際に戦ったんだったな」

 

「ああ、共闘もした。仲間だと頼もしく、敵だとあまりに恐ろしい奴らだ」

 

「アリサ・オータムスのことか?奴は政府に従順だが、信用できないな」

 

「アリサのことを悪く言わないでくれ、友人だ」

 

 

 アリサ・オータムス……R.P.D.における俺の先輩だった女性は、シェリーの身柄と引き換えに数々の任務に当たっているらしい。今のところアメリカ政府が保有している唯一のB.O.W.として各所から引っ張りだこにされている様だった。B.O.W.の存在が知れ渡り始めている今でも、クラウザーの様な人間は珍しくない。彼にとっては未確認生物みたいなものだろう。俺は、四年たってもあの地獄の夜を忘れたことはないが。

 

 

「この先のミックスコアトル村に、ハヴィエが潜伏していると思われるアムパロへの案内人がいる。アメリカへの留学経験を生かし、教職を務めている男らしい。行くぞ、新兵(ルーキー)

 

「いつまでも新兵はやめてくれ。……少し磯臭くないか?」

 

「気のせいだろう。近くに川はあるが、海はないぞ」

 

 

 クラウザーの言い分に、それもそうだなと納得しつつ俺達はジャングルを歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、なんで隠れるの?ガンマちゃんの口の中、気持ち悪いんだけど」

 

「むふー。がまんだよーメリカ!」

 

「知り合いがいたから念のためね。知らない奴もいるし、このまま別ルートから村に入るわよ」

 

「え、このまま!?」

 

 

 そんな俺達を、ジャングルに擬態して観察している者たちがいることには、気付いていなかった。




このクラウザーはダークサイドクロニクルズとRE4を足して無印4で割った感じ。

感染速度が速すぎる脅威のウイルスにより誕生するシーデッド。モチーフはパイレーツオブカリビアンシリーズに登場するフライングダッチマン号の乗組員です。ランダムな海洋生物の特徴を持ったゾンビって感じで、のちのt-Abyssによるウーズとはまた異なります。体液が海水の様に置換されるのが最大の特徴。グランデ将軍も血は流してませんでしたね。

感染経路は、日本と異なり水道水が飲めない外国ならではの、謎の雨傘エンブレムから配られた「飲料水」。普通の飲料水の中に紛れ込ませているため発覚まで数日かかったという寸法。これを水割りや氷として使っていたBARも感染経路となりました。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな世紀末編オリジナルB.O.W.は?

  • ウールヴヘジン
  • ネルトゥス
  • カトプレバス
  • モールデッド・ヘカトンケイル
  • ミゲル・グランデ変異体
  • メリカ・シモンズ変異体
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。