BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は第一の刺客。楽しんでいただけたら幸いです。
ヒルダ・ヒダルゴ。南米の富豪ハヴィエ・ヒダルゴの妻にしてマヌエラ・ヒダルゴの母親。不治の病である風土病に感染していて、1991年2月にハヴィエの手により一縷の望みを託して改良型T-ウイルスが投与された結果、体内のウィルスが次第に暴走して自我や理性も失い、食欲のままに人間を襲って食らう異形の怪物と化して、ハヴィエの居城に幽閉され、周囲には死亡したと伝えられていた。
病魔に侵されようと何も恨まず呪うこともしなかった典型的な善人であり、ハヴィエは愛妻家で彼女がいた時はその悪事が鳴りを潜めていたほど。しかし神は彼女を見捨てた。自我を失い、しかし殺処分もできずに10年もの間幽閉されていた彼女は、一年前解放された。ハヴィエが突如
ヒルダは人を疑うことを知らない善人であるため、知らない。ハヴィエが既にアナーヒタの手で殺されていて、その資産を奪い取ったことを。自らに投与された薬がT-ウイルスと同じ生物兵器として作られた新種のP-ウイルスであることを。彼女が生活していた〝プール”こそ数多の海洋生物の死体を海水とRT-ウイルスでゆっくりと溶かして作るP-ウイルスを生みだすための温床であることを。
彼女は知らない。プールに入れられていた自らが、P-ウイルスを簡単に世にばらまくための感染源にされていることを。ひとたび彼女が運河を泳げばどうなるかを。自らが捕らえようとしている被検体が自分の娘であることを。
―――――彼女は知らない。
ミックスコアトル村に入ったレオンたち。いくつも少女の行方不明者の壁紙が貼られている町はずれの一角で、ニュースであろう音声が響くそこを歩くレオンとクラウザー。
《「これまでに失踪した少女は既に50人を超えました。その数は現在も増加中です。地元の警察は厳重警戒を訴えています」》
「噂通り、物騒なところだな。……気付いているか、
「ああ。村人を一度も見てない。それにこの匂い、気のせいじゃない」
「磯臭い空気はここから来てる様だぞ、
そう言ってクラウザーが指し示したのは、飲料用なのだろう変哲もない井戸。しかしそこから香るのは磯っぽい海の匂いだった。
「磯の匂いだけじゃない。戦場の匂いもする。死の匂いだ」
「井戸の中身は海水か……?最近、同じワードを聞いた。まさか……」
「うん?人がいたぞ。怪我人か?大丈夫か?この村で何があった?」
するとクラウザーがびしょ濡れの黒人の男性がふらふらと歩いてきたのを見て、接近する。その男性の様子を見て、レオンはあることを思い出し銃を向けた。
「待て、クラウザー!ラクーンシティで同じ光景を見た、こいつは…!」
「どうした?っ…!?」
瞬間、男性の口からゴカイの様なものが飛び出してクラウザーの右腕に絡みつき、海水に塗れた手を伸ばして襲いかかってきた。レオンは咄嗟にハンドガンで頭部を狙い撃ち、ゴカイが千切れるとクラウザーは自由となった右手で腰からナイフを振り抜き、男性の首を斬り飛ばした。頭部を失い、ごとりと倒れた男の首から血ではなく海水が溢れ出す。
「こいつは、件の街に出たというシーデッドか……!」
「……一人だけじゃないみたいだぞ、クラウザー」
そう言ってレオンが構える先には、銃声を聞きつけたのか路地裏から溢れだしてきた様々な海洋生物の特徴を持つ
「撤退だ、
「急ぐぞ、案内人が心配だ!」
調査に来たためハンドガンにナイフだけという軽装備が裏目に出た。弾はたくさん持っているが、それでも心もとない。的確に頭を狙って少しでも一撃で倒せるように試み、市場を駆け抜けていく二人。途中、前から道を塞ぐように迫ってきたので、レオンは咄嗟に果物の乗っている籠を破壊。転がった丸い果物で転倒させ、その隙を駆け抜ける。
「いい腕だ、
「すぐ返してもらうさ!」
「本当、いい腕してるね。何者なのかな」
「なに?」
突然聞こえた知らない女の声に、レオンが振り向くと後ろにいたはずのクラウザーが吹っ飛んできて。咄嗟に受け止め、共に市場の商品を巻き込みながら吹き飛ばされる。
「があっ……なんだ、今のは……」
「何が起きた、クラウザー……」
立ち上がる二人。クラウザーはよほどの衝撃だったのか腹部を押さえ、吹き飛ばされてきた方向を見やる。次の瞬間、追いかけてきたのだろうシーデッドが天高く吹き飛び、家屋の壁に叩きつけられる光景を目撃する。
「……俺は、油断していなかった。シーデッドに紛れて奴は現れ、軽く拳を打ち付けて来たかと思えば、吹き飛ばされていた」
「……明かにこの場にそぐわないな」
「あははー。私たちいつも水に濡れるから普段着からしてこれなんだー」
姿を現したのは、頭にエビの触角と目がついていて、手足がオレンジ色の甲殻に覆われた、ピンク色の髪とオレンジ色のスポーツウェア型の水着を身に着けた美女。もう髪色からして異常だし、いくら南米で暑くても水着だけなのはどうかと思う。レオンとクラウザーはそう思った。女は耳に手を添えてどこかと通話する。
「こちらA1ハープーン。目標……じゃない男二人を発見したよ。オルタナティブのB.O.W.って確か女だけだよね?うんうん、え?なんかでかい異形の男もいる?……ふつーだし、違うかな。あ、殺していいんだね。おけおけー」
「どうやらシーデッドとは明らかに別格の様だな、女……情報を吐いてもらうぞ」
「そう簡単に殺されるつもりはないぞ!」
女だろうが侮れないことはよく知っているレオンと、女子供関係なく敵なら倒すクラウザーは容赦なく発砲する。しかし、ハープーンと名乗った女は甲殻に包まれた右拳を突き出し、背中から高速で移動。市場と隣接する建物を破壊しながら中に入り、今度は左拳を突き出した体勢で壁を破壊して、床を破壊するほどの凄まじい速度で突進してきた。
「奴の拳に気を付けろ!」
「わかっている!」
レオンに向けてジャブ。咄嗟に顔をずらして避けたレオンの真横を途轍もない衝撃波が突き抜け、至近距離から銃撃。しかし怯むだけのハープーンは、バックステップを行い背後からナイフを手に斬りつけてきたクラウザーに後ろ蹴り。瞬間、蹴られた腹部に衝撃波が突き抜け、吹き飛ばされるクラウザー。
「クラウザー!」
「人の心配しているなんて余裕だね!」
しかし足を踏み抜いてその衝撃波で一瞬で移動したハープーンの拳がレオンの胸部を叩き、衝撃波が撃ち抜いて天高く打ち上げられるレオン。あまりの威力に意識が飛びかける。今のに耐えていたクラウザーはよほど鍛えていたに違いない、と関係ない思考が頭をよぎる。レオンはなすすべなく、地面に落下しようとして。
「よっと」
しかし地面に頭から激突する前に、誰かに横抱きにされて難を逃れる。天高く舞っていたのにいったい誰が?そう思い、屋根に着地した件の人物の顔を見るレオン。見覚えのないバニーガールがそこにいた。
「げほっ、バニーガール……?」
「誰がバニーガールか!」
顔を真っ赤にしたその人物に投げ捨てられるレオン。また宙を飛ぶ中で、その人物の足が人サイズの兎の脚になっていて。やっぱりバニーガールじゃないか、と的外れなことを考えながら落ちて、なにかが足に巻き付いて頭から激突するのは回避する。顔を横に向ける。にこやか笑顔の、知人の顔があった。一瞬アメリカにいるはずの人物を思い出すが、斑模様の髪を見て思い出す。
「よ、ヨナ……?」
「あ、覚えてた?久しぶりねレオン・S・ケネディ。私好みの塩顔イケメンになったわね。食べちゃいたいぐらい」
「なにを仲良くくっちゃべってるのかな!」
しかし、懐かしの再会に驚いている暇もなく、高速で突撃してくるハープーンに、ヨナに尻尾で巻き付かれて逆さまなままでナイフを引き抜いて対抗しようとするレオン。しかし、レオンすら気付いていなかった横から、拳を握った手が伸びる。
「グラちゃんじきでん〝さめパンチ”!」
「がはあっ!?」
今度はハープーンが宙を舞う。レオンが振り向けば、不気味な口を模しただぼだぼの白い着ぐるみパーカーを身に着けた素足の真珠色の髪の少女が、むふーと鼻息を鳴らしながら拳を振り抜いていた。
「オルタナティブが!やってきたぞ!」
第二の人生ハードモードヒルダ。前回の〝プール”こそがP-ウイルスでしたというオチ。ミックスコアトル村にバイオハザードを引き起こしたのは今作ではヒルダとなります。
滅茶苦茶強いハープーン参戦。この能力の正体に今気づけたら凄い。そして参戦、オルタナティブのメリカ、ヨナ、そしてガンマ。擬態中のガンマは白くて食いしん坊だからどうしてもボイロのあの子になってまう。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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