BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はガンマVSハープーン。オルタナティブの末っ子の力を見よ。楽しんでいただけたら幸いです。
ジャック・クラウザーはアメリカでも五本指に入る優秀な兵士だ。アメリカ特殊作戦軍の兵士であり戦地で数々の武勲を立てた少佐で、さらに数多の優秀な兵士を鍛え上げた教官。クラウザーはそのことに誇りを持っていたし、自らの育てた兵士たちの出世を誇りに思っていた。だがそれは、1998年を境に影を落としていく。
転機は、アリサ・オータムスがアメリカ政府に加入したこと。2002年まで至る5年間でクラウザーを超える武勲を立てて中佐にまでのし上がった。曰く人間ではなく、生物兵器すなわちB.O.W.でありながら他者を気遣える人間性と、R.P.D.時代に培った人材育成能力、若々しさと熟練された経験を併せ持ち、圧倒的な戦闘能力を持つ完璧超人らしい。しかも女であることが、クラウザーのプライドをくすぐった。
さらに、クラウザーの育てた兵士たちが、無惨に殺害された、ゾンビにされた、などという報告や死体そのものが次々と届くことがあった。クラウザーは対人間のエキスパートでありB.O.W.という理不尽の相手は考えていなかったので当然と言えよう。オルタナティブの存在も無視はできなかった。所詮は女子供や素人しかいない民間の傭兵集団だと思っていた。しかし、アメリカの軍隊ですら苦戦するB.O.W.を瞬く間に殲滅したという眉唾物の実績と、それを証明する記録映像。クラウザーは自らの力不足を痛感するしかなかった。
何よりも、レオン・S・ケネディの育成。彼の才能と、たった一日で培ったという経験による戦闘能力に目を見張った。
そして、ハープーンとの遭遇。少々異形なれど、あまりにか弱い女。殴り飛ばされておきながらそれは偶然に過ぎないと断じようとしたのに、それを吹き飛ばす圧倒的な戦闘能力になすすべなく吹き飛ばされ、大の字に転がって空を見やる。信じられなかった。数々の戦場を渡り歩いた彼でさえB.O.Wとの戦闘は「危険手当を貰ってもやりたくない」と思ってしまうほどに、心身ともに大きな負担となっていたところに、襲い来るシーデッド。ろくに動けない身体で対抗しようとして、乱入してきた18歳ぐらいの女子供がシーデッドを蹴り飛ばして助けられる。その頭にはぴょこんと立つ兎の耳、その足は人間サイズの兎そのもの。
「オルタナティブ、だと……!?」
「オルタナティブだけど、何か悪い?あ、バニーガールとかほざいたら蹴るから。痛いじゃすまない」
そう言いながら差しのべられたてを、手に取る。そして立ち上がった視線の先で、ハープーンがさらに幼い13歳ぐらいの少女によって殴り飛ばされる光景を見た。見てしまった。
「……俺は、弱いな」
「そんなことないと思うけど?」
思わず天を仰ぐ横で、ウサギの少女が不思議そうに耳を揺らしながら首を傾げていた。
「オルタナティブが!やってきたぞ!」
「ガンマ、か……それにヨナも……オルタナティブが、この事件に?」
エヴリンによって少女の姿に擬態している姿のガンマがそのままハープーンに殴りかかり、その擬態を使ってない本来の姿のヨナに降ろしてもらいながらレオンは笑う。三年前に再会したクレアからの言葉でクイーン含めてみんな無事なのは知っていたが、この目で無事を確認できて安堵する。すると菌根に包まれて、蛇の尻尾みたいな床までかかる茶色い長髪で、蛇柄のジャケットと黄緑のキャミソールにシックなロングスカートで大人風の女性の姿に変わるヨナに今度こそ驚いた。
「な、なあ!?」
「なに驚いてるのよ。あれから五年ぐらいたってるのよ。エヴリンを介さなくても擬態ぐらいはできるようになってるわよ」
「そ、そうなのか……」
「まあうちの新顔はまだできないけど。さっき会ったでしょ、メリカ。2年前に助けた子でね。リハビリと訓練を続けて最近ようやくオルタナティブに正式に加入したの」
「メリカっていうのか、あの子。…悪いことしたな」
「おらおらおらおらおらー!」
そんな会話をよそに、舌足らずに吠えながら拳を握った両手で殴りまくるガンマと、その拳に拳をぶつけて衝撃波を叩き込んでいるのにビクともしないガンマに驚愕しているハープーン。ガンマのガワはどんな攻撃も通じない上に本体もタフさを持つ、オルタナティブでも随一の防御力を誇る。それを変形させて擬態しているので、人の形をしている今のガンマにはどんな攻撃も通じない要塞と化していた。
「あなた、どうなって…!?」
「しらーん!」
パンチがハープーンの頬に突き刺さって、天高く吹き飛ぶ。しかし両腕をガッツポーズにする不自然な動きで急静止すると屋根に着地。頬に触れてガンマのパンチの威力を痛感したハープーンは、にやりと笑う。
「私たちが受けた命令は目標の捕縛。その中にはオルタナティブも含まれている。殺すなって命令だったけど、その頑強さならしょうがないよね…!」
ハープーンは、テッポウエビの遺伝子を与えられたB.O.W.である。テッポウエビは左右非対称の大きなハサミを持ち、獲物を狩る際や自己防衛の時は大きな鋏を一旦開いてかち合わせ、「パチン!」と大きな音を出すのが最大の特徴。音は水中で爆発的に膨張して衝撃波を発生させ、その気泡が当たるだけで同サイズの生物なら一撃で気絶する破格の威力を誇る。ハープーンは鋏こそ持たないものの、体液が海水に置換された体内を「水中」として、心臓の鼓動の音を膨張させて衝撃波を発生させることができ、これを用いて強力な攻撃や高速移動を可能としているのだ。鋏由来ではないためこの衝撃波を出せるのは手足だけではない。先ほども肘から衝撃波を出して急静止していたというのがからくりだった。
「最大最強の一撃で、ぶっ飛ばしてあげる!」
両脚から衝撃波を出して大きく後退。ブンブンとでたらめに振るう両腕から衝撃波を出しまくって、ミックスコアトル村の外、ジャングルにまでやってきて、両肘と両膝裏から衝撃波を出して木々を吹き飛ばしながら着地。一キロメートル移動したハープーンは、両膝と両足の裏から衝撃波を出して、今度は前進。心臓の鼓動を急速に上昇させ、村まで突き進むと突き出した左手から衝撃波を出して急ブレーキしながら、右腕を振りかぶる。
「響け、心臓の鼓動!全力を出せることに、ただ感謝を!」
体外にまで響く程の爆音を轟かせ、ハープーンの右腕が弾け飛んで、途轍もない衝撃波が発生。大砲の様に木々を、建物を、シーデッドを薙ぎ払いながら、ガンマとヨナ、レオンとメリカ、クラウザーのいる場所まで突き進む。
「泣けるぜ…!?」
「ここまでか……」
「……ふう、よかった」
「なにがですか!?」
あまりの絶望に呆然とするレオン、諦めるクラウザー、何故か安心するヨナと、それにツッコむメリカ。そんな四人を無視して、目を瞑って集中していたガンマは、なにかを掴む様に背後で拳を握ると、引っ張るように胸の前に振り抜いた。
「
「っ、それはエヴリンの…!?」
ガンマちゃんは素直だった。かつての育ての親であるローガン・カーライル博士の言うことを素直に受け止めて成長、エヴリンの発言から親だと勘違いして、そしてそれを今の今まで貫いている。素直な彼女だから、擬態の精度もエヴリンが舌を巻く程であり、そしてついには仲間達への素直な尊敬の念から、その力を模倣するまでに至った。エヴリンすらできない、生者の
「力を貸して、ヘカトちゃん!」
ガンマの両腕が菌根に包まれ、巨大なムカデの腕を作り上げて、巨大な壁の様な大渦を巻いて衝撃波を真正面から受け止めた。ガンマが傍で見てきた、オルタナティブ最強の盾の模倣は、ミックスコアトル村を半壊させたハープーン最大最強の一撃を、受け止めて見せた。
「……ええ……そんなの、ありぃ…?」
短期間で何度も能力を行使した反動で脳の処理が追い付かず、その場で立ち尽くし制止するハープーン。そこに、駆け寄る三つの影。
「お前はよくやった!ハープーン!あとは任せろ!」
「……マヌエラまで殺しそうになったのは、どうかと思う」
「そうだね~じゃ、ハープーンの分まで暴れよっか~」
「……どうしよう、ガンマちゃん。蹴っていい?」
「うん、いいよ!」
ハープーンを左腕で抱えて俵担ぎするシザース。無表情で呆れるナックル。にこやかに笑みを浮かべながら目が笑っていないドリル。ハープーンを追撃しにきた、腕が元に戻ったガンマとメリカと対峙する。
元々防御力チートだったのが、擬態を覚えてさらに強くなったガンマでした。記憶継承を覚えているのは今のところエヴリンとガンマだけ。
そしてテッポウエビのB.O.W.だったハープーン。前回の感想で当てられてびくっとなりました。体に負担がかかる代わりに火力はチーム・アトランティスでもトップとなります。少なくともクイーンが相手だったら消し飛ばせるぐらいには強い。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな世紀末編オリジナルB.O.W.は?
-
ウールヴヘジン
-
ネルトゥス
-
カトプレバス
-
モールデッド・ヘカトンケイル
-
ミゲル・グランデ変異体
-
メリカ・シモンズ変異体