BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は海月の少女の正体と……?楽しんでいただけたら幸いです。
母と同じように風土病を患った少女は、その治療のために投与された二つのウイルスをその身に宿している。当初父親によって与えられた、T-Veronica。しかしこれは、変異した部位を臓器移植することで人間であることを保つという悪魔の所業で維持されていた。アレクシアは設備が整っていたためコールドスリープという手段が取れたが、父親は片田舎のマフィアでしかなかった故、そこまでの設備を用意できなかったため、何としてでも娘を化け物にしない為には、このような荒技に頼らざるを得なかったのだ。
それが半年続いてから、その事を知った少女は罪の意識に苛まれた。自分と親友だった少女まで犠牲になっていたのもあり、家を飛び出そうとすら思ったが、そんな時父が連れてきたのが、ドクター・アナーヒタと名乗る白衣に水着という色々愉快な女。そんな彼女から「治療薬」と称して投与されたもの効果で、臓器移植を断っていた少女の体調は見る見るうちに回復した。
しかし、ある日の食事の席で父親が目の前で殺された。アナーヒタの手の者による凶行だった。その瞬間、彼女の体内でT-Veronicaと相反しあってただ「適合」だけ効果を発揮していたP-ウイルスが活性化した。感情の爆発により、その殺意に「適応」して体を変異させたのだ。父を殺された激情と共に、変異した肉体でアナーヒタもろとも刺客を殺そうとした。だけど、現れたチーム・アトランティスにより抑え込まれた。その一人がよりにもよって、だったせいもある。その後戦意を失った少女は、貴重な二つのウイルスを宿したサンプルとして軟禁された。
それが、ここ一年の話である。
少女は、一年間なにもしていなかったわけではない。悪党でも自分を愛してくれていた父親の復讐を誓い。感情をコントロールする術を身に着けて。徐々に力を使いこなせるようになって。そしてついに鉄格子で遮られた窓から脱出することができたのが、つい先日の出来事だ。
城の河口にあるミックスコアトル村で教師を務める男のもとに身を寄せていた彼女は、水の異変に気付いた。襤褸布で素顔を隠して危険を訴えたが、聞く耳を持たれなかった結果、パンデミックを止められなかった。ダムの水は放流され、その水を媒介に広がったP-ウイルスで村人はすべてシーデッドと化した。さらに、そのシーデッドを操って哨戒させる追っ手の影に、身を隠していたそんな時ミックスコアトル村を訪れた余所者の存在に気付いた。
自らの追っ手であろうチーム・アトランティスのハープーン。その、村を半壊させた、それどころか村一つ消し飛ばすはずだった一撃を防いで見せた異形の力に希望を持った。彼女たちの力があれば、アナーヒタへの復讐を成し遂げることができる、と。しかし合流してきた残りのチーム・アトランティスの、ハープーンに勝るとも劣らない圧倒的な力の前に壊滅されて、少女は焦燥と共に乱入、ドリルの魔の手からかすめ取ることに成功した。
「……こんなことも、できるなんて」
希望を奪われまいと、夢中で飛び出していた。触手となった両手の五指で五人を抱えて逃げて来たその事実に、一番精神ダメージを受けたのは助けた本人だ。どんどん人間離れしている事実に、自分が怪物なのだと受け入れられない心。今の拠点にしている教会に戻ってきた少女は、五人を長椅子の残骸に降ろして頭を抱えた。
「………月……?」
目覚める。視界の端で、真昼間だというのに揺らめく月が見えて、目を擦る。確か俺は、ドリルと名乗った少女の放った電磁波を受けて気を失って……そうだ、クラウザーは、ヨナは、ガンマは、メリカは!起き上がり、目を開ける。
「え、うそ……」
そこには、月……ではなく海月を思わせる笠を頭に被って目元を隠していて、触手の様な半透明の長い髪と、指も触手の様に蠢いている、白いワンピースを着た上半身の肌が異様に白くスカートから覗く下半身の肌が色黒の少女、笠の下の目を見開いて動揺していた。
「君、は……?」
「み、見ないで!」
そう叫んだ少女の姿が、変わっていく。傘が頭部に畳まれるようにして消えて、髪の毛も茶色く染まって短く揃えられもみあげを紐でまとめたものに、肌は下から染まるようにして上半身まで色黒となって、指が縮んで普通の少女のものへと変わった。少女は荒らげていた息を整え、深呼吸するとこちらに向き直る。
「ふぅ、ふう……さっきのは、忘れて」
「…君も、B.O.W.なのか?」
「奴らと一緒にしないで。私の父を殺した奴らと!」
「わ、悪かった。俺はレオン・S・ケネディ。君は?」
「……マヌエラ」
「そうか、マヌエラ。君が俺達を助けてくれたのか?礼を言う、君が助けてくれなければ俺達は今頃……」
「ええ。P-ウイルスの実験台にされて、シーデッドになるかあいつらみたいになるか……二つに一つだったわ」
P-ウイルス。聞き覚えのないウイルスの名前に、今回の一連の事件の鍵の名前だと理解する。それを知っているということは、マヌエラは関係者か?
「君は一体……何を知っているんだ……?」
「………私は、避けてっ!」
次の瞬間、飛び込んできたマヌエラに抱えられて床に強く打ち付けられたかと思えば、浸水した床を突き破って今の今までいた場所に、なにかが飛び込んできていた。それは、あまりにも異形。あまりにも異様。
「グオオオオッ!!」
「「「シャアアアアアッ!」」」」
真正面から見て輪郭に沿う様に眼が8つ並んでいて、後頭部からは長い黒髪が伸びている八目鰻の様に寸胴な頭を持ち、口は円形で鋭く長い牙が幾つも突き出ている。腕は鋭い爪と水掻きを持ち水を受け流す鱗に覆われていて、女性ではあるのか乳房を持ち、胸から腹部にかけて貝の様な外殻に覆われていて股間当たる部位から何故かサメの頭が3匹生えていてこちらを睨んで咆哮しており、そこから後ろに伸びる鮫の胴体から人間の様な手足が生えていて、上の腕とは別に四足歩行の様だ。その鮫の背中から珊瑚の様な突起が剣山のように沢山生えていて、尻尾はオタマジャクシのように先にかけて細くなっており、先端に刃物の様な切れ味を持つ尾鰭が複数ついている凶悪なもの。生物として成り立っているのかもはやよくわからない、今までにない異形だった。
「ネプチューン・テティス……父の仇、こいつも、放たれていたの!?」
「ネプチューン……?グラの亜種だとでもいうのか!?」
いや確かにグラも鮫で女だが。似ても似つかないぞこんなの。銃を構えると、それが気に入らなかったのか四つ足を動かして三つ鮫で噛みつきながら、両腕を振り回し瓦礫を引き裂きながら突撃してくるネプチューン・テティス。咄嗟に横に跳んで回避しながら、発砲。弾丸は肩を吹き飛ばすも、まるで粘土をこねるようにすぐ再生してしまった。
「……再生するのは当たり前ってことか!マヌエラは下がって……逃げたか」
マヌエラの方を向くも、すでにそこにはいなくて。ネプチューン・テティスは尻尾を地面に叩きつけて地響きを発生。足場が揺られ、体勢が崩れたところに跳躍。その三つの鮫の口を大きく開いて急降下してきた。
「あぶない!」
すると誰かに抱えられて、クレーターができたそこから回避。床に降ろされたので見れば、メリカが険しい顔でそこにいた。見れば、ヨナやクラウザー、ガンマも起きたらしい。ここまで騒げば無理もないか。
「シャアアアアッ!」
「グラに似てると思ったけど、勘違いね。グラに失礼だわ」
「おまえもあいつらのなかまかー?ぶっとばす!」
ガンマが突撃するのに対し、ネプチューン・テティスは腕を覆う鱗を引っ掻いて撒き散らしてまるでガラス片の様に降り注がせてきた。しかしそれは、下半身の擬態を解いたヨナが尻尾を頭上で回転させて薙ぎ払い、防御。ガンマのストレートパンチが、ネプチューン・テティスの顔面に叩き込まれ、首から上を吹っ飛ばした。
「ふんす!みかけだおし、だったな!」
「待て!そいつはまだ、死んでないぞ!」
クラウザーが言いながら発砲する。その弾丸を胴体で受け止めて再生させながら、首から上を失ったネプチューン・テティスが起き上がっていた。そして、こねくり回されるように頭部が再生される。まるで悪夢か何かだ。
「……泣けるぜ」
というわけで海月の少女はP-ウイルスを投与されたマヌエラでした。ようやく章名キャラ参戦じゃあ。
そしてとりわけ異形の怪物、ネプチューン・テティス登場。チーム・アトランティスは友人が考えたものを話し合って組み立てたものですが、ネプチューン・テティスはいつもお世話になってるお馴染みエレメンタル社-覇亜愛瑠さんから提供されたものとなります。いやあ、このビジュアルと特性を見た時即決で採用したよね。こういう異形大好きです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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