BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
P-ウイルスの脅威判明。楽しんでいただけたら幸いです。
「ふーんふふーん」
棒読みで鼻歌を歌いながら、水に濡れた床をモップで拭くメイドがいた。ふりふりと後頭部と腰から伸びた鮫の尾鰭を振りながら緑かかった水色の肌をした少女だ。拭き終わったことにその口元から牙を晒して満足げに笑うメイド。そこに、アナーヒタがやってきた。
「まさか、我の命令もなくアレを外に出したのか?」
「そうだけど。なに?文句ある?」
「いいや。お前のやりたいようにすればいい。お前のことを我は尊重する。海の神に愛されているのだ、嬉しかろう?」
「全然?」
「…ふむ。それよりも、オルタナティブが餌に釣られてのうのうとやってきたのだ。ああ、早く……お前とネプチューン・グラトニーが並ぶところを見たいものだ。フフフ……ハハハハハハハッ!!」
「きもちわるっ」
メイドの言葉に少々ショックを受けた様に固まっていたかと思えば高らかに笑い始めたアナーヒタにドン引きしながら辛辣な態度だったが、すぐつまんなさそうの唇を尖らせるメイド。
「……グラトニーの事ばっかり、つまんない。私の事も見てよ。ま、そのグラトニーがいるとは思えないけどね」
一瞬目を瞑ったメイドは、怪しく瞳を輝かせながらそうぼやいた。
「グオオオオッ!!」
「「「キシャァアアアッ!!!」」」
「この…っ!」
股間の三つ首鮫で噛みつきながら、頭部のヤツメウナギの様な頭部でも噛みつき、両腕を押し付けてくるネプチューン・テティスと組み付き、噛みつかれながらも投げ飛ばすガンマ。しかし四足でバランスを保ちながら着地し咆哮をあげるネプチューン・テティスに、レオンとクラウザーとメリカのハンドガン、ヨナが体内に入れていたらしく吐き出したビニール入りのライオットガンが火を噴き、その前面を吹き飛ばした。しかしやはりこねくり回されるようにして再生するネプチューン・テティスに、ガンマはキレた。
「いいかげんにしろ!
菌根で覆った両手を巨大な黒い翼に変え、両足も菌根で覆って猛禽類の形状にするとネプチューン・テティスの両肩を掴み、その巨体を持ち上げるガンマ。
「わたしがこいつ、ひきうける!みんなは、さきにいって!」
「っ…それしかなさそうね。行きましょう、レオン。クラウザー。メリカ」
「いいのか!?」
「私たちじゃ勝ち目がないわ。可能性があるならガンマだけよ」
そのままネプチューン・テティスを長椅子に投げつけ、ダウンしたところをもう一回持ち上げて別の長椅子に、何度も何度も叩きつけるガンマを置いて、教会を飛び出すレオン、ヨナ、クラウザー、メリカ。
「とにかく、案内人に合流するぞ新兵、オルタナティブ!」
「マヌエラって少女も探すぞ。なにか事情を知ってるらしい。海月のB.O.W.だ。P-ウイルスと言っていた」
「P-ウイルス?」
「どうしたの、メリカ。心当たりが?」
「……いいえ、気のせいだと思う」
案内人のいるであろうミックスコアトル村の学校を目指す一行。ヨナが舌のピット器官でチーム・アトランティスの位置を探り、出くわしたり見つかったりしないように隠れて進む。どうやらガンマとネプチューン・テティスの大暴れに引き寄せられているらしく、今ならほぼ見つからないで進めた。
「便利なものだな、B.O.W.というのは……」
「…案外不便よ。私、擬態できないから日常に溶け込めないし、座るのも一苦労」
「私はもともとただの蛇だからその感覚は分からないけど、……いいものじゃないわ」
クラウザーが漏らした言葉に、メリカとヨナが苦虫を噛み潰したような顔で語る。レオンはマヌエラの反応を思い出す。人でないことに苦悩している様に見えた。あまりに無神経だったと判断する。そうしているうちに、学校らしき小屋に辿り着く。村なのでどちらかというと教室だけの小ぢんまりとしたものだった。中に入ると、メガネの男が床に空いた穴から上半身だけ出して伏している光景があった。
「案内人だ。生きていたのか、なにがあった!?」
「……ああ、合衆国のエージェント、か……あの、娘が……」
「娘?娘がどうした?」
どうやら殴り飛ばされたのか頭を強く打ったらしく、頭から血を流しながらびしょ濡れで語る〝案内人”に肩を貸そうとするクラウザー。しかし、むせかえる程の磯の匂いに顔をしかめて止まる。それで理解する、目の前の男は手遅れだと。
「……あの娘は、魔女だ。あの娘が、現れてから村はこうなった……ハヴィエの居城から逃げて来たというから助けてやったのに……げほっ!ごほっ!」
「「「「っ!」」」」
咳き込んだ〝案内人”の口から血ではなく、海水が吐き出されたことに戦慄する四人の目の前で、男の体が赤褐色に染まり、鱗の様に硬くなっていく。それだけではない。力が増したのか腕だけで水から立ち上がり、胸が膨らみ押し上げられた服の下から覗く腰が括れ、黒い髪が首元まで伸びる。口が耳元まで裂けて、歯が抜けて代わりに鋭く強大な歯が伸びてきて、涎が垂れた。
「ハァアア……合衆国のエージェントたち……美味しそうねえ……!」
「クラウザー!」
一分前まで〝案内人”だったオオカミウオの特徴を持った女の姿となった怪物「リーサルガイド」は一番近くにいたクラウザーに襲いかかり、咄嗟に飛び込んだレオンの蹴りを受けて壁を突き破り水没した村に落ちる。
「おい、なんだあれは!?性別まで変わるのか!?」
「わからない……だが、P-ウイルスに感染した結果というのなら」
「……適合しなかったらシーデッドに、適合したら海洋生物の特徴を持った女性に変える……っていうことかしらね。この変異速度も含めてまるでRT-ウイルスね。アイアンズを思い出すわ」
「ヨナさん、来る!」
すると水中を高速で泳いできたリーサルガイドは、なんとレオンたちのいる学校の支柱を噛みついて粉砕。次々と支柱を失い、崩れていく建物から飛び出すレオンたち、水飛沫を上げて泳ぐリーサルガイドに銃を撃ちまくるが、水中で狙いにくく高速で動かれるため当たらない。
「肉を食わせろおおおおお!」
びちゃびちゃと涎の様に海水をまき散らしながら、水上に飛び出して空中を舞い、回転しながら突撃してくるリーサルガイド。咄嗟にレオンがハンドガンで頭部を狙い撃つが、噛み合わされた牙で弾かれてしまい、体当たりを受けて落ちそうになるところをクラウザーが手を掴んで助けた。
「助かった、クラウザー」
「気を付けろ
「そうでしょうね。恐らく一定量飲んだりしたらゲームオーバーよ。気を付けなさい」
「だが、このままじゃ足場がなくなる一方だ!」
次々と強靭な牙で粉砕され、水中に没していく家屋に戦慄するレオン。やはり元が教師だから頭がいいのか、無駄に小癪なことをしてくる。地味に効果抜群だ。崩れた家屋から気泡が漏れてリーサルガイドの居場所を隠してしまった。
「ちっ!当たらん!どうする、こんな水没した村じゃ格好の的だ!」
「水中じゃ私の索敵も通じにくいわ。頼れるとしたら、」
「…メリカか!」
「うるさい、黙って」
目を瞑って集中しているメリカが耳元で叫んだレオンに怒鳴る。そんなメリカを守るように狭い足場で構えるレオン、ヨナ、クラウザー。そして、それは来た。
「丸かじりいい!!」
「……真下!」
瞬間、メリカが勢いよく振り上げた右足の踵落としが、真下の足場を食い破って飛び出してきたリーサルガイドの脳天に直撃。人間サイズの兎の脚力が直撃してその頭蓋骨を粉砕し、体中から体液の海水が水風船から漏れた水の様に噴き出す。
「あぎっ、ぎっ、ぎゃぁああああああああ!?」
そして、そのままメリカの右足に叩き潰されて、リーサルガイドは爆散。水飛沫が飛び散ってくっきりと空に虹を作った。
「おお!すごい脚力だな、メリカ!」
「あの怪物を一撃でとは、やるな」
「……ありがとう。でも、やらかした」
「まあ、これだけ騒げば見つかるわよね。あいつらじゃないみたいだけど」
ヨナが振り返る。そこには、女性らしい形状をしているが、流線型の身体とぬめりを帯びた皮膚を持ち、半透明のフードの様な形状になっている頭部を持つ人物が立っていた。
P-ウイルス。適合しなかったらシーデッドに、感染したらグランデ将軍みたくなります。
リーサルガイド。意味は水先案内人。オオカミウオの遺伝子を持っていて、噛みついて支柱すら破壊するシンプルな奴。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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