BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回ハープーンが使ったスナイパーライフルを煌・蒼ークZさんに描いてくれました。特注なのでスコープや引き金がなかったりしてます。

【挿絵表示】


たまに強く描写される人間シリーズ。楽しんでいただけたら幸いです。


fileDC:8【歴戦の戦士】

「ネプチューン・グラトニー、ですか~?ミス・ポセイドン~」

 

 

 元々の計画では、マヌエラの脱走は計算外だった。最初に計画されていたのは、P-ウイルスによるバイオテロと、ハヴィエとアンブレラ南米支部が接触したという偽の情報を囮にした、オルタナティブを誘き寄せることだった。そしてバイオテロが起きる数日前、チーム・アトランティスのリーダーとして最重要目標についてアナーヒタから語られたドリルは首を傾げる。既にサメのB.O.W.ならネプチューン・テティスがいるからだ。

 

 

「お前の困惑も分かるぞ、ドリルよ。テティスが居る……と言うのだろう?だがあれは、そもそもの設計思想が違う。弟君によれば、ネプチューン・グラトニーはT-ウイルスを使ったサメの、B.O.W.開発ナンバーFI-03ネプチューンを母体にしてRT-ウイルスを胎に打ち込み、胎内で蠱毒にも似た共食いの末に生き残り、母体すらも喰らい尽くした幼体だった個体。そもそもネプチューン自体が「自己繁殖によるB.O.W.の生産性の向上」の為の物だ。素晴らしい……これを考えた人間は、我と良い酒が飲めるな」

 

「ははあ~?」

 

 

 なんか専門的なことを言っているが、さっぱりわからない。ドリルたちチーム・アトランティスは元は片田舎の村娘である。戦闘訓練はしたが、知識はないに等しかった。

 

 

「それはさておき……そんなグラトニーと、テティスは違う。グレイブディガー・ヒュドラを知っているか」

 

「アンブレラが確認した~ラクーンシティを実質滅ぼした~怪獣みたいなB.O.W.でしたっけ~?」

 

 

 そもそも、その大本になったグレイブディガー・ハスタも偶発的に生まれたはずなのだが。それが何だというのか。ドリルは素人ながらも、そう思った。

 

 

「奴は、RT-ウイルスを有するグレイブディガーが共食いの末、ウイルスを濃縮させて驚異的な進化をして生まれた生物兵器だ。お前は知らなかっただろうが、我には元々100を超えるペットの鮫がいてな?その全てにP-ウイルスを投与して、共喰いさせた」

 

「お、おお~?」

 

「P-ウイルスはお前も知っての通り、数多の海洋生物の死骸を沈めて溶け込ませた海水に、弟君から得たRT-ウイルスを浸透させたことで生まれたウイルスだ。体液を海水に置き換え、ランダムな海洋生物の特徴を与える。適合すればRT-ウイルスと同じく女性態に、適合しなければシーデッドと呼称する海洋生物の特徴を持ったゾンビになる。この辺りはまあ変えても良かったのだが、海洋生物は雌の方が強いのが多いという都合と……我の趣味だ」

 

「もともと女でよかったって胸を撫で下ろしたよ~」

 

 

 要はRT-ウイルスの魔改造である。適合しなければアナーキアになる本家より強力に、より凶悪に改良されていた。

 

 

「そして海洋生物自体……つまり、我がペットの鮫たちに与えた事で、やはり人間の女性に酷似した形態を取った。だが、グラトニーの時と違い、100を超えるサメを使って実験したからか、前例とは異なる変異を遂げた。100体以上の鮫の肉体が、生き残った個体に融合・圧縮され、見た目以上の質量を持つ怪物へと変貌した。それがネプチューン・テティス。あれはグレイブディガー・ヒュドラと同一だ。少し異なる所もあるがな。しかし、その方法ではネプチューン・グラトニーと同じにはならなかった。元々、生まれたのが奇跡のような存在だ……再現性が難しい」

 

 

 元ハヴィエの部下である男たちの持ってきたワインを飲みながら、アナーヒタは酒が入ったのか恍惚とした表情を浮かべた。

 

 

「クククッ……ああ、ああ!ネプチューン・グラトニー!海の神秘!海の可能性!生命の冒涜!実に美しいと思わないか!?」

 

「イッカクの私からしたら~食べられたくないな~としか~?」

 

 

 顔も知らないネプチューン・グラトニーが姉妹や親すら喰らう怪物だと知ってビビるドリル。この時、ネプチューン・グラトニーの写真でも見せてもらっていれば、ガンマをネプチューン・グラトニーだと思うこともなかったかもしれない。アナ―ヒタの計画には穴がありすぎた。海洋生物の特徴があるシーデッドが暴れてるんだからグラが来て当然だと考えていたのだ。だが今のグラはオルタナティブ最大戦力の一つであるユウコの隊長である。調査程度に出てくるわけがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「斬り刻む!」

 

 

 水中に飛び込み、異様な速さで水面に飛び出し盾についた刃でメリカを斬り刻むヒルダ。メリカは腕を交差して顔を守り、カウンターで蹴り上げるが、脚の装甲で受け止めたヒルダはその反動で跳び上がり、急降下。渾身のシールドバッシュをメリカの頭部に炸裂させる。

 

 

「がっ…!?」

 

 

 脳が揺れたメリカがふら付く。その首をかっ切ろうとした刃を、間に割り込んだクラウザーがナイフを手に受け止めた

 

 

「今は仲間だからな。させないぞ、カブトガニ女!」

 

「私は三葉虫、トリロバイトよ!」

 

 

 ヒルダのでたらめに振り回される素人な動きの斬撃を、卓越された技術ですべて受け止め弾いていくクラウザー。あまりの神業にレオンは感嘆の声を上げる。その間にヨナがメリカを抱えて離れ、気つけを行う。

 

 

「なら…!」

 

「浅はかだな!」

 

 

 刃は効かないと判断したヒルダの盾によるパンチが叩き込まれるも、クラウザーはナイフを逆手に持ち替え柄をぶつけて弾き飛ばす。そのままナイフを持ち換え、ヒルダの横を右回りしながら一閃。フードの様な部位を斬り裂き、海水が飛び散った。

 

 

「きゃあ!?」

 

「やはり、硬いのは四肢だけ!さっきの四人に比べたら不完全なB.O.W.らしいな!」

 

 

 そのままナイフの持ち替えを巧みに扱い、盾と刃の猛攻を受け流し、次々とフードの様な部位を斬り裂いていくクラウザー。水中に入って奇襲を仕掛けるヒルダに対しても、そのたしかな戦闘経験から素人の動きを予測し、対応する。

 

 

「これが歴戦の戦士ジャック・クラウザーの力か……」

 

「彼本当にただの人間?これでB.O.W.にでもなったらとんでもない強さになるわよ」

 

「縁起でもないこと言わないでくれ、ヨナ」

 

「……悔しいけれど、ナイフの使い方は私でも舌を巻くわ」

 

「と、ナイフの天才が言ってるわよ」

 

 

 ナイフの使い手でもあるメリカがぼやくのは、クラウザーの耳にも届いていた。高揚感。怪物をあしらっている全能感。揺らいでいた自信を取り戻すには十分だった。

 

 

「怪物になっただけの素人が、軍人に勝てると思うな!」

 

「好きでこうなったんじゃないわよ!」

 

 

 たまらず水中に逃げ込み、距離をとって陸に上がったヒルダが、刃をむしり取って手裏剣の様に投擲する。しかしそれは、他の三人が許さない。レオンとヨナがハンドガンとショットガンで撃ち落とし、メリカが跳躍。サマーソルトキックを後頭部に叩き込んで、無理矢理クラウザーの前までヒルダを移動させた。

 

 

「ナイスアシストだ、新兵(ルーキー)!」

 

 

 そして、ナイフにより刺突がこちらによろめいてきたヒルダの顔面に突き刺さろうとして。

 

 

 

 

 

 

タァーーン!

 

 

 

「がああ!?」

 

 

 クラウザーの胴体が不可視の弾丸に撃ち抜かれた。既視感のある衝撃波が突き抜け、吐血するクラウザー。ヒルダは目の前でいきなり吐血した敵に呆然とし、スナイパーの存在に気付いたレオンが銃を向けようとするも不可視であるがゆえに位置がわからず。

 

 

タァーーン!

 

「危ない!」

 

 

 射撃音に反応したメリカが咄嗟に飛び込んでレオンを抱えて転がったおかげで、難を逃れる。ヨナがクラウザーを抱えて離脱しようとして、目の前にシーデッドが立ちはだかったのを見て、なにに襲撃されたのか理解した。

 

 

「チーム・アトランティス……」

 

「ご名答~」

 

 

 やって来たのは、気絶したガンマを小脇に抱えたシザース、その両肩に乗っているドリルとナックル、泡で拘束されシーデッドに連れられたマヌエラ。そして高台にはハープーンが。目の前には呆然としているヒルダ。絶体絶命の窮地だった。




クラウザー本領発揮。やはりこの男も人間で上澄みです。

そしてテティスとP-ウイルスについて語られましたが、テティスの異常さの理由にはならないよね。あとちょくちょく出てくる弟君のワード。アナ―ヒタは何者なのか。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな世紀末編オリジナルB.O.W.は?

  • ウールヴヘジン
  • ネルトゥス
  • カトプレバス
  • モールデッド・ヘカトンケイル
  • ミゲル・グランデ変異体
  • メリカ・シモンズ変異体
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