BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ミックスコアトル村編最終戦。楽しんでいただけたら幸いです。
「ヨナ!クラウザーを連れて退避しろ!」
「弱っちいやつに用はねえ!」
レオンがハンドガンを撃ちながらシザースに接近。ガンマを取り返そうと試みるも、巨大な鋏を振りまわしてきたので身体を逸らして回避。鋏が地面に突き刺さったのを見て、その右腕を駆け上がり、渾身の蹴りをその顎に見舞い、着地した。
「がっ……!?」
「なめるな!どんな異形だろうと、人体ならば弱点は決まっている!」
「てめえ!」
泡が放射され、ハンドガンで乱射しながらナイフで斬り裂いて耐えるレオン。その横では、メリカが跳ねながら蹴りを放ち、さらにハンドガンを連射。それをナックルが弾丸すらすべて回避して逆に殴り飛ばしていた。
「なんで、なんで当たらないの…?」
「無駄。私はモンハナシャコの遺伝子を持っている。私の眼は、よく視える」
モンハナシャコは甲殻類最強と呼ばれる程の視力を持ち、人間の10倍敏感で10万色を識別できる他、赤外線や紫外線、果てには電磁波なども目視できる驚異の視力を有している。それに加えて貝やカニなどの殻を砕く驚異の腕力と甲殻を持ち、加速力は超音速弾にも匹敵する。その力を人間サイズで有しているナックルは、小柄な容姿と裏腹に。チーム・アトランティスの誰もが認める最強であった。
「これで、終わり」
「がはああっ!?」
「メリカ!?」
メリカの回し蹴りをしゃがんで避けた上での、アッパーが腹部にめり込む。肋骨が粉砕され内臓を破壊され、吐血して血の放物線を描きながら吹き飛ぶメリカ。クラウザーを抱えながら下半身の擬態を解いて振り回し、ドリルの操るシーデッドの群れから逃れようとしていたヨナはそれに気を取られる。
タァーーン!
「がはっ!?」
一瞬の隙すら狙ってハープーンの援護射撃がヨナを貫き。それで生じた隙にナックルが手にした巨大な瓦礫を殴りつけその礫がヨナの全身を貫き、鮮血を散らす。ハープーンの援護射撃、シザースの拘束と巨体による壁、ドリルの数の暴力、そしてナックルの攻撃力。あまりに隙が無い。血を吐いて倒れ伏すメリカとクラウザーにヨナ、シザースに抱えられているガンマに、捕らえられているマヌエラ。レオンはシザースの鋏に掴まり斬らないように調整しつつ締め上げられながら考える。この窮地を切り抜ける方法を。そしてそれは、意外なところにあった。
大事な仲間を殺した相手に挑んで、返り討ちに遭い、そして命を救われた。救ってくれたのはアナーヒタ様の腹心、チーム・アトランティス。自分が甘かったのだと思い知らされる。命のやり取り、その本当の意味を理解していなくて。目の前で胸を撃ち抜かれた、数秒前まで私の命を奪おうとしていた男が倒れているさまを呆然として見下ろす。見渡せば、蛇の下半身を持つ女や、兎の女が血を流して倒れていた。男が一人、シザースやシーデッドに囲まれながら奮戦している。
「ご苦労さんだよ~ヒルダ~」
「あ、えっと、たしか、ドリルさん……」
「君が時間を稼いでくれたおかげで~標的は無事確保したよ~あとは~こいつらも捕縛して連れて行くだけだよ~」
「え、標的って…え?殺されたんじゃ……」
私は確かに見た。私と同じ、海の生物の力を持った女性が、あの兎の女の子に殺されるところを。あれは違った……じゃあ一体…?
「え?あ~多分それは~新しく適合した誰かだったんだろうね~もったいないことをしたな~もっと早く来ていれば保護できたのに~」
「それじゃ、逃げ出した標的ってのは……」
「あの子だよ~」
そういって視線を向けたドリルさんに釣られて視線を向けると、見るも悍ましい海の生物の特徴を持った異形たちに連れられた、何故か泡塗れの日焼けした少女がいた。その子を見た瞬間、脳裏にフラッシュバックするかつての記憶。優しい夫、可愛く小さい我が子を抱いて……その少女と、我が子の面影が重なった。
「まぬ、えら?」
「え?そうだよ~マヌエラ~。アナーヒタ様から聞いてない~?」
記憶の海に沈んでいた事実が浮上する。私には、娘がいた。名は、マヌエラ。私はあの子を置いて、バケモノになっていつしか忘れて………。
「……マヌエラを、どうするの?」
「え、そりゃあ貴重なサンプルだからまた閉じ込めて~今度は海月の体でも抜け出せない檻にしないとね~」
「リーダー。それ言っていいんだっけ?」
「え~?……あっ」
ドリルさんが……ドリルが、ナックルに指摘されて慌てて口を塞いだがもう遅い。そうか、私は……騙されていたのか。私は怪物にされていて自我もなかったところをこの姿にしてもらえてアナーヒタ様には返しきれない恩はある。だけど、だけどだ。
「っ!?」
「娘まで、バケモノにされて許せるわけがないじゃない…!」
メリカと呼ばれていた兎の少女の動きを真似た回し蹴りをナックルの側頭部を叩き込み、蹴り飛ばす。アナーヒタ様曰く、私の体はT-ウイルスを使われバケモノになっていた身体を無理やり人型に押し込めたから、タイラント?の様なものらしい。意味は分からなかったが、身体能力だけは高いということだ。
「ヒルダ~!?なにを、裏切るつもり~!?」
「母親としての責務を、全うするだけよ!」
「……お母さん?」
四肢を覆う甲殻の刃を全て展開し、身構える。変わり果てた姿を見てもあの子が私を母だと認識してくれる、それだけで……戦う理由にはなる!
「はあ~めんどくさ~言っとくけど貴女が生かされていたのは、海洋生物大好きのミス・ポセイドンのお眼鏡に叶ったからで~……殺しちゃいけない理由はないんだからね~?」
ドリルが指をさすと、顔がウツボになっているのと、顔が巻貝に覆われているシーデッドが襲い掛かるが、腕を振るって斬り捨てる。そのまま襲い来るシーデッドの群れにぶつかり、四肢を振るって斬り捨てていく。
「ハーちゃん」
タァーーン!
「ぐっ……!?」
不可視の魔弾が私の胸を穿つ。特に硬くもない、ただ発達した皮の様なものである外皮の内側に衝撃が突き抜ける。口から海水が垂れるが、知ったこっちゃない。
「うおおおおっ!」
「なっ、はやっ…!?」
群がるシーデッドを斬り捨て、レオンと呼ばれていた男を拘束しているシザースの右腕を肘から斬り落とす。解放されたレオンは受け身を取り、銃を連射。頭部を撃ち抜かれたシザースは崩れ落ちた。
「すまない、助かった!」
「マヌエラを連れて、逃げて!」
「どんな関係だ!?」
「私の、娘よ!早く!」
「よくもやりやがったなああああああっ!」
そのままレオンと肩を並べ、同時に散開。脱皮して3メートルはあろう巨体に巨大化したシザースに挑みかかり、がっつりと組み合う。鋏が甲殻を裂いて痛みが走るが、これぐらい我慢できる。私は母親だ!
「マヌエラを放せ!」
レオンが飛び蹴りでシーデッドを蹴散らし、指示しようとしていたドリルの角を撃つことで咄嗟に防御の姿勢をとるドリルの隙を突き、ナイフでシーデッドを斬り裂いてマヌエラを救出するレオン。
タァーーン!
「北西だ、
「っ!」
そのレオンを狙って放たれた不可視の魔弾だが、私を殺しかけた男が起きて呼びかけたことで奇跡的にマヌエラを抱えたレオンは回避できた。よかった。
「クラウザー!大丈夫なのか!?」
「俺の事はいい、とにかく撤退するぞ!」
メリカに肩を貸しながら、ハンドガンで次々と群がるシーデッドを倒していったクラウザーと呼ばれた男は、近くの家屋のガスボンベを狙い撃ち、爆発。
「なに~!?いったい何が起きたの~!?」
「落ち着け、リーダー!ああ、レーダーが敏感だから…がはっ!?」
シザースとドリルは爆発に巻き込まれて混乱し、そこにレオンとクラウザーの銃撃が顔に叩き込まれて黙らせる。するとメリカも爆発の音に驚いて目覚め、クラウザーが告げた。
「メリカと言ったか!北西の高台にスナイパーがいる!お前の足なら……」
「っ、任せて…!」
瞬間、大地を蹴ってメリカはいなくなり、はるか遠くから聞こえる打撃音。狙撃が止んだ。彼女が止めたらしい。よし、あとはシザースに後生大事に抱えられている子も仲間だろうからそれを助けて、あの蛇の人を起こせば……!?
「……見えてても反応できなかった。確実に、殺す」
「ぐふっ…!?」
「お母さん!?」
見えなかった。いつの間にか懐にいたナックルに、私は胸を穿たれていた。心臓を破壊された。さらに四肢の甲殻を次々と拳で破壊されて、倒れたのを見下ろされて、気付く。あの特徴的な甲殻がなく、端正な素顔を露にしている。あの甲殻の大部分を脱いで局部と腕だけを甲殻で覆った裸体になることで、スピードを上げたのか。
「逃がさない、マヌエラ……!?」
「げふっ、逃がさないのは、こっちよ…!」
そのままマヌエラを狙おうとしたのを見て、砕けた甲殻から掌が裂かれるのも気にせず刃を握り、ナックルの抱き着いて脇腹に突き刺して固定する。いくら目がよくても、心臓を潰して死んだものと思っていて眼中にない私の攻撃には気付けないだろう。そして甲殻もない今なら、攻撃が通じる…!
「お母さん!」
「放せ…っ」
「マヌエラ。その姿だと大変かもだけど、どうか、幸せに……」
そう言って、私はナックルを刺したまま、水の中に飛び込む。心臓が潰されているからなんだ。生憎と私はバケモノだ、バケモノはしぶといと相場が決まっている。私が死ぬまでナックルを拘束する…!あとのことは、彼らに任せよう。恐らく彼らこそが、正しい立場だ。私はバケモノとして、ここで果てよう。
――――――マヌエラ、愛してる。
「…ナーちゃんならすぐ戻ってくるよ~。ハーちゃんもいる。絶対逃げられないよ~」
混乱から立ち直ったドリルが、勝ち誇った顔でレオンたちに告げる。涙を流すマヌエラを守るように構えるレオンとクラウザー。どうにかガンマを取り返せないかと模索していたが、戦力差が厳しすぎた。
「ハープーンならうちのメリカが相手している。掩護射撃はないぞ」
「だからなに~?もしかして~、私が指示だけで戦えないと思ってる~?」
「アタシらチーム・アトランティスをなめるな!」
シザースが鋏を振り上げ、ドリルが身構えた。その時。倒れていたヨナが、動いた。
「なめん、なああ!」
ヨナの奥の手。一度やられたら発動する、少々時間はかかるが強化して復活できる「脱皮」が発動。一回り大きくなった本来の姿となったヨナは、拳でシザースを殴り倒し、傍らにいたドリルは押しつぶされる。レオンとクラウザーを抱え、マヌエラを尻尾で巻いてその場から高速で離脱した。
「ヨナ、待て!まだガンマが……!」
「なんか知らないけど後生大事に抱えてたから、多分、殺しはしない!今はとにかく、逃げてメリカと合流するわ!」
「……仕方ないな」
そうしてヨナ達は、ジャングルへと消えて行った。
この場に脱皮を武器にするのが三人いたらしい。
というわけでヒルダ反逆、命をとしてマヌエラたちを逃がしました。ガンマは捕縛されたままだけどさすがにどうしようもなかった。
ナックルはモンハナシャコでした。キャストオフしてスピードを上げることもできますが、そのキャストオフしている時だけが弱点。通常時は目がよすぎる上に防御力も高いから攻撃がまず通らない。以前マヌエラが言ってた彼女の親友でもあります。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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