BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今更だけどチーム・アトランティスのデザインは考えた友人本人が描いてるところだったりします。あと感想でも言及されてましたが僕は読んだことないテラフォーマーズもモチーフに入ってたとか。蟲好き自負してるのだけど知らねえ…と戦慄しました。

ついにネプチューン・テティスの正体判明。楽しんでいただけたら幸いです。


fileDC:15【カリハリアス】

 チーム・アトランティスは総じてハヴィエに臓器を奪われた犠牲者たちだ。ハヴィエへの憎しみと、自分たちの臓器で生き永らえたマヌエラへの嫉妬、自分たちを救ってくれたアナ―ヒタへの忠誠心で生きている。ただの村娘でありながら戦闘訓練を行い、確かな実力を身に着けた。だから出自が違ってもアナ―ヒタへの忠誠心は同じだと思っていたし、信用もしていた。まさかその忠誠心が別物だとは、思ってもみなかったのだ。元人類でも、元魚類の心はわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のご主人様の名前を気安く呼ぶな」

 

 

 そう告げたサメイドが侍らせたネプチューン・テティスがバリボリとシザースを咀嚼する。自慢の硬い甲殻ごと噛み砕かれ尊厳も何もかも食い散らかされたシザースの残骸をぐりぐりと踏みつけにするサメイドに、なにを言うこともなくナックルが眼前に迫る。

 

 

「死ね」

 

 

 自然界最強のパンチャーの拳が突き刺さり、空気が歪んでプラズマが発生。大爆発を起こす。チーム・アトランティスの仲間に遠慮して出していなかったナックルの本気が今、炸裂した。炎が揺らめき、爆風が吹き荒れる。だがしかし。

 

 

「ぐうううっ!?」

 

「鮫を殴るなら噛みつかれる覚悟はしといたほうがいいよ」

 

 

 血飛沫が上がったのは、ナックルの突き出した右腕だった。手首から先がなくなって鮮血という名の海水が噴き出し、たまらず傷口を押さえて蹲るナックルの横に、胸から上が吹き飛んだネプチューン・テティスと抱えられたサメイドが上から落ちてきて着地する。粘土を捏ねるように再生していくネプチューン・テティスの頭部。着弾前に、ネプチューン・テティスが割り込んで自らを盾にサメイドを守りながら爆発の衝撃で上空に逃げていたのだった。そのついでに噛みついて腕を受け止めて。

 

 

「くっ、ああぁああああっ!」

 

「邪魔」

 

 

 残った左腕で拳を叩き込もうとするナックルだったが、蠅でもあしらう様に告げたサメイドの言葉と共に、四つ足で一回転して尻尾で薙ぎ払うネプチューン・テティス。防御力関係なく質量差で薙ぎ払われたナックルは、河口に落ちて行った。

 

 

「あっ……」

 

「ナーちゃん!?」

 

「頭部を失って生きてるだと…!?」

 

「そんな生き物、いるわけが……ヘカトですら頭部を失ったら死ぬと聞いたし、クイーンですら本体を失ったらバックアップしてなかったら死ぬのに!?」

 

「…やっぱり。あいつ、脳と心臓がないの。重要器官がない生物なんてありえないのに。近いのは、クイーンだけど……集合体って感じもしない」

 

「当たり前だよ!?何、気付いていなかったの!?あいつは……がっ!?」

 

 

 思わず手を伸ばすマヌエラとドリル。驚くレオン、メリカにガンマ・オルカが説明。続けてなにかを言おうとしたドリルの体が吹っ飛ぶ。ネプチューン・テティスが股間の鮫の頭部を一つもぎ取って投げつけたのだ。

 

 

「私たちの事、言おうとした?ご主人様の不利益になろうとするとか、許せないんだけど?」

 

「えっ、なんで、こいつも動くの!?」

 

 

 もはや間延びした口調をする余裕もなく、動いてガブガブと噛みつこうとするサメの頭部を必死に両手で押さえるドリル。銃声と共にサメの頭部が弾け飛ぶ。ハープーンだ。そのまま次々とサメイドが体の影に隠れたネプチューン・テティスに炸裂する衝撃波。弾け飛ぶ傍から捏ねるように再生し、さらには股間の鮫の頭部も三体に戻る。理不尽にもほどがある再生能力。

 

 

「ハーちゃん……ありがとうっ。でも、シーちゃんとナーちゃんが……アナーヒタ様のお気に入りだとか関係ない。絶対に許さない!」

 

 

 ドリルが角を高速回転させ、電磁波を放出する。サメイドを庇う様に一身に受け止めて、帯電し膝をつくネプチューン・テティス。レオン達も巻き込まれ、苦悶の表情を浮かべる。

 

 

「これで止まると思ってるの?よく知ってるよね?」

 

「っ…ぐぅうううううっ!?」

 

 

 それでもサメイドの言葉と共にネプチューン・テティスは動き、その巨腕を伸ばしてドリルの小柄な体を鷲掴みにして締め上げる。電磁波が途絶え、自分が苦悶の声を上げることになるドリル。涙がこぼれ、悔しさに唇を噛み締める。そのまま股間の三つ首鮫が獰猛に噛みつくところに持っていかれそうになり、その腕を踵落としで叩き折るものがいた。メリカだ。

 

 

「これ以上……好きにさせるか!」

 

「はああああっ!」

 

 

 ドリルが解放されメリカが抱えて飛び退いたところに、腹ばいになり滑走してきたガンマ・オルカが横から激突。サメイドを庇う様に抱えながら吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がっていくが四つ足でずざざーっと滑りながら踏ん張って止まる。その腕から、サメイドが下ろされ呆れた表情を浮かべる。

 

 

「なに?邪魔するの?貴方たちを殺そうとしてたやつを食べてあげようとしてたんだけど」

 

「お前、ドリルたちの仲間なんじゃないのか!」

 

 

 死に体のレオンがハンドガンを構えながらドリルを抱えたメリカの前に立つ。その横にガンマ・オルカが並んだ。明かに怒っている。

 

 

「仲間を殺す奴は絶対に許さない…!」

 

「それはあんたでしょ、ガンマ・オルカ。それに仲間?冗談。こいつらは、私からご主人様の期待を奪った敵でしかないの。仲間なんかじゃない」

 

「アナーヒタ様のために戦っているのは同じでしょ!?なんで、シーちゃんとナーちゃんを殺したの!?」

 

「ご主人様は私だけを見ていればいい。そんなこともわからないの?それでもあの人の愛玩動物(ペット)?」

 

「え、なにを言って………」

 

 

 ガンマ・オルカの言葉に困惑するサメイドに疑問をぶつけたドリルが今度は困惑する羽目となる。サメイドは何を当たり前なことを?とでも言うようにこてっと首を傾げる。

 

 

「私たちはあの人にとって愛玩動物(ペット)なのよ。一番愛される権利があるのは、もちろん一人だけ。私はそうなりたいの。あの人にとってのオンリーワンになりたいの。その為に……お前らは邪魔だ。ガンマ・オルカなんて言うネプチューン・グラトニーの2Pカラーまで出てきてさ……あの人にとって私はネプチューン・グラトニーの代わりでしかないことすら嫌だってのにさ……全部喰ってしまえば関係ないよね。私の姉妹たちの様に!」

 

「グオオオオアアアアアッ!!!!!!!」

 

「「「キシャァアアアッ!!!」」」

 

 

 そう叫んだサメイドに共鳴するかの様に咆哮をあげるネプチューン・テティス。レオンが銃を構え、ドリルを下ろしたメリカとガンマ・オルカが同時に飛び掛かる。三連射放たれた弾丸は股間の鮫の頭部すべての鼻に直撃して破壊し、メリカがネプチューン・テティスの上の頭部の顎を蹴り上げ、そこにガンマ・オルカが渾身の尻尾ビンタを叩き込む。頭部は砕け散り、上半身が消し飛ぶ。核がありそうな個所を全部消し飛ばした。これなら、と三人の誰もが勝利を幻視する。その横で、サメイドが……いや、ネプチューン・テティスが嘲笑した。

 

 

「ダメ!そいつの本体は、メイドの方なの!」

 

「なに!?」

 

 

 ドリルが叫ぶ。レオンたちは致命的な勘違いをしていた。マヌエラが、この怪物をネプチューン・テティスと呼んだからそうだと誤認していた。マヌエラが間違っていたわけではない。確かに、ハヴィエを殺した怪物をアナ―ヒタがネプチューン・テティスと呼んでいたのを覚えていたからだ。まさか、其の怪物がある時、思考を司る主要臓器を人型の少女に収めて体外に分離し、残った巨人の肉体を遠隔から操って獲物を狩るよう進化したとは想像つくわけがない。

 

 

「戻れ。分裂体(カリハリアス)

 

 

 ドリルの言葉を聞いて蹴りを叩き込もうとしたメリカを、鮫肌の腕で受け止めて逆に引き裂くことで退かせ、腕についた血をぺろりと舐めたサメイド、否ネプチューン・テティスの本体は片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま右手を前にした優雅なお辞儀…カーテシーを行い、砕けた粘土の様に飛び散った己の分身体(カリハリアス)をその身に包み込ませるように集束させていく。

 

 

「さすがにガンマ・オルカは強すぎるからこっちで相手するわ」

 

 

 それは口が顔の大部分を支配するほど大きく眼が裂け目の様になっている異形の鮫そのものの様な頭部を持ち後頭部から尾鰭が髪の毛の様に伸び、腰から伸びた鮫の尾鰭も振っている緑かかった水色の肌をした、鮫を無理やり人型にしたような巨人。ネプチューン・テティスの真の姿だ。

 

 

「……やっぱりなし。この姿可愛くないわ。ご主人様に嫌われちゃう」

 

 

 しかし気に入らなかったのか、ぐねぐねと粘土を捏ねるようにして、その巨体が縮んでいく。そして現れたのは、170㎝の一見普通の人間の様な姿。背鰭のような突起が付いた髪型で金色の瞳、小さな口には牙が生え揃い、両腕には鮫のヒレがブレードの様について指先が鋭く尖っており、大きな臀部からは尾鰭が伸びている、大きな胸に白い布を巻き、腰にはパレオの様な青い布を巻いて真珠のネックレスとヒトデの髪飾りをつけている、お洒落な格好の女性。威圧的な姿から変わった可愛らしい姿に、一番警戒していたドリルすら呆気に取られる。

 

 

「これでよし、と。じゃ、死んで?」

 

 

 そして、いつの間にかその手にノコギリザメの鼻先を模した刀を握り、獰猛に笑うネプチューン・テティス。その姿がかき消え、一瞬のうちにガンマ・オルカの右足が斬り裂かれて転倒していた。誰も反応できなかった。ドリルやガンマ・オルカのレーダーすら感知できない速度で移動していた。

 

 

「あんまり弱いと冷め(サメ)ちゃうよ。獲物なら獲物らしく、足掻いて?」




あの質量がどこに行ったかと言えば、そりゃ圧縮されてるから身体能力やばいよねって。

というわけで今までネプチューン・テティスと言われていた怪物はカリハリアスという名の分裂体で、サメイドの方がネプチューン・テティスでした。なんであの暴れん坊が大人しくサメイドの言うことだけ聞いているのかって話でした。粘土を捏ねるようにってのも比喩じゃなく、自在に捏ね捏ねできる粘土みたいな分裂体だったというわけで。自由に一つになって完全体に戻ることも可能、更に変形もできる何でもあり。

ちなみにもしアナ―ヒタがこの光景を見てたら普通に拍手喝采してます。やべーね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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