BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はBSAA本部をぶちのめして数年後のお話。何年後とかローズが何歳だとかは明記しません。楽しんでいただけると幸いです。
あれから数年。BSAAの問題を解決した後、俺達一家は見張りつきではあるが元の日常に戻り、ハイゼンベルクはクリスと取引して旅に出た。その内容は、曰く「必要になった場合協力すること」「許可なしに兵器の製造・改造はしないこと」「殺人・窃盗の禁止」「それらを守る限り、関与はしない」などなど。
『よくもまあ律儀に守るよねマダオ。間違いなく地上最強の存在なのに』
「あいつも狙われるのは御免なんだろうな」
そもそも銃弾も拷問器具も通じないハイゼンベルクに対しては脅しも効かず、口約束でも取引するしかなかったとのことだ。ハイゼンベルクも「誰かの下に付かないなら問題はねえ」と納得し、自由を謳歌している。今は飛行機や自動車の工場を経営している旨の手紙をもらった。そんな、友人やクリスやハイゼンベルクの手紙を纏めていると、ヒョコッと愛しのローズが顔を出してきた。
「父さん、姉さん。私のネックレスどこに行ったか知らない?」
「うん?あー…たしかリビングの棚の上になかったか?」
『え?ローズの部屋の本棚の中じゃなかった?』
「え?」
「ん?」
『あれ?』
「「『ぷっ、アハハハハ』」」
おめかししているローズの質問に答えたら、何故かエヴリンと食い違い顔を見合わせる俺達。おかしくて、つい笑ってしまう。すると料理をしていたミアの声が聞こえてきた。
「なに遊んでいるの三人とも。できたわよ、手伝って」
「ああ、ミア。今いく」
「『はーい』」
子供たち二人が元気に答え、一緒に食卓へ向かう。その途中で回復薬を手に取る。傍らには何か期待している様子のローズとエヴリン。特にローズは今度こそ一目でも見ようと興味津々だ。
『ねえパパ、早く早く』
「今日こそは見せてくれるよね!」
「ダメだ。ローズ、教育に悪いからあっちに行ってなさい」
「ええー、姉さん、別にいいよね?」
『いやー、ちょっとグロいからおすすめできないなあ…』
「ちぇっ。ケチ!」
そう言ってミアの元に向かってしまった愛娘だが、ケチと言われても本当に教育に悪い、というか見せられないからしょうがない。念のため鍵を閉めて、ローズが入ってこないようにするとナイフを手に取り、軽く掌を斬り裂く。
「行くぞ」
『うん』
エヴリンが俺に入ってきたのを確認すると回復薬を傷口にかけて、垂らす様に下に向ける。すると黒カビが溢れて来て膨張しゴキゴキと人型を形成、俺から切り離されるとそれは肌色が浮かんで少女の姿を取る。それは、ローズよりちっこいが姉であると主張する、かつてのエヴリンの姿だった。
「ミランダは大嫌いだけど、この擬態能力だけは便利だよね!」
「持続時間が短いのが難点だがな」
何時もの様に頭に響かない、その小さい体からの肉声でそう笑うエヴリンに、笑みがこぼれる。一時的ではあるが、オリジナルと融合したことで力を増し、菌根ネットワークと呼ばれる脳内空間でミランダから擬態能力を得たエヴリン。一時間程度で構成が崩れて肉体が消滅してしまうのが玉にきずだが、今では俺達と共に食卓で食事をとれるようになった。なんでもない日常を謳歌できる、あの三年間じゃできなかったことを楽しめる今にエヴリンは満足していた。
「ほら、行くぞ」
「はーい」
食卓へ二人で向かうと、ミアとローズが温かく出迎えてくれる。カビでできた動く死体の俺。悪意に支配された一家の元凶にして正真正銘のカビ人間であるエヴリン。そんな二人を受け入れてくれる家族を俺は他に知らない。ローズとエヴリンと共に料理を食卓に運ぶ手伝いをしていると、ローズが何かを思い出したように嬉しそうに語りだした。
「そうだ、今日はカールが来る日だよね!」
「ああ、そうか。今日だったか」
「また面白いおもちゃを持ってくるといいね」
「もう、これ以上ガラクタが増えるのは勘弁よ」
「そいつは聞き捨てならねえな?」
その声に振り返る。そこには相変わらずの丸いサングラスに黒いソフトハットとオリーブ色のロングコート姿の男は、先に食卓に置いていたサンドイッチを口に入れてニヒルに笑っていた。
「カール!久しぶり!」
「おうおう、久しぶりだなローズ。今日も面白いおもちゃを持って来てやったぜ」
「…お前に鍵は意味ないな。よう、ハイゼンベルク」
「金属なんて使ってるからだぜ?…よう、イーサン」
差し出された手を掴み、力強く握手する。するとエヴリンがハイゼンベルクに突っかかる。
「マダオ!先に食べるの行儀悪いよ!」
「そうだな、手を洗ってなかった。ところでその手にあるのはなんだ?エヴリン」
「…マダオが食べてるからいいかなって」
「二人とも。あとでお説教よ」
「「はい…」」
サンドイッチを手に取っていたエヴリン共々ミアに怒られシュンとなるハイゼンベルク。地球最強とも言っていいハイゼンベルクを大人しくさせるミア、我が妻ながら恐ろしい。
「ねえねえ、今日は何を持ってきたの?カラ殺装置?」
「あーあれ、すごいよね。ルーカスより凄いのそう見ないよ」
「あんな教育に悪いのをおもちゃとは認めないぞハイゼンベルク」
「それについては悪かった。ただ偽物の血と肉片が出るだけのおもちゃじゃねえか」
「で?今日は何を持って来たの?」
「ああ、教育にいいのをってお達しだったからな。こいつだ」
そう言って引き寄せたのはスーツケース。それを開けると中にあったのは、見覚えのある姿の人形が五つ。目の前の男をデフォルメにしたような人形、帽子を被った血の気の悪い貴婦人、純白の衣装を着た可愛らしい花嫁、黒衣を纏ったすきっ歯の半漁人、仮面を被り六枚の翼を生やした修道女。最後の人形を見てローズとハイゼンベルク以外の人間が顔をしかめたのはしょうがないだろう。
「…これはなんだ?」
「教育番組の人形劇を参考にして作ったものだ。電池で動く喋って踊れる絡繰り人形さ。ちゃんと似た声の声優を雇って収録したんだ。機械大好きハイゼンさん、吸血鬼ドミトおば…ゴホン、ドミトおねぇさんに、心霊人形アンジー、ヌメヌメ男モローくん、そしてマザーミランダさま、だ。ミランダだけどうしてもキャッチコピーを思いつかなくてな?」
「へー、これが赤ん坊の私を誘拐したミランダなんだ……かわいいね?」
「ミランダだけキャラがアレだよね」
「私、ミランダのことそう知らないんだけどそうなの?」
「いや、まあ……擬態だけが取り柄だったな」
思い出したくもないが言われて思い出す。支離滅裂な発言多い上にろくに話さなかったからなあ。そんなことを考えていると、おもむろにネジを取り出し、一つずつ手に取って巻いて机の上に置いていき、ポンポンポンポンポンと頭を叩くハイゼンベルク。すると人形たちがひとりでに立ち上がって動き出し、わっちゃわっちゃと踊り出す。
『バイオのむらに~おい~でよ~』
『みんなゆかいなかぞくだよ~』
『吸血鬼ドミトお姉さん!』
『ヌメヌメ男モロー君!』
『機械大好きハイゼンさん!』
『心霊人形アンジー!』
『マザーミランダさま!』
『こ~わ、こ~わ、こわくな~い♪』
『バイオ村で、あ、そ、ぼ!』
陽気な音楽まで鳴り始め、歌って踊り終えるとわちゃわちゃ劇を始める人形たち。劇の間ミランダだけ何もせず突っ立ってるだけなのが笑える。ただ、その劇の内容は……
「どうだ?教育にいいだろ?」
「うん、面白かった!さすがカール!」
「いや、内容が怖いよ!?なに、血(偽物)が噴き出す人形って!?」
「エヴリンに同意だわ…凄いとは思うけど才能の無駄遣いと言うか」
「ハイゼンベルク…お前、疲れてるんだよ。なんでバイオ村なんだ…バイオハザードが起きた村だからか…?」
「おいおい、俺は真面目だぜ?」
「「「ええ…」」」
ローズは絶賛だったが、元ネタ(?)を知る俺とエヴリン、ついでに普通の感性を持っているミアからすればツッコミどころしかない。ローズ、絶対ハイゼンベルクのせいで変な趣味に目覚めたな…え、俺のせい?ないない。エヴリン、ジトーッと睨んでも俺のせいじゃないぞいい加減にしろ。
一時間だけならイーサンから分離して肉体を得ることができるようになったエヴリン。ネットワークを用いて本編より力を使いこなしてます。
このルートだと血みどろが趣味になってしまったローズ。まあしょうがないね。そしてまさかまさかのバイオ村。ハイゼンさんだったら絡繰り人形ぐらい作れそうだなって。
そんなわけでこれにてハイゼンベルク生存ルート完結です。次回はデュークルート(?)。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。