BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
本章のラスボス降臨。楽しんでいただけたら幸いです。
数刻前。V・コンプレックスの出現で地響きが起こる中でカリハリアスと殴り合うヨナ。少々縮んだとはいえ全身筋肉なのは変わらない。尻尾から腕までの筋肉をバネの様にして、粘土を捏ねるように再生してしまうカリハリアスを、圧殺しようと殴りまくる。カリハリアスの拳はもはや届いておらず、ほぼ一方的に拳の連打を叩き込むヨナ。
「司令塔がいなければ攻撃的な動きしか取れない、それがお前の弱点よ!」
そして尻尾で締め上げてとどめを刺そうとするヨナだったが、その瞬間複数の肉塊に分裂して飛んでいくカリハリアス。天井の通路を通って移動する、物理法則を殆ど無視したそれにヨナは目を見開く。
「は!?遠隔で呼び寄せることもできるの!?」
支柱に巻き付いて天井の通路に上がり、慌てて追跡するヨナ。何とか玉座の間に辿り着いたヨナは、さらなる衝撃に襲われる事となる。テティスが、アナーヒタを喰らっていたのだ。
「え、あ、え?」
ドロドロに溶けたV・コンプレックスの亡骸の上へと降り立ったテティスは、目の前の状況が信じられないのか困惑の声を上げる。その視線の先で、レオンの投擲したポセイドンの槍で腹部を貫かれたアナーヒタが血を口の端から垂れさせながら倒れ伏した。それが、P-ウイルスを使ってないただの人間の証だった。
「ご主人様!?」
呆然とするクラウザーを押し退け、アナーヒタに駆け寄るテティス。それを見てレオンは周囲を見渡し、ハンドガンが落ちている場所を確認するとゆっくりとにじり寄る。
「ぐっ、ふっ……テティス……」
「ご主人様!しっかりして!私はここにいるから!」
敵の排除より主人の安否をとったテティスが涙ながらにアナーヒタの体を抱き上げる。アナーヒタは生き絶え絶えでテティスの肩を掴み、告げた。
「ごふっ、テティスよ……我を愛していると言うのなら……我の為に我を喰らえ……い、今こそ、我らは真の意味で一心同体となるのだ……」
「え。いやだよ、ご主人様を食べるなんて!そんな、そんなの……」
そう口では嫌がるテティスだが、鮫ゆえの本能か。アナーヒタから溢れる血を見て、涎が溢れてしまっている。眼もがん開きでアナーヒタの傷口を見ていた。彼女はどこまで行っても、人ではなく鮫だった。
「…ずっと我慢してたのに!」
「ぐあああっ!?」
食欲のままに、アナーヒタの腹部からポセイドンの槍を引き抜いて投げ捨て、傷口に牙を突き立てるテティス。腸を牙で引き裂き、肉を引きちぎって咀嚼。太腿を引きちぎり、一心不乱に齧りつく。細腕を掴み、バリボリと骨を噛み砕いていく。そのままガツガツと躊躇することなく、一分もかからず一片も残さず平らげたテティス。血に濡れたアナーヒタの白衣だけが、そこに残っていた。
「……ごちそうさまでした」
食べ終えたテティスの視線が向くのは、当然と言うべきかハンドガンを手にしたレオン。武器を出すことなく四つん這いとなり、ケダモノの様に唸って睨みつける。レオンはアナーヒタが捕食されたことに困惑していたが、すぐにハンドガンを構えた。
「ウガアアアアアッ!!!」
「速い…!?」
瞬間、手足で床を蹴って姿を消すテティス。次々とレオンを取り囲む様に出現し、残像でレオンを取り囲む。これは報復だ。テティスが選んだのは、レオンを甚振る〝狩り”だった。
「お前は、殺すッッ!」
「そこだ!」
残像で分身し、一斉に襲い掛かるテティス。レオンは影を見て本物を特定、ハンドガンを連射して狙い撃つ。その一発が右目に炸裂し怯むテティス。そこに、駆け付けたヨナのストレートパンチが頬に突き刺さって殴り飛ばした。
「ヨナ!」
「状況が全然読めないけど…加勢するわ、レオン!」
「グオアアアアアアッ!!まとめて殺す!」
両手を振り上げて咆哮をあげるテティス。右掌だけでなく左掌にも牙が生え揃った口を形成し、さらに自らの口も開いて三連砲の牙の弾丸を乱射する。レオンは飛びのいて回避、ヨナは尻尾を巻いて盾にして防御。そんなヨナの防御に飛び込んだテティスの拳がめり込み、殴り飛ばす。しかし側頭部に衝撃。見れば、レオンがハイキックを叩き込んでいて。人体で最も力の出せる部位である脚による攻撃は効いたが、知ったことかと言わんばかりにレオンの腿に噛みつこうとして。ヨナの尻尾で脚に巻き付かれ引っ張られて転倒。そこにレオンのサッカーボールキックが顔面に突き刺さり、蹴り飛ばされた勢いのままヨナに尻尾で振り回され、次々と床に叩きつけられるテティス。
「があああっ!?殺す、殺す、殺すゥ…!」
そのまま勢い良く放り投げられ、床をバウンドしながら転がっていき、何とか立ち上がるテティス。明かに冷静さを欠いている。その様子を眺めていたクラウザーは、もう駄目だろうと見切りをつけた。そんな時だ。異変が起きたのは。
「あぎっ!?」
「え、なに?」
「どうしたんだ?」
頭を押さえ、蹲るテティス。眼は血走り焦点が定まらず、舌が垂れた口の端から涎が垂れ、頭を押さえてのたうち回っている。ヨナとレオンが追撃を思わずやめるほど、尋常ではないほど苦しんでおり、明かな異変が起きていると伝えていた。
「やめっ、くるしっ、たすけっ、わたしがっ、きえる……!?」
「なんだって?」
「やめてっ、わたしをたべないでででっ、ごごごごししししゅじじじじんんんさまあぁぁああああああ…………」
狂った様に呂律が回り、電源が切れた様に顔を俯いてピタッと止まるテティス。青緑色だった髪が銀髪に染まっていく。そして顔を上げたそこにあった顔はテティスではなく、アナーヒタのものだった。
「アナ―ヒタだと…!?」
「フフフッ、ハハハハハハハッ!遂に、遂に手に入れた……!P-ウイルスはギャンブルその物!最も恋焦がれる鮫の肉体を得る確証はなかった!その一瞬の躊躇を突かれたが……最後の可能性に賭けて、言ってみるものだ!確立された「自我」を持たない、不安定なテティスだからこそ!我の意思が上回った!我が妹の考えは正しかった!魂は存在する!転生は可能なのだと、我が妹に伝えてやらねば!この肉体は最早、我の物だあああああああああっ!」
レオンと、レオンから自らのショットガンを受け取ったヨナが発砲する。しかし意に介さず、粘土を捏ねるようにしてテティスは、いやアナーヒタは自らの体を作り変えていく。最後に赤く染まった自らの白衣を身に纏ったその姿は、細部こそ異なるがレオンとヨナの見知ったもの。
「テティスの肉体の本領は、「変形」にある!この力を利用すれば、再現可能だと思っていたッッ!我が、我こそが……ネプチューン・グラトニー……否、ミス・ポセイドンであるッ!!!!!!!!」
血に濡れて赤い白衣と相反するような海の様な青い体。サメの頭部の様なパーカーの様な外装が新たに作られその口の部分からアナーヒタの顔を出し、その首には鰓が、口には獰猛な牙が生え揃う。テティスの体格をそのまま引き継いでいるが下半身はカリハリアスのもので、サメケンタウロスともいうべきもの。右手の甲を突き破るようにノコギリザメのブレードが、左腕を喰らう様にシュモクザメのハンマーが装備され、胴体にはコバンザメの様な装甲がへそを出して新たに追加されたその様は、ネプチューン・グラトニーをもとにしたありとあらゆる鮫のキメラの様な怪物だった。
「お礼参りと行こうか……!レオン・S・ケネディィイイイッ!!!」
ミス・ポセイドンと名乗った怪物は、両手で傍に転がっていたポセイドンの槍を拾い上げ、産声を上げた。
今際の際にテティスに喰われたアナーヒタがその身体を乗っ取って復活、誕生。ミス・ポセイドン。正真正銘ラスボスです。クラウザーがまだ残ってるけどラスボスです。つまり同時ボス戦。
主人であるアナーヒタを食べたいという欲望を持っていたどこまでも動物的なテティス。その欲に身を滅ぼされるのだからいただけない。テティスの自我は完全に消滅しました。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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