BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はクラウザーとの決着。楽しんでいただけたら幸いです。
一年前。日本某所、天ヶ沢病院地下の研究室にて。雪姫は、熱々の緑茶を淹れて父親であるアイザックスに配膳していた。
「粗茶です。父上」
「いつもありがとう、雪姫。よくできた娘だ」
「ふふっ……当然です」
褒められてご満悦の雪姫。お盆を抱えてむふーと満足げに笑う。
「雪姫がまたご満悦でしてよ。わたくしの方が優れてますのに。あの妹ときたら」
そう腕が隠れた袖を手に添えて怪しく嗤うのは、紅色の白無垢の様な着物を身に着けた薄紅色の瞳でロングヘアーにした白髪の雪姫とよく似た長女。
「雪姫が、幸せなら、いいと、思う……うん」
そうおどおどとしつつやんわり笑うのは、紫色の作務衣を身に着けた菖蒲色の瞳で束ねた髪が翼に見えるポニーテールにした白髪の雪姫とよく似た次女。
「我が妹は働きものだねぇ……もっと怠けようよ~」
白いモールデッドに団扇を仰がれながら休憩スペースの畳に寝そべっているのは、丈の短い緑色の浴衣を身に着けた翡翠色の瞳で前髪が広がる風の様な印象の三つ編みにした白髪の雪姫とよく似た三女。
「雪姫、ちょっと生意気じゃない?お父さんが好きなのはお姉ちゃんたちもなのに!/そんな生意気なところも大好きだよ雪姫ー!」
支離滅裂に自分一人で完結して喋るのは、青と白の巫女服を身に着けた瑠璃色の瞳で、右サイドテールだったり、かと思えば左サイドテールだったりする不思議な髪型の白髪の雪姫とよく似た四女。
そんな個性豊かな姉たちと共に、父親であるアイザックスに奉仕する五女たる雪姫は幸せそうだ。すると、ダニエルの報告書を読み上げたアイザックスが楽し気に笑う。
「ほほう。我が盟友、アナ―ヒタ・ウェスカー女史がRTを改良して新たなウイルス「P-ウイルス」を完成させたらしい。素晴らしい。どんな遺伝子変化が起きるのかワクワクしないか!我が娘よ!」
「はあ。ワクワクしません。すみません、父上」
「研究者の心は分からないか。残念だ。ところで、ウイルスが安定するまでのボディーガードをご所望の様だ。雪姫、行ってきてくれるかい?」
「お父様のお願いとあらば、断る理由がありません」
そんな会話を思い出す、絶賛壁の中にいる雪姫。変形を解いて人型に戻り壁から抜け出すと、人知れず部屋を立ち去る。
「……さすがに、潮時ですかね」
「お礼参りと行こうか……!レオン・S・ケネディィイイイッ!!!」
「くっ…!?」
ミス・ポセイドンはサメの頭部三つを持つ下半身の四つ足で突進し、サメの口三連撃と槍による連撃が襲い掛かり、レオンは跳びのきながら発砲。しかし撃たれても気にせず槍を右手で持って左腕のシュモクザメのハンマーを床に叩きつけ振動させ動きを止めてくるミス・ポセイドン。攻撃は通じる。ただ、HPが果てしなく多い感覚。しかも手数も多い。
「泣けるぜ…!」
「レオン、加勢を…!」
「お前の相手は、俺だ!」
ヨナが援護しようとショットガンを構えると、クラウザーが突撃してきてヒレブレードを振るう。ヨナは咄嗟にショットガンを手放し、鱗に覆われた手甲で防御。返しに尻尾を叩きつけるも、ウミサソリの尻尾を背後に刺して引っ張ることでスライド移動するクラウザーには当たらず、続けてアンモナイトの拳によるジャブ。顔面に受けてヨナは怯む。そこで敵の正体を悟った。
「え?もしかしてあなた、クラウザー?」
「もう俺を舐めさせないぞ、ヨナァ!」
「女になってまで強さを求めるとかみっともないわよ!あなた、それでも男!?」
「女の貴様が言うなアア!女に助けられて、女に負けて!俺の男としてのプライドはズタズタだ!」
激昂と共に振り上げられたアノマロカリスの足が踵落としの要領で振るわれ、ヨナが回避した床に斬撃を刻み込む。ヨナは自らが落としたショットガンをレオンが回収したのを確認すると、下半身の尾で自らの体を持ち上げ、上からクラウザーに飛び掛かる。
「しまっ……貴様、放せ!ふしだらな!」
「そんな格好の奴に言われる筋合いはないわよ!あなた、そのごつい装備なければただの露出狂よ!?」
そのまま全身に巻き付いて四肢を絡めとり、極め技の様に拘束して背中に回り両腕でチョークスリーパーを行い首を絞め上げ窒息させようとするヨナ。人の骨格を逸脱していないクラウザーには効果覿面であり、全身が悲鳴を上げる。唯一自由に動かせる部位である腰から伸びたウミサソリの尾もそこまで自在に操れるわけではなく、ほぼ詰みの状態だ。
「自分を見つめ返しなさい!それが、本当にあなたがなりたかったものなの!?」
「当たり前だ!強大な力、これさえあれば俺は……」
「これさえあれば?なんだって言うの!」
「俺、は、戦士と、して……」
振り返り、問いかけてくるヨナの顔を睨みつけるクラウザー。その瞳に映るものを見て、絶句する。
「何だ、この醜い姿は……」
「まさか、鏡も見ていなかったの?」
「戦士の姿か?これが……」
異形の「戦士」ではなく、もはや醜い「化け物」の姿へと成り果てた自分がそこに映っていた。女になろうが、関係なかった。異形になろうとも、関係なかった。もうナイフが握れなくても、関係なかった。だがしかし。自分の誇れる自分になりたかった。その結果が、これか。クラウザーは、抵抗する力を失い、膝をつく。
「……俺はただ、お前らに、
「ええ、知ってるわ。負けず嫌いなのは初対面で分かった」
もう必要なしと考え、拘束を解くヨナ。クラウザーは、過去の彼を知っている誰が見てもクラウザーだとはわからないだろう変わり果てた女の顔で、絶望に俯く。
「行け。俺にもう、戦う理由はない」
「何、寝言を言っているの。あるでしょ、戦う理由」
「なんのことだ……早くレオンの助けを、」
「レオンはあなたの相棒でしょ?」
そうヨナが告げると、クラウザーはカブトガニの兜の下の目を見開いて……。
少し戻って。ミス・ポセイドンの猛攻から逃げ続けるしかないレオン。ヨナから受け取ったショットガンで反撃を試みるも、ダメージを意にも介さない猛攻に防戦一方だ。
「逃げるか!だがそれは正しいぞレオン・S・ケネディ!神から逃げようとするのは道理だ!」
「お前は、神なんかじゃない。ただの怪物だ!」
ガチンッ!と牙と牙がすり合わされる音が鳴る。頭部のサメパーカーが動いたのだ。牙が噛み合わされたそこから衝撃波が放たれ、床を抉る。さらにノコギリザメのブレードで左腕を弦楽器を演奏するかの様に斬りつけて、カリハリアスもしてきた鱗を空中に飛ばして撒き散らしてまるでガラス片の様に降り注がせてきたかと思えば、さらに床にシュモクザメのハンマーを打ち付けて降り注いだ鱗を打ち上げて下から襲い掛からせるミス・ポセイドン。レオンは咄嗟に腕を交差して防御。全身に牙が突き刺さり、鮮血が舞う。それに反応してミス・ポセイドンの動きが止まった。
「テティスの欲求も仕方ないな……血を見てこれほどまでに興奮するとは。抗えない欲求だ。今、我はお前を喰いたくて仕方がない!」
「喰われてたまるか…!」
串刺しにしようと、右手に握られたポセイドンの槍が突きで放たれる。レオンは左手でナイフを引き抜いて穂先を上に弾き、右手に持ったハンドガンを連射。サメパーカーの口が閉じられてヘッドショットは防がれ、ガチガチガチン!と三連続の牙が噛み合わされる音。股から生えた三つ首鮫の口からも衝撃波を放ってきた。咄嗟に宙返りで回避するレオンに、シュモクザメのハンマーが叩き込まれ吹き飛ばす。
「があああっ!?」
「我に捧げる供物となれ!レオン・S・ケネディィイイイッ!!!」
強烈な一撃に壁に叩きつけられ、血を流してダウンするレオンに四つ足を動かして迫るミス・ポセイドン。その手に握られた槍が振り降ろされる。
ガキン!
しかしそれは、アーケロンの甲羅で受け止められた。P-ウイルスの中で最も堅い防御に防がれたミス・ポセイドンは目を白黒させる。レオンとミス・ポセイドンの間に割って入ったのは、クラウザーだった。
「なんのつもりだ?ジャック・クラウザー」
「……この力を与えてくれたことには礼を言う。だが俺は、……どんなに堕ちようともアメリカ政府から任命された、レオンの相棒だ」
「クラウ、ザー……」
「男らしいわよクラウザー!今は女だけど!」
そこに、ヨナが奇襲。ミス・ポセイドンの首を尻尾で締め上げる。しかしそれはシュモクザメのハンマーで殴られ、すぐに開放してしまいレオンを守るようにクラウザーの隣に移動するヨナ。ミス・ポセイドンは気に入らなそうに二人を見下ろした。
「海の神たる我に逆らうか!いいだろう、まとめて喰らい尽くしてくれる!」
「正念場よ。2人とも!」
「立てるか、レオン!」
「ああ、クラウザー!まだいける!」
南米での最終決戦が始まる。
クラウザー、参戦!
かつてリサに怯え、セルケトに怒りのままに戦いを挑み、生き延びて、グラと共にエヴリンに家族にされ、アルテという強敵に立ち向かったヨナだからこそのクラウザーの説得でした。一年足らずの出来事だけど壮絶だなこの娘。
雪姫の姉四人が登場。アイザックスが以前ダニエルたちを使って手に入れていた彼女たちです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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