BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はデュークさんのウィンターズ家訪問。楽しんでいただけると幸いです。
ベイカー家では、ゾイの助けを借りながらもほぼ一人であの一夜を乗り越えミアを救い出した。だがあの狂気に満ちた村での惨劇は、決して一人では乗り越えられなかっただろう。頼りになる愛娘であるエヴリンに、自由を求め反逆のために俺と手を組んで死んでいったハイゼンベルクと、彼に作られた機械化死体兵団ゾルダートにシュツルム。影ながら俺達を守ってくれてミアを助け出してくれたクリスたちハウンドウルフ。…そして、デューク。
武器や弾丸に回復薬と豊富な物資を提供し、空腹の際には食事を振る舞ってくれたり、なにより俺やエヴリンでは知り得なかったローズについての情報を教えてくれた、「あくまでもサービス」「ビジネスの一環」として助けてくれたふくよかな謎の商人。名前は貴族の称号の一つで一番偉い「公爵」を意味する名だが、四貴族やその支配者であったミランダと何か関係があったのかどうかは分からない。少なくともドミトレスクやハイゼンベルクとは取引相手だったようだが。まあとにかく、謎の人物だが間違いなく恩人の一人だ。俺の身体が何時崩壊するかわからないが、もし会えたらお礼を言いたいところだ。
≪「お宅はイーサン・ウィンターズ様の家で間違いないでしょうか?」≫
「その声……お前、デュークか?」
『え、デューク?』
そんなある日、自宅のインターホンが鳴ったのでエヴリンと共に出てみれば、あの村で散々お世話になったデュークだった。扉を開けるとそこにはお馴染みの巨体が。…後ろに馬車があるが、ここまで馬車で来たのだろうか。というかなんで俺の居場所を知ってるんだ。
「実はいい肉と魚を仕入れましてね。友人の貴方と一緒に食べようかと」
「え、いいのか?」
『わーい、デュークの料理が食べられるー♪』
パワーアップしてから食事できるようになったため小躍りするエヴリンと共に、さすがに家に入れられないので庭にデュークを案内すると、ミアとローズが驚いた顔をしていた。
「ああ、二人は知らなかったな…あの村で俺を助けてくれた行商人のデュークだ。ローズを救い出す手助けをしてくれた。…ハイゼンベルクに並ぶ恩人だ」
『クリスが入ってないの笑えるけど同意』
「どうも、デュークと申します。こちらのウィンターズ様…イーサン様にはご贔屓していただきました。ご必要な物があれば格安でお売りしますよ」
「は、はあ…」
「あ、おじさんが父さんと姉さんの話に出ていたデュークね。よろしく!」
困惑するミアと、元気に挨拶するローズ。デュークは満足そうに唸ると手にしていたクーラーボックスをその場に起き、馬車から簡易コンロやらフライパンやら人数分の食器を往復して持ってこようとしていたので手伝う。
「あれからですね、イーサン様と別れてから爆発する前に村から命からがら全速力で逃げまして。それからは村を転々として商売をしていました」
「無事だったら連絡ぐらいくれればいいのに」
「まあわたくし、お宅の電話番号を知りませんでしたから。住所も最近やっと見つけたのですよ。ワタクシの情報網はすごいのです。商売とは情報が命ですからな」
「みたいだな」
一応、前の家とは別のところに引っ越してるわけで。その住所を見つけるとなるとかなりのものだ。すると緑・赤・黄のハーブを取りだして包丁で切り刻むデューク。気になったので聞いてみた。
「それは?」
「これはですね、少々複雑でして。ここに来る直前、死んだと思っていた旧友と奇跡的に再会しましてな。なんでもサーヴァント?とやらになったそうで、よくは知らないんですけどね。あちらの今の主人に色々売ったお礼に三色ハーブなるものを分けていただきました。特に黄色はヨーロッパのとある地域にしか存在しない希少なものでして。これが実に、調味料としていいんですよぉ」
「なるほど。そうか、それはよかったな」
「まあそれ以来武器の類が売れなくなって結構困っているのですけれどね。どうです?護身用に買いませんか?」
「護身なら間に合ってるな」
外にいるであろう見張りを思い浮かべてそう返す。俺達とローズを見張っている訳だが、護衛と考えても差し支えないだろう。
「ふむ。それは残念ですな」
『私もいるからもしもの時は何とかなるしね!あ、デュークには聞こえてないんだっけ。あとから私の存在を明かして驚かそうかな』
「ああそうだ。アンタから譲ってもらったとっておき…あの戦いで失ってしまった。悪い」
そこで思い出したことについて謝る。ミランダとの最終決戦に出向く際、武器が不足していた俺にデュークが譲ってくれたハンドキャノン…ミランダにとどめを刺す際に投げ捨て、そのまま拾う余裕もなかったから爆発に巻き込んでしまった。友人から譲ってもらったものと聞いていたのに…それが申し訳なくなって、頭を下げる。すると飄々とした声が聞こえてきた。
「いえ、お気になさらず。残念ではありますが、武器とは使われてこそのもの。私が持っていたままでは単なる記念品として朽ち果てていったものが武器として全うできたのです。本望でしょう」
「そういうものか…?」
「商人には商売するという使命があるように、物には物としての使命がある。それを全うできたのですよ?なにが悪いことがありますか。貴方が父親としてローズ様を救い出したのと同じことですよ。……さて、そんなことを言っている間にできました。わたくし史上最高傑作の完成です」
「『「「おお!」」』」
出来た料理を庭の簡易的な机に並べるデューク。芳しい匂いはそれが上質なものだと示していて。ローズなんか涎が凄かったので拭ってやったぐらいだ。ミアでさえ「負けた…」と悔しそうにつぶやいていた。それぐらいに、並べられた料理はおいしそうだった。
「稀鳥のトキトゥーラと稀獣のチョルバデブイと稀魚のサルマーレ、三色ハーブ風味でございます。召し上がれ!さあ、ご一緒に!」
「じゃあ、もう一人の家族を呼んでくるよ」
「おや、三人家族ではなかったので?新たに命を宿したのですかな?」
「実はお前とも顔なじみだったりするんだがな」
「ほほう?」
左手の掌を天に向ける。傷だらけのそれに、右手で握った回復薬をふりかける。これは俺がクラフトして作ったものだ。デュークから買えなくなったが、よく考えたらベイカー家の事件の時点で作ることはできたんだよな。同時に俺の左腕を握りしめる様に重なるエヴリン。もはやお馴染みの言葉になったそれを呟く。
「Hello.Eveline」
「Hello.Ethan」
俺の呼びかけに応える様にして俺の左腕が変形、モールデッドの様な頭部を形成して肉声で挨拶する。これが我が家の家族四人で食事をする際のスタイルだ。これでちっちゃな手を生やしてお行儀よく食事をするのだからわからないもんだ。俺は右手だけで食べることになるのが玉にきずだが。
「おやおや。もしかして貴方がエヴリン様、ですかな?」
「は?…知ってたのか?」
するとデュークは特に驚くことなく、むしろ嬉々として受け入れていた。それに顔を見合わせる俺達。
「はい。エヴリン様、という存在がイーサン様の側にいることはなんとなく。私には見えなかったのですが、城ではドミトレスク様たちには見えていらしたようですしそういうものなのかなと納得していたのですが、よもや私にも知覚可能とは!お会いできて光栄です。共にいただきましょう!」
「え、あ、うん…デュークのこと、村の時は疑ってたんだけど……普通にいい人だね?」
「わたくしは商人故。なにか買ってくれたら嬉しいですねえ」
「あ、じゃああのミスター・エブリウェア欲しいな」
「おい、誰が金を払うと思っているんだ」
そんな会話をしながら食事を始める。やはりというか、以前ごちそうになったものとは比べ物にならないぐらい美味かった。体から力が湧いてくるような…これは?とデュークを見ると、にこやかに。
「少しでも、貴方の身体が持てば。そう思いましてね」
「…お前には敵わないな」
デュークの接客サービスに感嘆の声しか出なかった。
そんなわけで今作は拙作にしてもう一つのバイオハザード作品「Fate/Grand Order【The arms dealer】」と同じ世界の出来事でした。あちらの完結はまだですが、完結後の時系列となってます。あちらの主人公であるサーヴァント・ディーラー(4の武器商人)がどういうわけかデュークと接触したって話。黄色ハーブは4のあの地域特有のものってことにしてます。
できれば今作とFGO/TADのコラボ回を書きたい。あちらのシリアスエヴリンとこっちのポンコツエヴリンを会わせたいけどどうでしょう?反応が良ければ次回か次々回はそれになるかなあ。
次回については…7を同じ条件(ポンコツエヴリンと一緒)で書いてみるかなあ、とかエヴリンが見えているのが四貴族側だったら?とか色々考えてますがどうなりますやら。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。