BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はマヌエラ視点。楽しんでいただけたら幸いです。
目覚めた時。その禍々しい敵の姿から、あの父さんを殺したネプチューン・テティスが、元凶のアナーヒタと一つになったことを理解して。怒りのままに、指の触手で腕の海月の皮膚を引き裂いて血が噴き出し、空気に触れると発火して火球として放たれた。同時に、全身が茹だったように熱くなる。海月の体で、炎なんか扱うからなのはわかっている。だけど、この身がどうなろうと…!
「貴方だけは、絶対に許さない!アナーヒタぁ!」
「我は……!ミス・ポセイドンである!」
アナーヒタは右手を高速で振るって海水を斬撃として飛ばしてくるも、私の右腕から垂れる血が置換された海水が、沸騰し炎上して吹き飛ばす。こちらの海水を振りかけるように炎を放出する。面食らったアナーヒタは両腕を交差して防御。全身にできた火傷が、肉で覆うようにして再生していく。
「よく燃えそうなのつけているわね…!」
「……小細工を。ならば、この様な人間の名残、最早いらぬ」
そして炎上する赤い白衣を破り捨てたアナ―ヒタは、耳まで裂けた口から牙を曝け出し、ガチン!と牙を噛み合わせる。瞬間、衝撃波が放たれて、私は咄嗟に回避。負けじと海水に浸した触手を、炎を纏った鞭として振るって攻撃。アナーヒタは三又の槍を握ってクルクルと横に回転。触手を斬り裂きながら突撃してきて、私は炎を推進力にして飛び上がり、凄まじい速度で回避。一瞬意識が追い付かなかった私を追いかけて槍を突き出してくるが、燃える右手と、海水に塗れた左手を勢いよく胸の前で合掌する。
「水蒸気爆発か……!?」
「くっ…!?」
すると空中で大爆発。咄嗟にやったことだったけど、私も大ダメージを受けて吹き飛ぶ。その先にはコンテナが。頭から叩きつけられそうになる。あ、死んだ……。
「マヌエラ!」
すると、視界の端でヨナに右手で抱えられたレオンが投げつけられてきて。燃える私を抱えて、コンテナを回避。地面を転がる。このままじゃレオンが燃えてしまう、そう思って突き放そうとするけど、レオンはそのまま私を抱え、アナーヒタの牙から放たれる衝撃波から私を庇った。ヨナとメリカ、あとガンマ・オルカと、見覚えがあるようなないような隻腕の女性がタコの触手の様な右手の拳を振るい全員で殴りかかり、アナーヒタは尾鰭で吹き飛ばす。いや、今はそれよりも…!
「レオン、離して!貴方が燃えてしまう!」
「ダメだ。離さない。落ち着いて聞いてくれ、マヌエラ。それはクレアの報告にあったT-Veronicaの力だ。血を燃焼させるその力は、強力だが血そのものを消費してしまう!それに……」
「マヌエラ!それ以上使ったらダメ!私たちP-ウイルスを使っている肉体と、T-Veronicaの能力は相性が悪い!沸騰した海水が全身を煮えたぎらせることになる!今すぐ止めて!」
ガンマ・オルカも戦いながら止めてくる。抱きしめるレオンを突き離そうとする力が弱まる。レオンは、私の体を心配して体を張って守ろうとしてくれている。だけど、だけど。メリカの脚とヨナの拳を両手で受け止めてシンバルの様に叩きつけて投げ捨て、ガンマ・オルカの噛みつきを槍で顎を突き刺して放り投げ、隻腕の女性の斬撃を皮膚で弾いて頭突きで地面に叩きつけるアナーヒタを睨みつける。
「で、でも……父も、母も、親友のヴァージニアも…!アイツに殺された…!私は、皆の仇を取りたいの…!この身がどうなっても、この手で……」
「ふざけるな!」
すると、私の両肩を掴んで怒鳴るレオンにびくっと身を縮こませる。恐る恐る見て見れば、レオンは本気で怒っていた。
「君の家族や友人が、どんな思いで君を生かしてきたと思ってる!何のために、戦ったと思っている!君に、生きてもらいたいからだ!マヌエラ!君は、生きないと駄目なんだ!犠牲になることは恩返しなんかじゃないぞ!彼らの分まで生き抜く、それが!………残された俺達の、
「レオン……貴方も、なの?」
「……ああ。命を懸けて市民を守ろうとした先輩警官たちの無念を、尊厳を踏みにじられた人々の思いを、俺は背負って生きると決めた。だから、こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。そして、俺は聞いたぞ。君の母親の最後の言葉を」
―――――「マヌエラ。その姿だと大変かもだけど、どうか、幸せに……」
「あっ……」
思い、出した。そうだ、私は、幸せにならないと、いけないんだ。あんなやつのために、死ぬわけにいかない…!
「思い出した様だな。安心してくれ、君の事は俺達が守ってみせる。そして、P-ウイルスの因果をここで断ち切る…!」
「出来ると思うのか、レオン・S・ケネディ……この場で唯一ただの人間である、お前が。神にハッタリなど通じぬぞ?」
一瞬のうちに、一回転して尾鰭でみんなを蹴散らし大地を蹴ったアナーヒタが眼前に立って笑っていて。レオンが咄嗟に引き抜いたナイフを振るうが、硬い肉体に弾かれて宙を舞うナイフが地面に突き刺さる。それでも、私を庇う様に腕を掲げてアナーヒタを睨みつけるレオン。
「アナーヒタ・ウェスカー。お前は神なんかじゃない、悪魔だ。ここで倒す…!」
「やってみるが良い……フッ!」
アナーヒタは飛び込んできた四人を蹴散らし、自分の口から牙を数本無理矢理引き抜くと、牙を生やしながら人差し指と親指の間に構えて鉄砲の様に連続で弾いて撃ってきた。レオンは私を抱えて飛び退きながら、右手にハンドガンを手にして対抗。牙の弾丸と鉛玉が飛び交う。しかし、アナーヒタに鉛玉が通じないのに対し、レオンは掠るだけで鮮血が飛び散る。
「ぐっ!?」
「レオン!無理しないで!」
「果たして、何処まで耐えられるかな……むっ?」
「いい加減に!」
「しろぉ!」
すると、ヨナを抱えたメリカがアナーヒタの周りを高速で回転。ヨナの尾を巻き付けて、拘束。
「無駄なことを……」
「隙さえできれば、十分だ!」
ヨナの拘束を当たり前に引きちぎって抜け出したアナーヒタに、左足のヒレ?を軸に高速回転して、アノマロカリスの脚を勢いよく叩きつける隻腕の女性。二筋の斬撃が胴体を斬り裂き、海水が飛び散るもアノマロカリスの脚を掴んで引っ張り、噛み砕くアナーヒタ。そのまま崩れ落ちる隻腕の女性をふみつけにしながら、左手で槍で尻尾がズタズタになったヨナを突き刺すと槍を投げつけてヨナをコンテナに磔にし、高速でメリカが叩き込んだ跳び膝蹴りを顔の前で右手で受け止め、にやりと笑うと握り砕く。
「うああああっ!?」
「自慢の逃げ足も、これで使えまい」
「ぐっ……だが、時間は稼いだぞ…!」
「私たちが作っていたのは、クラウザーのための隙じゃないわ…!」
「何……?」
「え、クラウザー」
「信じられないだろうけどあの隻腕の女はクラウザーだ…」
「えっ」
衝撃カミングアウトもあったが、ヨナの視線の先では。背中から鮫のヒレが二つシャチの背鰭を挟む様に生え、尻尾も新たに鮫のものが二本増えたガンマ・オルカがいた。
「スゥ…ハァ…!
そう叫んで両手を突き出すガンマ・オルカ。すると掌に小さな鮫の口が開いて、ガチガチと牙を鳴らす。頭部のシャチパーカーも動いて牙を鳴らし、涎を垂らす。その隙間からガンマ・オルカの眼が金色に輝いた。
「テティスと……グラトニー、だと……!?」
「菌根から記憶を引き出した……質量が多いというのなら……全部喰らえばいい!覚悟しろ!ご主人様!」
「ふざけるなあああああああああああああああああああああっ!グラトニーならば兎も角、我が愛したテティスの真似を、貴様如きがするなど恥を知れ!逆に喰らってくれるわぁ!」
今までになく怒り狂うアナーヒタ。三本の尾鰭ををスクリューの様に回転させ、腹ばいとなりバタフライでもするかのように突撃するガンマ・オルカ。頭突きや掌底を叩きつけるようにしてアナーヒタの皮膚を引き裂き、引っ張って肉を食い千切る。アナーヒタも殴りつけ、噛みついて抵抗するが、タフなのか全然効いていない、というよりは肉を喰らって回復し続けているのか。
「レオン、今の内だ!兵士が使っていた武器に使えるものがないか調べろ!ガンマだけでは決定打がない!マヌエラを守るぐらいなら手負いの俺達でもやれる、行け!」
「わかった、頼んだぞ!」
レオンが私の傍から離れて探索する中で、ヨナやメリカと共に私を守るように立ってくれているクラウザーは、前とはずいぶん違っていて。
「クラウザー、其の姿……それに、その腕」
「俺が弱かったせいだ。マヌエラが気にすることではない」
「本当に何があったの…?」
「私も知りたいぐらいなのよね。……でも、アナーヒタもタフだわ。何か弱点があればいいんだけど…」
「アナーヒタの、弱点」
ヨナの言葉を頭の中で反芻する。咄嗟に思い出したのは、私の中のT-Veronicaを研究しようとしていたこと。その実、P-ウイルスの肉体と相性が最悪の血を炎にする力。そして、血と言えば……朧げに思い出す、血に過剰に反応する変異したアナーヒタの姿。………もしかして、だけど。
「この力……もしかして」
「フハハハハハハッ!二体のネプチューンの力を、特にテティスを真似るなど愚の骨頂なり!真の神には勝てぬのだ!」
「こいつなら、どうだ!」
すると銃声と共に、アナーヒタの背中が吹き飛んだ。外壁の上に立つレオンの手に握られているのは、対戦車ライフルだった。
「これでも、撃ち抜けないのか…!」
「それは無粋だぞ、レオン・S・ケネディ!」
不愉快だと言わんばかりに、ガンマ・オルカに喰われながらポセイドンの槍を構えるアナーヒタ。私は意を決して、指の触手で皮膚を斬り裂いて腕を大きく振るう。
「こっちよ!」
「この……匂いは……?」
地面に落ちて炎上する海水に、さらに海水を注ぎ込んで発火させ巨大な篝火を作り上げる。それに反応するアナーヒタ。その肉体が、私の朧げな記憶通り、サメだというのなら…!血が変質したこの炎を、無視はできないはず!
「マヌエラ、なにをっ」
「レオン!私も戦う!でも死ぬ気はない、限界ギリギリまで振り絞るだけよ…!」
「む、無視が……出来ん……!」
篝火に徐々に引き寄せられていくアナーヒタに、ガンマ・オルカの牙が次々と叩き込まれて引き裂かれ、篝火に肉片が落ちてさらに燃え上がる。そこに、レオンの対戦車ライフルの狙撃が炸裂。体勢を崩す。私が引き寄せ、ガンマ・オルカが消耗させ、レオンが押し込む。これなら…!
「消耗が激しい肉体が、血の匂いに……本能に逆らえないのか……!?まさか、テティス……お前なのか……?何故だ!」
「クラウザー!メリカ!私たちも!」
「おお!」
「私たちの意志は、砕けない!」
さらにヨナ、クラウザー、メリカも体当たり。完全に体勢が崩れて篝火の中に倒れ込むアナーヒタ。その身体が炎上し、さらにガンマ・オルカが燃えていても削っていく。
「こんな……事で……!我は海その物であるぞ!?その我が、容易く消せるはずの、人間の知恵の象徴たる炎に……!負けてはならぬのにぃ……!?」
「終わりだ、アナーヒタ…!」
そして、焼けて脆くなった眉間をレオンの対戦車ライフルが撃ち抜いた。膝を突き、炎上していくアナーヒタ。
「そうか……クククッ……今の我以上に、海という物は大きかったという事か。やはり、素晴らしい物だな、海は……さらばだ、人間共よ。テティス、今逝くぞ……」
そして、倒れ伏し力尽きるのと同時に炭化してひび割れた皮膚から海水が噴き出て、水蒸気爆発。その身は木端微塵に吹き飛んだのだった。
決着。敗因はテティスとグラを利用されて怒りに飲まれたことと、サメの肉体故に抗えない血の特徴を持つ炎をマヌエラが使えたこと。ウェスカーらしからぬ愛情と鮫への固執が敗因ってのも皮肉よね。
Veronica+Pは燃える体液や水蒸気を操ることができる代わりに、負担がでかすぎるというもの。失敗作なんだけど火力だけは高い。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなマヌエラ編オリジナルB.O.W.は?
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