BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「事実」は作れる。楽しんでいただけたら幸いです。
実を言うと、ネメシスは喋れる。B.O.W.の中でもトップクラスに知能が高いのだから当たり前だ。必要とあらば会話できることを、私たちオルタナティブの初期メンバーは知っている。でも、ネメシスは純粋というかなんというか、素直だ。だから私と約束した。情報を抜かれないために、私が指示しない限りはずっと「すたぁず」と喋るように。
「証人。名前と職業を述べんか!」
「すたぁず」
まさかそれが仇になるとは。どうやってネメシスを呼んだって言うんだ。私たちの言葉しか聞かないはずだし、なんならアメリカとは別の国にあるオルタナティブの本拠地で待機させていたはずなのに。
「……喋る気がないというのなら仕方ない。裁判長。彼はネメシス。追跡者とも呼ばれている。ただの大男に見えるだろうが、彼もれっきとした生物兵器でテロリストの一人だ」
「異議あり!オルタナティブはテロリストではありません!」
「異議あり。それを証明できるとでも?アンブレラ・コーポレーションを標的にテロ活動を行っていたのは当時の新聞などで裏は取れている。それに、認めたな弁護士。彼もオルタナティブの一員だと」
「あっ」
『あっ、じゃないよ新米弁護士!』
ガリバー検事の説明にアンドー弁護士が食って掛かるが、見事な返しをされてしまう。うーん、みっちゃんぐらい厄介だなこの検事。さっきのアンブレラ裁判担当検事のブリュースターとはレベルが違いすぎる。
「で、では、証人尋問を……」
「すたぁず……」
「あの、何か喋ってください」
「すたぁず」
「そうではなくてですね」
「では、僭越ながら私からここで補足説明を行おう。彼の言うすたぁずとはS.T.A.R.S.……ラクーンシティにかつて存在したR.P.D.の特殊捜査班の名前だ。資料2を見ていただこう」
埒が明かないと見たのか、補足説明を始めるガリバー検事。そこにはS.T.A.R.S.の概要と実際の記録、そして壊滅までの流れが記されていた。用意周到だなぁくそぅ。
「ラクーンシティ市内において増加傾向にあった都市型テロや多様化していく組織犯罪、そのほかの緊急事態に対処するため1996年に創設され、署の管轄下に位置する一方で指揮系統からは半ば独立しており、独自に活動が可能であるなど、特殊な組織体制を持っている組織だ。1998年7月に発生した「洋館事件」で多数の隊員が死亡したが、その黒幕はS.T.A.R.S.の隊員の一人、クイーン・サマーズとされ、R.P.D.署長ブライアン・アイアンズの命令で指名手配された。このクイーン・サマーズこそオルタナティブの創設者であり洋館事件にて多数の犠牲者を出したB.O.W.を作り出した張本人だ。S.T.A.R.S.こそオルタナティブの前進であり、創設メンバーであるネメシスが頑なにその名を呼び続ける理由だろう」
「え、なにそれ知らない」
『黙っててクイーン』
「異議あり!検事の憶測も含まれています!」
「異議を却下します。ブライアン・アイアンズと言えば人格者として有名でした。凶悪犯の裁判においても何度も顔を出していましたね」
『そういやそうだった……』
アイアンズ無駄に外面はいいんだった。裁判所にまで手を回してたのはさすがアイアンズ汚い。いやアンブレラかこの場合。すると見たことある雑誌を取り出すガリバー検事。
「その通りだ裁判長。アイアンズ氏は温厚で市民思いな人物で、部下からの信望も厚い好人物だ。この「ラクーンマンスリー6月号」によると、治安を守る警察署長としての務め以外に、ラクーンシティ市街地にあるアンブレラが運営する孤児院への寄付や支援、美術品の保護活動や動物愛護といった慈善活動家として市民に慕われており、ラクーンシティのヒーローとして特集が組まれているほどだ」
「あの、クインティアさん。アイアンズって人知ってます?僕そういうのに疎くて……」
「世界でも類を見ないくそ野郎だ。アレに書かれているのは外面だけよくした真っ赤な嘘だ」
「それを示す証拠は……」
「あるわけないだろう。アイアンズの名前を出されるのも想定外だ」
『まさかの切り口だったねえ』
アンドー弁護士、しっかりしてくれ。頼りになるのあんただけなんだぞ。
「そのアイアンズ氏もラクーンシティ事件におけるいざこざで殺された。クイーン・サマーズによって」
「その証拠は!」
「アイアンズ氏が残した録音通話がある。これは彼と友好関係にあったアンブレラ職員が受け取ったもので、ラクーンシティ事件の混乱においても勇敢にその犯人を捕まえようとしていた」
そう言って録音テープを機材に装填して内容を流すガリバー検事。
『私はブライアン・アイアンズ。R.P.D.の署長だ。私の街は地獄になった。私はこれから首謀者であるクイーン・サマーズを捕らえにいく。奴の演技を見抜けずやすやすと信用し、部下として接してきた私が言うのも烏滸がましいが、奴は怪物だ。人間ではなかった。奴の持つ謎のウイルスが洋館事件を引き起こしたのだ。奴はS.T.A.R.S.が独自に凶悪事件捜査のために生み出した実験兵器で、人に擬態する狡猾な奴だ。S.T.A.R.S.の隊長アルバート・ウェスカーは元研究員だったと裏は取れている。洋館事件は反旗を翻したクイーンの凶行によるものだった。そればかりかクイーン・サマーズは私に指名手配された腹いせにそのウイルスで、ラクーンシティにもバイオハザードを引き起こしたのだ。私はそれを止められなかった。私にもしもがあったらこの記録を公開してくれ。私は署長として、責任をもって奴を逮捕してみせる』
「その後、ラクーンシティ事件を最後にアイアンズ氏は失踪した。クイーン・サマーズに殺されたのは明白だ」
「久々に聞いたが吐き気がする演技だなくそったれ」
『うわぁ……正義のヒーローを演じるくずだぁ』
「そうは聞こえませんでしたけど……」
アンドー弁護士が言うのもわかるぐらい真っ白な言い分だ。奴の裏の顔を知らなければころっと信じてしまいそうだ。多分だけど、クイーンを犯人に仕立てた上で自分がヒーローになろうとしたんだな。多分、RT-ウイルスの取引の前に準備していたものだろう。アンブレラのことを言ってない辺り最悪だ。アンブレラに恩でも売ろうとしてたんだろうなと魂胆がよく見える。恐らくテイク20ぐらいはしてそうな声の作り具合だ。でもS.T.A.R.S.とウェスカーを黒幕にするのはさすがに無理がないか?と思うが、S.T.A.R.S.のメンバーの何人かはレベッカを始めとしてそういうエキスパートもいるからなあ。それを利用されたってことなのか最悪だ。
「このクイーン・サマーズと名乗っていた怪物は名を変え姿を変え、オルタナティブを設立した。それこそリサ・トレヴァーを名乗る被告人だ。リサ・トレヴァーの名が偽名なのは調べればすぐにわかる。1967年11月に失踪した人間の名前だ」
「……そう来たか」
「ふざけるな!私はリサ・トレヴァーよ…!」
「被告人は許可ない発言は慎む様に」
被告席のリサからしたら、自分であることを否定されて嫌な気持ちなんだろう。トレヴァー夫妻の娘のリサであることに誇りを持っているから。でも、擬態しているのは事実。
「すたぁず!」
ネメシスがもう黙ってられないとばかりに私を見てくる。いやだめだ。ここで喋られせても、なんで今まで喋らなかったのかと言われて信憑性がなくなるだけだ。くそっ、全部裏目に出ている。
「すたぁず!すたぁず!」
「喋る気がないなら貴様に用はない、ネメシス。では次に、貶められたアンブレラの潔白を証明しよう。次の証人を」
必死に抗議するネメシスが係員数人がかりで引きずられていき、次の証人が現れる。髭を剃り散髪していて別人に見えるがよく知っている人物だ。あることをきっかけにオルタナティブに合流、所属している戦友。カルロス・オリヴェイラがそこにいた。
アイアンズが残した爆弾起動。言いたい放題です。S.T.A.R.S.とクイーンが洋館事件とラクーンシティ事件の黒幕に仕立て上げられました。
実は喋れるネメシスだけど、情報を漏らさないためというのが理由でした。まあそれが自分たちの首を絞めているわけですが。
次の証人は実はオルタナティブに入っていたカルロス。3編以来の登場です。もはや懐かしい。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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