BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

461 / 535
どうも、放仮ごです。バイオハザードが想定通り起きるわけがないよねって。

逆転開始。楽しんでいただけたら幸いです。


fileUC:8【逆転ハザード】

 ラムダは擬態を続けたまま困惑していた。裁判により無理矢理でっち上げたオルタナティブの疑惑を世間に広め、アンブレラの悪評をオルタナティブに押し付ける。優勢だろうが劣勢だろうが関係なく襲撃させたギルタブリルⅤ2に検事を真っ先に狙わせ、応戦しながらもオルタナティブを傷つけずギルタブリルⅤ2を逃走させることで、疑惑を確証に変える。それが、セルゲイ・ウラジミールからソーカ・ソーダースを通じて与えられた書類に記されていた任務だ。

 

 

 だが、これはなんだ。

 

 

 想定外の裁判所内で発生したバイオハザード。自らの知らない上に三体もいる、敵である少女に言わせれば〝タイラント級”のB.O.W.たち。なにが起きているのかさっぱりわからない。自分が何かしくじったのか?いいやそれはありえない。もっとも理想的な動きをして、ここまでオルタナティブを追い詰めたのだ。ではなにが起きた。ここでバイオハザードを起こすなんてアンブレラからしたら自殺行為もいいところだ。オルタナティブの裁判結果がうやむやになりかねないどころか、バイオハザードの鎮圧という功績で印象が上書きされかねない。上ですら把握していない何かが起きたというのか。

 

 

 

 

 

 

 

 ジェーンドゥーは地獄の中で微笑んでいた。ラムダすら存在を知らないアンブレラの上層部だけが知っているトップシークレット、文字通りの正体不明である彼女は、素体の影響で知能は数あるB.O.W.の中でもトップクラスを誇る。その知能は、ただの人間では難しい試験に受かって主席の成績を納める程。その知能はあらゆる物事を計算し、最適解を編み出して行動できる。しかし並の頭脳の持ち主には理解できない解答すら出してしまう。故に、このバイオハザードは彼女が独断で引き起こしたものだった。それを実行できる能力も持っていたことが災いした。

 

 アンブレラの恒久的な宿敵であるオルタナティブの主要メンバーが揃っている今こそ排除する絶好のチャンス。お片付けだ。裁判の結果は社会的地位を有する自分がマスコミにでも伝えればいい。彼女の行動原理はひどく単純で。

 

 

「全ては、アンブレラのために♪」

 

 

 

 

 そんな噛み合わない歯車のアンブレラの刺客(ネズミ)たちの完璧だった言動は、着実にほころび始める。焦燥。油断。そして、いまだにアンブレラすら理解できていないエヴリンという最大の罠。

 

 

 

―――――逆転が、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「熱イ……熱イナァ…!」

 

「ジャンブルの、紡ぐ力!」

 

 

 あまりの熱量に廊下の床を這っているのに天井すら崩す炎が、ペレと名乗った燃えてる奴から放たれる。Cthugha(クトゥガ)程じゃないが、それでも強力な火炎は真っすぐ突き進み、瓦礫の拳で押しつぶされた。ユウコが糸で瓦礫を紡いで作り上げられた拳を掲げて殴りかかるが、ペレは両手に炎を溜めて叩きつけることで瓦礫を融解させて防ぐ。ペレ、ハワイの火山の女神。確かに火山みたいな爆発的な火力だ。でもあの細長い尻尾はなんなんだ。とりあえず、アトラナートの力を持っているユウコなら心配なさそうだ。

 

 

「チュッチュッチュッチュッ!我輩の天才的な軌道を、見切れるか!?」

 

「……速い奴はプサイで見慣れてる」

 

 

 ギュイィイイイン!と回転ノコギリの様な甲高い音を上げながら縦に回転し、ゴリゴリと壁や天井、床を削って高速移動するのは、カーバンクルと名乗った毛むくじゃらTシャツ一枚メガネの少女。メガネ以外はどう見ても野生児な見た目なのだが、どうも自分を天才だと思い込んでるらしい彼女は、よく見れば回転しながらその出っ歯でコンクリートを削っていた。素体は齧歯類かな。モルモットとか?カーバンクルって確かパラグアイのUMAだっけ。宝石つけた小動物とかそんな。しかし、まあ。削った跡が見えるので軌道は予測しやすく、冷静にそれを見ていたオメガがカウンターパンチで床に沈めた。自分の回転した勢いのまま頬に左の拳が突き刺さったもんだから悶絶してる。痛そう(小並感)

 

 

「我の闇の軍勢を防げるか!」

 

「なんなんだ、こいつは!」

 

「モリグナに似てる、けど!別物よ!」

 

「飲み込まれるのだ!痛いのだ!」

 

 

 問題は此奴だ。ビビを名乗った、中二病の大女。灰色のコートとマント、手袋に黒真珠の様な肌と黒い白目に輝く金の眼とかふざけたかっこつけたなりをしているくせに、滅茶苦茶強い。弾丸を撃っても通じず、自らの体を溶けさせてまるで津波の様に襲い掛かってくるのだ。クイーンとリサとグラは非戦闘員を連れて逃げるので精一杯だ。飲み込まれたグラは全身に傷がついて血を噴き出している。恐らくあれが、ゾンビを骨だけにしてた張本人だ。ビビってなんだっけ。真っ先に思い出すのは某海賊漫画の王女だが、たしかペストから由来した病魔の一種がそんな名前だったような。飲み込んだあとは骨しか残らないのは確かに病魔だ。……ペスト?待てよ。

 

 

『……尻尾を持つ燃えるやつ………齧歯類のカーバンクル……溶ける身体にペスト……?』

 

 

 共通点がないから別々に作られたB.O.W.かと思ってたが、ここ最近のアンブレラはタイラントやハンター、ケルベロス系統ばかりでこういうオーダーメイドタイプは情報にあったテイロスとか、それのプロトタイプっぽいギルタブリルぐらいしかなかったはずだ。それが、いきなり三体も新しく現れるのはどう考えてもおかしい。ありえるとしたら、この裁判所で生み出してすぐ実践投入したもの。そしてどう見てもこいつら、T-ウイルス由来じゃなくてRT……つまり動物が人型になったものっぽいんだよな。リサの顔かどうかは燃えてたり暗くて微妙だけどさ。つまり考えられるのは、裁判所内に生息する動物。そんなのペットとかを除いて一種しかいないだろう。

 

 

『こいつら、全員ネズミだ!』

 

「ネズミ、だと!?」

 

「「「!」」」

 

 

 何故かガリバー検事が驚くが、無理もない。ペレは多分中国に伝わる「火鼠の衣」、カーバンクルは日本の妖怪「旧鼠」、そしてペストの病魔から名付けられたであろうビビは多分……五穀豊穣・家内安全・家門繁栄を象徴する神「大黒天」その御遣いである化け鼠たち「大黒天の鼠浄土」をそれぞれ要素に持つのだろう。ってことはビビの攻撃の正体は…!

 

 

『多分、ビビはモリグナと同じで複数のネズミの集合体だ!範囲攻撃を!』

 

「了解なのだ!」

 

 

 グラが一回転して尻尾を振るって、ビビの波状攻撃を薙ぎ払う。散ったそれは、正しくネズミだった。

 

 

「チュッチュ!?天才たる我輩が矮小なネズミだと!ふざけるな!」

 

「燃エルカァ?」

 

「我らは災厄の化身!無限に広がる闇そのものだ!」

 

 

 怒りの形相を浮かべたカーバンクルはまるで竜巻の様に天井→壁→床→壁→天井と高速でコンクリートを削って瓦礫の嵐を発生させ、ペレは燃え盛る頭を振るって頭部から火炎放射を放つ。そしてビビは、考えたくもないけどネズミ算でもしてるのかどんどん広がって、上階まで突き抜ける巨体を作り上げていく。そしてそれは。

 

 

「スタァアアアアアアアアアズッッッッ!!!!!!!!」

 

「チュウッ!?」

 

「!?」

 

「ぴぃ!?」

 

 

 ネメシスが目覚めたことにより、カーバンクル曰く矮小なネズミでしかない彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。おおう、絶対的王者……。さて。さすがに、気付いたぞ。このバイオハザードが起きてから違和感はいくらでもあった。その答え合わせをする時だ。

 

 

「ふっ、ネズミ如きを散らしたぐらいでいい気にならないでほしいなオルタナティブ諸君」

 

「……なあガリバー検事。一つ聞きたいことがある」

 

「なんだね。クインティア・モリアーティ」

 

 

 クイーンも気づいたのか問いかけて、ガリバー検事は……いや、ガリバー検事に化けている何者かは偉そうに問い返す。

 

 

『それなんだけどさ。ガリバー検事、私が見えてるし聞こえてるよね?』

 

「……なんのことだ」

 

「ガリバー検事?」

 

『やっちゃったね。あまりに動揺して私の声に応えちゃってるじゃん』

 

「っ…!?」

 

 

 やらかした、と言わんばかりに自らの口を押えるエクス・ガリバー。違和感はいくらでもあったんだ。なんか裁判中から私の声に反応していたように見えたし、視線もたまに合ってた。まあそれは些細なことだし偶然で片付けられる。だけど。

 

 

「ガリバー検事……ギルタブリルに首を絞められていたにしては、やけに元気だよな。普通の人間は解放されたら息を整えるなりするんだよ。でもお前にはそれがなかった」

 

「い、言いがかりはよしてもらおう。オルタナティブの陰謀です、裁判長」

 

「じゃあその首に絞められた痕がないことはどう説明する?」

 

「なに?」

 

 

 言われて自らの首に触れるガリバー検事。それは認めてるって証拠だぞ。裁判長とアンドー弁護士の眼が鋭いものに変わる。さすがに気付いたらしい。

 

 

『ちょっと前にも「こんな戯言をほざく奴など信用ならんな……」って私に反応してたよね。やっほーぴーすぴーす』

 

 

 笑顔でダブルピースしてやれば悔しそうに唸る。アホすぎて思わず反応したんだろうな。イーサンに鍛えられたボケパワー舐めるなよ!

 

 

「お前は誰だ。エクス・ガリバー検事はどこだ」

 

「……ああ?本物の検事ね。私が食べちまったぜ。美味かった」

 

 

 すると口調が変わるガリバー検事の姿が、塗り替えるようにして黒いボディースーツの様なものを身に着けた緑が混ざった金色の髪を短く首元で揃え舌をだらんと垂らした女性に変わっていく。リサ……というよりはオメガにそっくりだ。つまり、ハンター。

 

 

「ハンターλだ。以後、お見知りおきを?オルタナティブさんよぉ。……っ!?」

 

 

 正体がばれてなお、優位を保とうとしているのか一礼するラムダだったが、次の瞬間。その胴体が撃ち抜かれ、倒れ伏した。なにが起きたのかさっぱりわからない私たちの前に現れたのは……。

 

 

「次なんてないわ。ラムダ」

 

「貴方は…ソーカ・ソーダ―ス弁護士?」

 

 

 黒と金のどう見ても特注のガバメントを手にした黒髪をボブにしてびしっとスーツで決めた金色の瞳の女弁護士、ソーカ・ソーダース。アンブレラの顧問弁護士。その腰からは、細長い尻尾が伸びている。ネズミの、尻尾。……なんで気付かなかった。こいつもだ…!

 

 

「……ああ、裁判長。ごきげんよう。この五年間、お世話になったわあ。冥途の土産に教えてあげる。ソーカ・ソーダースは仮の名前。私の名前はジェーンドゥー。アンブレラの始末屋よ」




というわけでガリバー検事がラムダで、実はジェーンドゥー含めて前回登場したのは全員ネズミでした。袋のネズミとか、間者という意味のネズミとか比喩に便利だった。ラムダは表向きのボスでした。

・ソーカ・ソーダース/RT-EX01ジェーンドゥー
今章の本当の黒幕。ネズミのRTでありラクーンシティ壊滅直前にアイザックスとは別にアンブレラヨーロッパ支部で誕生した、アイザックスすら知らないRTの番外的存在。リサの顔から整形で顔を変え、その高い知能から五年間もの間アンブレラの顧問弁護士として地位を確立し弁護士の立場を悪用してアンブレラ裁判を長引かせる、アンブレラの敵を陥れるなど暗躍していた。見た目は黒髪の女性であり普通の人間にしか見えない。
 普段は太股に巻いて隠している尻尾が武器で暗殺の際はそれで心臓を貫いたり首を絞め上げたりする。ペスト菌を媒介するネズミ故に体内に特濃のT-ウイルス及びRT-ウイルスを内包しており、口付けで流し込んで感染させ、時間をかけずに変異させることが可能。現地のネズミに口づけして濃厚RT-ウイルスを与えて変異させたB.O.W をネズミの女王として自在に操ることができる。黒と金で彩られた特注ガバメントを使う。モチーフはゼンゼロのジェーン・ドゥ。

・旧鼠【カーバンクル】
・火鼠【ペレ】
・ネズミ版モリグナの大黒天【ビビ】
 ジェーンドゥーから濃縮RT‐ウイルスを与えられて急激に変異させられたネズミのB.O.W. たち。ネズミの本能故にジェーンドゥーに従うしネメシスからは逃げる。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きなマヌエラ編オリジナルB.O.W.は?

  • シーデッド
  • ネプチューン・テティス(サメイド)
  • A1ハープーン
  • A2シザース
  • A3ナックル
  • A4ドリル
  • 変異マヌエラ
  • カリハリアス
  • リーサルガイド
  • 変異ヒルダ
  • 雪姫
  • ブレード
  • バイパー
  • A5ガンマ・オルカ
  • テティス完全体
  • 変異クラウザー
  • V・コンプレックス(ナックル)
  • ミス・ポセイドン(アナーヒタ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。