BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ネズミの本当の恐ろしさと言ったらこれ。楽しんでいただけたら幸いです。
ジェーンドゥーはかしこい。裁判に勝とうが負けようが、アンブレラが破滅するのは分かっていた。オルタナティブに罪を押し付けたところでなんになるというのか。重要施設のほとんどが潰され、セルゲイ・ウラジミールがテイロスによるアンブレラの復興を目論んでこそいるが、その要である最後に残ったロシア支部すら元S.T.A.R.S.のメンバーに補足され攻め込まれている。同時に行われている裁判でアンブレラの印象を覆そうが、その結果次第で終わる。
まあ、無理だろう。ジェーンドゥーは別に思い入れもないアンブレラ幹部の安否をあっさり諦めた。ロシア支部に移されたアンブレラの中枢たるアンブレラのスーパーコンピュータ「U.M.F.-013」に内蔵されているAI「レッドクイーン」も自分の名義で管理しているサーバーに勝手にコピーしてある。彼女の目的は「アンブレラ」そのものの存続であり、例え総帥のスペンサーが死のうとセルゲイが死のうがどうでもいい。アンブレラさえ在ればいいのだ。故にジェーンドゥーの優れた頭脳は人間では辿り着けない答えに行きついた。
即ち、自らがいれば、それがアンブレラだと。そして、その自らの存在を脅かすオルタナティブのB.O.W.たち。配下のネズミB.O.W.がいなかったら、危うく負けていた。だからジェーンドゥーは認識を改める。出し惜しみは、なしだ。
「ここは計画のために意図的にネズミを増やしておいたのよ。即席の配下を増やすためだったけど……私の知能による完璧な配分でRTウイルスを与えれば、こんなこともできる」
胸部装甲が砕ける勢いで壁に叩きつけられて停止したギルタブリルⅤ2を一瞥し、それを蹴り一発で行った張本人であるジェーンドゥーはそんなことを呟きながら、カーバンクル、ペレ、ビビにオルタナティブたちを探させながら、真っ暗な廊下を練り歩き、それを探す。
「チュ?」
「ネズミは増えるのよ。エヴリン」
運悪く廊下を横切ったネズミを尻尾で縛り上げ、手で持ち上げて口づけするジェーンドゥー。ペレを生みだした時の様に、投げ出されたネズミがゴキゴキと音を立てて変形していく。そうして現れたのは、リサの顔と体型を持つ全身灰色の毛に覆われ尻尾が伸びた黒髪のネズミの獣人。ジェーンドゥーの整形してない本来の姿とよく似ているが、それもそのはず。服を着てないことを毛で覆うことでカバーしている以外は〝表情はもちろんのことその思考や遺伝子情報からウイルスによる変異”まで瓜二つ。
「「次の自分を作りましょう。
ジェーンドゥー〝たち”は顔を見合わせ妖艶な笑みを浮かべて、それぞれ飛び出して、目につくネズミへと片っ端から襲い掛かった。
私たちは、逃げ込んだ会議室の入り口に机や椅子で簡易的なバリケードを作った。それをネメシスとカルロスが見張っている中で、クイーンとリサが裁判長とアンドー弁護士に本当の「事実」を簡易的に説明。ユウコが糸で縛り上げている絶賛瀕死のラムダを椅子に座らせその前にグラが頭を擦りながらニコニコ笑顔で牙を鳴らす。その上から見下ろした私はラムダに告げた。オメガちゃんはおろおろしている。
『ラムダ。今すぐ決めて。ここで死ぬか、私たちの味方になるか』
「死にたいなら、食べちゃうのだー」
「最低な二択だな。吐き気がするぜ、それでも清廉潔白なオルタナティブか」
『ガリバー検事としての貴方が言ってた通り、清廉潔白じゃないしね私たち。身分偽証もしてたし、指名手配もされたし、リサやグラとかに至っては洋館で既に何人も殺してるし。だからあくどい方法でも何でも使うよ』
ラムダの皮肉にふんぞり返って返すと、「ケッ!」と吐き捨てられた。だいぶ不良だなこの子。でも、オメガちゃん的にはシータと同じで、末っ子だった自分の妹みたいな存在なので「エヴリン、許してあげて」と言いたげな顔でこっちを見てくる。あーもう、オメガちゃんにはどうしても甘くなってしまう自分がいる。
「言っとくが私はアンブレラを裏切るつもりはないぞ」
『そのアンブレラに殺されかけたのに?』
「っ、確かに正体がばれれば始末すると言われてたがあれは、あいつの起こしたバイオハザードのせいだ!ノーカンだろ!」
『それ名目で殺してもいい理由にしたんでしょ。めちゃくちゃ頭いいよあのジェーンドゥー。知り合い?』
「……ソーカ・ソーダースとしてなら知り合いだ。アイツもB.O.W.だったなんて知らなかった……」
『それでもアンブレラ側につくの?多分だけどアンブレラの上層部はジェーンドゥーのこと知ってたよ。じゃないと、アンブレラに忠誠を抱くなんてそもそもありえない』
「私はアンブレラに体よく利用されてただけだって?」
『アンブレラからしたらB.O.W.なんて商売の道具でしかないからそうだと思うよ』
正直知らんけど。ああ言えばこう言う作戦だ。私の屁理屈で理論武装を剥がしていく。ラムダは考え込み、ずっと不安げなオメガを見ると尋ねた。
「……ハンター、なのか?」
「うん!私、ハンターΩ。貴女はハンターλ。お姉ちゃん、だよ」
「……生まれた時から他のやつらとは違ってて、一人だと思ってた。だから、それしかなくて言われた通りにしてきたけど……姉が、いたのか。知らなかった……」
「私の姉のプサイもいるよ!妹のシータも!親戚?のガンマも!……ガンマはシャチになっちゃったけど。ハンターか微妙?」
「なんだよそれ。笑える。……先に裏切ったのはあっちだ。なら私も、裏切っていいよな」
『っ、じゃあ』
「ラムダだ。お前らにつく。証言はする。情状酌量はよろしくな」
『ちゃっかりしてるなあ。任せて。アンブレラ側だったB.O.W.でも受け入れるのがオルタナティブだよ!』
リサとかグラとかヨナとかいるのに、人殺しだからって拒絶するのは違うよね。そもそも人を殺しているのは私もそうだし。食べられたっていう本物のエクス・ガリバー検事には悪いけど。いやほんと、そこらへんも考えないとなあ。………待てよ?
『グラと、ヨナ?』
「食べたかったなー」などとのんきなことを言っているグラを見て、あることを思いつく。ひょっとして…。すると、凄まじい音を立てて爆音が扉から轟いた。ビクッ!と反応してそちらに視線を向ける私たち。ユウコが糸の拘束をほどき、ラムダの傷を糸で塞いで応急処置する。なんだ?
「ここね?」
「見つけたわ」
「開けなさい。オルタナティブ」
「エヴリン、出てこないとひどいわよ」
「袋のネズミよ」
「貴方たちは包囲されている、なんてね」
「諦めた方が身のためよ」
なんか、ジェーンドゥーの声が複数重なって聞こえるけど何でだ。そしてどう見てもおかしい。扉が、まるで水でもせき止めるように膨張している。ミシミシと音を立てて壁にひびが入り始める。なんだ、なにが起きている?気になって、ちょっと怖いけど壁の向こうに顔を出す。何故かさっきよりも真っ暗で、おかしいなーと思ったら、複数の眼と目があった。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
『あ、失礼しました』
そっ閉じ、というかそっ引き?した私は、こちらに注目するみんなの視線を受けて、大きく息を吸い込む。
『逃げてぇええええええええええええええええええええええええええっ!?』
ドッッッッゴォオオオオオオンンンンッッッッッ!!!!!!!!
瞬間。扉が決壊し、壁が崩壊し、大量のリサ顔のネズミ獣人が雪崩れ込んできた。なんぞこれえええ!なんだこれええええええっ!?
「あーらら。壊しちゃったわ」
「どうする、私?」
「絡まっちゃったわー」
「でも見つけたわ。オルタナティブよ」
「捕まえなさい!」
「私、私の顔を蹴らないで!」
「しょうがないじゃないこんなにいるんだから」
「あ、私の頭を踏みつけたわね!」
「エヴリンが理解できないって顔をしているわ」
「それはそうよねえ」
「私、頭がいいの。それこそ普通の人間じゃ思いつかないことをできるのよ」
「私さえいればアンブレラなんだから」
「じゃあ私がたくさんいればアンブレラは不滅よね?」
「今この時も、ネズミ算式で増え続けているわ」
「裁判所はもうすぐ私で埋め尽くされる」
「あ、方法は聞かないでね。恥ずかしいから」
「私って整形してるから別の顔をしているけど本当はリサ・トレヴァーと同じ顔なのよ」
「この顔で裁判所内に溢れかえっても誰もソーカ・ソーダ―スだとはわからない」
「むしろオルタナティブの仕業に見えるでしょうね」
「みーんなみんな」
「同じ自我」
「同じ私」
「弁護士軍団ならぬジェーンドゥー軍団がお相手するわー」
『いや、多すぎだからあ!?』
ある意味ハーメルンの笛吹き。または
ラムダ仲間入り、直後のとんでも奥の手。普通そうはならんやろ、なっとるじゃろがい、がジェーンドゥーの行動指針。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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